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Aqua Timezの、その先へ。Daisukeが描く、作曲がより身近になる世界

Aqua Timezの、その先へ。Daisukeが描く、作曲がより身近になる世界

あなたにとって、音楽とはどのような存在ですか?

テレビをつければ、街を歩けば、喫茶店に入れば、ふと耳に入る。

そんな日常の一部となっている音楽に、それぞれの人生において、その大小はともかく、何かしらの影響を受けたという人は多いのではないでしょうか。

前回に引き続き、今回もお話を伺うのは、Aqua Timezのギターとして活躍し、現在は作曲家・編曲家として活動しているDaisukeさん。

Daisukeさんは、今やパソコン1つで作曲・編曲が簡単にできる時代になってはいるものの、世間の音楽に対するイメージはまだ「敷居が高い」と言います。

前編では、Aqua Timezとしてのキャリアを中心にお話を伺いましたが、後編ではDaisukeさんの作曲家・編曲家としての新たな活動について掘り下げていきます。

バンド解散後、Daisukeさんが新たな人生でやりたいことは何なのか。そして、どのような夢を掲げて進んでいくのか。

作家志望の方はもちろん、作曲に興味がある方、これから新たな道を進まれる方は必見です。

<プロフィール>
Daisuke Hasegawaさん
元Aqua Timezギター・プログラミング・コーラス担当/作曲家・編曲家

1977年生まれ、福島県出身。
5歳よりピアノを習い始め、13歳よりシーケンサーによる作曲を始める。それと同時にドラムもスタート。

兄の影響で14歳でギターを始める。この頃より「X JAPAN」のコピーバンドをスタートする。16歳の時、「METALLICA」のコピーバンドを結成。地元のバンドコンテストで優勝する。この頃からいくつかのバンドでギター・ベース・ドラムを担当。

大学へ進学後、軽音楽サークルへ入部。多ジャンルの曲をコピーし、いろいろな奏法を習得。

2003年に「Aqua Timez」へ加入。ギターとシーケンス(打ち込み系)を担当する。同年から2年連続で「新星堂バンドコンテスト」で関東大会優勝。

2005年「空いっぱいに奏でる祈り」をリリース。以降、メジャーデビューを経て13年間バンド活動を行う。

バンド活動において、ギター以外にも作曲・編曲なども担当。さらにはAqua Timez以外の音楽活動も行う。

2018年11月、ラストライブを横浜アリーナで行いバンドを解散。以後、作曲家・編曲家としての活動を始め、2019年1月から「Daisuke Hasegawa 作曲教室」にてDTMやギターなどのレッスン業務を開始。

「作曲が身近な世界」を作りたい。Aqua Timez解散後、Daisukeが作曲教室を開講した理由

ー前編では、Aqua Timezとしてのキャリアを振り返っていただきましたが、後編では、Daisukeさんの作曲家・編曲家としての新たな活動について伺っていきたいと思います。バンドを解散してから現在に至るまでの経緯を教えてください。

Daisukeさん
まず、Aqua Timezの解散が決まった時、「自分は1人になったら何ができるのか」を考えました。

新たなバンドを結成することも考えましたが、15年間ずっと5人で活動してきたので、「1人で音楽活動をしてみたい」という願望が生まれてきたんです。

それから自分のキャリアが活かせる仕事をいろいろと模索していきました。

そして、最終的に候補として絞り込んだのが作曲・編曲をする「作家業」だったんです。

ただ、作家業については僕自身あまり理解できていませんでした。

「そもそも作家業ってなに?」みたいな(笑)。

なので、昨年11月18日に開催した横浜アリーナでのラストライブを終えた後、どのような仕事なのかを調べてみました。

いろいろと探っていくと、作家が所属する事務所があることが分かったんです。

作家事務所というのは、レコード会社と作家の間に入ってコンペの受注・発注をするなど、作家のマネジメントを行ってくれる事務所です。

その存在を知り、まずはどこかの事務所に入るべきだと思った僕は、バンド活動中に作ってあった音源がいくつかあったので、ある事務所に送ってみることにしました。

すると、すぐに「一緒にやりませんか?」と連絡がきまして。

面接でいろいろとお話を伺った結果、そこでお世話になることを決めたんです。

ー「自分のキャリアが活かせる仕事」を模索したと仰っていましたが、そこに「就職」という選択肢はなかったのでしょうか?

Daisukeさん
ありませんでしたね。

何故かというと、父が自動車関連の自営業をやっていたんですね。

そういう環境の中で育ってきたので、自分のルーツ的に「サラリーマンになる」という考えはそもそも持っていないんですよ。

Aqua Timez結成直後は、働かないと食べていけない状況だったので就職せざるを得ませんでしたが、バンド解散後は「会社員になる」という選択肢は全くありませんでした。

それに僕の知り合いには起業家がたくさんいるので、彼らと一緒にご飯やお酒を飲みに行く機会が多いんですね。

彼らのように、好きな仕事をしてムーブメントを起こしている姿を見るたびに「本当に楽しそうだなぁ」と感じていて。

だからAqua Timez解散後も、自分の好きな「音楽」の仕事で、独立して飯を食っていきたいなと、より強く思ったんです。

ーそれでバンド解散後、作曲家・編曲家としてのキャリアをスタートされたわけですね。

Daisukeさん
はい。でも、いきなり作家業だけで食べていくのはさすがに厳しいなと…。

Aqua Timez時代はメジャーシーンで音楽を作っていましたが、作家としてはまだまだキャリアは浅いですから。下積みも必要ですし、早い段階での安定した収入は見込めないので。

そこで、すぐに始めてもある程度お金を稼げるような、生活の基盤となる仕事もやろうと思い、「レッスン業」も始めようと考えたんです。

日本を代表するギタリスト・高山一弘さんが東京・新宿でギター教室を開いているのですが、彼にレッスン業についていろいろお聞きし、参考にさせていただきました。

ただ、僕はギタリストではありますが、ギターだけではなく「楽曲制作をトータルで教えたい」という想いがあって。

理由としては、音楽が好きな人が自分の時間を使って、楽器経験の有無を問わず自由に楽曲制作ができるような、そんな「作曲が身近な世界」を作っていきたいからです。

だから今年の1月、東京・目黒で作曲をトータルでレッスンする「Daisuke Hasegawa 作曲教室」をスタートさせました。

作家・Daisukeとして新たな価値の創造を。5人から1人になったからこそ歩む、個性を活かしたキャリア

ー作曲をトータルでレッスンするということですが、具体的にどのような感じで教えているのですか?

Daisukeさん
僕のホームページを見ていただくと分かると思うのですが、レッスンメニューがめちゃくちゃあるんですね。

Daisukeさん
「作曲レッスン」「編曲レッスン」「DTMレッスン」「ギターレッスン」「ライブアレンジ」「機材サポート」、あとはこの項目以外の音楽についてレクチャーする「その他」のメニューなど、豊富なバリエーションを用意しています。

僕の作曲教室では、このメニューにある内容の全てをお教えし、その受講者の音楽活動がより良くなるようサポートさせていただきます。

「趣味で音楽を作ってみたい」という方は「初心者コース」、「プロのミュージシャンを目指したい」という方は「プロコース」、そして既にプロとして活動されている方は「アーティストコース」を選んでいただき、その受講者のレベル・目的に応じて各メニューをこなしていく。

作曲・編曲はもちろんですが、音楽の基礎から楽器の演奏や機材の使い方、僕がメジャーでの経験を通じて得たライブやレコーディングなど現場における実践的な指導もさせていただきます。

ーDaisukeさんに作曲をイチから教わることができるというのは本当に贅沢ですね(笑)。実際にレッスン業を始めてみていかがですか?

Daisukeさん
まだ作曲教室はスタートしたばかりなので、はじめは僕自身が教えることに不慣れで苦労しましたが、だんだんと生徒さんが求めていることに対して臨機応変に対応できるようになってきました。

少しずつ教える内容も定まってきたので、今後はもっとレッスン業の幅を広げられるようなプラスアルファのメニューもできるようになるんじゃないかと思っています。

ーそういった楽曲制作を教えるレッスン業、そして作家業と、Aqua Timez解散後も「音楽を作る」ことを仕事にされているDaisukeさんですが、作曲する上で大切にされていることがあればお聞きしたいです。

Daisukeさん
バンドを組んでいる頃から共通しているのは、あくまで「いい音楽を作る」こと。

というのも、作家業はアーティストやクライアントから依頼を受けて音楽を作る仕事なので、主に商用音楽を作るのですが、商用であることをベースに考えすぎて「自分の色を失ってはいい音楽を作れない」と思っているんですね。

それはクライアントからどんな要求があったとしてもです。

Aqua Timez時代もそうでしたが、やはりプロである以上、1つ1つの作品に自分の個性を持たせることにはこだわって仕事をしています。

もちろん「オーダー通りの音楽を作ること」も大事です。

ですがやはり「この人じゃなきゃダメだ!」と思われるような仕事をしたい。その上でいい音楽を作りたい。

この仕事観は、今後もブラさずにやっていきたいと思いますね。

ー個性を大事にするDaisukeさんたちが作る楽曲だからこそ、Aqua Timezの音楽は15年間つねに支持され、そして解散した今でもファンから愛され続けているのですね。

Daisukeさん
それは本当にありがたいことだなと、1人になった今も感じています。

なので作家としても、そうやってずっと聴いていただけるような楽曲を作っていきたいと思いますね。

それに解散して1人になったからこそ、さらに自分らしく個性的な楽曲の制作、あるいは新しいビジネスにチャレンジしたいと思っているんです。

今までは事務所やレーベルといった所属先があったので、仕事を取ってきてくれたり、トラブルがあれば処理してくれたりと、いろんな面でサポートをしてくれました。

ですが、今は何をするにも全て自己判断・自己責任です。

自分の好きな仕事をし、それを自分の裁量で進めることができる分、もしトラブルが起きたら尻拭いをするのも自分自身。1つ1つの行動に覚悟を持たなければいけません。

でも逆に言えば、自分の判断で面白いことが何でもできるようになります。

作家業・レッスン業もそうですが、解散後は人と交流する機会が増えたので、いろんな方から聞いて得た知恵を自分の仕事に取り入れたり、あるいは誰かとコラボして新しいプロジェクトを進めたりもできる。

お互いに相乗効果を発揮して、今までになかった新しい価値が生まれるかもしれない。

そういうことを考えたら、楽しくて仕方がないんです(笑)。

可能性は無限大だと思うので、今の仕事も含め、いろいろとチャレンジしていきたいと思いますね。

音楽の敷居を低くし、誰でも気軽に作曲できる世界へ。Daisukeが「DTM」の普及を通じて実現したい夢

ーもうDaisukeさんの今後の活躍が楽しみすぎて仕方がありません(笑)。では改めて、これからの音楽活動を通じてやっていきたいこと、伝えていきたいことがあれば教えてください。

Daisukeさん
作家としてはまだあまり実績がないので、今はとにかく結果を残すことだけを考えています。

レッスン業に関しても、先ほどお話した通りスタートしたばかりなので、まずは売り上げを確保し、安定軌道に乗せていきたいです。

どちらもある程度の成果を出して落ち着くことができれば、自分の視野も広がって、新たな挑戦に挑むための準備を整えることができると思うので。

あと「伝えていきたい」というところで言うと、作曲教室を通じて「DTM(デスクトップ・ミュージック)」の存在を広めていきたいと考えています。

DTMというのは、パソコンを使った音楽制作・作曲の総称。機材を揃え、環境を整えれば、楽器が出来なくてもゼロから自分の思い通りの曲を作ることができるんです。

今はパソコン1つあれば誰でも作曲・編曲ができる時代。でも、音楽好きでもDTMを知らない人はまだ多いので、もっと普及させて「作曲ってこんなに気軽にできるんだ」ということをたくさんの人に知ってほしい。

先ほどお話した「作曲が身近な世界」を作りたいというのはズバリ、こういう理由です。

それに僕自身、今こうして作家をしていて思うんです。

おそらく今後は専業の作家ではなく、仕事をしながらの「兼業作家」の方が圧倒的に増えてくるだろうな、と。

今や副業は当たり前の時代に突入してきていますから、会社員が休日を利用して作曲し、サイドビジネスとして作家業をすることが当たり前になってくると思うんです。

これは僕もそうなんですが、作家だけで音楽と関わっていこうとは考えていなくて。もちろん作家業はやるけど、レッスン業もやるし、なんならギタリストとしてギター演奏もやるし、みたいな。

そういう“マルチプレイヤー”のような存在が望ましいなと。

だからDTMをもっと普及させて、音楽が好きな人が自由に楽曲を作り、世の中に音楽があふれていく。

そんな世界を作っていきたいですね。

ー音楽の敷居を低くし、誰でも気軽に作曲できるようになれば、ビジネスとしての選択肢の1つになるだけでなく、国内における音楽文化の発展・普及にもつながりますね。では最後に、Daisukeさんのように新たな道に進もうとしている人にメッセージをいただけますか?

Daisukeさん
はい。

もしこれから会社を辞めて独立・起業をされるという方は、前述した通り、何をやるにも全て自己判断・自己責任だということを肝に銘じておいてください。

やはり会社勤めをしていると、良くも悪くも、安定した給料だったり福利厚生があるので、仕事面・生活面においてある程度保証されているわけじゃないですか。

でも退職して、全て1人でやらなければいけない状況になれば、極端な話、自分が稼がなければ何もかも終わってしまう。

何をするにも収入の不安定さをはじめとした、さまざまなリスクが付きまといます。

ですが、独立・起業は自分が思った通りに行動に移せる、というのが最大の強み。会社や人の制約を気にせずに、どんなことにもトライできます。

もし、その挑戦が失敗で終わったなら、また新しいことに挑んでいく。こうしたトライ&エラーを繰り返すことが重要だと思います。

なので、自己責任は伴いますけど、独立・起業というのは僕の中では全て楽しいこと。そういう感じで、あまり悲観的に考えずポジティブに捉えながら前に進んでいけば、きっとあなたの人生にも楽しい音楽が鳴り響くのではないでしょうか。

文=佐藤主祥 https://twitter.com/kazu_vks
取材・編集・撮影=内藤 祐介

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