安田祐輔さん(35歳)
VOL.235不登校や中退などからの再起を支援する塾
中学は中退、一家は離散。大学に合格して人生が変わった!と思ったのに、就職した総合商社は4カ月で退職しました。発達障害の影響だと思います。感覚過敏で革靴を履いていると足がムズムズ。興味のない仕事は全くできないし、その仕事が正しいと思えなかったのもつらかった。石油関連だったのですが、アフリカでおこる紛争の原因にもなっているわけで。ある日、パニックを起こしました。それから半年は引きこもり。転職しようにも、そんな人間が採用されるわけがない。起業するしかなかったんです。
休職中に考えたのは「人間の尊厳を守る仕事がしたい」ということ。やがて、僕のような不登校や中退者のための塾、キズキ共育塾のアイデアにたどりつきました。時代にも合っていたんだと思います。このミッションに多くの方が賛同し、応援してくれました。
何もないように思えた僕ですが、今にして思うと、「あった」のかもしれません。両親は離婚したけど、予備校のお金は出してもらえた。苦手なこともたくさんありますが、新規事業を考える仕事は向いています。キズキという会社をサッカーに例えるならワントップ型。僕がひたすら点をとり、ほか全員が守る。創業時から一緒にやっている人間には「いろいろ言いたいことはあるけど、メッシに守備はさせられない」と言われます(笑)。
撮影/刑部友康、片桐 圭、阪巻正志
アントレ2019.春号 「金も人脈も経験もなかった『まるごし企業 7人の勝ち方』」
より