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デスクワークも畑仕事もすべてが本業!スーパーサラリーマンに聞く3社で「複業」するコツ【前編】

デスクワークも畑仕事もすべてが本業!スーパーサラリーマンに聞く3社で「複業」するコツ【前編】

政府の正社員の副業推進に伴い、大手企業が続々と副業を解禁するなど、話題が尽きない「副業」。独立や起業を目指す方にとっては、会社員をしながらその前段階として

「まずは副業から始めたい」という方も多いのではないでしょうか?

そこで今回お話を伺ったのは、現在3社で副業ならぬ「複業」をしているというサイボウズ株式会社の中村龍太さん。

前編では、なぜ3社で「複業」をするようになったのか、複業をする上で必要なスキルやコツなどをお聞きしました。

3社すべてが本業?「複業」という新たな選択肢

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―3社で副業をされているということですが、それぞれの会社でどのような仕事をしているのでしょうか。

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中村龍太さん(以下、龍太さん)
始めに言っておかなければならないのですが、私は「副業」をしているという感覚はありません。

というのも、現在3社に所属して働いていますが、私はすべて「本業」として仕事をしているので、どの会社がメインでどの会社がサブ、という認識はあまりないんです。

複数の会社で働いているという意味で「複業」をしていると言ったほうがいいかもしれません。

―すべての仕事が「本業」なのであれば、”副業”という表現は少し異なりますね。

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龍太さん
そうですね、それを踏まえて3社での業務内容を簡単にご紹介させていただきます。

まず1社目が、東京都中央区にある「サイボウズ」です。火・水・木・金、週4日間オフィスにおります。

仕事内容は大きく2つありまして、1つが「kintone(キントーン)」という自社クラウドサービスの新たな利用用途の開発。そしてもう1つが「チームワークメソッド」という社内の研修プログラムを外部に提供・継続するための事業化をしています。

2社目がITコンサルタントの「ダンクソフト」です。こちらの会社では徳島県神山町というところにサテライトオフィスがありまして、週1回、月曜日出社しています。

そこでは広報チームとして、ダンクソフトが持ついろいろな価値みたいなものを世の中に広げる、といった仕事をしています。

そして3社目が「NKアグリ」。こちらは和歌山県和歌山市にある農業関係の会社で、土・日を中心に自宅の圃場の千葉県印西市で仕事をしています。主に「リコピン人参」という珍しい種類の野菜を作っています。

また、作って売るだけでなく、リコピン人参やNKアグリを広めるための仕事もしています。

―デスクワークから畑仕事まで龍太さんのお仕事は多岐にわたっていますが、そもそもなぜこの3社で仕事をしようと思ったのでしょうか?

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龍太さん
3社で仕事がしたい、というよりはやりたい仕事をしていったら現在のようになった、という感じですね。

順を追って説明すると、まずサイボウズに入ったのは、前職時代にサイボウズの代表の青野さんに誘われたことがきっかけです。ただ、サイボウズに転職すると前職の給与から金額がガクンと下がってしまうなあと。

当時私には大学生のこどもが2人いたものですから、正直収入を下げたくなかったんです(笑)。

そんなとき、前職の営業先だったダンクソフトの社長に話をして「サイボウズからこんな話があるんですけど、雇ってもらえませんか?」とお願いしてみたらそれが叶って。2013年10月にサイボウズとダンクソフトに2社同時転職、という形になったんです。

―普通転職ってA社からB社へ行くものだと思うんですが、龍太さんの場合、A社からB社とC社に行ってしまったというわけですね、すごいです…!

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龍太さん
ははは、そう言われれば珍しいかもしれませんね(笑)。それからNKアグリとの出合いなんですが、これは2社に転職後ですね。

私が自宅の前で農家をやっていることから、前職との繋がりでNKアグリの社長の三原さんとたまたま一緒に飲むことがありまして。そこからNKアグリでサイボウズのサービスが使われることになったんです。

―最初はお客さんだったんですね、サイボウズの。

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龍太さん
はい。そうして付き合っていくうちにNKアグリから「人参を提携農家さんと作りたい」という話と「センサーを使って収穫時期を予測したい」という話が出てきたんです。

それなら私が自分で人参を作って、自分でサイボウズの製品で収穫時期を予測してしまえば、2つの会社にシナジーが生まれるなと思ったんです。そして三原さんに「提携農家として契約してもらえませんか?」とお願いしてみたんです。

3社複業でも圧倒的パフォーマンスを出すコツは、「引き裂かれない働き方」をすること

Success Improvement Celebration Winning Excellence Concept
―そんなパワフルな中村さんですが、一体どのようにして3社での複業を成り立たせているのでしょうか?すべての仕事を円滑に回すためのスケジュールの組み方や、何かコツのようなものがあれば教えていただけますか?

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龍太さん
コツはいくつかあるのですが、まずはスケジュール感というところから話してみましょう。

先程勤めている3社の概要でも申し上げましたが、月曜日にダンクソフト、火・水・木・金にサイボウズ、土・日にNKアグリという1週間のスケジュールの組み方をしています。

ただし、常にそのスケジュールで動いているかというとそうでもありません。たとえば月曜日、ダンクソフトで仕事をしている時にサイボウズの仕事をまったくしないわけではありません。

いろんな相談や調整が入ったりするとその都度対応するようにしています。今はこれだけITのツールが発達していますし、そのツールを上手に使いつつ、それぞれの仕事の重要度や緊急度に合わせて、別の仕事をすることももちろんあります。

ちょうど今でいうところの、LINEのグループチャットに複数参加していて、場面に応じて必要な返信をするといったような、そんな感覚に近いかもしれませんね。

―曜日でどこの会社に行くかという大まかな切り分けはありながらも、状況に応じて他の会社の仕事もしている、というわけですね。

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龍太さん
そうですね。もっというと、この曜日のスケジュールが変則的に動くこともありますよ。

たとえばダンクソフトで大きな仕事があるときは、火・水・木・金でもサイボウズに行かずに徳島にあるダンクソフトのサテライトオフィスに足を運んだり、リコピン人参の収穫期などはサイボウズとダンクソフトの予定をキャンセルして収穫に専念したり。

―そこまで融通がきくんですね…!現在の社会通念的に「副業があるので、今日は出社しません」というのはなかなか難しいように感じますが…。

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龍太さん
だから「複業」なんですよ。本業と副業というメインとサブの関係ではなく、私の場合はすべてが本業なので。

―そこまで自由に自分の裁量で働けるようになった背景には、それぞれの会社の経営陣に説得したのでしょうか?

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龍太さん
説得はしてないですが、自分の裁量で働くにあたって気をつけているポイントがあります。それは「自分が仕事しやすい環境」を自分で作ってしまうこと。

私の場合、サイボウズとダンクソフトに同時転職するというちょっと変わった経緯もありますが、その際にサイボウズ代表・青野さんとダンクソフト代表の星野さんと私で一度話し合う場所を設けたんです。

サイボウズではこんな仕事を、ダンクソフトではこんな仕事をするといったように、複業を始める段階でそれぞれの仕事内容をきちんと両社に伝えました。

また、複業生活が始まってからも「今はサイボウズでこんな仕事が入っています」「急ぎの仕事があるのでダンクソフトのオフィスに向かっています」といったように、逐次各社のメンバーには自分が何をしているのかを共有しています。

いずれもそれぞれの会社の守秘義務に関わるようなことはもちろんいえませんが、ある程度オープンにできるものはきちんと公開することで信頼関係を構築することができます。

Networking communication Connection Share Ideas Concept

―なるほど、複業を両立させるには情報をできる限りオープンにして、信頼関係を築くことが大切なんですね。ほかに意識していることはありますか?

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龍太さん
「1つの会社の仕事が、他の2社の成果物になること」です。

たとえば、用途開発をしているサイボウズの仕事とリコピン人参を作るNKアグリの仕事には一見接点がなさそうですが、収穫時期を予測するためのセンサーの開発など、ITは農業において大きな力を発揮します。

農業を専門としているNKアグリという会社に、ITを専門としているサイボウズの社員がいれば、どちらの会社にとっても大きなメリットになるのです。

NKアグリとサイボウズ、ダンクソフトにはそれぞれの強みと課題があります。ある会社の強みがある会社の課題にフィットすれば相互にとってメリットになり、新たなシナジーが生まれると思っています。

―龍太さんのお話を聞いていると、それぞれの会社のお仕事がうまくつながっているように感じます。自分がどこでどんな仕事をしているのかをオープンにして、それぞれが有機的につながっているというか。そこにメイン・サブの関係ではない、「複業」の可能性を感じました。

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龍太さん
そうですね。普通の「副業」だと昼間に本業のA社を、定時で上がって副業のB社で夜な夜な仕事、みたいなパターンが多いんじゃないかなと思います。それだと仕事量が増えるだけでつらい。

そうではなく私が現在やっている複業は、「引き裂かれない働き方」。お互いに相乗効果が生まれるようにすべての仕事が有機的に繋がっていれば、私にとっては仕事量が増えるというよりも、3社でひとつの仕事をしているという感覚で働くことができます。何よりやっていてとても楽しいですね。

―「引き裂かれない働き方」を実践する龍太さんは、とても楽しそうに自分の仕事についてお話していました。そして後編では「自分のやりたいことが見つからない人」そして「現状からなかなか動けない人」に向けた、龍太さんの見解とアドバイスをお伝えします。

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