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開業届を提出して個人事業主に!開業届の基礎を解説

開業届を提出して個人事業主に!開業届の基礎を解説

苦労して準備をしてきたお店や事務所などを開業することは、大きな喜びです。時代とともに働き方も変化している現代では、会社員として働きながら副業をして収入を得ている方もいるでしょう。

開業して個人事業主になる時には、事業内容や開業場所を記載した「個人事業の開業・廃業等届出書」(以下、開業届)を所轄の税務署に提出しますが、実際、どのようなタイミングで開業届を出すのがベストなのか迷われる方もいるかもしれません。

開業届を提出する前に、提出期限や税金、事業税に関わる開業届との違いなど、開業届に関する基礎的な部分を確認しておきましょう。

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個人事業主とは

最初に個人事業主の定義を確認していきましょう。

結論から言うと、個人事業主に正確な定義はありません。一般的には、法人を設立せずに個人で事業を営んでいる方のことを個人事業主と呼んでいます。もう少し具体的に言うと、個人事業主とは「事業所得」を得ている個人を指す税法上の区分です。

ちなみに「個人」というのは「法人」の対となる言葉で、文字どおりの「1人の人」を指す言葉ではありません。

仕事が「事業」として認められるには、その仕事が「独立・継続・反復」して行われている必要があります。仕事をしてお金をもらったとしても、その仕事が単発である場合や事業に伴うリスク(補償)を事業者自身が引き受けていない場合は、事業所得とは認められません。逆に、「独立・継続・反復」して所得を得ている状態であれば、会社員の副業であっても事業に当たるため、開業届を提出することで個人事業主となります。

個人事業主との違いが分かりにくい「フリーランス」という言葉がありますが、フリーランスは特定の会社や団体に所属せず、自分のスキルを活かして仕事を請け負う「働き方」を指す言葉です。

個人事業主は開業届の提出が必須で、開業届を提出していない個人は「個人事業主」として認められません。

一方、フリーランスは、開業届の提出の有無に限らず、特定の企業や団体に属さず仕事を請け負っている場合、「フリーランス」であると言えます。

そのため「開業届を提出していない=フリーランス」という定義は誤りとなるのです。

開業届とは

新たに個人事業主として事業を開始した時、事業を行っている納税地を所轄する税務署長に開業届を提出します。

提出する開業届の様式は、最寄りの税務署でももらえますし、国税庁のWebサイトからもダウンロード可能です。提出する場合は、所轄の税務署に持参するか郵送でも受け付けてもらえます。所轄の税務署が分からない場合は、国税庁のサイトで調べることができます。また、開業届はオンライン提出も可能です。その場合は、国税庁が提供する「e-Tax」や、会計ソフトメーカーが提供するクラウドサービスの利用を検討するとよいでしょう。

開業届には、屋号や職業、事業の概要や所得の種類、開業日や従業員数、住所や氏名などを記入します。

屋号とは個人事業の名称であり、法人の場合は社名に当たるものです。

こちらもおススメ!
こちらの記事では、開業届の詳しい書き方を解説しています。

「開業届の書き方・出し方は?入手方法から提出期限まで徹底解説!」

開業届を記入したら、所轄の税務署へ提出してください。

開業届は、開業した証明となるものなので、開業届を提出することで個人事業主として金融機関に融資を申請したり、国や地方公共団体に補助金や助成金などの申請をしたりすることが可能になります。

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開業届を提出することによって得られるメリットをもっと詳しく知りたいという方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

「個人事業主は開業届を出さないと損?開業届を出すメリットやタイミングとは」

なお、個人事業主の確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。特に申請をしなければ自動的に白色申告になりますが、節税効果の高い青色申告をしたい方は事前申請が必要です。開業届を出すタイミングで青色申告の手続きも検討しておくとよいでしょう。

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青色申告や白色申告、個人事業主の確定申告について詳しく知りたい方は、こちらもあわせて読んでみてください。

「個人事業主の確定申告には何が必要?今さら聞けない確定申告の基礎を解説!」

また、開業届は新たに事業を開始した時以外にも、店舗を複数に増設した時や事業を廃止した時にも提出が必要になります。

「[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続」(国税庁)

「税務署の所在地などを知りたい方」(国税庁)

開業届の提出期限について

開業届は、事業の開始から「1カ月以内」に税務署へ提出することが義務付けられています。例えば4月1日に個人事業主となった方は4月末までが提出期限です。開業時は忙しいので、提出を忘れることもあるかもしれません。その場合は、気づいた時に速やかに提出するようにしましょう。

また、確定申告で青色申告を利用する時は、先述したとおり事前申請が必要です。開業届を提出する際に、「青色申告承認申請書」も合わせて提出しましょう。

「青色申告承認申請書」は、1月1日~15日までに事業を開始した場合はその年の3月15日までに、1月16日以降に事業を開始した場合は事業を開始した日から2カ月以内に提出しなければなりません。「青色申告承認申請書」の提出により、新たに事業を開始した年から青色申告をすることができます。

「開業届」も「青色申告承認申請書」のいずれも期限までの提出が必須です。忘れずに届け出るようにしましょう。

「[手続名]所得税の青色申告承認申請手続」(国税庁)

開業届の提出のタイミングが分からない時

開業届は、事業の開始から「1カ月以内」に税務署へ提出することが義務付けられていると先述しましたが、提出の遅れや提出しないことへの罰則はありません。

そうなってくると、開業したとは言っても無収入な場合、事業を開始したと言うのだろうか?無収入でも提出が必要なのだろうかと疑問に感じるかもしれません。

ここでは、“開業した”タイミングがいつになるのか見極めるポイントをお伝えします。

ポイント1.事業所得が生じているか

開業届は、より正確な表現をすると「事業所得」が生じてから1カ月以内に提出するものです。副業などで収入を得ている人は、事業所得ではなく「雑所得」として扱われる場合がほとんどです。個人事業主の定義同様、事業所得の明確な定義はありませんが、ある一定の収益が発生した場合、その収入が「雑所得」か「事業所得」かどうか確認するとよいでしょう。

ポイント2.失業給付を受け取るか

例えば、脱サラをして独立・開業しようとしている人が、脱サラ前の会社で雇用保険に加入していた場合、会社を辞めた後に「失業給付」を受給できます。

しかし、退職してすぐに開業届を提出すると、失業給付を受給できなかったり、支給停止になったりする可能性があります。失業保険は“失業中の生活を心配しないで新しい仕事を探し、1日も早く再就職できる”ように給付を行うものだからです。開業を予定している人は原則として失業給付を受けられませんが、受給できる可能性もあるのでハローワークで相談してみるとよいでしょう。

「離職されたみなさまへ」(厚生労働省)
(P.2より)
※リンクの遷移先はPDFファイルです。ダウンロードに大量の通信費がかかる可能性があります

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個人事業主となった後に雇用保険に加入することは可能なのか、マイチョイスで解説しています。
個人事業主は雇用保険に加入する?負担額の計算方法や手続きを解説

ポイント3.配偶者の扶養に入っているか

まず、始めにお伝えしておくと、開業と配偶者扶養は関係がありませんので、配偶者扶養に入っていても開業届を提出する必要があります。

また、開業届を出して個人事業主となった場合の「税法上の扶養」については、所得合計の条件を満たせば、所得税と住民税については配偶者控除または配偶者特別控除が適用されます。

開業した人の年間所得が48万円以下であれば「配偶者控除」、133万円以下であれば「配偶者特別控除」の範囲内です。

問題は「健康保険上の扶養」、つまり社会保険の扶養範囲についてです。

「所得税法」と「社会保険」での扶養対象となる合計所得には、違いがあります。先ほどお伝えしたように、配偶者特別控除が受けられる年間の合計所得は133万円までですが、社会保険の場合は130万円以上になると配偶者の扶養から外れることになります。

また、健康保険上の配偶者扶養は、その資格を健康保険の各組合がそれぞれ決めています。

そのため、例えば「収入が低くても個人事業主は扶養に入れない」などのルールがある場合には、注意が必要です。開業届を出す前に、健康保険組合のルールもチェックすることをおすすめします。

「No.1190 配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるか」(国税庁)

「No.1195 配偶者特別控除」(国税庁)

社会保険適用拡大特設サイト(厚生労働省)

都道府県に提出する個人事業税に関わる開業届

個人事業を開始する際には、「開業届」と「青色申告承認申請書」を所轄の税務署に提出することに加え、都道府県や市町村に対しても開業届の提出が必要です。

都道府県の場合、開業届の提出先は県税事務所や都税事務所となり、市町村の場合は市町村役場となります。例えば、東京都で開業した場合には都税事務所に提出することになります。

個人事業での「所得税」と「消費税」は国に納め、「個人事業税」は都道府県に納めるからです。

なお、個人事業税を納める必要があるのは、地方税法で定められた3種の事業、70の業種(法定業種)に該当する場合です。後ほど詳細を解説しますが、ほとんどの事業がこの3種の事業、70業種の分類に当てはまり、個人事業税の課税対象となります。

個人事業税に関わる開業届の提出を忘れてしまうと、ある日突然、納税するよう督促が来て驚くとともに、納税資金の準備ができておらず慌てることになるかもしれないので、忘れないようにしましょう。

地方自治体へ提出する個人事業の開業届の名称および提出期限は、都道府県や市区町村によって違うので、各自治体に確認しましょう。先ほど例にあげた東京都の場合は「事業開始等申告書(個人事業税)」という名称で、提出期限は開業から15日以内です。

「個人事業税」(東京都主税局)

【東京都の場合】
「事業を始めた時・廃止した時」(東京都主税局)

業種によって税率が異なる個人事業税

個人事業税は、個人が行う事業のうち、法律で定められた3種の事業、70種類の業種に対して課せられる税金であり、年間の所得が290万円を超える事業者に納税義務が発生します。

余談ですが「開業届を出さなければ個人事業主ではないから、個人事業税はかからない」と思っている方もいるかもしれませんが、一定以上の所得がある場合は確定申告が必要です。

確定申告の職業欄には業種を書く必要があるので、確定申告を見た都道府県税事務所が「要件に該当している」と判断すれば、開業届の提出の有無に関わらず個人事業税の納税通知書は届きます。

また、個人事業税は事業や業種により税率が異なるのが特徴です。

第1種事業は、保険業・運送業・飲食店業などの37業種があり、税率は5%です。

第2種事業は、畜産業・水産業・薪炭製造業の3業種で、税率は4%です。

第3種事業は、士業・コンサルタント業・美容業など30業種で、税率は5%です。

なお、第3種事業のうち、あんま・マッサージ・指圧・はり・きゅう・柔道整復とその他の医業に類する事業と装蹄師業は税率が3%となっています。

開業届を提出して個人事業主に!開業届の基礎を解説

※東京都主税局より

開業した事業が70業種のどれに当たるかは、開業届の記載内容ではなく実際の事業内容で判断されます。音楽家など芸術系の職種や動画制作による広告業などの比較的新しい職種は、分類が追いつかないなどの理由で個人事業税の対象外であることもあるので、開業した事業が課税対象かどうかは税理士や都道府県へ確認しておきましょう。

また、個人事業税には「一律年間290万円の事業主控除」があります。そのため、1年間の事業所得の金額が290万円以下の場合には個人事業税を納める必要はありません。

まとめ

開業届を提出することで、事業者として認めてもらえることになります。

人それぞれ提出するタイミングというものがあるかと思いますが、開業届を提出することで青色申告ができるなど税制面での優遇も受けられますので、事業を始めるならば開業届をきちんと提出しましょう。

なお、開業届提出者の現在の職業は問われないため、会社員でも専業主婦でも提出することができます。

副業として開業届を提出する際には、トラブル防止のために、会社の就業規則などで副業が許可されているかを必ず確認しておきましょう。

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西川ちづる

新潟市在住のフリーライター。元ダンサー。 子育てや美容系などtoCから、IT・ビジネス系などtoBまで幅広いカテゴリの記事を執筆。

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