創業時までに準備しておきたいITツール　　～新人経営者の基礎知識～

クラウドサービス　あると便利なツール

今回は、創業時にあると便利な社内システム・社内外のコミュニケーション基盤を作ろうというのがテーマです。スタートアップ企業とこれから起業される方々に向けて、お手伝いが少しでもできればと思います。
社内システムや社内外のコミュニケーション基盤に関しては、必要なものだけれど、できれば費用をおさえたいという方も多いと思います。
そういった場合、主に必要なツールは、社内でのファイル共有ツール、コミュニケーションツール（グループウェア）、業務アプリケーションツール（顧客管理など）、広報ツール（ホームページやSNSなど）があげられます。

今回は、主にクラウド型のサービスをご紹介させていただきます。このサービスのメリットは、設備投資費がほとんどかからない、保守などの費用もかからない、バージョンアップしていくのでいつでも最新の機能を利用できる、企業の成長スピードに応じて簡単にカスタマイズもできる、というところです。これらのメリットがスタートアップ企業にマッチしているというのが、今回クラウドサービスをご紹介する理由です。

共有ファイルサーバー　社内の情報共有

社内の共有ファイルサーバーは、「Dropbox」が日本で知名度が高いのですが、この無料版などを使用している方も多いのではないでしょうか？　今回は、より企業向けのサービス内容となっている「Box」をご紹介します。
「Box」はセキュリティーの高さが評価され、世界中の企業で利用されているサービスです。これまで、ファイルサーバーの違いを見るとき、容量が重視されることが多かったのですが、「Box」の場合、基本的に容量は無制限ですし、サーバーの保守を行う必要もありません。また、人によって閲覧できるファイルも制限可能ですし、アクセス履歴も見ることができます。

次は、社内コミュニケーションツール（グループウェア）についてです。こちらは「サイボウズ」や「Google Apps」などが非常に有名ですが、今回は「Office 365」をご紹介させていただきます。「Office 365」というサービス名を聞いたことがある方は非常に多いと思いますが、これは最新のOffice（「Word」、「Excel」、「PowerPoint」）を利用するためだけのツールではありません。月額支払いで利用できる、企業向けクラウド版グループウェアなのです。具体的に何ができるのかというと、メール・予定表（スケジュール管理）・コミュニケーションツール（社内用SNS）・サイト（掲示板のような機能）・ストレージサービス（1TBまで利用可能）・各種Officeソフト、「Skype」（オンライン通話のできる電話、Web会議も簡単）など、非常に充実した機能を備えています。

業務アプリケーション　広報の考え方

顧客の名刺を管理する方法を試行錯誤されている方に、ご紹介させていただきたいのは「Evernote Business」という世界中で利用されている「Evernote」のビジネス版です。「Evernote」のOCR機能を利用して名刺の情報を自動で読み込み、データ化してくれるものです。「Evernote」の大きな特徴でもある検索機能と組み合わせることで名刺の検索も簡単になります。また、スマートフォンで「Evernote Business」を使用する際は、住所をタップすれば地図アプリが立ち上がりますし、直接電話をかけることも可能になります。それ以外にも社内での情報共有ツールとして、チャット機能など、多くの機能があり非常に人気のあるサービスです。

Web上の広報・集客ツールは、以前ですと自社のホームページを立ち上げるぐらいでしたが、今では「Facebook」や「LINE」などで公式ページが無料で作れるようになっています。ですが、顧客が企業を調べる際、信頼できる企業かどうかを判断する際に重視しているのがホームページです。ホームページを多くの方に見てもらうためには、常に情報が更新されている「生きているホームページ」であることが大事です。検索時に上位にあがってくるための最低条件となります。情報を常に更新していくためにもクラウド型の「CMS」サービスを利用することをお勧めします。「CMS」とは、簡単にいうと、今までは専門の管理者しか触れなかったWebコンテンツなどを、それ以外の人でも簡単に管理できるように開発されたシステムです。 通常のサイトよりも手軽に更新できるため、Web構築技術や担当者がいなくても、簡単に作成できるというのが大きなメリットです。

今回、いくつかのサービスをご紹介させていただきましたが、それぞれが得意とするジャンルがありますので、必要に応じてサービスを組み合わせて運用していただきたいです。そして、最も重要なのはツールに使われるのではなく、使いこなすために、何のためにそれらを利用するのかという目的をまずは明確にすることです。皆さんがITツールを活用して、より高いステージへと羽ばたく一助となれば幸いです。