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好きな釣りをして稼ぎたい

好きな釣りをして稼ぎたい

西本匡さんは、青森にあるキューピーの工場でマヨネーズなどを作る仕事をしていました。東日本大震災を経験したことで、このままで良いのだろうかと思い悩むようになり、「あのとき、やっておけば良かった」と後悔したくないという思いから、起業を考え始めます。
ですが、なかなか何をやれば良いのかが見つかりませんでした。何年も考え続けた結果、辿り着いたのが、好きな「釣り」を価値に変えることでした。

ビジネスプランコンテストの受賞などをきっかけに、青森で唯一のフィッシングガイドとして会社員時代より幸せな働き方を手に入れた西本さんは、数年間で「釣り」で稼げるガイドとして活躍しています。好きな「釣り」をどうやって仕事に変えたのか、お伺いしました。

<プロフィール>
青森フィッシングガイド 西本匡幼少のころより全国各地で釣りを楽しみ、2005年2月に東京より三戸郡階上町へ移住。
東日本大震災を機に、自然豊かな青森県の資源を活かしたビジネスを模索したところ、好きな釣りに辿り着いた。サラリーマン時代に、2つのビジネスプランコンテストを受賞し、それをきっかけに独立。青森フィッシングガイドを設立した。
2014年1月「第二回青森観光ビジネスプランコンテスト」最優秀賞受賞
2015年2月「青森発ベンチャー大賞」優秀賞受賞
2015年6月「青森フィッシングガイド」設立
http://aomori-fishing-guide.com/

週末起業で、渓流釣りガイド

ー西本匡さんが独立したきっかけを教えてください

西本さん
2011年の東日本大震災がきっかけです。青森県のキューピーの工場で働いていたのですが、震災後、工場の稼働が止まりました。工場は無事だったのですが、青森という本州の一番北端という場所のため、作ったモノの流通ができない状況になったからです。
そのときから、会社にしがみついているだけではなく、自分の力でお金を稼ぐことができないのかなぁと思い始めました。
震災に直面したことで、いつ死ぬか分からないという危機意識や問題意識が生まれ、「あのとき、やっておけばよかったのになぁ」と、思わないようにしたいと考えるようになりました。後悔の無い人生を送りたいと。でも正直なところ、何をやったら良いのかは分かりませんでした。問題意識だけが芽生えた感じです。

ーフィッシングガイドというビジネスプランを思いついたのは、いつですか?

西本さん
「釣り」は昔から好きだったのですが、最初からこのプランを思いついたわけではありません。趣味でしたから、仕事と結びつける考えが及びませんでした。
とにかく何かを始めなければという気持ちで、八戸学院大学の起業家育成講座にも参加しました。最初はネットビジネスが良いかなとか、何も分からずにいろいろと試していたのです。サラリーマンでしたから、生活は安定していましたし。その他にもブログを書いたり、アフィリエイトなどの収入を得たりすることも試したのですが、何か違うなぁと・・・。
それで改めて、自分の好きなことは? 続けたいことは? と考え続けた結果、「釣り」だということに気がつきました。そして、星野リゾートが主催している「青森観光ビジネスプランコンテスト」にそのアイデアを出したら、なんと優秀賞を受賞したのです。当時は、まだサラリーマンでした。

<西本さんのビジネスプランコンテストの資料の一部>

<西本さんのビジネスプランコンテストの資料の一部>

星野リゾートのビジネスプランコンテストで入賞

ー星野リゾートのコンテストで入賞って凄いですね。それで起業したのですか?

西本さん
いえ、サラリーマンをしながら、週末の土日だけ星野リゾートのお客さま向けに、渓流釣りのガイドをすることになりました。いわゆる、週末起業になるのかなぁ。2014年ですから、震災のあと「釣り」という答えに辿り着くまでには時間がかかりましたね。

ー実際に週末起業でやってみて、お客さまの反応はどんな感じでしたか?

西本さん
星野リゾートの奥入瀬渓流ホテルには、ホテルのすぐそばにとても美しい渓流があります。ですが、今までお客さまは散策するだけでした。渓流釣りはコツや道具がいるからです。青森の豊かな自然で育ったイワナやヤマメがすぐ近くで泳いでいたのですが、その資源を活かしていなかったわけです。ですから、ほとんどのお客さまは、初めての渓流釣りを喜び楽しんでくださいました。また、青森という資産を活かしているということで、このビジネスモデルで「あおもり発ベンチャー大賞」を2015年2月に頂くことにもなりました。その賞金が50万円だったのですが、これが創業資金なのかなと感じて、その年の5月に会社を辞め、青森フィッシングガイドとして独立することにました。

青森フィッシングガイドとして独立

ー独立後は、順調ですか?

西本さん
はい。青森フィッシングガイドとして起業後の6月は、ちょうどすぐに渓流釣りのシーズンが始まりました。皆さん楽しんで頂いて、喜んで帰って行かれるので、毎日朝早くから釣りに出かけるのは楽しかったです。
体は疲れるけれど、「釣り」の楽しさを分かって頂けるから、まさに天職です。渓流釣りはコツも要りますが、近くで適切に教えてあげると、素人の皆さんでも大物のヤマメやイワナを釣って行かれます。食べたい人は持ちかえることもできますが、食べない人は放流するのですが、手で掴むと魚が弱ってしまいます。そこで、アクリル板で作った小さな水槽に入れて、釣果を写真に撮れるようにと工夫しました。皆さん、喜んで写真を撮られています。

ーシーズンのとき以外はどうするんですか?

西本さん
はい。そこが問題なのです。
当初から渓流釣りのシーズン以外は、どうしようかと思案はしていました。
1つの解決策が、剥製作りでした。起業してからずっとオフシーズンには、剥製作りを学んでいました。今では、販売できるレベルの剥製が作れるようにもなりました。夜釣りで釣ったギスカジカは、形がキモカワイイので、剥製にしたら売れるかなと思って釣ったものを剥製にしてネットで販売しています。2カ月から6カ月かかるのですが、魚種にも寄りますが、数万円で売れるのです。これで魚もお客さまもいないオフシーズンでも仕事が生まれました。ただし、これだけでは4月〜9月の渓流釣り以外のシーズンの仕事は埋まりません。これを解決したく、調査のためにいろんなところに釣りに出かけました。

ー「釣り」に出かけるのが調査ですか?

西本さん
今まで、「釣り」は趣味でした。ですが、今はどんな「釣り」をしても、自分の仕事に活かせるようになりました。それが楽しくてなりません。岩手に氷上のワカサギ釣りに行ったとき、それほど釣れないのにも関わらずたくさんの人が来ていたことに気がつきました。氷上のワカサギ釣りは需要があると…。ワカサギ釣りは詳しくなかったのですが、それから勉強です。そして、地元青森の東北町にある小川原湖が冬に氷が張り、ワカサギがいることが分かりました。ですがこちらは、冬期に釣り用に開放されていませんでした。氷の上を歩くわけですから、安全性を確認し落水しない対策が必要ですし、ゴミやトイレの問題もあります。これらを解決できる環境を青森フィッシングガイドとして対応し、小川原湖のある東北町と駐車場のある三沢市と正式に契約をして、氷の張る冬期の2月だけ営業できるようにしました。

ーワカサギ釣りはやってみたいと思いますが、素人でも釣れるのですか?

西本さん
はい。小川原湖は天然の良港な漁場でした。100匹〜300匹くらい釣れるんです。道具やテントなど一式を全て青森フィッシングガイドで用意しているので、手ぶらで来て楽しんで帰れます。テントの中でワイワイ天ぷらにしたワカサギを食べて、お客さまは楽しそうです。冬場はこのワカサギが青森フィッシングガイドのメニューになりました。さらに秋には、産卵時期のヒメマス釣りもメニューに加えました。
こうして、4月〜9月の渓流釣り、10月のヒメマス、2月のワカサギ釣りと1年を通しての釣りガイドができるようになりました。

ーホームページで拝見したのですが、東北町と三沢市に寄付をされていますよね?

西本さん
小川原湖でのワカサギ釣りでは、漁業権などを支払っており、駐車場代も三沢市にお支払いはもちろんしているのですが、青森の豊かな自然を使わせて頂いているわけですから、利益の一部を寄付として、東北町と三沢市に納めることにしたのです。私なりの感謝の気持ちです。実際には、楽しんで「釣り」に来られている人のお金の一部を私が代わりにお納めしているわけなのです。利益が出ている限りは続けようと思っています。おかげで、楽しい釣りが提供できているわけですから。収入もおかげさまで、起業3年目で会社員時代より多くなりました。お金より何より好きなことが仕事になっているのが幸せなのです。

ー最後に、起業を考えている読者にひとこと、お願いします。

西本さん
震災を機に自身の生命を意識して起業を考えましたが、ここまで来るのには時間がかかりました。
自分のやりたいことがなかなか見つからなくても、諦めないで欲しいと思っています。きっといつか、好きなことで稼げるものが見つかるはずです。私の場合、現在は会社員時代とは違っていろんなことに目が向き、考えるのが楽しくなっています。単なる趣味だった「釣り」が、今は工夫して、お客さまに価値を提供する仕事に変わりました。失敗しても命を取られることはないと思います。
ぜひ、やりたいことを諦めずに考え続け、探し続けてみてください。好きなことを仕事にすることができるようになるはずです。

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