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有限会社を相続するにはどうすればいいのか? 注意点も併せて解説

個人M&Aにはリスクが伴う?注意点と狙い目の業種を紹介 独立ノウハウ・お役立ち

有限会社を相続する際には、「“出資持分もしくは株式を相続したこと”=“経営権を相続したこと”にはならないこと」と「“相続した出資持分もしくは株式の額面”=“相続税の対象となる相続財産の評価額”とはならないこと」の2点に注意する必要があります。

有限会社も株式会社と同様に扱われる

有限会社とは、出資額を限度として会社に対して責任を負う有限責任社員が出資金を出しあって設立した会社のことを指します。

2006年に会社法が施行されてからは有限会社の新規設立ができなくなっていますが、既に設立されていた有限会社に関しては会社法施行後も“特例有限会社”という法人形態で存続することが許されています。

ただし特例有限会社は法律上、株式会社と同様の取り扱いです。

そのため有限責任社員が出資した持分は会社の株式と見なされ、出資した社員は株主と見なされるのです。

有限会社を相続するためのフロー

有限会社の相続は一般的に次の手順で行われます。

被相続人の相続財産の評価額を算出する

被相続人の個人名義財産すべてが相続財産となります。

この中で会社の株式に相当する“被相続人の出資持分”に関しては、相続時点での評価額を算出しなければなりません。

有限会社設立時に100万円の出資を行っていても設立後の利益の積み重ねや会社資産の増大などにより企業価値が向上した場合、出資額そのものの価値も変動(向上)していると見なされるからです。

出資持分の評価額の算出方法は税法上の企業規模によって異なります。

企業規模は、総資産価額・従業員数・取引金額の3つの数値によって“大会社”“中会社”“小会社”に区分されています。

大会社は“類似業種比準方式”という評価方法で評価額の算出を行います。

類似業種比準方式というのは業種ごとに標準的な会社を見立て、その会社の価値をもとにして非上場株式の株価を計算する方法です。

中会社は“類似業種比準方式と純資産価額方式の併用”で評価額の算出を行います。

純資産価額方式というのは評価時の会社の資産から負債と法人税などの相当額を控除した金額をもとに非上場株式の株価を計算する方法です。

併用とは、

[評価額=類似業種比準方式による評価額の○%+純資産価額方式による評価額の○%]

という考え方で評価額を計算するという意味です。

ただし、%の割合に関しては中会社の中からさらに企業規模に応じて3パターンに分けられています。

小会社は“純資産価額方式”で評価額の算出を行います。

遺産分割協議を行う

相続は相続人全員で合意しなければなりません。

有限会社の出資持分に加えて被相続人の個人名義での全財産が相続財産の中身です。

それぞれの相続財産をどのように分配するかを相続人全員で協議し、合意した内容を遺産分割協議書にまとめます。

特定の相続人が有限会社の経営を引き継ぎたい場合は、出資持分が複数の相続人に分散されないように遺産分割協議を行う必要があります。

出資持分名義を変更する

被相続人の出資持分の名義を相続人に変更します。

2006年の会社法改正後に株式を発行した特例有限会社の場合は、株式の名義変更手続きを行います。

名義変更は持分証書と名義書換請求書を会社に提出することで行うことが可能です。

相続税の納付手続きを行う

相続が行われた場合、相続人が相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に相続税を申告し相続税を納付する必要があります。

上記に関しては「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」に基づく都道府県知事の認定を受けた場合に、相続税の納税猶予や免除の特例を受けられることの対象となります。

経営権を得るための手続きを行う

被相続人から出資持分を相続した相続人が有限会社の経営権を獲得したい場合は、株主総会に相当する社員総会を開催した上で取締役に選任してもらい、実質的な経営者となることに対しての承認を得る必要があります。

有限会社はM&Aが行えない

事業承継の手法の一つにM&Aがあります。

M&Aは他社に会社を売却して売却先企業の子会社として存続し続ける手法です。

この場合、売却先企業に株式や事業が譲渡されることになります。

注意が必要なのは、有限会社は法律上、株式譲渡を行った場合は会社そのものが消滅する仕組みになっている点です。

つまり有限会社という法人形態のままでは、M&Aをして売却先企業の子会社として存続し続けることはできません。

売却先企業の子会社として存続し続けたい場合は、一般の株式会社へ移行した後にM&Aを実施する必要があります。

また売却先企業との間で合意が得られた場合は、会社売却後に経営者が売却先企業に入社し売却した事業の運営を継続することができます。

同じM&Aでも事業の一部を切り離して売却する場合は会社そのものの売却とはなりません。そのため売却後も有限会社という法人形態のままで存続し続けることができます。

まとめ

相続は今後の会社にとって最適な経営の在り方を考えるチャンスでもあります。

そのための選択肢として、経営方針の刷新・株式会社への移行・M&Aなどの対応があるのです。

将来、相続が発生することが想定されている有限会社があり、相続後に経営に関わりたい場合は、現経営者との間で今後の経営の在り方について十分な話し合いをすることが望ましいです。

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PROFILE
大庭真一郎

大庭経営労務相談所 代表
東京生まれ。
東京理科大学卒業後、民間企業勤務を経て、1995年4月大庭経営労務相談所を設立。
「支援企業のペースで共に行動を」をモットーに、関西地区を中心として、企業に対する経営支援業務を展開。支援実績多数。中小企業診断士、社会保険労務士。

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