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役員報酬とは?役員報酬の決め方や種類をわかりやすく解説!

役員報酬とは?役員報酬の決め方や種類をわかりやすく解説! 独立ノウハウ・お役立ち

あなたは、役員に支払う役員報酬と、従業員に支払う給与との違いを知っていますか?

もし、会社を設立したいと考えているなら、役員報酬について理解を深める必要があります。

本記事では、役員報酬と従業員に支払う給与の違いや、損金(経費)として計上される役員報酬の種類などをわかりやすく解説していきます。

役員報酬を決める際のルールを理解していないと、税務署から二重で法人税を取られてしまう可能性も。

最後には、資本金別の役員報酬額の相場を紹介しているので、役員報酬を決める際の参考にしてください。

役員報酬と給与の違いとは

会社が報酬として支払うお金には、「役員報酬」と「従業員給与」の2種類があります。
役員に支払われるのが役員報酬、従業員に支払われるのが従業員給与です。

会社からすれば、どちらも仕事への対価として支払う報酬という点では同じです。

しかし役員報酬に関しては、会社法や法人税法で厳しいルールが定められています。会社が、利己的に役員報酬を運用するのを防ぐためです。

役員報酬の決め方

役員報酬は、会社法に則って決定されます。
役員報酬を決める際に必要な手続きは、以下の2つです。

【役員報酬の決定に必要な2つの手続き】
1.定款に記載する
2.株主総会での決議を行う

上記2つの手順を踏むことで、役員報酬は決定されます。株主総会で決議する事項は、次の3つです。

一 報酬等のうち額が確定しているものについては、その額

二 報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法

三 報酬等のうち金銭でないものについては、その具体的な内容

また、株主総会の決議の際には、議事録を作成しておく必要があります。(合同会社の場合は同意書が必要)

役員報酬の細かな決め方について知りたい方は、下記の記事もお読みください。役員報酬を決めるための手続きや、損をしないための金額の決め方について、詳しくわかります。

役員報酬は税務署でどのように扱われるのか

役員報酬と従業員給与は、どちらも会社にとっては経費(人件費)です。
会社が上げた収益の中から経費を引いたものが利益となり、経費が多いほど会社の利益は少なくなるので、支払う税金も減ります。

ただし、役員報酬の決め方によっては、税務署が役員報酬を損金として計算することを認めない場合があります。
社長の独断で、役員報酬を多めに決定することにより、勝手に税金を減らそうとする会社が後を絶たないからです。
税金をごまかす会社に対して、税務署は、容赦なく課税をします。

上記のような事態を避けて、少しでも節税をするためには、税法に定められている役員報酬のさまざまなルールを守らなくてはいけません。
そのため、まずは税法で定められた役員報酬の種類と、一つひとつの特徴を確認していきましょう。

役員報酬における3つの種類【損金(経費)として計上されるケース】

損金(経費)として認められる役員報酬は、全部で3種類あります。

【損金として認められる3つの役員報酬】
1.定期同額給与
2.事前確定届出給与
3.業績連動給与

上記を1つずつ解説していきます。

役員報酬の種類1:定期同額給与

1つ目の役員報酬は、「定期同額給与」です。

役員報酬は、原則「定期同額給与」で支払うものとされています。
定期同額給与では、事業年度開始から3ヵ月以内に、役員報酬の金額を決定しなければなりません。

株式会社なら、年度中は毎月同じ額の給与を、定期同額給与として支払うことになります。
上記のように、毎月一定額を支払い続けることで、役員報酬を損金に計上することができるのです。

役員報酬の種類2:事前確定届出給与

2つ目の役員報酬は、「事前確定届出給与」です。定期的に支払う役員報酬とは別に、所定の時期に支払う役員報酬がある場合、「事前確定届出給与」を利用します。

役員には、従業員に対して支払われるようなボーナス(賞与)はありません。
しかし、「事前確定届出給与」なら役員にも賞与にあたる報酬を支払いながら、支払った報酬を損金に計上できます。

事前確定届出給与を支払うには、事前に支払いの時期と金額を税務署に申告することが必要です。
届け出た金額を事前確定届出給与として支払うことで、役員のボーナスにあたる報酬を、損金として計上できます。

役員報酬の種類3:業績連動給与

3つ目は、「業績連動給与」です。

同族会社(株式を経営者や親族が持っている会社)ではない会社が、事業年度の利益を基に、役員報酬の支給額を決めるタイプの役員報酬です。

なお、日本にある中小企業のうち9割以上が同族会社です。
そのため、業績連動給与を利用できる中小企業は、ほんの一部しかありません。

出典:『経済産業省 我が国の中小企業の実態 平成22年度 P15』より

https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/kaikei/download/100215hs4.pdf

役員報酬を決めるときの3つのポイント

次からは、役員報酬を決めるポイントを、3つ解説していきます。

【役員報酬を決めるときの3つのポイント】
1.税金と社会保険料のバランスを考える
2.同業種や同規模の他社と比較して高額過ぎないようにする
3.事業年度のはじまりから3ヵ月目以降に役員報酬を変更しない

ポイントを1つずつ見ていきましょう。

役員報酬を決めるポイント1:税金と社会保険料のバランスを考える

役員報酬を決める1つ目のポイントは、税金や社会保険料と、役員報酬とのバランスを考えることです。

役員報酬を増やすと会社の利益が減るので、法人税や法人が支払う社会保険料などは安くなります。
一方で、役員個人が負担する所得税や社会保険料は、所得(=役員報酬)が増えた分高くなります。

法人利益や個人の所得にもよりますが、役員報酬を600万円程度に設定しておくと、法人と個人の支出額のバランスが良くなる場合が多いです。

法人利益が1,000万円の場合、法人の支出額は、役員報酬の合計が800万円のときに最も少なくなります。
個人の支出額は役員報酬の合計が400万円のときに最も少なくなるので、両者の合計の間をとった600万円程度が適当な額といえるでしょう。

役員報酬を決めるポイント2:同業種や同規模の他社より、役員報酬が高額過ぎないようにする

役員報酬を決める2つ目のポイントは、同業種や同規模の他社と比べて、役員報酬が高額になり過ぎないようにすることです。

役員報酬が他社と比較して高額過ぎると、役員報酬の損金への計上を税務署が否認する可能性があるからです。
損金への計上が認められないと、認められなかった分には法人税がかかります。

また、支払われた役員報酬にも所得税がかかるため、会社と役員のどちらにとっても支払う税金が増えてしまう可能性があります。

役員報酬を決めるポイント3:事業年度開始から3ヵ月目以降に役員報酬を変更しない

役員報酬を決める3つ目のポイントは、事業年度開始から3ヵ月目以降に、役員報酬を変更しないということです。

もし、事業年度開始から3ヵ月目以降に役員報酬を変更すると、変更した分の損金への計上が認められなくなるからです。
やむをえない事情がある場合を除き、役員報酬を事業年度開始から3ヵ月目以降に変更するのはやめておきましょう。

役員報酬の変更の制限には、役員報酬の増減による利益操作を防ぐ、という意図があります。

役員報酬の平均相場とは【役員報酬を決める参考にしよう】

最後に、役員報酬の平均相場を紹介します。
民間企業(株式会社)役員の、資本金別の役員報酬の平均は、以下の通りです。

【平成30年度 資本金別役員報酬の平均額(男女合計)】
・2,000万円未満:約605万円
・2,000万円以上:約851万円
・5,000万円以上:約1,094万円
・1億円以上:約1,392万円
・10億円以上:約1,561万円

国税庁『民間給与実態統計調査結果 P88~P92

https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2018/pdf/000.pdf

実際、支給額をどのくらいにするかは、各会社の裁量に委ねられています。
しかし、全国の役員報酬の相場を知ることは、起業を考えているあなたにとって参考になるはずです。

役員報酬に関するルールを把握してから、会社を設立しよう

本記事では、役員報酬の概要と、損金として認められる3種類の役員報酬を紹介しました。

役員報酬の決定・支払いには、細かいルールがあります。
税金を二重に徴収されるような事態を避けるためにも、役員報酬のルールはしっかり確認すべきです。

役員報酬の金額を決める際は、税金や社会保険料とのバランスを考え、同業他社と比べて高すぎる金額にならないよう気をつけましょう。資本金別の役員報酬の平均相場を参考に、金額を考えてみてください。

もし、役員報酬の決定方法や支払いに自信がないのなら、会計士や税理士をはじめとするお金のプロに相談しましょう。

役員報酬のことを税理士に相談した方は、下記の記事もお読みください。税理士選びで失敗しないための方法を、現役税理士がお伝えします。

“信頼できる人”からの紹介でも要注意? 税理士が教える「税理士の選び方」

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<文/三國鈴香>

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