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「補助金で新しいPCは導入できる?」 コロナ禍でよく受ける質問を税理士が解説!

「補助金で新しいPCは導入できる?」 コロナ禍でよく受ける質問を税理士が解説!

7月12日より、東京都では4度目の緊急事態宣言が発令されました。

ワクチンの普及により、コロナ禍の終息が期待されているものの、まだまだ予断が許されない状況が続いております。

そして日々更新され続ける、コロナ関連の支援の数々……。私の税理士事務所にも日々、多くのクライアントから、コロナ関連の質問が寄せられています。

そこで今回は、コロナ禍で税理士が事業者から良く受ける質問を、3つご紹介します。ぜひチェックしてみてください。

Q1 補助金と助成金はどう違うのでしょうか? また給付金とは何が違うのですか?

よくクライアントに「給付金でも補助金でも助成金でも、わが社(もしくは私)が対象となるものはすべて教えて欲しい」という相談を多く受けます。

対象になる・ならないは、事業者によって異なりますから、事情をお聞きした上で、例えば補助金なら「持続化補助金」、助成金なら「雇用調整助成金」、給付金なら「月次支援金」が対象となる可能性がありますよといった具合にお伝えします。

すると、そもそも「補助金」「助成金」「給付金」は何が違うのですか?という質問をいただきます。

まずこれらのお金の共通点は、国や地方公共団体が事業者に対して、原則返済不要なお金を支給してくれる制度であること。

意味合いも非常に似ていて紛らわしい言葉ですから、混乱してしまうのは当然と言えます。では、これらの違いはどんなところにあるのでしょうか? 実は違いを知っておくことで、得することが大きく3つあります。

①目的の支援策を検索しやすくなる

 補助金・・・主に経済産業省の予算
 助成金・・・主に厚生労働省の予算
 給付金・・・主に経済産業省や各地方公共団体の予算
 ⇒予算の出どころが違います。自分の事業に近しい事業の担当省庁のものを、まずは調べてみましょう。

②それぞれによって頼むべき専門家が異なる可能性があり

 補助金・・・主に中小企業診断士、行政書士、コンサル会社
 助成金・・・主に社会保険労務士
 給付金・・・主に税理士
 ⇒全部一人で対応できる専門家や士業法人もありますが、専門家によって得意分野が違うことがあります。専門家がどこまでの範囲をカバーできるか事前に確認しましょう。

③採択されやすいために、それぞれの制度趣旨を知っておく必要があり

 補助金・・・競争あり。予算が限られているため、正しく補助金の制度趣旨を捉えていないと採択されない。
 助成金・・・競争なし。要件を満たせば誰でも受給できる可能性有り。雇用増加や人材育成等に対して助成されるもの。賃上げ等、前もって準備が必要なものが多い。
 給付金・・・競争なし。要件を満たせば誰でも受給可能性有り。

この3つを押さえておけば十分でしょう。

1年前にお届けしたこちらの情報収集術ですが、エッセンスは今も変わりません。
正しい情報収集術を活用して必要な支援策を検索してみましょう!

Q2 新しいパソコンの導入に使える補助金はありますか?

補助金のお話をすると、よく「パソコンを買い替えたいのですが、使える補助金はありますか?」といった質問を受けることがあります。

残念ながら、パソコンの導入に使える「補助金」はほとんどありません。
汎用性が高すぎてしまい、補助金をもらって行う事業以外の目的にも利用することができてしまうためです。

ただし使えるものが全くないかというと、そうでもありません。

例えば「IT導入補助金」というのがあります。

注意点としては、IT補助金のホームページからパソコンを取り扱っている業者(IT導入支援事業者)を探して頂く必要があります。

レンタルという形でしたら他のソフトウェアと組み合わせて頂くことによりパソコンの導入にも補助金が活用できます。

個人事業主の方でも申請できる補助金となっており、毎年予算が大きく人気の補助金となっています。

Q3 コロナ融資を受けたのですが、返済が苦しいです。

2020年。コロナの影響により売り上げが大幅に減少し、コロナ融資を受けた事業者も多くいらっしゃいます。

1年後に業績が回復すると見込んで、返済の据え置き期間を1年で取った方からは「すでに返済が始まったものの、売り上げ回復の目途が立たない」「毎月の返済が苦しい」という声が多く聞こえてきます。

まず、絶対にやってはいけないことをお伝えします。

銀行への返済資金を作るため、違法な金貸しやカードローン等高金利の所から資金を安易に資金調達することです。

余計に返済を苦しめることになります。またそのようなところから資金を調達したとなると、金融機関からの評価も下がってしまいます。

ではどうしたらよいのでしょうか。

事業者の方の状況によって、ケースバイケースではあるのですが、まずはお金を借りている金融機関に早めに相談しましょう。

元本返済猶予、いわゆる「リスケ」と言って、金融機関が元本の返済猶予を行ってくれる制度があります。例えば中小企業庁からは「新型コロナ特例リスケジュール」という制度も出ています。

個人事業主の方も制度が利用できます。

一度でも返済に遅れがでてしまうと、金融機関の支援が消極的になってしまうおそれがあります。

今はコロナ禍で同じような相談される方が増えていますので、とにかく早めに相談してみましょう!

専門家を上手く活用するコツは「より具体的な質問を投げかけること」!

「給付金・助成金・補助金」から「融資」まで、次々から変わる経済支援制度ですが、実は全てを把握できている専門家は多くありません。

それほどに日々、多くの情報が更新されすぎているのです。

専門家も、刻々と流れが変わっていく膨大な情報の海から、クライアントに役立ちそうな支援策を必死に調べています。

今回のまとめとなりますが、専門家を上手く活用するポイントはより具体的な質問や悩みをお話すると自社にとって有用な情報が引き出しやすいです。

例えば、
「何か自社にとって良い補助金がありますか?」
という質問をされるより、

「リモートワーク推進のため、パソコン導入に活用できる補助金や助成金はありますか?」
といった形で聞くと専門家も答えやすいですし、仮に専門家が知らない範囲の質問だったとしても情報を集めやすいですよね。

しかし、中には具体的な質問も思いつかないくらい、前提知識がないという方もいらっしゃるでしょう。

そのような方も安心してください。

その場合は興味のありそうな支援策を調べて頂いたうえで、国の無料電話相談センターを活用しましょう。

「よろず経営相談センター」

経営上のあらゆる相談に何度でも無料で聞くことができます。自分・自社に必要な正しい情報をつかみ取り、コロナ禍を乗り越えていきましょう!

文=齋藤 雄史
編集=内藤 祐介

<プロフィール>
齋藤雄史さん
税理士/公認会計士
宮城県仙台市出身。

高校卒業後、進学資金を貯めるため、新聞販売店に勤務。その後、地元の簿記専門学校に進学、東日本大震災同年の2011年公認会計士試験合格。

合格後、新日本有限責任監査法人福島事務所勤務。
法律の世界に魅せられロースクールに進学し、同時期に板橋区にて会計事務所を開業。

ITやクラウド対応を武器に顧客開拓に成功し、20代〜30代をはじめとする多くの起業家から厚い信頼を得ている。

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