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経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第90回・食事券を並ばずに買う方法

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起業家、経営者にとって大事なのは、世の中を見抜く力です。1つの事象をどう捉えるかで、ものの見え方も、そこから得られる情報も大きく変わります。そうした「着眼点」、実はトレーニングによって鍛えることができるのです。累計20万部を超えるベストセラーとなった『戦略思考トレーニング』シリーズでおなじみの経営コンサルタント・鈴木貴博氏に解説してもらいましょう。

いきなりですが、クイズです!

外食需要を喚起する目的で始まった「Go To Eatキャンペーン」。その第2弾は「食事券」で、都道府県別に「Go To Eat プレミアム付き食事券」が発売されました。食事券はアナログ(紙)とデジタルの2種類あり、紙のものを購入する場合はお店や窓口での引き換えが必要となります。東京都の場合、JTBやJR東日本の「びゅうプラザ」、ホテルや観光協会の窓口などが引き換え場所になっているのですが、その中に1つ、ある小売りチェーンの店舗が名を連ねており、その意外性が話題となっています。
さて、ここからがクイズです。そのチェーン店が扱っている商品は一体何でしょうか?

クイズの答えの中に、着眼点を鍛えるポイントがある

「Go To Eatキャンペーン」の第2弾として発表されたのが、都道府県別の「食事券」です。コロナウイルスの感染状況を踏まえて、いくつかの都道府県では受付を一時停止しているところはありますが、これが結構な人気となっています。

都道府県別に、1万円で1万2500円分の「Go To Eatプレミアム付き食事券」を買うことができ、加盟店であればどこでも使うことができます。コロナウイルスの影響で苦戦が続く外食産業を盛り上げる起爆剤として、大いに期待が集まるのも無理はありません。

コロナ禍にもかかわらず大行列ができた

購入できる食事券は紙とデジタルがあり、紙の食事券は指定された窓口に足を運んで購入しなくてはいけません。

実はキャンペーン開始直後に、その発券手続きで大きなトラブルがありました。京都府でのことだったのですが、引き換え場所の1つだったファミリーマートに人が殺到したのです。発券で大量の紙を使うことから端末のロール紙が足りなくなり、挙げ句、端末自体が機能停止になってしまうという大騒動が起こりました。

そういうわけで、東京都ではコンビニ各社はどこも手を挙げず、結果、JTBの窓口やJR東日本の「びゅうプラザ」、ホテルや観光協会の窓口など、どちらかというと受け取りにくいところばかりになってしまったのです。

それでも、それぞれの窓口には行列ができ、引き換えるのに時間がかかったといいます。

ところが、首都圏に住んでいる人なら割と身近にある小売りチェーン店が引き換え場所として手を挙げていました。実際に私はそのお店で食事券を手に入れたのですが、連日あちこちで大行列ができたというニュースが続く中、私の前には一人しか並んでおらず、あっという間に購入できたのです。

今回のクイズは、このお店が何を売っているお店なのかを考えてもらいます。

それでは解説します!

といっても、急にはわからないですよね。

ヒントは、この食事券を使う人と相性がいいのはどういう人かを考えてみることです。

もちろん外食が多い人であることが大前提です。その上で、1万円あたり2500円もお得なわけですから、基本的には「使うお金の単価が高い人」の方が、このキャンペーンとの親和性が高いと考えられます。

単価が上がりやすいということは、あるものをよく注文するということです。ちなみに私は該当しませんが、それを好む人が周りには多く、そういう人たちと食事に行って「割り勘」になると、ちょっと損した気分になるなあといつも思っています。

そう、答えは「お酒」です。

「カクヤス」という、東京・神奈川・埼玉・大阪の一部地域で展開する酒類小売りチェーンの各店舗が引き換え場所として名乗りを上げています。キャンペーンの概要にはちゃんと記載されていますが、同社が取り扱っていることがあまり知られていないようで、それほど混雑しておらず、穴場のようになっています。

私が感心したのは、組み合わせに意外性があったからではありません。同社が取り扱うお酒というものが、食事券を求める人とすごく親和性が高いことに気付き、社長が手を挙げたということです。

つまり、それまであまり「カクヤス」を利用していなかった人でも、引き換えをきっかけに「このお店はお酒を配達してくれるのか。便利だな」などと興味を持ったりして、リピートにつながる可能性が非常に高いわけです。

全然違うイベントなのに、「実は顧客が一緒」だと気付いた社長はすごいですし、そこにビジネスチャンスを開拓できるポイントがあると思いました。

顧客が一緒だからできるコラボがある

昔からよく、日本マクドナルド株式会社と日本コカコーラ株式会社は「顧客が一緒」だといわれていて、ゆえによく一緒に色々なキャンペーンを実施しています。

今回の「Go To Eatキャンペーン」における「カクヤス」は、この動きと実は全く一緒の理屈です。

同じ顧客を相手にしていると、思わぬコラボが実現できることがあるというわけですね。ぜひ皆さんも「顧客が一緒」という視点で、自分の商売と相性が良さそうなコラボ先を探してみてはどうでしょうか。

最後に、もうお分かりだと思いますが、冒頭のクイズの答えは「お酒」でした。12月9日現在、食事券の受付は12月17日(木)まで一時停止と発表されていますが、さらに伸びる可能性もありそうです。再開された際は、行列が苦手な人は「カクヤス」を利用するといいかもしれませんね。

参考:「Go To Eatキャンペーン事業」について(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gaisyoku/hoseigoto.html

構成:志村 江

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PROFILE
鈴木貴博

東京大学工学部卒業後、ボストン・コンサルティング・グループに入社し、数々の大企業の戦略立案プロジェクトに従事。1999年にはネットイヤーグループの創業に取締役として参加。2003年に独立し、百年コンサルティングを創業する。大手企業の経営コンサルティング経験を元に2013年に出版した『戦略思考トレーニングシリーズ』(日本経済新聞出版社)が累計20万部を超えるベストセラーに。現在はビジネスをエンタメクイズ化する経済エンタテナーとしても活動中。『パネルクイズ アタック25』(優勝)、『カルトQ』などのクイズ番組出演経験も豊富。近著に『戦略思考トレーニング 最強経済クイズ[精選版]』(日本経済新聞出版社)、『日本経済 予言の書 2020年代、不安な未来の読み解き方』『「AI失業」前夜―これから5年、職場で起きること』(ともにPHPビジネス新書)など。

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