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バリアフリーの着物で日本の着物文化を守る:VOL.210 

バリアフリーの着物で日本の着物文化を守る:VOL.210 
PROFILE

鈴木富佐江さん(81歳)

(株)さくら着物工房/東京都調布市
1936年生まれ。幼少から着物に親しんでいたが、定年退職後の2001年、脳梗塞を患い、帯が結べなくなる。
折り紙をヒントに、わずか2分で結べる帯「さくら造り」を考案し、特許出願。
さくら着物工房を開設して講師養成講座をスタート。
今では、さくら造りを含めて4つの特許を保有している。

VOL.210
バリアフリーの着物で日本の着物文化を守る

大きい夢さえ持っていたら
小さい夢はぜんぶ実っちゃうの

朝、歯を磨いていたら手が動かなくなって、脳梗塞。右半身が不自由になりました。小さい頃から着物に親しんで、それまでシャッシャと帯も結んでいたのに、手が後ろに回らない。あの時は絶望、虚脱感です。でも「さくら造り」帯なら、そんな私も2分で着付けができる。背中の結びと胴の部分を先に作っておき、あとは紐でとめるだけ。障害をお持ちの方も高齢の方も、これなら着られるとすごく喜んでくださいます。車椅子のご婦人がシャンと立ちあがるぐらいに。

今は着付けの講師を育てるお教室をしています。私の恩師は「何でも夢は大きく持ちなさい」といいました。そうすれば小さい夢は全部叶うからという理屈でね。それなら私はさくら造りを全国に広めようと思ったんです。講師たちがまた生徒を持ち、日本の着物文化を守ってくれることでしょう。20年の東京パラリンピックも大きな目標。外国の方にも着物の魅力を伝えられるよう頑張るつもりです。車椅子の方が座ったまま着付けができる、ファスナー付きの着物も考案したんですよ。

病気をするまで、着付けなんて「できて当たり前」でした。体が不自由な方がいっぱいいるということに、思いが至らなかったんですね。だけど神様がちょっと意地悪をしたおかげで、知恵を授かった。つくづく、人生には無駄がないなと思います。
 

構成・文/東 雄介
撮影/刑部友康、阪巻正志
アントレ2018.春号 「平均年齢81歳、『働く』を楽しむ 稼ぐ! 老後天国」より

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