【この記事でわかること】
- 不動産フランチャイズの特徴
- 不動産フランチャイズでよくある疑問
- 不動産フランチャイズで開業した実際の事例
独立起業して小さく始められるビジネスの中でも、高い収益率が期待できる分野の1つは不動産です。一つひとつの取引額が高く、不動産市場も成長しているためです。
不動産ビジネスには自ら所有している、あるいは借りている不動産の有効活用を目的とするものと、不動産の売買や賃貸を仲介する不動産仲介業があります。
不動産の有効活用を目的としているのは、例えば「ワンルームマンション」「倉庫」「トランクルーム」「コインパーキング」の貸し出しなどです。
今回の記事では、不動産仲介の1つのビジネス手法、いわゆる「不動産フランチャイズ」についてご紹介したいと思います。
また、フランチャイズ経営はリスクが高いという話も聞くため、一歩踏み出せないという方や、フランチャイズ経営は本当に儲かるのかと不安になっている方も多いと思います。
そんな方たちのために、実際にフランチャイズ経営を行っている方の事例や、成功している方のポイントについて資料にまとめて、解説書を作成いたしました。フランチャイズ経営に興味はあるけど、失敗はしたくない!という方はぜひ下記よりダウンロードして参考にしてみてください。
そもそもフランチャイズの意味とは
不動産フランチャイズの前に、そもそもフランチャイズとはどういうビジネスモデルなのでしょうか。
フランチャイズ本部とフランチャイズ契約をした個人または法人の店舗は、フランチャイズの加盟店と呼ばれますが、フランチャイズ本部と加盟店の立場はそれぞれ独立した対等なビジネスパートナーとなります。
加盟店は、フランチャイズ本部から経営に関するさまざまな権利やノウハウなどを得る代わりに、フランチャイズ契約時には加盟金などを支払います。また、フランチャイズ本部から継続的に、経営に関するサポートなどを受けるため、加盟店は月々の支払いとして「ロイヤリティ」という対価をフランチャイズ本部に支払います。
フランチャイズビジネス全体の市場規模やメリット・デメリットなど、基本的なことから知りたい方は、まずこちらの記事を読んでみてください。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
不動産フランチャイズの中には直営店も加盟店もある
不動産業のフランチャイズ本部の中には、すべての店舗を加盟店が経営しているケースや、店舗に直営店と加盟店が混在しているケースもあります。不動産を探している顧客側からすると、直営店と加盟店の違いは分からないかもしれません。
フランチャイズ本部はどこの店舗であっても、同じクオリティのサービスを顧客に提供できるようにマニュアル化しているためです。
コンバージョン型フランチャイズが多い
不動産フランチャイズの多くは、「コンバージョン型フランチャイズ」という仕組みをとっています。「転換型フランチャイズ」とも表現されます。
コンバージョン型フランチャイズとは、すでに開業している事業者が同業のフランチャイズに加盟し、そのフランチャイズのブランド名と看板のもとで事業を続けることです。
コンバージョン型フランチャイズによる不動産フランチャイズの場合、加盟対象となるのは「すでに宅地建物取引業の免許を取得済み」で、「その地域で事業を営んでいる小規模不動産仲介業者」となることが一般的です。
街なかの個人名で営業されていた不動産屋さんがリニューアルをして、よく聞く不動産フランチャイズのブランド名やロゴを使用して開業していた場合、このコンバージョン型フランチャイズである可能性が高いでしょう。
小規模不動産仲介業者でもブランド力を活かせる
「不動産フランチャイズの加盟店となる意味は何なのか」と考える不動産経営者の方も、実際は大勢いらっしゃいます。不動産仲介業の特徴の1つは、市場の大部分を5人以下の小規模事業者が占めているということです。
しかし、消費者向けの高額販売のビジネスにおいては「ブランド構築や認知度向上のための広告宣伝活動・広報活動」をする必要があるため、個人や小さな会社の努力だけではどうしても限界があります。
同じく高額な商品の販売を行っている自動車業界はもちろん、日々使っている消費財の分野を見てみても、企業のブランド構築や認知度向上のための広告宣伝活動・広報活動が目立ちます。
世界の各業種のトップブランドが毎年、何千億円という予算をブランド構築や知名度向上などマーケティング活動に投資していることから、ブランド認知やそれによる信頼を得ることは「小規模事業者がイチから始めて簡単に手にできるものでない」ということは言うまでもないでしょう。
消費者を対象に高額な商品販売をしているビジネスにおいて、ブランディングと集客の問題は避けて通れません。その1つの解決方法が、不動産フランチャイズに加盟することなのです。
不動産フランチャイズのメリット
不動産仲介業者にとって最も重要な課題は、ターゲット顧客の集客と契約までのクロージング、つまり顧客との接触と契約締結までの営業プロセスによって成約数を上げていくことです。
どの業者も商品として同じ物件を扱うため、商品での差別化が難しい業界であるのは周知の事実です。売買物件でも賃貸物件でも、顧客は「この物件を希望している、どこの仲介業者に頼めば安心だろうか」と悩みます。そのため、「ここなら信頼できる!」という思いが顧客の選択を左右するのではないでしょうか。
ここからは、フランチャイズに加盟した場合のメリットを7つ紹介します。
ブランドの知名度を利用できる
お客さまに信頼してもらうという側面を考えると、不動産フランチャイズに加盟する一番のメリットは、「知名度の高い看板を使うことができる」という点だといえます。
「〇〇不動産」という社名だけよりも、見慣れたカラーリングとマスコットキャラクターがあるフランチャイズのほうが、何となく馴染みがあります。そして「テレビ・ネット・雑誌CMなどで見かけるほどの不動産業界大手だからしっかりしてくれそう」という印象を受けます。
顧客がCMや街なかでよく目にしていて「知っている」からこそ、「不動産を探している」ときに利用してみようかという選択肢(想起集合)の中に入り、顧客の電話申込や来店に結びつけることができます。
不動産選びは、賃貸でも売買でも大きなお金を支払って長期間住み続ける重要な場所を決めることです。もしも問題が起こったとしても、フランチャイズなら本部が介入して解決してくれそうだという安心感も、一般消費者にとっては重要な要素となるでしょう。
ノウハウを共有・蓄積できる
不動産取引を迅速で安全に行うには多くの知識や経験が必要です。しかし、知識や経験を独学で蓄積すると時間がかかるうえに間違った情報を採り入れてしまうリスクもあります。そこで、フランチャイズ本部は独自の研修システムを用意して、スタッフの正しい知識や最新の時事法令の習得をサポートしてくれます。これから不動産業界へデビューする新人でも、基礎知識さえついていれば漠然とした不安を抱かずに済むでしょう。
また、フランチャイズ本部が収集した成功パターンや貴重なノウハウはすぐさま全加盟店へと水平展開されるため、グループ全体の知識量や結束力が高まる効果もあるのです。
グローバルブランドのノウハウも
日本における不動産フランチャイズは、2種類あります。日本の企業が国内で立ち上げているフランチャイズ・システムと、日本の企業が海外のフランチャイズ・ネットワーク会社から日本国内における独占的マスター・フランチャイズ権を獲得しているグローバル系ブランド不動産フランチャイズです。
フランチャイズに加入することで、日本のノウハウだけではなく、世界、特にマーケティング先進国アメリカのノウハウまで手にいれることが可能です。
業務の効率化が図れる
フランチャイズが独自に構築している「業務支援システム」は、物件広告管理・顧客管理・入出金管理など不動産業務のほとんどをワンストップで行える、簡単操作で効率的な運営サポートツールです。またクラウド型サービスのため、加盟店側でバージョンアップ作業をする必要はありません。
研修システムを使えば、時間を問わず疑問が湧いたその場でチェックして確実に知識として身につけられ、時短ツールとしても優秀です。スマホとの連携もスムーズで、出先から多くの業務をこなせるというのも大きな強みでしょう。
初期投資を抑えられる
フランチャイズ本部は開業に必要なものをパッケージにしているため、効率的な開業準備ができます。例えば、不動産会社に必要なコピー複合機・輪転機・ビジネスフォン・LAN構築など、OA機器ごとに数社に問い合わせて比較検討するのは大変ですが、フランチャイズ本部なら、店舗の規模に応じた適切な機器類のパッケージをスケールメリットを活かした格安のリース料で用意してくれるため、面倒な作業が大幅に減らせます。
不動産フランチャイズは粗利が高いメリットがある
不動産フランチャイズを他のフランチャイズビジネスと比較した際のメリットについても認識しておきましょう。
不動産仲介業は手数料ビジネスとなるため、粗利が高いことが最大のメリットとなります。不動産を所有していなくても仲介するだけなので、商品の仕入れや在庫を抱えることはありません。
人件費や店舗の家賃などはかかりますが、原価がなく粗利率がほぼ100%なビジネスであるといえます。
開業地域の選定からサポートを受けられる
不動産業を開業する際に最も大切なのは「商圏と出店地の選定」でしょう。不動産業は取引した物件価格に応じて収入が決まる「成約報酬ビジネス」であるため、住宅需要が安定的に高くて賃貸・売買の価格が高いエリアで活動するのがとても大切です。
フランチャイズ本部は「いつ/どのエリアで/いくらの成約が何件あったのか」という情報をたくさん持っていて、価格やエリアの中長期的な動向も詳細に把握しています。最終的には、自分が信じたエリアに店を構えればよいのですが、選定段階では本部の膨大で正確なデータと選定サポートを活用しない手はないでしょう。
個人では難しい多額の費用を投じた集客施策を代行してもらえる
フランチャイズ大手の広告をテレビ・ラジオ・ネット・雑誌などで見聞きしない日はないでしょう。フランチャイズ本部は膨大な資金力でブランドイメージとネームバリューを拡散し続けています。そして、消費者の最大の情報チャネルであるネットでは、SEO/MEO/SNS対策を講じ、より高い順位で人の目に触れるような対策をしてくれています。
莫大な資金で広告枠を買い、高度なネット対策で人目に触れさせるなど、フランチャイズ本部が行っている広告戦略を個人で真似るのはほぼ不可能でしょう。ロイヤリティは広告活動の代行費用でもあるため、広告はプロに任せて本業に専念するほうが、効率的で賢明な選択になる場合もあるのです。
フランチャイズ加盟が小規模事業者の課題を解決する
それに加えて、下記のようなメリットも考えられます。
小規模な不動産業では、なかなかかなわないメリットが多く存在しているのです。
不動産フランチャイズのデメリット
不動産フランチャイズに加盟するデメリットとして、店舗経営について自由度が制限されることなどがあげられますが、一番気になるのはやはり費用の面でしょう。
不動産フランチャイズの加盟店になるには、加盟金や保証金など、さまざまな初期費用と継続的なロイヤリティの支払いなどが必要となります。
これまでのように、イチ不動産事業者としてやっていけば発生しないようにみえる、さまざまな費用をフランチャイズ本部に支払う価値が本当にあるかどうかは、不動産フランチャイズ加盟を迷っている方に共通する悩みでしょう。
契約時にはまとまった初期費用が必要
不動産フランチャイズにかかる主な初期費用は、加盟金と保証金です。加盟金は、ブランド利用権の取得や研修等のための費用です。保証金は万が一の債務不履行のためにフランチャイズ本部に預けるお金です。
加盟金と保証金の金額は会社によりますが、数十万円?数百万円の範囲です。また複数の事業所で加盟店として加入する場合、2店目以降は金額が安くなることもあります。
毎月のロイヤリティと広告費も発生する
不動産フランチャイズとして運営するために継続的に必要となる主な費用は、毎月のロイヤリティと広告費負担です。フランチャイズ本部は特に2月?3月の引っ越しシーズンを前に多額の広告宣伝費をかけます。
ロイヤリティには、売り上げに対して◯%という算出方法をとり、毎月の支払額が変動する歩合制と毎月一定の金額を定めている定額制があります。
中途解約時には違約金が発生することもある
フランチャイズ契約書で定められた契約期間の途中で契約を解約したい場合には、違約金が発生する可能性があります。フランチャイズ本部側も加盟店の開業のために研修や準備など時間と労力をかけているため、加盟店が一方的に「加盟店であることを辞めたい」と希望しても円満解約にはならない可能性が高いです。
また開業に支払った加盟金についても、返金されることはありません。一方、保証金は債務がなければ返金されます。
フランチャイズ契約時には、加盟店が支払う費用がどのような条件で発生するのかということや、中途解約時なども想定して契約書を読み込むことがおすすめです。
開業場所を自由に決められない
不動産のフランチャイズによっては、開業するエリアや具体的な場所を加盟店が自由に決められないことがあります。同じフランチャイズの加盟店同士で隣接して競合してしまうのを避けるなど、フランチャイズ本部として出店戦略があるためです。
不動産フランチャイズへの加盟に向いている人の特徴
不動産フランチャイズの加盟に向いている人は、フランチャイズの信用や信頼をさらに育てられる人です。以下の具体例を見ていきましょう。
不動産業の経験がなくても意欲的に勉強できたり、自分の強みを活かせる人
「業界未経験でも開業はできる」とするフランチャイズ本部もあるものの、宅地建物取引士資格や不動産知識に基づいた重要事項説明スキルが必要なことは確かです。そのため、研修やサポートを活用しながら、自分でも経験の差を埋める努力が続けられるかどうかが大切です。
人に好かれて信頼されてこそ成立する仕事でもあるため 「コミュニケーション力」や「営業経験」とフランチャイズの安心イメージとが噛み合えば、思わぬ相乗効果が生まれるかもしれません。
フランチャイズ本部を信頼しつつ、経営主体として工夫や研鑽を怠らない人
フランチャイズで開業すると安心しきって開業後に努力を怠り、売上低迷をフランチャイズ本部のせいにする方がいます。確かにネームバリューによる集客効果はありますが、フランチャイズのサポートはあくまで補助的なものです。不動産会社は優良な不動産情報が提供できなければ顧客から信頼されません。自身で毎日の情報収集をコツコツと続けて、ネット反響が減れば掲載する物件を入れ替えるなど、経営目線での検証と改善ができなければフランチャイズに加盟しても結果は出にくいでしょう。
資金計画を含めた中長期的な展望を描けている人
不動産業は、入学や入社など季節や人の動きによって売り上げが大きく変動します。また、近隣地域の再開発や人気店の出店などでもエリアの人気や人口の流入量が変わるのです。そのため、低迷する時期を乗り越えるのに充分な体力や資金力を普段から想定して、中長期的な視点で地域に根ざしていくような展望が描けているかどうかが重要です。
功を焦った強引な取り引きによって悪評が立てば、フランチャイズの全加盟店に迷惑がかかります。フランチャイズ本部から借りている信用を自分で育てていける方が加盟に向いているといえるでしょう。
将来的に事業を拡大したい会社
フランチャイズのネームバリューは大きく、業務支援システムで業務が効率的に行えることは、フランチャイズ本部サポートを活用する魅力のひとつです。しかし「フランチャイズに加盟すれば自動的に売り上げが上がる」なんてことはありません。どのような状況でも自分を鼓舞してコツコツとトライ&エラーしながらも改善を繰り返す人でなければ、長く不動産業を続けるのは難しいでしょう。
フランチャイズの効率的な開業パックがあれば、堅実な事業ができる方なら短い期間での多店舗展開も夢ではないでしょう。
フランチャイズの不動産業経営は、こんな人が成功するー成功者の実例を紹介ー
成功者の共通点とは「社会貢献の意思」「フランチャイズ本部の理念への共感」「自己研鑽」の気持ちを持ち合わせていることです。実際に独立した先輩から不動産経営の成功ポイントを見ていきましょう。
成功者の実例1:教育会社の役員から、不動産業に打ち込んでみたいと一念発起
教育ビジネス業界に長年身を置いて大きな事業にも取り組んできた武正 芳和さんですが、会社員として組織のなかで思い通りにいかないことも数多く経験しました。これからの人生は、小規模でも自分の思い通りに動ける仕事をしたいと考え、退職を決意します。
長く携わってきた教育業界を主軸に考えながら、副業としてのビジネスを検討していたところ、最終的に不動産ビジネスにたどり着きます。売れない物件をどうにかして売ってあげたい、自分の中の使命感と共鳴する瞬間でした。今では、地域に密着して空き家問題にも取り組んでいます。「本部の手厚いサポートのおかげで心強くいられました」と語る武正さんは、教育と不動産で地域に貢献する事業をライフワークにしていくそうです。
成功者の実例2:パンデミックで飲食店をたたみ、以前から気になっていた不動産業界に未経験で挑戦
「新しい事業に挑もう」2020年の春に飲食店をたたんで譲渡していく中で、次に手がけるなら不動産業だと以前から考えていた田中 大輔さんは、その思いを実行に移します。しかし不動産業界はまったくの未経験、それでも再現性が高いビジネスだという本部の説明会へ半信半疑で聞きに行きました。
顧客第一の理念に共感し、すぐに加盟を決意。オーナーは無資格でもOKでしたが不動産ビジネスを理解したい思いから、3ヵ月で宅建の資格取得を目指します。氷水に足を浸けて眠気と戦いながら、猛勉強の末に見事合格。本部が用意している勉強会・ノウハウ動画・担当SVの丁寧なご指導にずっと助けられているとのこと。今では、健康ではつらつとした営業マンでいるために休日はウィンドサーフィンを楽しみ、健康維持に努めているそうです。
成功者の実例3:子どもと一緒の時間を増やしたい!夜勤の介護士から不動産営業パーソンへ転身
託児所付きの病院で介護士を長年続けていましたが、子どもが成長するにつれて一緒の時間が少ないという悩みが大きくなりました。不動産会社は受付のアルバイト経験はあるものの営業経験は皆無。それでも時間の融通が利く業務委託勤務に魅力を感じて独立しました。
同行してくれる先輩方や主婦でもあった支社長のサポートのおかげで充実した毎日を過ごし、当初の不安もいつしか忘れて仕事に没頭していました。成約したお客様からの紹介でネットワークが広がり、依頼が増えて世界も広がりました。子どものイベントには休日を調整し、気分転換においしいものの食べ歩きを満喫しているそうです。
不動産フランチャイズへの加盟を考えたときにチェックしたい「比較ポイント」
不動産フランチャイズ本部は以下の比較ポイントをチェックしましょう。
売買仲介か賃貸仲介か
不動産会社は賃貸も売買も取り扱えますが、顧客からすると専門で行っている不動産会社のほうが、スキルが高くてケアが行き届いてそうな気がします。売買をメインにするつもりなら、売買のイメージが強いフランチャイズを選んだほうが良い影響を受けられるでしょう。
加盟店数
フランチャイズの加盟店数は、顧客が不動産会社に抱く知名度や信頼度に直接影響するため、多いに越したことはありません。しかし、加盟店が多ければ自分が希望するエリアにすでに出店されている可能性は高くなるため、出店地の制限は大きくなるでしょう。
加盟条件
各フランチャイズの加盟条件を把握しておきましょう。例えば、契約年数と更新料の有無や金額、あるいは途中解約のペナルティの有無や金額などです。
この他にも、資格の有無、すべての店舗をフランチャイズに加盟させなければならないのか、店舗独自のキャンペーン実施の可否、ユニフォームの着用の有無、使用する文房具や小物などのルールも確認しておくべきでしょう。
また、フランチャイズごとに下記のような特徴があるため、これらの特徴も判断の基準にするとよいでしょう。
初期費用・ランニングコスト・収益モデル
各フランチャイズの費用負担は重要なチェック項目です。
毎月のランニングコストには、地代家賃・水道光熱費・人件費・福利厚生費・広告宣伝費・ロイヤリティ・レインズ(不動産流標準情報システム)利用料・ネット利用料・消耗品費などがあります。これらに生活費を加えた金額の約6ヵ月分を手元にストックしておけば、売り上げが低迷する時期も当面は大丈夫でしょう。季節やエリアの開発予定などによる変動を加味した「より具体的な売り上げ」を仮定してシミュレーションをしておくと安心です。
【費用のシミュレーション】不動産売買仲介業フランチャイズ事例
不動産賃貸だけでなく、不動産の売買を仲介するフランチャイズ本部もあります。
全国683店舗の加盟店実績がある、不動産売買仲介業A社を例にします。(2024年4月時点)
- 契約期間:3年間
- 契約時に支払う費用 400万円(税込)
【内訳】
- 加盟金:165万円
- 保証金:70万円(非課税)
- WEBシステム導入費用:165万円 ※店舗物件取得費や内外装工事費などは条件により異なる
- ロイヤリティ:月額固定11万円(税込)
- その他、広告分担金3.3万円~(税込)/ 月
- WEBシステム利用料7万8980円(税込)/ 月
このように加盟金や保証金、毎月のロイヤリティだけでなくフランチャイズ本部の保有するシステムの利用料や広告の分担金が発生します。
サポート体制
本部のサポート体制には下記のようなものがあります。
自分の判断だけでは自信が持てない場合や、別の角度から店舗の改善点を指摘して欲しい場合には、フランチャイズ本部から派遣される担当SVが心強い味方になってくれます。
信頼できるフランチャイズ本部かどうか【最重要】
不動産業を開業するなら、フランチャイズ本部とは開業から末永く持ちつ持たれつの良い関係を続けていくことになります。それだけに、フランチャイズ本部や担当者が加盟店としっかり向き合って話を聞いてくれるか、ビジネスパートナーとして信頼できるかが重要です。
もしも良い信頼関係が築けなければフランチャイズ本部の指示に素直に従えなかったり、こちらの意見を受け止めてもらえなかったりして、サポートが噛み合わず成果が出ないかもしれません。また、そのサポートを当たり前だと思わずに、フランチャイズ本部とは末永く良い関係を築いていきましょう。
不動産フランチャイズでよくある疑問
ここでは不動産のフランチャイズ加盟店を検討している方々の、よくある疑問について答えます。
宅建建物取引の資格を取得する必要があるか
不動産の売買では宅建建物取引(宅建)の資格が必要となります。しかし加盟店のオーナーが必ずしも取得している必要はありません。宅建を保持している人を従業員として雇用すれば店舗経営はできます。
しかし、宅建を取得することにより、不動産ビジネスを理解する上で重要な知識を身に着けていることが証明できるので、お客さまの信頼を得やすくなるでしょう。加盟店のオーナーとして、取得しているメリットは大きいといえます。
不動産業界未経験でも加盟店になれるか
フランチャイズ本部の加盟条件にもよりますが、不動産業界未経験であっても加盟店になれます。開業準備から店舗運営まで、不動産専門知識を持ったスーパーバイザーが担当となり、しっかりサポートしてくれるフランチャイズ本部もあります。
不動産業界未経験でも歓迎している不動産フランチャイズ本部の場合、ノウハウやマニュアルが充実している可能性も高いです。不動産業界の未経験者だからこそ持っている「顧客視点」を大切にし、顧客のニーズに対応しながら店舗運営に役立てて売り上げを伸ばしていくこともできるでしょう。
営業時間や休日を自由に決められるのか
こちらもフランチャイズ本部の加盟条件にもよりますが、多くの不動産フランチャイズでは自由に店舗や営業時間を設定できます。ルールではないものの、不動産会社は一般顧客が休日であることが多い土日にも営業をしていることが多いです。利用しやすい環境を整備することで顧客獲得を狙っているためといえるでしょう。
加盟店オーナーが必ずしも店長をする必要もなく、従業員を雇用すれば時間にとらわれずに比較的自由に不動産業を経営していくことができるでしょう。
フランチャイズで開業できる不動産仲介業7選
不動産のフランチャイズといっても、賃貸・売買・リース、アパート・マンション・戸建てなど、得意とする分野はさまざまです。また、都心部での事業に強いフランチャイズもあれば、地方・地域での事業を得意とするフランチャイズもあります。
不動産のフランチャイズに加盟するといっても事業内容が多岐にわたるため、それぞれの不動産会社の強みや特徴を把握しておくことは事業成功のためにも重要なポイントです。
ここからは、7社の不動産のフランチャイズを紹介します。気になるものがないか、ぜひチェックしてみてください。
アパマンショップ
今年で創立20数年と、不動産業界における創立からの年数は短いにも関わらず一躍知名度を上げ、今では聞いたことがない方は少ないであろう不動産のフランチャイズです。日本全国都市部から地域まで偏りなく1000以上の加盟店を展開しています。その加盟店舗数がゆえに物件の取扱数が豊富なのはもちろんのこと、地域の特色や物件の特徴など、ここの不動産業者に確認すれば詳細な情報まで教えてもらえると定評があります。
また、プロモーションを得意としており、芸能人を起用したCMやさまざまなキャンペーンなどを打ち出してくれるため、加盟店としても広告宣伝で困ることはないでしょう。
エイブル
賃貸仲介業をメインに展開する不動産のフランチャイズです。元々は大阪で建設会社を営んでいたこともあり、特に大阪とその周辺、そのほかにも人口が多く収益を上げやすい東京大都市圏に店舗が多いことが特徴です。
エイブルは異業種から参入する加盟者も多く、研修が豊富に用意されているので、未経験者でも安心して開業できるでしょう。また、エイブルとは別ブランドのCHINTAIも確立しています。
センチュリー21
強みは「世界最大級の不動産流通ネットワーク」です。アメリカで誕生して以来、現在では世界86の国と地域に進出し成長を続けている世界最大の不動産仲介ネットワークです。日本国内でも1.000店舗以上の加盟店を展開し、6,500人以上の営業スタッフが働いています。
さまざまな研修メニューが用意されているため未経験者はもちろん、不動産業界内で自身の知名度を獲得して経営安泰を目的としている方や、独立に向けた下準備期間として選んだ方など、すでに不動産業界を経験したことがある方からの人気も根強いようです。研修はオーナーに限らず、店舗で働く従業員に対してもしっかりと行ってもらえるのも特徴です。良い人材育成をしてくれるのも人気の理由といえるでしょう。
ピタットハウス
運営している親会社が建築・不動産・出版・レジャーなどを手掛けるスターツピタットハウスの不動産フランチャイズです。不動産市場での知名度はやや賃貸の印象が強い会社ですが、本来は賃貸も売買も取り扱う総合不動産業者です。
⻑年の営業現場で培った⼈材育成ノウハウを体系化した研修メニューと教育マニュアルが用意されています。ロールプレイを中心とした実践型の研修やオンラインなどのほかにも、各店のニーズにあわせて企画するオーダー研修もあるので、未経験でも心強いでしょう。
ハウスドゥ
東証プライム上場企業であるハウス・ドゥは売買仲介を専門とした不動産フランチャイズではあるものの、売買事業だけでなく賃貸、リフォームなど不動産業におけるさまざまな分野で事業を行っている総合不動産であることが特徴です。直営店を研究所と位置づけ、蓄積したノウハウを共有してくれます。
ハウス・リースバックという自宅を売却後もリース契約をして住み続けられる新しいサービスをヒットさせるなど、新規事業に積極的に取り組んでいるのも特徴です。
ホームメイトFC
運営している親会社では、個人の地主のアパートやマンションを建設する際、建設後の賃料保証も建設費とセットにする仕組みを提案しています。この賃貸物件の賃貸仲介が派生し、事業として拡大されたのがホームメイトFCです。
ホームメイトFCには4つの運営形態があります。「直営店」「フランチャイズ加盟店」「ホームメイト倶楽部(ネット会員)」「リースル会員」の4つです。すべての運営形態を合わせると9,000以上の店舗があります。
さらに、ホームメイトFCを運営する親会社が力のある建設会社ということもあり、個人の大地主とのつながりが深いということで、不動産売却の仲介には定評があります。
ミニミニ
賃貸を中心とした不動産フランチャイズです。賃貸中心の直営店を1985年に設立後、1993年にフランチャイズの展開を開始しました。現在では運営している本部が社宅代行の事業なども運営しています。フランチャイズに加盟すると本部が独自で持っている物件情報サイトや全国的に網羅されているネットワークの活用が可能です。
イメージカラーやイメージキャラクターが直営店と加盟店で使い分けられており、ロゴを見ただけでミニミニとわかるようなプロモーションもなされています。
まとめ
多くの有名不動産会社では、フランチャイズのビジネスモデルを活用して加盟店を募集しています。すでにある小規模事業をコンバージョン型フランチャイズによって、ブランドのある店舗名で開業することもでき、不動産業界未経験であっても参入できます。
顧客に高く認知されている不動産ブランドのフランチャイズに加盟することは、不動産会社にとって1つのビジネス拡大の選択肢です。しかし、加盟すると加盟金やシステム利用料、ロイヤリティなど開業時だけではなく毎月フランチャイズ本部に支払う費用は発生します。
将来的に考えているビジネス計画、特にこれからターゲットとしている顧客層を理解した上で、フランチャイズに加盟する投資対効果をよく計算してみましょう。それから不動産フランチャイズに加盟すべきかどうかの決断をしましょう。
独立開業・フランチャイズ・代理店ならアントレ<毎週金曜更新>
<文/北川美智子>