個人事業主として独立を考えている方の中には、初めての独立で不安を抱えている方もいるでしょう。本記事では、個人事業主のメリットやデメリットに加え、独立するために必要なことなども解説していきます。個人事業主として独立することはメリットが大きく、意外とハードルは高くないため、あなたの不安を払拭できるかもしれません。
独立について計画していると、自分の未来に対して期待や不安などさまざまな感情を抱くこともあるでしょう。
現状のまま会社員として安定した生活を送っていくのか、それとも独立して新しい人生を切り拓くのか。悩みはたくさんあると思います。
本記事では、個人事業主として独立することに焦点をあて、以下のポイントについて解説していきます。
・個人事業主と法人の違い
・個人事業主として独立するメリット・デメリット
・独立前後にやるべきこと
独立検討中で将来が不安な方や独立しようとしているけれど最初の一歩が踏み出せない方に、本記事を読むことで「独立って意外と簡単かもしれない」と、前向きな気持ちになっていただけたら嬉しいです。
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まずは会員特典を調べる個人事業主と法人の違い
独立する際には、まず大きな選択をすることになります。それは「個人事業主として独立するか、法人として独立するか」という選択です。個人事業主と法人では、どのような違いがあるのでしょうか。ここでは以下の3つのポイントに絞って、個人事業主と法人の違いを解説していきます。
・開業費用
・税金
・社会的信用度
どれも非常に重要なことです。独立で失敗しないためにも、自身の計画と照らし合わせて検討してみましょう。
個人事業主とは?
税務署に「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」(開業届)を提出すると、“税務上の区分”において個人事業主として独立したことになります。個人事業主の開業費用や税金、社会的信用度は以下のとおりとなっています。
【開業費用】
開業届の提出にかかる費用は0円です。仕入れや経費などを除いて、事業を開始すること自体は0円で可能です。
【税金】
法人と大きく異なるのが税金面です。個人事業主にかかる税金のうち、所得税に関しては累進課税制度が適用されます。所得税は所得金額によりますが、最大の税率は45%となります。
【社会的信用度】
前述のとおり、個人事業主は独立時の手続きが簡単で、資本金も必要ありません。独立のハードルが非常に低いため、金融機関などに「個人事業主は、実績がない人でも簡単に独立できる」とみなされることがあります。法人と比較すると社会的信用度は低いといえるでしょう。
“フリーランス”は企業に所属しない“働き方”
個人事業主のほかに“フリーランス”という言葉も耳にすることがあるでしょう。“フリーランス”とは、特定の企業や団体に所属しない“働き方”のことを指します。つまり、個人事業主とは“税務上の区分”のことであり、“フリーランス”とは“働き方”のことを指します。
法人とは?
法人として独立するということは、会社を設立することを意味します。法務局に登記申請手続きをすることで会社は設立できますが、手続きには登記申請書や定款の作成などが必要なため手間がかかります。
【開業費用】
法人の開業費用は20万円から25万円程度かかるといわれています。この金額には定款の認証手数料や印紙代、登記の登録免許税が含まれます。これに加え資本金も必要になってきます。
【税金】
法人にかかる税金は、法人税や法人住民税などがあります。そのため、一定額以上の利益が出た際には、累進課税方式の所得税で最大45%の税率がかかる個人事業主よりも税金を抑えることができます。一方で赤字の場合でも、法人住民税の分は税金がかかるという面もあります。
【社会的信用度】
会社設立にはさまざまな手続きが必要です。また、以前は会社形態によって資本金の下限額が定められていたため株式会社は資本金が最低1,000万円ないと設立できませんでした。2006年に会社法が改正され、会社を設立するときの資本金の最低金額に関する決まりが撤廃され、現在は資本金が1円でも株式会社を設立することができますが、これらのことから個人事業主よりも社会的信用度は高い傾向にあります。個人事業主であるよりも融資が通りやすかったり、取引先からの信用が高くなったりするという傾向があります。
個人事業主として独立するメリット
個人事業主として独立するメリットに、以下の3点があげられます。
・独立までの手続きが簡単
・開業費用が割安
・運転資金が割安
これらのメリットは、事業を始めるにあたって、自分自身の負担を大きく減らすことにつながります。
独立までの手続きが簡単
個人事業主として独立する際に必要な手続きは“税務署に開業届を提出する”のみです。開業届の記入は難しいものではないため、簡単に手続きを完了することができます。
開業費用が割安
前述のように、法人の開業費用は20万円から25万円程度必要であるのに対し、個人事業主は、手続きのみであれば0円で独立することができます。資金に不安がある方でも、個人事業主という独立の選択肢があれば、不安も軽減されるでしょう。
運転資金が割安
個人事業主の場合、事業が軌道にのるまでは自宅の一部をオフィスとして利用することも可能です。その場合、自宅の家賃の一部が経費扱いになるため、オフィスを別の場所に構えるよりもコストを抑えることができます。また、従業員を雇わなければ、大きな固定費となる人件費も抑えることが可能です。
個人事業主として独立するデメリット
もちろん個人事業主として独立するデメリットもあります。ここでは、以下の3点に絞ってデメリットを解説します。
・社会保険(被用者保険)と厚生年金に加入できない
・稼ぐほど税金が高くなる
・実は法人より責任が重い
デメリットを把握することが思わぬ失敗の可能性を軽減することにつながるため、必ず理解しておきましょう。
健康保険(被用者保険)と厚生年金に加入できない
個人事業主の場合、国民健康保険と国民年金に加入します。会社などに雇用されている場合は、健康保険(被用者保険)の保険料は会社と折半ですが、国民健康保険では、個人で全額支払うことになります。また、厚生年金よりも国民年金の方が、受給できる年金額も少なくなることが多いです。
稼ぐほど税金が高くなる
所得が少ない場合は法人よりも税率が低いため、税金を抑えることができます。一方で、所得が一定の額を超える場合は、法人よりも高い税金が課税されることになります。そのため、個人事業主と法人を選択する際に、所得金額が判断基準になるケースがよくあります。
実は法人より個人の責任が重い
法人の場合、事業に失敗して倒産したときでも、自らが出資した金額のみが責任の対象となります。しかし、個人事業主の場合、取引先に与えた損害などにおいて個人ですべての責任を負う必要があり、自らの全財産を投入してでも責任を取る必要があるということを理解しておきましょう。
個人事業主として独立するために
個人事業主として独立する場合に、やっておいた方がよいこと、やるべきことがあります。今回は、以下の5点について解説していきます。
・独立前にクレジットカードを作る
・個人年金保険や組合への加入を検討する
・開業届を提出する
・青色申告承認申請書を提出する
・確定申告をする
会社員などのように雇われているときは簡単にできたことも、独立すると難しくなってしまうケースがあります。独立してから困るのではなく、事前に準備できるものは、準備しておくようにしましょう。
独立前にクレジットカードを作る
個人事業主や起業したての社長は、クレジットカード発行や住宅ローンの審査が通りにくくなるといわれています。将来、必要になると考えられる場合は、独立する前に作っておくのが無難です。ただし、脱サラをして起業する場合などは、退職後にクレジットカード会社に退職した旨の連絡をする必要がありますので、その手続きも忘れないようにしましょう。
小規模企業共済や組合への加入を検討する
個人事業主として独立した場合、社会保障や老後の資金などについて不安になることもあるでしょう。そんなときに加入できるのが、小規模企業共済や個人事業主向け組合です。
小規模企業共済とは、小規模企業の役員や個人事業主でないと加入できない共済制度です。掛け金は千円から7万円までの範囲内で自由に決められます。掛け金は年間で最大84万円を小規模企業共済等掛金控除として課税所得から控除できるため、大きな節税効果を得つつ、老後資金を貯めることができます。ただし、受け取りの条件などがあるので、必ず調べておきましょう。
また、個人事業主向け組合への加入も1つの手段です。個人事業主向け組合には、組合員だけが入れる保険がある組合もあります。また、セミナーや勉強会が開催されるなど、つながりが少ない個人事業主にとっては、加入することで大きなメリットになるでしょう。
開業届を提出する
独立する際には、必ず税務署に開業届を提出する必要があります。開業届を提出すると同時に青色申告承認申請書も提出するようにしましょう。
青色申告承認申請書を提出する
個人事業主として独立をすると、確定申告をする必要が出てきます。確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があり、自分が個人事業主としてどちらの申告方法で確定申告をするのか決める必要があります。
仮に青色申告をする際には、開業後2ヵ月以内に「青色申告承認申請書」を所轄の税務署に対して提出しなくてはいけません。
確定申告を青色申告にすると、以下のような特典があります。
・赤字を3年間繰り越せる
・最大65万円の基礎控除がある
このように、青色申告は白色申告に比べて大きな節税効果が得られます。そのため、「青色申告をしたい」と思う方は多いはずです。ただし、青色申告をするためには複式簿記などで帳面付けをする必要があります。知識がないと難しいと感じる方も多い作業なので、青色申告をすることにハードルの高さを感じてしまう方もいるでしょう。
しかし青色申告をした方が節税にはなるため、会計については業務委託をしたり、会計ソフトを活用したりなどして労力を抑えつつ青色申告をするようにしてみてはいかがでしょうか。
確定申告をする
確定申告の提出方法は以下の3つがあります。
・税務署に郵送
・税務署に直接提出しに行く
・e-Taxで提出
青色申告特別控除額は55万円ですが、e-Taxで提出した場合は、65万円となるため、確定申告はe-Taxで提出するのがよいでしょう。
個人事業主として独立するまでに用意しておきたいもの
個人事業主として独立するまでに準備しておくと役立つものがいくつかあります。良好なスタートを切れるよう、準備しておきたい5つのものを紹介します。
・名刺
・仕事用のメールアドレス
・ホームページ
・プリンター/スキャナー
・会計ソフト
それぞれ、なぜ準備しておくと便利なのか解説していきます。
名刺
個人事業主として独立する際、まず準備しておきたいのが「名刺」です。開業時に個人事業主として活動を始める際、名刺を交換する場面は突然訪れます。せっかく名刺を交換して自分の名前や連絡先を相手に伝えられる場なのに、「持っていないです」と渡せないのはもったいないでしょう。
名刺は文具店や専門店で、気軽に注文できます。インターネットであれば格安で名刺の印刷を請け負っている業者もあるので、ぜひチェックしてみてください。名刺の作成を業者に依頼するほど資金に余裕がないのであれば、テンプレートを活用して自分で作成してもよいでしょう。
積極的に名刺を活用する方の場合、印象に残ったり、仕事を依頼したくなったりするような名刺を目指してこだわって作成してみましょう。キャッチコピー、顔写真、イラストを入れるなどの工夫があれば、印象に残る名刺になります。よりこだわりたいのであれば、プロにデザインを依頼するのも1つの手です。
仕事用のメールアドレス
個人事業主として独立する前に用意しておきたいものの中には、「仕事用のメールアドレス」もあげられます。
独立をきっかけに個人事業主として働くための業務用メールアドレスを持っておくことをおすすめします。仕事の連絡をやりとりするほか、手続きで記入欄があったり、業務連絡を配信してもらったりなど独立後メールアドレスを提示しなくてはいけない場面は少なくありません。
費用をかけずにメールアドレスを準備したいのであれば、フリーメールを活用してみてください。独自ドメインを取得すれば信頼性の向上や差別化を目指せるので、気になる方は調べてみてください。
ホームページ
ビジネスの顔ともいえる“ホームページ”も個人事業主として独立するまでに用意しておきたいものです。
ビジネスを始めたばかりの個人事業主は法人と比較すると、実績が乏しいことも多く、クライアントからは仕事を依頼したくても信頼してよいか判断できないと思われてしまうケースは少なくありません。そこで、ホームページに掲載されている実績や情報から信頼性を測ります。
過去の実績や事業内容を余さずしっかりと掲載されているホームページを掲載していれば、顧客を増やせる可能性もあります。
プリンター/スキャナー
書類のデジタル化に伴い、パソコン内で完結する手続きや業務がほとんどな世の中になりつつあります。しかし、そんな世の中でもプリンターやスキャナーは、まだまだ出番が多いため、用意しておくと便利でしょう。開業手続きに使う書類を印刷したり、請求書や領収書を発行したり、管理するためにも使えます。
会計ソフト
個人事業主として独立をすると会計処理や確定申告など、会社員であれば自身で行う必要のなかった会計周りの業務が発生します。元々の業務などで知識があるのであれば、問題なく会計周りの業務もできるかもしれません。しかし、個人事業主になる方、全員がそのような知識があるわけではありません。
個人事業主として独立して会計処理や確定申告をする必要があり不安を感じているのであれば、会計ソフトの活用を検討してみてください。もちろん、これらの業務は紙の帳簿を用意して帳簿付けしていく方法でも問題はありません。しかし、最近では簿記について詳しくない・知識がない方でも使いやすい会計ソフトがたくさんあります。
会計ソフトであれば、青色申告の複式簿記での記帳にも対応しています。そのため、会計知識がなくても仕訳や書類を自力で作成可能です。確定申告で提出する書類も準備でき、手間を大きく削減できます。持っていると何かと便利なので、個人事業主として独立する際には導入しておくことをおすすめします。
個人事業主は、独立してからの事務手続きが大変!
ここまで個人事業主の独立について解説してきました。個人事業主として独立するためには、開業届を提出すれば簡単にできるということが分かったと思います。ただし、独立自体は簡単にできても、その後の事業運営は一筋縄にはいきません。
独立は多くのことを考え、準備し、実行する必要があります。独立すると経営以外にも確定申告などの事務手続きにも多くの時間を割く必要が出てきます。そんな中、フランチャイズという選択があることを忘れてはいけません。多くの個人事業主がフランチャイズという独立手段を選択しています。フランチャイズに加盟して独立するという選択肢が選ばれる理由には、フランチャイズ本部のサポートがあげられます。事務手続きや経営において、手厚い本部のサポートがあるため、個人で事業を進めていくよりも、安心してビジネスを進めていくことができます。
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