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できる事から未来を探すな。「ネイルに興味のない」あるサロンオーナーのキャリア論

できる事から未来を探すな。「ネイルに興味のない」あるサロンオーナーのキャリア論

「このネイルサンプルの可愛さについて教えてください。」

この質問に対して、サンプルを持って苦笑いをしているのは、佐藤直幸さん(29歳)。都内に14店舗を構える人気ネイルサロン「ティ-エヌ」の国立店オーナーです。

サロンオーナーとして日々奮闘する佐藤さんですが、聞くところによれば、「ネイルを頑張りたいんだ!」という思いはまったくないとのこと。ネイルに興味がないのに、どうしてネイルサロンのオーナーに? 一体どんな経緯があるのでしょうか。

今回は、フランチャイズでの店舗経営にいたるプロセスから、内に秘める野心まで、包み隠すことなく、本音で語っていただきました。

今までしたことがなかった店舗販売に挑戦。フランチャイズでのサロン経営は経験を積むため

まず始めに聞きたいのはもちろん、「なぜネイルサロンを経営しているのか」ということについて。

—佐藤
ひとことで言えば、「やったことがなかったから」ですね。私は学生時代から、自分で会社を創りたい、事業を始めたいと思っていました。

そのためにも、まずは自分の店舗を持って、そこで商材を売るという経験をしておきたかったんです。

これまでの仕事では、顧客に営業をするだけで、お店に来てもらうという経験が全く無かったので。プッシュは出来ても、プルが出来ないという状態だったんですね。

取材写真

—佐藤
ネイルサロンチェーンのティ-エヌを選んだのは、資金面のハードルが低かったこと、本部の考えと自分の求めるものが合っていたことが大きな理由ですね。

ティ-エヌは他のフランチャイズと比べて、各店舗の裁量が大きいです。商品の発注、キャンペーンの実施、クーポンの発行、料金の設定なんかも、一定のルールを守れば、独自で出来ます。いち事業主として色んな工夫を試せるんですよ。マニュアル通りではない経営をさせてもらえるので、本当にやりやすい。

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そこまで任せてくれるとは、意外とゆるいんですね...!

店舗販売の経験を積みたい、という佐藤さんにとっては、願ってもない環境です。

さて、なぜネイルサロン経営を始めたのかがわかったところで、「いずれは独立したい」と語る佐藤さんがこれまで歩んできたキャリアについてもお聞きしていきます。なかなかの紆余曲折がありそうですよ。

時給はまさかの500円、ひたすら太陽光パネルの訪問販売をしていた新卒時代。3年後には新興ベンチャーの経営層に

取材写真
—佐藤
新卒では太陽光パネル販売のベンチャー企業に入りました。ベンチャーで実践的な経営を学びたかったので。ただ入ってみたら、やることはひたすら訪問販売。個人宅を1日で100軒〜200軒回っていました。

休みは月3日くらい、残業代も出ないような状況で、ある日時給を計算してみたらたったの500円でした。あ、これはヤバいなと。ただその時は「なんてあくどい会社だ、辞めてやろう」とは全く考えませんでした。この経験は必ず将来に役に立つと思っていたので。おかげで話術も精神もバッチリ鍛えられました(笑)

忙しすぎる中でもそこまでポジティブに考えられたのは、やはり「自分で事業を始める」ことを見据えていたからでしょうね。

まあでも、25歳の時にその会社が潰れてしまったんですよ。

その後は、その会社の専務が太陽光のベンチャーをやるということで、とりあえず最初くらいは付き合ってあげようと思い、その人の右腕として立ち上げに携わりました。1社目は営業、外回りが中心でしたが、2社目は営業ではなく、中の仕事ですね。経理とか事務とか。経営層に入れてもらえたというのは良い経験でしたが、この会社も長くは続かず。1年半くらい経って、ノウハウを十分学んだなと思ったタイミングで辞めましたね。

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25歳でベンチャーの経営に携わるとは、すごい経験をされています...!

すでにベンチャーで「事業の伸ばし方」を学び、同時に「伸びていった事業が死んでいく様」も間近で見ていらっしゃる。若くして「こういう風にしたら事業が死ぬ」というのが見えているわけです。これは強い。

ここまでの経験を積まれていると、これから何かやろうとなった時は、地に足をつけて、あれやって、これやってと出来そうですよね。

訪問販売で営業力をつけた。ベンチャーの立ち上げで経営側としての知見も得た。そんな佐藤さんが見据えている「具体的な目標」とは果たして、どのようなものなのでしょうか?

農家と販売店舗、消費者を直接つなぐ農業コンサルティングファームを創りたい

—佐藤
ゆくゆくは農業ビジネスを立ち上げたいと思っています。

実は私、東京農大の出身なんですよ。農大に進学したのは、単純に興味があったからというのもありますが、農業ビジネスはこれからの時代面白いかな、と思ったのが大きいですね。

僕が大学生だった10年前は、JAに流通を全て任せるのではなく、個人で売ったりとか、お店の方に直接おろすとかっていうのが、流行り始めていた時期でした。いずれ独立するとして、農業ビジネスはうまくやれば大きな可能性があるなと。ただ、自分で農業をやりたいわけではないんですけどね。

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農大のご出身! ただ、今のところ農業に興味があって農業ビジネスをやりたい方のお店にいるとは思えませんが(笑)

確かに農家さんがJAに依存していることが問題になる一方で、楽天で上手にネット販売しているイケてる農家さんもいます。楽天のサイトで汗だくだくのおっちゃんが「ウチの牛乳だぞー!」ってどーんと載ってると、多分うまいんだろうなって思っちゃいますし。

ただ、佐藤さんは自分で農業をやるつもりはないとのこと。具体的なビジネスの形としてはどうなるのでしょうか?

—佐藤
一部はネットを使って上手に営業をしているんですが、基本的に農家さんは営業が下手なんですよ。そうした農家さんの販売のチャネルとして、サイトを運営するなり営業代行するなりでも良いんですけど、農家さんとお店、農家さんと消費者を直接つなげたいですね。

今って、農家さんの代わりに営業代行をするところしか無くて、物は届いていても間にある「生産者の情報」が全然消費者に届いていない。結局、野菜が八百屋さんとかに並んでるだけじゃないですか。誰が作ったのかもわからないのに。じゃがいもが木になっていると思っている子がいるくらい、消費者と現場が遠いんです。

生産者の情報がきちんと伝えられる「農業コンサルティングファーム」があれば、農家さんと消費者をつなげられるだけでなく、担い手不足が問題になっている農業を若い人が見直すきっかけも作れると思うんです。

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言われてみれば、農家さんの情報ってそうとう興味がないと調べませんね。個別にホームページがあるわけでもないので、仮に調べたとしても詳しい情報なんて多分わかりやしません。

販売のチャネルを提供してくれて、そのうえ1軒1軒の農家さんが、どんな風に作っているのかという情報をきちんと伝えてくれるコンサルティングファームがあったら面白いですね!

実にシンプル。目的から逆算して最適解を選ぶ、ブレのない姿勢

ゆくゆくは農業ビジネスをやりたい、ただその前に、店舗販売の経験を積んでおきたいと考えていた佐藤さん。

例えば、2社目を辞める時点で、フランチャイズではなく、店舗販売の経験ができる他企業に転職という選択をする可能性はなかったのでしょうか?

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—佐藤
うーん、転職は全く考えなかったですね。店舗ビジネスのノウハウがあるところに加盟して自分でやった方が、手っ取り早くノウハウは積めるかなと。さきほども言った通り「やったことがなかったからやってみる」という感じです。あくまで店舗販売の経験を効率よく積めるかが第一だったので、ネイルを選んだ理由を聞かれても良くわからないですね(笑) 正直、未だに興味はないので。

強みが生かせて、好きで、と出来ることを指折り数えていって、だったらここなら勝負できる、っていう決め方をすると選択肢が狭まっちゃうんです。「やったことがない」から、その経験を得るために飛び込んでいけば良いだけ。なりたいものがあって、これが必要で、その必要となるスキルを得るためにはこういう経験をしなければならない、だからこの事業をやる、っていう。自分でも単純だなと思います(笑)

ご自身のキャリアというより、実践的なスキルを得るうえでティ-エヌのフランチャイズ経営を選択したということなんですね。その商材がたまたまネイルだったというだけで。

それにしても「未だにネイル興味ないです」はストレートでいいですねー(笑)

10年後は何をしているかはわからない。でも5年後はわかる。いや、やっぱり5年も待てないかも

—佐藤
やりたいことは見据えていてもさすがに10年くらい後のことまで考えられているわけではないですけどね。ただ5年後には農業ビジネスをやっていたいです。今29歳ですが、35歳くらいまでには。

ただ、5年じゃちょっと遅いような気がしますね。多分そこまで待てない(笑) 思いついたらやってしまうタイプなので、良いかなと思ったら、もう少し早くやっちゃうかもしれないです。

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5年後に何やってますかって聞いたときに、農業ビジネスをやっていたいけれども、多分もっと早くなんとかしちゃいますって答える。

少年の様に真っ直ぐに目標に向かっているからこそ、出てくる言葉ですね。

お話しを聞いていると、何だかワクワクしてきます。

まとめ

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10年後を聞かれてハッキリと答えられる人はそういないでしょう。

ただ5年後を聞かれた時に、何かぼんやり目標があるとして、あなたはそれをハッキリ口に出来るでしょうか?

「今自分ができること」から選ぼうとして、選択肢を狭めていませんか? それって実は、自分の目標を直視していないことと同じ。佐藤さんは目標に対して正面から向き合って、そのための「投資」としてフランチャイズ経営に挑戦しています。

時間とお金を投資して「経験」を買っているのです。自身のこれからのキャリアを考えるうえで、興味がある領域、自分の強みが生かせる、なんていう縛りを一度取っ払って、「やったことがない」ことをあえて経験してみることは大切。

そう考えたら「自分にもこんな選択肢があるかもしれないぞ......!!」と思えてきませんか?

佐藤さん、お話しありがとうございました!

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