せどりとは、一口でいうと「転売」のことです。インターネット通販やリサイクルショップなどで安く仕入れた商品を販売し、仕入れ額と販売額の差額で利益を得ます。
従来、せどりは主に古本の転売を意味する言葉であり、利益を得るためには相場や売れ筋商品に関する知識が必要でした。
しかし、インターネットの普及により、せどりは手軽に始められるようになりました。インターネットを使って、相場や商品の情報を調べたり、通販サイトで商品を仕入れたりできるようになったからです。
本記事では、せどりのメリットやデメリット、せどりを始める前に知っておきたい基礎知識を解説します。
せどりとは?
せどりとは、安く仕入れた商品を高く売り、差額で利益を得ることをいいます。転売とほとんど同じ意味の言葉として捉えておくと、わかりやすいでしょう。
かつて、せどりは主に古本の転売に対して使われる言葉でした。希少価値や需要の高さから、高額で売れるであろう古本が安く売られているのを探すのが、従来的なせどりの方法です。インターネットの普及していない時代には、せどりのために古本屋を1店舗ずつ歩いて回るせどりも、多くいました。
しかし、インターネットの普及とともに店舗を回って商品を探すせどりは減り、古本以外の商品にもせどりという言葉が使われるようになりました。
せどりを副業に選ぶメリット
せどりを副業に選ぶ最大のメリットは、自宅や隙間時間で手軽に始められるという点です。
せどりで売るための商品探しも、商品の相場を調べることも、インターネットの普及した現代なら簡単です。スマートフォンを使えば、会社の休憩時間や移動中などのちょっとした時間に、掘り出し物が出品されていないかチェックできます。
細かい隙間時間を使ってできる手軽さから、時間がない人や、今すぐ副業を始めたい人におすすめできるのがせどりです。
せどりを副業に選ぶデメリット
せどりには、損失を出したり在庫を抱えてしまったりするかもしれない、というデメリットがあります。
「商品を安く仕入れて、高く売る」というせどりの性質上、在庫を抱えるリスクは避けられません。商品を大量に仕入れた場合には、在庫を保管しておくための広いスペースが必要になることもあります。思ったように商品が売れず、損失を最小限にするために、仕入れ値以下で商品を売らなければならない場面もあるでしょう。
インターネットを使って簡単に始められるのがせどりのメリットですが、安定して利益を出すには、それなりの知識と経験が必要です。リスクを抱えたくない人には、せどりはおすすめできません。
せどりの始め方、一連の流れを紹介
次からは、せどりの始め方を、流れに沿って紹介します。
せどりを始める前に知っておきたい法知識と、せどりで売買を行う場所について解説するので、しっかり確認しましょう。
せどりを始める前に
せどりを始める前に、せどりは違法となる可能性がある、ということを理解しておきましょう。下記のような商品でせどりを行った場合、法律により罰せられる可能性があります。
【せどりが違法となるケース】
・チケットのせどりで利益を得た場合
・ブランド品の偽物を本物と偽って販売した場合
・法律で販売が禁止された物品を転売した場合
・酒類販売免許を持たずに酒類を転売した場合
・衛生マスクを転売した場合
・都道府県の迷惑防止条例で違反になる場合
2019年6月14日に施行された「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」は、チケットを元の販売価格を超える金額で販売することを禁止する法律です。違反すると、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、または両方の罰則に科せられる可能性があります。
また、ブランド品の偽物を本物として販売した場合に抵触するのが、商標法78条です。違反すると、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、または両方の罰則に科せられる可能性があります。
せどりの仕入れ場所
せどりの仕入れ場所には、下記のようなものがあります。
【せどりの仕入れ場所】
・インターネット通販
・リサイクルショップ
・レンタルビデオショップ
・各種量販店
インターネット通販は、オークション系のサイトも含めて、こまめにチェックしましょう。出品者に商品知識がない、早く売りたいなどの事情から、相場より安く仕入れられる可能性があります。
レンタルビデオショップの中には、中古品の買い取り・販売を行っている店舗もあるので、掘り出し物が見つかることも。また、各種量販店の特売商品をまとめて買い占め、大量販売で利益を出す方法もあります。
複数の仕入れ先を確保し、こまめにチェックして、掘り出し物を探しましょう。
せどりの販売場所
せどりの販売場所には、下記のようなものがあります。
【せどりの販売場所】
・インターネット通販
・リサイクルショップ
・質屋
せどりの最もポピュラーな販売場所は、インターネット通販です。通販サイトで販売する場合は、配送中の紛失や破損などのトラブルに遭う可能性があるので、保証のある配送サービスを選びましょう。
ブランド品や貴金属などの高額商品は、リサイクルショップや質屋が高値で買い取ってくれることもあります。
商品の特性に合わせて、高く売れる場所を見定めましょう。
せどりをやるときの注意点
せどりを行うことで、確定申告や古物商許可証の申請が必要になることがあります。
どのような場合に、確定申告や許可証が必要になるのかを理解していないと、脱税や取り締まりなどのリスクを背負うことになりかねません。
注意点を把握し、リスクを抑えてせどりを始めましょう。
確定申告が必要な場合
せどりによる所得が、年間20万円を超える場合、確定申告が必要です。
所得とは、売り上げから経費を差し引いた金額のことです。下記のようなものが、せどりの経費にあたります。
【せどりの経費】
・商品の仕入れ代金
・仕入れや販売の際の交通費
・梱包材の費用
・各種手数料
経費の計上には、領収書が必要です。領収書は、必ず保管しておき、こまめに整理しましょう。電車やバスといった公共交通機関を利用したときの領収書は、発行するのを忘れやすいので、気をつけましょう。
許可証が必要な場合
せどりを行う前に、古物商許可申請をしておきましょう。
古物営業法では、古物売買の営業をする際には、営業所のある都道府県公安委員会の許可が必要と定めています。
「自分で利用しようとしたもの」を売る場合は「生活用動産の処分」という扱いになるため、許可申請は必要ありません。
しかし、それが「営利目的」だとみなされるなど、場合によっては取り締まりの対象となる可能性もあります。
古物商許可申請書は、下記のような警視庁のWebサイトから、簡単にダウンロードできます。自分の住む都道府県のルールに従って、許可申請の手続きをしておきましょう。
せどりはネットで気軽に始められて、商売の流れを学べる!
インターネットの普及した現代において、せどりは最も簡単に始められる副業の1つです。
商品の仕入れから値付け、販売までを全て自分1人で行えるせどりは、商売の流れを学ぶのに最適ともいえます。
しかし、知識ゼロでせどりを始めることには、さまざまなリスクがあります。在庫を抱えたり、損失を出したりするリスクだけでなく、懲役や罰金に科せられる可能性もあるのです。
せどりは、必要な手続きを済ませ、損失が出るリスクを踏まえたうえで始めましょう。
赤塚 元基
SaaSなどのIT系、投資やベンチャー企業の動向、オウンドメディアなどビジネス系を主に執筆。