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個人事業主も行う予定納税とは? 支払時期や減額申請、延滞税についても解説

個人事業主も行う予定納税とは? 支払時期や減額申請、延滞税についても解説

個人事業主の方は、毎年1月1日から12月31日までの事業所得や不動産所得を計算して、翌年3月15日までに所得税及び復興所得税の申告納税を行います。

その所得税及び復興所得税の納付額が一定以上あるとき、“予定納税”という制度があるのをご存じでしょうか。

「予定納税とは、どのようなときにかかってくるのか」
「いつ、どのように納税を行うのか 」
「所得が大幅に減少した場合は減額申請できるのか」

など、個人事業主の方が予定納税する際に気になる疑問について解説していきます。

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予定納税とは

予定納税とは、その年の5月15日現在において確定している前年分の所得金額や税額などを基に計算した金額(予定納税基準額)が15万円以上の場合に行う税金の「前払い制度」のようなものです。

前年の所得税及び復興特別所得税に基づき、7月と11月に予定納税基準額の3分の1相当額をあらかじめ納税する制度です。

1年分を一度に支払うと大きな負担になるかもしれませんが、年に3回に分けて納税することで計画的に納税できる可能性があります。また国税庁としても、事前に納税させることで未納を防ぐ意図もあります。支払う予定の金額を前もって納税するからといって損をすることはありません。確定した納税額が予定納税で納めた額より少なかった場合、後から調整されます。

個人事業主でも予定納税は行える?

個人事業主も予定納税の対象となります。また個人事業主として副業を行っている会社員の方や、株取引の売却益などにより所得が増えた方も対象となります。

対象となるのは、その年の5月15日時点において確定している「前年分の所得金額」や「税額」などを基に計算した予定納税基準額が15万円を超えている場合です。

その年の6月15日までに所轄税務署から「令和〇年分所得税及び復興特別所得税の予定納税額の通知書」という書面で、第1期分と第2期分にあわせて年間の合計予定納税額が通知されます。

「No.2040 予定納税」(国税庁)

事業所得や不動産所得がある場合

事業所得や不動産所得がある場合、個人事業主は、通常前年分の申告納税額がそのまま予定納税基準額となります。

前年に臨時所得がある場合

ただし、前年分の所得のうちに、山林所得、退職所得等の分離課税の所得、譲渡所得、一時所得、雑所得、平均課税を受けた臨時所得の金額がある場合などは前年分の申告納税額がそのまま予定納税基準額とはならず、一定の調整がされます。

予定納税はいつ納める?

個人事業主も行う予定納税とは? 支払時期や減額申請、延滞税についても解説

予定納税は7月と11月に、2回に分けて行われます。

・第1期分(7月1日から7月31日)
・第2期分(11月1日から11月30日)
※最終日の期限が土日祝日の場合は、その翌日が期限となります。

なお、予定納税額はそれぞれ「予定納税基準額の3分の1の金額」です。これに翌年3月15日までの確定申告を合わせて、年に3回納税することになります。

予定納税の納付方法

予定納税の納付方法について解説します。

振替納税の手続きをとっている場合

振替納税の手続きをすでにとって振替納税を利用している方は、納期の最終日に事前に指定した銀行口座から自動的に引き落とされます。

預金残高が足りなくならないように、事前に残高を確認しておきましょう。きちんと納税ができなかった場合、納付期限の翌日から納付する日まで、後述する延滞税が発生してしまいます。

振替納税の手続きをとっていない場合

振替納税の手続きをしていない方は、下記のような納税方法があります。

・ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)
・インターネットバンキングなど
・クレジットカード納付
 ※クレジットカード納付は決済手数料がかかります。
・スマホアプリ納付
・コンビニエンスストアからの納付(QRコード・バーコード)
 ※納付金額30万円以下に限ります。
 ※QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です
・金融機関又は所轄の税務署窓口で納付

「[手続名]国税の納付手続(納期限・振替日・納付方法)」(国税庁)

その年の6月30日時点で予定納税基準額よりも少なくなる場合

業績悪化などによって前年より所得が大幅に下がり、所得税や復興特別所得税の見積額が予定納税基準額よりも少なくなる場合はどうなるのでしょうか。

この場合、7月1日から7月15日までに所轄税務署に「予定納税額の減額申請書」を提出して承認されれば、予定納税額は減額されます。期限が土日祝日に当たるときは、その翌日が期限となります。

「予定納税額の減額申請書」は、国税庁のWebサイトからダウンロードできます。

「[手続名]所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続」(国税庁)

第2期の予定納税額のみ減額申請する場合

第2期の予定納税額のみ減額申請する場合は、10月31日の現況において申告納税の見積もりを出し、11月1日から11月15日までに所轄税務署から「予定納税額の減額申請書」の承認を得る必要があります。最終日の期限が土日祝日に当たるときは、その翌日が期限となります。

「予定納税額の減額申請書」は、国税庁のWebサイトからダウンロードできます。

「[手続名]所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続」(国税庁)

納付期限を過ぎると延滞税が加算される

予定納税は所得税の前払いではありますが、7月31日までと11月30日までと納付期限が決められているので、もしこの期限内に納めなければ延滞税が加算されてしまうので注意しましょう。

延滞税の計算方法は、延滞が2ヵ月以下か、2ヵ月を超過したかによって異なります。

【延滞が2ヵ月以下の場合】
・原則として年7.3%
・年「延滞税特例基準割合(2.4%)+1%」 
※どちらか低い方が適用

【延滞が2ヵ月を経過した場合】
・原則として年14.6%
・年「延滞税特例基準割(8.7%)+7.3%」
※どちらか低い方が適用

延滞税特例基準割合はその年によって異なり、令和4年と5年は延滞が2ヵ月以下2.4%、2ヵ月超過8.7%とすでに決められています。銀行の新規の短期貸出約定平均金利を元に定められているのです。

「延滞税の割合」(国税庁)

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3回目(確定申告)までに納税する金額

予定納税は本来、前年の確定申告額の3分の1相当額を、7月と11月の2回に分けて前払いする制度です。昨年とまったく同じ所得であれば、翌年の確定申告時、3月15日の所得税の支払いは残りの3分の1になります。

【納税シミュレーション】2022年の確定所得税額が45万円の場合

【2022年分の確定所得税額が45万円の場合】
第1期(2022年7月31日まで):予定納税15万円
第2期(2022年11月30日まで):予定納税15万円
第3期(2023年3月15日まで):確定所得税額15万円

所得が大幅に減っているのに予定納税の減額申請をしなかった場合

個人事業主も行う予定納税とは? 支払時期や減額申請、延滞税についても解説

逆に廃業や休業、業績不振などで所得が大幅に減っているのに、予定納税の減額申請をしなかったときはどうなるのでしょうか。

第1回と第2回の予定納税でそれぞれ15万円を納めていたが、確定所得税額が21万円となったとします。

確定所得税額21万円から予定納税額の30万円を差し引くと、9万円多く予定納税をしていることになります。

このように多く予定納税した分は確定申告で、もちろん戻ってきます。さらに戻る予定納税の金額によっては、「還付加算金」という利息が付く場合があります。

還付加算金とは

還付加算金とは、税金の納め過ぎがあった場合、地方税法の規定に基づき、過誤納金に加算して支払われるお金のことです。(参考:東京都小平市のWebページ)

過剰に支払った予定納税額に、一定の利息が付きます。

還付加算金 = 過誤納金額 × 日数 × 還付加算金特例基準割合* /365日
*還付加算金特例基準割合とは、「平均貸付割合」に年0.5%の割合を加算した割合をいいます。令和4年分の還付加算金特例基準割合は0.9%です

還付金がいつ支払われるかは、確定申告書の提出からだいたい1ヵ月から1ヵ月半程度が目安となり、申告時に記載していた銀行口座に入金されます。還付のタイミングは確定申告を電子申告している方が、郵送や窓口申請に比べると少し早くなり、確定申告から2週間から3週間程度が目安となります。

「ガイドブック都税」(東京都主税局)
(P.78より)
※リンクの遷移先はPDFファイルです。ダウンロードに大量の通信費がかかる可能性があります

予定納税の勘定科目

予定納税は個人事業主が納税するべき所得税であるため、事業の経費としては扱われません。もし事業の銀行預金から予定納税分の所得税及び復興特別所得税を納める場合には、「仕訳」が必要となります。

仕訳が必要な銀行預金や現金から所得税及び復興特別所得税を納める場合、勘定科目は「事業主貸(じぎょうぬしかし)」となります。

一方、事業とは関係のないプライベートの銀行預金や現金を利用する場合、仕訳の必要はありません。しかし後で納税を証明できるような記録は残しておきましょう。

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予定税額は前年の予定納税額に基づいて前払いするもの

予定納税はあくまで前年の予定納税基準額に基づく、前払い制度になります。

最終的に確定申告の所得税や復興所得税の計算をする中で、7月の第1期分と11月の第2期分に納めた予定納税額を差し引いたものが、最終所得税額となります。

予定納税額の方が少なければ残額が「第3期分として納税」となりますし、逆に予定納税額が多ければ、確定申告後に還付加算金とされます。

前年に比べて当期の売り上げが大幅に減少している場合には、予定納税した翌年の6月30日や10月31日までの現況で減額申請を行っても良いですし、還付加算金が付くこともあるので、そのまま前払いしておくこともできます。

いずれにしても、前払いした分は確定申告のときに精算されます。

逆に前払い制度だからこそ、「最終的にまとめて1年分の所得税の支払いを行えば良い」とはなりません。予定納税の納付期限から納付するまでの日数で計算して、延滞税がかかってくるのでご注意下さい。特に延滞期間が2ヵ月を超える場合に、延滞税は割高になります。

口座振替で予定納税を納める日や税額、残高を確認して正しく納税できるように準備しておくことをおすすめします。

<監修>
村上 年範さん/クレディ・テック株式会社 代表取締役
金融商品や不動産を活用した経営コンサルティングを得意とし、前職のプルデンシャル生命保険株式会社在籍時より担当したクライアント数は年間200社にのぼる。2013年クレディテック株式会社設立。金融と不動産を軸とし、税務・法務の観点から知識提供を行う、資産形成および財務のコンサルティングサービスを展開。海外不動産についても強いコネクションと発信力を持ち、これまでの取扱高は150MM以上。現在、「幻冬舎GOLD ONLINE」にて、幅広い資産形成ノウハウを連載中。

【村上年範 運営】金融・不動産にまつわるYoutubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCDq3bojqCvTnRXKu7Aur_Kg

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PROFILE

北川美智子

化学品メーカーやIT企業でコンテンツマーケティングを担当したのち、WEBライターとして独立。得意分野は金融、転職、健康ネタなど。

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