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こどもたちの体験と学びの場を展開し、社会で支える教育に挑む 社会起業家からのメッセージ

NPO法人夢職人/東京都江東区
理事長

岩切 準さん(35歳)

1982年、東京都生まれ。大学・大学院で社会心理学を学ぶ。2004年、任意団体「夢職人」を立ち上げ、08年にN P O法人化、理事長に就任。通年で提供している体験型教育プログラム、キャリア教育を通じて、こどもや青少年の成長を支援する場・機会づくりに尽力する。プログラムに参加するこどもや青少年は、年間で5000名を超えた(18年2月現在)。地方の自治体や支援団体らと築いたパートナー関係を核に、事業と活動エリアは一層の広がりを見せている。

東京都江東区を活動拠点に、小・中学生を対象にした社会教育事業を担うNPO法人「夢職人」。代表である岩切準が任意団体を立ち上げたのは大学3年の時だ。以来、異年齢集団での野外活動や文化・芸術活動などといった独自の「体験型教育プログラム」を提供することで、こどもや青少年の“新たな成長の場”づくりに貢献し続けている。仲間たちと手弁当で始めた活動は、途中、運営が困難になるような事態にも見舞われたが、「こどもたちが自らの手で将来を切り拓いていけるように」という強い思いが岩切を支えてきた。
 根っこにあるのは、下町文化を残す江東区で育った岩切自身の原体験だ。地域の祭りやこども会の行事を通じて、たくさんの大人たちと触れ合ったことから「多くを学び、早くから自立心も養われた」。学校でも家庭でもない、いわば第3の場所がもたらす社会教育の意義を身をもって知っている。だからこそ、近年の地域教育力の低下に問題意識を持ち、多様な体験や、異年齢の仲間から刺激を受けながら成長していくことの大切さを発信し続けている。こどもや青少年の成長を“社会総がかり”で支える未来に向けて、岩切の活動は確実に進化している。

未来を拓く力を“社会総がかり”で
育成、サポートしていく。
それが、真に活力あふれる社会への道筋となる

━ 大学在学中に活動を始め、そのまま起業されています。

 もともと、児童養護施設や自然体験活動などを運営するNPOでボランティア活動をしていたんです。その過程で、昔のようにこどもと大人が自然に交流できる場が失われつつある実態を知り、仲間と何かできないかと始めたのが「夢職人」の活動です。年間を通じて、ワークショップやキャンプを実施し、スタッフも増えていったんですけど、組織経営に関しては未知だから、最初から起業を考えていたわけではないのです。

 実際、就職活動をして内定ももらっていたんですよ。でも活動は続けたいし…と迷っていたなか、先輩である社会起業家から「遠回りせず、飛び込めばいい。実践で成長できる」と助言されまして。立ち返れば、就職を考えたのは、社会人として学んだことを「夢職人」に反映させたかったからで、ならばこのまま走ろうと。日頃からこどもたちに「やると決めたら最後まで」と言ってきた手前(笑)、裏切ることもできませんしね。

━ 法人化されて10年、つらかった時期もあるのでは?

 何といっても3・11。あの大震災が起きてから自粛ムードが広がり、さらに放射能に対する不安から、こどもを外に出す活動は非難の対象になってしまいました。ようやく事業が回り始め、「いい活動だ」という評価が定着しつつあった時期だけに衝撃でした。1年ほどはかなりつらい状態が続きましたね。その間は被災地支援や防災に関する活動を実施しながら、メンバーとともに徐々に事業を立て直してきたという感じです。

━ 活動の成長を実感したのは?

 僕らの活動が本当にニーズに合っているのか、調査・研究に近い感覚でやっていた時代から、事業の仕組み化を押し進めた2013年頃でしょうか。都市部と地方の農山村をつなぎ、援農ボランティアを行うワークキャンプを始めたのもこの時期です。プログラムの拡大とともに、職務権限の分担であるとか、“組織”としての活動ができるようになってきました。

 うちは行政からの委託事業はやっていなくて、基本は事業収入で運営しています。委託事業は施策に左右されやすく、単年度で終わってしまう事業も多いでしょう。継続できる自立した事業を、という思いが強いんですね。だからプログラムも、参加者たちの意見を取り入れながら常にバージョンアップを図ってきました。エネルギーはかかるけれど、その点にうちの特徴があると思っています。

━ 昨年、新体制での事業が始まって活動が一層広がりましたね。

 横浜で同様の活動をしていた団体の事業を譲り受けたのを機に、足場を広げようと。その土地ならではの魅力、教育資源は全国にあるわけですから、ネットワークを構築し、都市部のこどもたちにもっと多様な体験の場を提供したいのです。旅行会社とも連携し、いわばプラットフォーム型の事業を進めているところです。

 まさに連携、協働が重要で、次代を担うこどもや若者は社会総がかりで育てていく必要があります。日本の教育を悪く言う人は多いけれど、世界的に見れば、これだけ教育インフラが整っている国って少ないんですよ。ただそのぶん、伸びしろには限界がある。何でもかんでも学校や家庭に求めるのはもはや違うと思っていて、重要なのは“第3の教育”、その受け皿を多様につくっていくこと。さまざまな体験や人との関わりは、今後ますます変動する社会を生き抜くための大きな糧となります。民間も行政も、皆が一丸となって、社会で生き生きと活躍できる若者を育てていく――そんな未来を描いて、精いっぱいのチャレンジを続けたいと思っています。

取材・文/内田丘子 撮影/押山智良

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