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任意なのに実質的に加入必須? 火災保険についてやさしいお金の専門家・横川楓さんが解説

任意なのに実質的に加入必須? 火災保険についてやさしいお金の専門家・横川楓さんが解説

賃貸であれば、契約する際に実質的に必須で加入することの多い、火災保険。

なぜ任意保険であるにも関わらず、実質的に加入が必須になっているのでしょうか。

今回やさしいお金の専門家・横川楓先生に伺ったのは、そんな火災保険について。

今回は火災保険の特徴や補償内容とともに、居住用でなく事業用の物件でも火災保険に加入すべきかどうか。

また似て非なる地震保険の特徴、そして保険の選び方についても、横川先生に詳しく解説していただきました。

<プロフィール>
横川楓さん
やさしいお金の専門家・金融教育活動家
一般社団法人日本金融教育推進協会 代表理事

明治大学法学部卒、その後同大学院へ進学。
24歳で経営学修士(MBA)を取得。

実家は会計事務所を経営。
同年代の友人たちのお金に対する意識と、将来の資産形成、所得格差、年金問題、増税など、これからの日本を担う世代に振りかかるさまざまなお金の問題との乖離に疑問を持ち、お金の知識の啓蒙活動を開始。

ファイナンシャルプランナー(AFP)や、SDGs検定、マネーマネジメント検定等の資格を取得し、2022年1月に一般社団法人日本金融教育推進協会を設立。
同法人の代表理事を務める。

横川さんのインタビュー記事はこちらから!
「収入=給与」に縛られない。経済評論家・横川楓さんに聞く、独立・起業に必要な2つの条件

<聞き手プロフィール>
庵(いおり)
イラストレーター

都内に住む27歳のフリーランスイラストレーター。
学生時代から絵を描くことが好きで、数年前から副業としてイラストレーターの仕事を受けるようになった。
近年は副業での収入が本業の稼ぎより多くなったことから、独立を決意する。

「住まいの損害」を網羅的にカバーできる! 火災保険の特徴

横川さん
今回のテーマは火災保険と地震保険について。

庵ちゃんは、火災保険と地震保険の違いについて知っているかな?

庵ちゃん
意外とよく知らないんですよね……。賃貸の物件を契約する時に、火災保険には加入した気がします。
横川さん
火災保険とは、国民全員が加入しなければならない公的医療保険のようなものではなく、あくまで民間の保険会社が販売している商品のこと。

だから当然、加入するかどうかは任意ではあるものの、賃貸の物件を契約する時には加入必須である場合が多い(加入しないと契約できない)ことから、実質的に必須保険に近いとも言えるんだ。

まずはそんな火災保険の特徴について見ていこう。

火災保険の定義

横川さん
一言で言えば「住まいの損害に備える保険」。

名前の通り、火災はもちろん、落雷、破裂、爆発などによる被害に対応している場合が一般的。

また商品やプランによっては、風害、雪害、水害、盗難も対象内になるものもあるよ。

台風などの被害も、火災保険の対象だよ。

庵ちゃん
「住まいの損害」というだけあって、かなり守備範囲が広いんですね。

火災保険の保証の範囲

横川さん
主に建物や家財に対しての損害に対して、一定の保険金が支払われるよ。

金額は商品やプランにもよるけど、基本的には「モノ」に対してではなく「建物」そのものに対して支払われることが多いんだ。

だから例えば高級な調度品が被害に遭った場合、火災保険の保険金では補償しきれないなんてこともあるから、注意が必要だよ。

賃貸で(ほぼ)必須で加入しなければならない理由

庵ちゃん
先ほど横川先生がお話していた通り、賃貸では火災保険の加入が必須であることが多いですよね。なぜでしょうか?
横川さん
賃貸には、賃借人(物件を借りる人)に原状回復義務というものがあるんだ。

それは物件で火災(をはじめとする大規模なトラブル)などが起こった場合にも、もちろん適用される。

とはいえ、火災で真っ黒になってしまった部屋を元通りに戻すには、膨大なお金がかかるよね。

そこで、賃借人の負担を減らすためにも、賃貸人(大家さん)のリスクを減らすためにも、賃貸の場合は任意保険でありながらほぼ必須で加入するケースが多いんだよ。

事務所、店舗を開業する場合は?

庵ちゃん
例えば独立・起業をして、自分で事務所や店舗を開業する場合も、火災保険には加入した方がいいのでしょうか?
横川さん
そうだね。

事務所や店舗が賃貸であれば、住居用の賃貸と同じように、契約する際に加入を求められると思うし、自分で事務所や店舗を設立する場合も、個人的には加入した方がいいと思うよ。

理由はさっきもお話した通り、建物や家財を被害を受けると、とても大きな金額を負担することになってしまうからね。

ちなみに事務所や店舗のために支払った火災保険は、確定申告で経費扱いにできるからその点も覚えておこう。

地震が多い地域や海沿いの地域は必須? 地震保険の特徴

地震保険と火災保険の違い

庵ちゃん
では地震保険と火災保険はどのように違うのでしょうか?
横川さん
基本的には火災保険と同じで、建物や家財の損害に対して一定の保険金が支払われるよ。

ただ地震保険は、地震によって発生した火災や、火山の噴火、津波での被害などにも補償の範囲が広がるんだ。

庵ちゃん
同じ火災は火災でも、地震による火災は、火災保険の対象外なんですか?
横川さん
残念ながらそうなんだよね。

同様に火山の噴火や津波による被害(たとえそれが火災であっても)は、火災保険の対象にならないんだ。

地震保険はいわば、そうした、地震をはじめとする不慮の自然災害にも対応できる火災保険とも言えるかな。

地震保険も賃貸を借りる上で必須?

庵ちゃん
地震保険も賃貸を借りる上で必須なのでしょうか?
横川さん
いや、必須ではないよ。大前提として、地震保険もまた任意保険だし、火災保険のように契約の際に加入を求められることも多くないと思う。

ただ地震が多い地域や、海沿いの地域にお住まいの方は、津波も対象になることからも、加入を検討した方がいいかもしれないね。

ただし地震保険はその性質上、火災保険とセットじゃないと入れないから、その点は注意しておこう。

ちなみに地震保険は、一般的に居住用の建物に限られる場合がほとんどなんだ。だから事務所やお店を借りる際に、地震保険を検討したい場合は注意が必要だよ。

企業向けの地震保険もあるから、そちらを検討してみてね。

居住用も事業用も、火災保険はマストで加入すべし。保険の選び方も横川先生が解説!

庵ちゃん
ここまでの解説をまとめると、火災保険はマストで加入した方が良さそうですね。
横川さん
うん。任意保険ではあるものの、居住用あるいは事務所用の物件を問わず、火災保険は基本的には加入した方がいいと、私は思うよ。

地震保険は、例えば海が近くにある場合など、心配であれば加入を検討してみてもいいかもしれないね。

庵ちゃん
火災保険や地震保険の選び方について、横川先生のおすすめがあれば教えてください。
横川さん
一口に「火災保険」「地震保険」と言っても、保険会社によって商品の種類が異なるからね。

オーソドックスな選び方としては、自分に合った補償内容と保険金、そして月々支払う保険料の額から算出するやり方かな。

あとは保険会社によっては、クレジットカードのポイントが優遇されたり、貯まりやすかったりすることもあるよ。

自分のよく使っているポイントが、どの保険会社と相性がいいかという点から、使う保険を考えてみてもいいかもしれないね。

また、最近ではインターネット専用で手続きをする、ネット専用の保険会社なんかもあったりするんだ。

そうした実店舗を置いていない会社だと、より月々の保険料がお得になっていたりするから、コスパ重視の人はぜひそちらも検討してみてね。

最後に、賃貸を借りる場合は、不動産会社から勧められる保険にそのまま入るのではなく、自分で保険会社と商品を選ぶことをおすすめするよ。

不動産会社が勧めてくる保険の場合は、若干割高になっていたりするからね。その点にも留意して、自分に合った保険を選んでいこう。

庵ちゃん
横川先生、ありがとうございました!

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