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事業承継をおこなう際に利用できる事業承継補助金とは

事業承継をおこなう際に利用できる事業承継補助金とは

中小企業の事業承継問題が深刻化しています。

帝国データバンクの調査によると、60歳以上の経営者のうち、50%近くは後継者がいません。

後継者が見つからないまま、経営者の健康上の理由などにより事業を継続することができなくなり、廃業となれば、社員だけでなく取引先の事業にも大きな影響を与えてしまいます。

政府は、中小企業の世代交代を推進するための施策を打ち出していますが、事業承継補助金はその一つです。

事業承継補助金とは

中小企業庁の補助金の一つで、中小企業の世代交代を促し、国の経済活性化を図ることを目的に、事業承継後、新しい取り組み(経営革新)に挑戦することを条件に事業承継にかかる経費の一部を補助する制度です。

国内で事業をおこなう中小企業者、小規模事業者、個人事業主と特定非営利活動法人(NPO法人)が対象です。

さらに、地域に貢献している中小企業者であることに加えて、承継者には、“経営経験や事業の知識があること”と“創業・承継に関する研修等受講”という条件もついています。

地域貢献とは下記のような取り組みを指します。

・地域の住民を雇用している
・地域もしくは周辺地域からの仕入が多い
・地域の強みを生かした事業を展開している
・地域経済に貢献するプロジェクトの中心的な役割を担っている

<補助対象経費>

経営革新をおこなうための経費のうち、下記の費用が対象となります。

人件費/設備費/原材料費/外注費/委託費/広報費/知的財産権等関連経費/謝金/旅費/店舗等借入費/会場借料費/マーケティング調査費/申請書類作成費用

さらに、事業所の廃止、既存事業の廃業・集約を伴う場合は、下記の費用も対象となり、補助額が上乗せとなります。

廃業登記費/在庫処分費/解体費・処分費/原状回復費

参考:中小企業庁「事業承継補助金」

<補助対象の事業承継>

代表者の交代とその後、経営革新をおこなうことの両方を満たすことが必要です。

1.代表者の交代

A.法人の代表者の退任と、後継者である代表者への就任による事業承継
B.個人事業主の廃業と後継者の開業による事業譲渡
C.法人から個人、個人から法人への事業譲渡

2.経営革新

経営の向上を目指して何か新しい取り組みをおこなうことを総称して「経営革新」と呼んでいます。

まったくの新規事業でなくても、今までの事業の延長線上で新商品や新サービスの開発や提供でも構いません。

また、同じ商品やサービスでもその提供方法を変えることは経営革新です。

事業を引き継いだ後、企業の新たな価値を作り出すため、新事業や新サービスの開発や製造を始めるには資金が必要ですが、必要な資金を補助金として受け取ることができます。

事業承継補助金Ⅰ型とⅡ型の違い

事業承継補助金は、I型とⅡ型の2つのタイプに分かれます。

I型は、経営者が交代して後継者に事業を引き継いだ後、新しい取り組みをする「経営者交代タイプ」です。

※1)小規模事業者:従業員20人以下(卸売業・小売業・サービス業は5人以下)の事業者
※2)上乗せ額:事業転換に挑戦する場合、経営革新に伴う補助額最大200万円に加えて、廃業費用として最大300万円上乗せ

参考情報:中小企業庁『~平成29年度補正事業承継補助金~ 後継者承継支援型「経営者交代タイプ」(Ⅰ型)』

Ⅱ型は、複数の企業の合併や事業再編・統合などの事業承継・M&Aをおこなった後に新しい取り組みをおこなう「M&A型」です。

※1)小規模事業者:従業員20人以下(卸売業・小売業・サービス業は5人以下)の事業者
※2)上乗せ額:事業承継に伴い、事業所の廃止や既存事業の廃止・集約を伴う場合、廃業費用として最大600万円上乗せ

参考:中小企業庁『~平成29年度補正事業承継補助金~ 事業再編・事業統合支援型「M&Aタイプ」(Ⅱ型)』

事業承継助成金の手続きの流れ

補助金は、応募期間が短く、補助事業期間も限られているため、計画的に手続きすることが重要です。

7月募集の場合を例に示します。

1.相談
応募条件を確認した上で、認定支援機関に相談します。

事業承継補助金を受けるには、認定支援機関の確認を取らなければなりません。

認定支援機関は、取引先金融機関や商工会議所で紹介してもらえます。

2.応募
募集要項に従い、必要な書類を用意して、期限内に“申請書”を提出します。

申請方法は郵送と電子申請が可能です。

3.交付申請
採択の連絡後、あらためて交付申請書を作成し提出します。

採択されただけでは補助金を受けることはできないので、注意が必要です。

4.補助事業実施
交付決定通知書を受け取ってから事業を開始し、補助事業期間内に終了します。

5.報告書提出
補助事業終了後、指定の期間内に報告書を提出します。

6.補助金交付手続き
報告書の審査後、補助金交付手続きをすると、指定口座に補助金が振り込まれます。事業開始後、補助金が振り込まれるまで、半年から1年以上かかる場合もあります。

補助事業をおこなうための資金が不足する場合は、金融機関へつなぎ融資を依頼します。

まとめ

中小企業庁の平成30年度第2次補正予算案額は25億円の予定です。補助金の申請には細かい条件が多く手続きは大変ですが、事業承継補助金は経営者の交代を前提としているため、応募数が少なく、採択率は比較的高い補助金です。

また、中小企業庁の事業承継補助金のほかにも、各都道府県で事業承継補助金・助成金を出しています。

事業承継に合わせて新規事業を検討している場合は、ぜひ活用することをおすすめします。

PROFILE

経営コンサルタント 奥野美代子

外資系の高級消費財ブランドで、日本進出の子会社立ち上げから26年間、マーケティングマネジャーとして、ブランドPR、販売促進、店舗開発、リテール支援を行うなど幅広い経験を持ちます。
独立後は、中小企業診断士とFPのノウハウを生かし、経営者の法人と個人の財務コンサルティングやリスクマネジメント、事業計画策定、マーケティング支援など幅広い支援を行っています。

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