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能力が低い人ほど、難しい文章を書きたがるのはなぜ? 【独立に役立つ心理学・第16弾】

能力が低い人ほど、難しい文章を書きたがるのはなぜ? 【独立に役立つ心理学・第16弾】

企画書、プレゼン、ビジネスメール…。

いずれも言葉を使って自分の考えていることを表現する手段であり、文章は様々なビジネスシーンにおいて、必要不可欠な要素です。

独立に役立つ心理学、今回内藤先生に伺ったのは「文章力」。

内藤先生は「難しい言葉を使って文章を書く人の大半は、能力が低い人である」と語ります。一体なぜでしょうか?

そもそも、読まれない文章は全く意味がない

今回のテーマは、文章力。

私は大学や企業の研修で、企画書やプレゼンの書き方など「文章」についての話をする機会が多いのですが、文章を書くための細かいスキル以前に、大切なことがあると皆さんにお伝えしています。

それは「皆さんが書いた文章が、そもそも読んでもらえるかどうか」という大前提をクリアしなければならないということ。

どれだけ皆さんが優秀でも、読んでもらえなければ、その文章は全く意味をなしません。

また文章の書き方というと「賢い文章を書き方」を想像する人がいらっしゃいますが、実は文章は、簡単な言葉で分かりやすければ分かりやすいほど、良い文章だと言えます。

なぜなら、小難しく書かれている文章はそもそも「読む気がしなくなる」からです。

読まれない文章は、全く意味がない。

その大原則を理解していただいた上で、ではどうしたら文章を読んでもらえるのか、を紹介していきましょう。

文章は「細かく分け、大きな文字を使い、何かしら目立つもののそばに文章を配置する」が、心理学的に正しい

文章に関する、興味深い3つの実験についてご紹介しましょう。

アメリカはフロリダ州、ジャクソンビル州立大学のステファン・リゴット博士は「エジプトのミイラ展」が行われたある博物館で実験を行いました。

その内容は、ミイラを解説する説明文を変化させると、立ち止まって読んでくれる人の割合も変わるのかどうか、を調べるという実験でした。

最初に調査したのは、文章のバランス。

「ミイラに関する、150語で書かれた説明文」が記された場合と「ミイラに関する、150語を3段落に分けて書かれた説明文」が記された場合で、立ち止まって読む人の割合が変わるかを実験しました。

「ミイラに関する、150語で書かれた説明文」を立ち止まって読んだ人は12.3%、対して「ミイラに関する、150語を3段落に分けて書かれた説明文」では、28.4%の人が立ち止まって説明文を読みました。

リゴット博士が次に行ったのは、文字の「大きさ」に関する実験。

「あるフォントで書かれた説明文」と「その2倍のフォントで書かれた説明文」という条件の違いで、立ち止まって文章を読んでくれる人の割合が変わるかを調べる実験です。

その結果「あるフォントで書かれた説明文」では28.4%、「その2倍のフォントで書かれた説明文」では39.6%の人が立ち止まって読むことが分かりました。

最後に行ったのは、説明文の「配置」に関する実験。

「説明文をミイラ(展示物)から少し離れた壁に貼り付けた場合」と「説明文をミイラ(展示物)のすぐ近くに貼り付けた場合」で、どれくらい差異が出たのでしょうか。

結果は、前者の場合は40.3%の人が、後者の場合は56.0%の人が立ち止まって文章を読みました。

3つの実験の結果を踏まえると「文章は細かく分け、大きな文字を使い、何かしら目立つものの近くに文章を配置する」のが心理学的に効果がある、と言えるでしょう。

「小難しい文章を書く人=優秀」ではない。上手な文章を書く、とてもシンプルなコツ

リゴット博士の実験では、段落分け、フォントの大きさ、配置など「読んでもらうための文章の書き方」に関するデータをご紹介しました。

企画書やメールを書く際は、要件ごとに段落分けする、なるべく大きなフォントを使う、アピールしたい商品や写真の近くに文章を添えるなど、この結果を活かした工夫をしてみると、より文章を読んでもらいやすくなるでしょう。

どの条件もとても有用ですが、私は大学の講義や企業の研修で、特に「とにかく大きな文字で書くこと」をおすすめしています。

上の画像を見ても分かる通り「文字が小さくて読みづらい」ということはあっても「文字が大きくて読みづらい」ということはほとんどありません。

さらに文字が大きいと、枠内におさめるために、自然と言葉を絞り込む必要が出てきます。

この作業は「限られたスペースの中で何を伝えるか」という、コピーライティングのトレーニングにもなります。

「文章力がある」と聞くと「小難しい文章を書ける人=優秀」と想起してしまいがちですが、最初に話した通り、そもそも文章は読んでもらえなければ意味がありません。

最も重要なのは、読み手が話を理解できるようにカスタマイズする力です。

私が本を執筆する時や心理学の講義をする際は、基本的に中学生でも分かるような、平たい言葉を使って説明します。(もちろん、心理学の専門家同士の会話では、専門用語も多用することもありますが)

読み手のレベルを無視して、やたらと難しい文章を書く人(もしくは聞き手のレベルを無視して、やたらと難しい言葉で話す人)は、能力が低い人である、と自ら露呈しているようなものです。くれぐれも注意しましょう。

【独立に役立つ心理学シリーズ:バックナンバーはコチラから!】

・人の9割は暗示で動く? 悪用厳禁のビジネス暗示テク【独立に役立つ心理学・第15弾】

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プロフィール:内藤誼人(ないとう よしひと)
心理学者。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。
大学院在学中より専門の心理学を活かした執筆活動を開始し、卒業後に有限会社アンギルドを設立。
ビジネス心理学を実践的に応用するアドバイスには定評がある。
新刊に、「ベンジャミン・フランクリンの心理法則」(ぱる出版)
「図解 身近にあふれる『心理学』が3時間でわかる本」(明日香出版社)など。
講演会・セミナーの依頼は、システムブレーンまで。

システムブレーン(講演・セミナー情報問い合わせ先)
http://www.sbrain.co.jp/

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