副業で行っている事業が拡大してきたら、サラリーマンとしての本業があっても「会社設立を検討してみようかな」と思う方は少なくはないはずです。サラリーマンが本業と副業で時間がない中、手続きをしてでも会社設立を検討するべきタイミングは、どのような時なのでしょうか。サラリーマンが会社設立をするべきタイミングと、自力で会社設立をするのに不安を感じている方のためにおすすめの会社設立代行と合わせて紹介していきます。
サラリーマンが会社設立をする際の流れとは
個人事業主になるのとは違い、会社設立をするためには様々な手続きが必要です。サラリーマンに限らず、会社設立をするためには以下のような手順を踏まなくてはいけません。
1.定款を作成する
2.公証役場で定款の認証を受ける
3.会社設立登記申請書などを準備する
4.法務局で登記申請を行う
5.登記完了後、登記事項証明書を取得する
6.法人の印鑑証明書を取得する
7.法人設立届出書など税務署関連の手続きを行う
8.社会保険関連の手続きを行う
サラリーマンの会社設立に必要な書類
サラリーマンが副業や独立するために会社設立をする場合、サラリーマンだからという理由で特別な手続きはありません。一般的に会社設立をする際と同様の手続きが必要になります。会社設立をするためには、法務局で登記を行わなくてはいけません。ここでは、会社設立に必要な書類についてお伝えしていきます。
・登記申請書
・登録免許税の収入印紙を貼り付けた台紙
・登記すべき事項を保存したCD-R
・定款
・取締役の就任承諾書
・印鑑届出書
・払込証明書(資本金や出資金の払い込みを証明するもの)
上記のほかに、取締役会を置かない場合には「取締役全員の印鑑証明書」が必要になったり、合同会社設立の場合には「合同会社設立登記申請書」が必要になったりします。各法人の形態や定款の内容により、追加書類が必要になります。会社設立の際には「他に何か必要なものはないか」注意することをおすすめします。
サラリーマンが会社設立をするべきタイミングとは
会社設立には手続きや書類作成が必要です。多忙なサラリーマンが会社設立をするべきなのは、どのようなタイミングなのでしょうか。
サラリーマンが副業で行っている事業での会社設立をする理由はさまざまです。中でも1番多いのは、税負担の軽減ではないでしょうか。個人事業主と法人では負担しなくてはいけない税額が異なります。そのため、ある程度の収益が得られるようになったら会社設立を検討するのが一般的なようです。
所得税が法人税を上回ったら
個人事業主としての所得税が法人税を上回ったら、会社設立を検討するべき1つのタイミングです。所得税が法人税を上回る場合について、詳しく解説します。
【平成27年分以降の所得税の速算表】
【普通法人の法人税率】
上記からわかるように、所得が330万円を上回ると所得税が法人税を上回ります。個人事業主の場合は所得330万円に対して42万7500円の所得税になりますが、普通法人(資本金1億円以下の法人)の場合は、所得330万円に対して15%の法人税となるため、49.5万円を納税しなくてはいけなくなります。
所得が330万円以上となった時、サラリーマンが個人事業主としての事業を会社設立して法人化するタイミングといえるでしょう。
サラリーマンが会社設立をする際に注意するべきポイント
サラリーマンが会社設立をする際に注意するべきなのが、「会社設立=得をする」ではないことを理解しておかなくてはいけない点です。法人は、個人事業主とは税率や経費参入範囲が異なるため節税効果が期待できます。しかし、すべてのケースで確実に節税できるわけではないことを理解しておかなくてはいけません。
個人事業主が納める所得税は、所得が増えるほどに税率が上がります。所得が少なければその分、税率も下がるということです。そのため、節税の観点から考えると、所得税率が低いうちは会社設立をする意味はないといえます。
それに対して法人は、法人税の負担額が所得税を上回る可能性があります。さらに税務の専門家に業務をアウトソースしようとすると、毎月のランニングコストがかかるため赤字になってしまうということにもなりかねません。
サラリーマンが副業で行っている事業は、あえて会社設立をしないほうが良いケースもあります。会社設立を今すぐするべきか、十分に検討しましょう。
サラリーマンが会社設立するメリット・デメリット
サラリーマンが会社設立をするのには、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。メリットとデメリットをそれぞれいくつか紹介します。
サラリーマンが会社設立をするメリット
サラリーマンが会社設立をする主な理由は、「節税」です。所得が大きくなるほどに、より大きな節税効果が期待できます。節税以外にも、サラリーマンが会社設立をするのには以下のようなメリットがあります。
・社会的信用を得やすい
・資金調達をしやすくなる
・助成金を利用しやすくなる
・最長10年、赤字を繰越控除できるようになる
・基本的に、法人の財産は直接的には相続税の対象にならない
節税効果以外にもメリットはあるので、事業内容によっては会社設立をした方がスムーズに業務を進められるケースもあります。よく検討してみてください。
「No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除」(国税庁)
サラリーマンが会社設立をするデメリット
サラリーマンが会社設立をするのには、メリットだけでなくデメリットももちろんあります。会社設立をした際に直面する可能性のあるデメリットには、以下のようなものがあげられます。
・会社の設立・解散にはコストがかかる
・社会保険の加入が必要となる
・赤字でも法人住民税の均等割りは負担しなければならない
・事務的な負担が増える
サラリーマンが会社設立をする際、特に注意しなくてはいけないのが事務作業の負担増加です。会社設立をするためには、必要な手続きを滞りなく行う必要があります。日中はサラリーマンとして働きつつ、自身の事業も進めなくてはいけないため、事務負担は相当なものでしょう。
専門家に依頼してしまえば最低限の負担で自分の業務に集中できるでしょう。しかしそのためにはコストもかかってしまうので、費用対効果を十分に検討して依頼の有無を決めましょう。
おすすめの会社設立代行5選
複雑かつ専門的な事務手続きを行わなくてはいけない会社設立を、自力でできるのか不安だと感じているサラリーマンは少なくないでしょう。そんな不安を抱えている方は、会社設立をサポートしてくれるサービスを活用するのがおすすめです。イチから自身で手続きを進めるより業務的負担はもちろん、精神的にも負担は軽減されるのではないでしょうか。
おすすめの会社設立サービスを5つ紹介していきます。自分に合うものがないかチェックしてみてください。
1.マネーフォワード クラウド会社設立
1つ目におすすめの会社設立は、「マネーフォワード クラウド会社設立」です。
マネーフォワード クラウド会社設立は、会社名・代表・事業目的などの情報を画面のガイドを見ながら入力するだけで必要な書類を作成できる会社設立サービスです。会社設立が簡単3ステップでできるので、「会社設立をしたい!」という方の良いサポート役となってくれるでしょう。
マネーフォワード クラウド会社設立では必要書類の作成だけでなく、会社設立の際に必要になる印鑑も一緒に購入できます。会社設立に必要な業務は一貫してサポートしてもらえる心強いでしょう。
2.freee会社設立コンシェルジュ
2つ目におすすめの会社設立代行は、「freee会社設立コンシェルジュ」です。
会社設立に詳しいコンシェルジュが常駐しているfreee会社設立コンシェルジュでは、会社設立をする準備から設立時の一般的な悩みまでを電話相談できる無料サービスです。
書類の作成方法から提出先だけでなく資本金の額や決算月の決め方など、会社設立を初めて行う際は不安がつきもの。そんな不安も会社設立に詳しいコンシェルジュに相談できるので、安心してサポートしてもらえるでしょう。電話相談の事前予約ができるのもポイントです。
3.0円創業くん
3つ目におすすめの会社設立代行は、助成金や融資に強い株式会社Wizが展開する「0円創業くん」というサービスです。
会社設立はどのように行うものなのかポイントを解説してもらえたり、設立してから事業を開始するまでの準備のサポートなどをワンストップで行ってもらえたります。
会社設立後に知っておきたいノウハウを教えてもらえたり、会社設立にかかる費用や・手数料が無料だったりしますが、所定のサービス・商品につき一定期間の契約が必要となります。サービスは開業時に必要なものが多くあります、160以上のサービスから選べるので、会社設立時に浮く費用とその後契約するサービスを見比べて検討してみてください。
4.会社格安センター
4つ目におすすめの会社設立サービスは、「会社格安センター」です。
全国最多の会社設立依頼を誇っている会社格安センターでは、相談料なども無料で書類作成手数料の8,360円(税込み)です。会社格安センターから届いたカルテメールに会社の基本情報を記入して返信し、自身の身分証と役員・出資者の印鑑証明をFAXで送るだけで、書類を作成してもらえます。時間も費用も軽減して会社設立ができるので、忙しいサラリーマンにはぴったりのサービスといえるでしょう。
5.上田公認会計士事務所
5つ目におすすめの会社設立は、「上田公認会計士事務所」です。
主に医療や福祉業界(特に歯科・クリニック・介護・福祉法人など)に詳しい上田公認会計士事務所は、過去600件以上(2023年2月時点)の実績がある事務所です。そのうち90%が医療・福祉業界なので、まずは相談だけしてみるのも良いでしょう。
サラリーマンが会社設立をする際は節税効果があるかどうかがポイント
サラリーマンが会社設立をする主な理由の1つが節税効果です。利益が上がればその分、所得税の税率も高くなります。そのため、思い切って法人化した方が、節税効果が期待できます。しかし、必ず節税をして得になるとは限らないので注意も必要です。
サラリーマンの方で会社設立に時間を割くのが難しい方は、会社設立代行などサポートしてもらえるサービスなどを、うまく活用しながら会社設立をしてみてください。
<文/ちはる>