社員時代は気にしたことがなくても、フリーランスになったら毎年行わなくてはいけないのが『確定申告』。確定申告をしたことがない人にとっても、忙しくて作業に時間を充てられない人にとっても、なるべく自分の作業を減らせたら確定申告も楽になりますよね。そんな人のために、確定申告に使えるおすすめの会計ソフトを8つまとめてお伝えします。
フリーランスは確定申告が必要
会社員として働いて給与をもらっている人は、毎月の源泉徴収により所得税が納められています。このとき、支払いすぎてしまった所得税の還元を受けるための制度が、毎年末になると行われる『年末調整』です。会社員の場合、所得税の納税も支払いすぎた税金の還元も、会社が代行して精算してくれます。そのため、個人で何か作業を行う必要はありません。
それに対してフリーランスは、このような作業をすべて自身で行わなくてはいけません。また、フリーランスが受け取る報酬は『所得税相当額が源泉徴収によって差し引かれた金額』であることも多いです。そのため、フリーランスの人は正しい所得税を確定させるために、収入から課税対象とならない必要経費や各種控除などを税務署に申告しなくてはいけません。これが『確定申告』です。
下記記事では、インボイス施行後初の「消費税」確定申告と、そのポイントを税理士が解説しています!
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慣れない確定申告を楽にするためには会計ソフトの活用は必須
フリーランスになって初めて確定申告をするとき「何から手をつければ良いかわからない」「紙やエクセルで記帳や仕訳をしていたけど、作業時間がもったいない」と感じている人は多いのではないでしょうか。このような人は『会計ソフト』の活用をおすすめします。
会計ソフトとはどのようなもので、具体的にどのようなことを実現できるソフトなのでしょうか。会計ソフトを一言で表すと『自動化』が最も適切でしょう。会計ソフトは以下のようなものを自動化できます。
・カードや銀行情報など取引データの取り込み
・レシートや領収書のデータ読み取り
・仕訳表や元帳などの帳簿、資金繰り表などのレポート作成
このように、会計ソフトは経理業務にあたる作業を自動化できるため、確定申告を自身で行う人の強い味方になるのです。
下記記事では、副収入分の確定申告について、ケースごとの確定申告の有無や納税方法を解説しています!
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確定申告で使える会計ソフトの種類
会計ソフトには、大きく分けて3つの種類があります。インストール型(買い切り)・クラウド型・ERP(統合基幹業務システム)の3つで、無料で使えるサービスがあるのは『インストール型』もしくは『クラウド型』です。ERPは、導入費やランニングコストあわせて数百万~一千万円の費用をかけてカスタマイズして利用する、主に大企業向けのものです。フリーランスの人は選択肢に入れる必要はないでしょう。
では、インストール型とクラウド型では、どのような違いがあるのでしょうか。
クラウド型の会計ソフトは、オンラインで会計情報を管理したり処理したりすることが可能です。初期費用がかからない代わりに、月額使用料がかかる『サブスクリプション』になっているケースが多いです。また会計ソフトや選択するプランによっては別途サポート料や追加ライセンス料が発生するものもあります。
端末にデータを保存する必要がなく、インターネット上でサービスが提供されているので、インターネット環境さえ整っていればどこからでも作業ができます。クラウド型にはフリーランスの方に多いMacに対応しているサービスが多いのも、フリーランスの人にとってはうれしいポイントでしょう。
それに対してインストール型は、パッケージを量販店やウェブ上で購入しダウンロードすることで、オフラインで会計情報を管理、処理することが可能なサービスです。1万円~数十万円のパッケージ購入費が発生しますが、月額使用料などのランニングコストをかけずに利用することができます。ただし、インストール型と比べ、法改正のアップデートが有料だったり、自身で実施したりする必要がある場合もあるのはデメリットと感じる方もいるでしょう。
オフラインで利用できることや動作が安定していることから、クラウド型に比べ膨大なデータ処理に向いているといわれています。従業員を雇っているようなフリーランスの人は、インストール型が向いているといえるかもしれません。クラウド型、インストール型、それぞれにメリットデメリットがあるため、どちらが自身にとって使いやすいかは見極めが必要です。
下記記事では、サラリーマンにおすすめの副業で、確定申告あり・なし別の月3万円稼げる副業ランキングTOP10を紹介しています。
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確定申告を行うのにおすすめの会計ソフト8選
フリーランスで働く人たちが確定申告を楽にするためには、会計ソフトの活用は必須です。おすすめの会計ソフトを8つ紹介します。一部無料で使えるものと、完全に無料で使えるものを紹介します。自身の経済状況や必要な機能に応じて、どのようなソフトを使うべきか検討しましょう。(2023年5月時点)
1. クラウド会計ソフト freee会計【クラウド型】
フリーランスにおすすめの会計ソフトの1つ目は『クラウド会計ソフト freee会計』です。freeeの特徴は、データ取り込みや仕訳を自動化することで、大幅に経理業務の負担を軽減できることです。データ取り込みや仕訳の提案を自動でするだけでなく、登録まで完全に自動化しています。
さらに、リアルタイムで経営状況を把握できるレポートの出力も可能です。強固なセキュリティ対策や定評のあるサポート体制が整っているので、初めて会計ソフトを使う人でも安心して利用できるソフトといえます。
freeeは基本的に有料のソフトであるため、無料プランは最初に一時的にしか使えません。フリーランスの人は、個人向けのスタータープランが月額税抜き980円(※年払いの場合、都度払いは月額税抜き1480円)で利用できます。比較的安価なので、フリーランスになりたての人にもおすすめのソフトです。無料期間で費用対効果を確認してから、有料プランへの登録を検討しましょう。
無料期間を過ぎてしまっても無料で使い続けられますが、無料プランの実用性は低いです。そのため、無料プランはあくまでお試し程度だと思っておきましょう。
下記記事では、会社員の副業で20万以下の確定申告について、申告の仕方や節税のコツを解説しています!
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2. マネーフォワードクラウド会計/クラウド確定申告【クラウド型】
フリーランスの確定申告を楽にしてくれる会計ソフトの2つ目は『マネーフォワードクラウド会計/クラウド確定申告』です。これらを活用することで、会計処理にかかる時間を大幅にカットできるようになります。
『マネーフォワードクラウド会計/クラウド確定申告』は、2014年にグッドデザイン賞を受賞したサービスです。使いやすい画面設計、各種金融機関との連携による仕訳の自動提案、マネーフォワードクラウドの別サービスである勤怠や経費精算ソフトとの連携などさまざまな強みがあります。
『マネーフォワードクラウド会計』と『クラウド確定申告』は対象としているユーザーに違いがあります。『マネーフォワードクラウド会計』は『クラウド確定申告』にはない会計業務・請求業務・経費精算・給与計算・マイナンバー管理などの機能が備わっています。フリーランスとして個人で活動しているだけであればあまり必要ないので、『マネーフォワードクラウド確定申告』で十分でしょう。
『マネーフォワードクラウド確定申告』は月額税抜き980円(パーソナルプラン年払いの場合、都度払いは月額税抜き1280円)より利用可能です。1ヵ月の無料期間があるので、ここで費用対効果をきちんと試してから有料会員の登録をするようにしましょう。
下記記事では、「損益通算」「損失の繰越控除」について、詳しく解説しています。
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3. 弥生会計 オンライン/やよいの青色申告 オンライン【クラウド型】
確定申告を楽にしたいフリーランスにおすすめの会計ソフトの3つ目は『弥生会計 オンライン』です。『弥生会計シリーズ』はインストール型のサービスとして有名ですが、『弥生会計 オンライン』はクラウド型のソフトです。
『弥生会計 オンライン』は法人向けの会計ソフトなので、法人化を目指すようになったら、検討してみましょう。フリーランス向けのソフトは『やよいの白色申告 オンライン』と『やよいの青色申告 オンライン』です。ここでは『やよいの青色申告 オンライン』を中心に紹介します。
『弥生会計 オンライン』でも『やよいの青色申告 オンライン』でも、自動で取引データの取り込み、仕訳の自動登録ができます。そのため、経理業務の効率化ができるのはもちろん、家計簿をつけている感覚で簡単に確定申告ができます。確定申告が初めてのフリーランスの方や、簿記や会計の知識がない方でも安心して利用できるでしょう。
永久無料で利用できる『やよいの白色申告 オンライン』とは違い『弥生会計 オンライン』と『やよいの青色申告 オンライン』を無料で使えるのは、有料版の体験期間のみです。
『弥生会計 オンライン』は1年間無料、その後は年間税抜き26,000円のランニングコストがかかります。『やよいの青色申告 オンライン』は同じように1年間無料で利用でき、その後は年間税抜き8,800円(※セルフプランの場合)がかかります。
下記記事では、個人事業主が「外注費」を支払う場合の仕訳と確定申告の注意点を解説しています。参考にしてみてください!
https://entrenet.jp/magazine/16249/
4. フリーウェイ経理Lite【クラウド型】
確定申告を楽にしたいフリーランスの人におすすめの会計ソフトの4つ目は『フリーウェイ経理Lite』です。
フリーウェイ経理Liteは永年0円で使えます。『とにかくランニングコストを抑えたい!』『確定申告にお金をかけたくない!』というフリーランスにぴったりなサービスです。0円で使えるにもかかわらず、実務に支障が出てしまうような機能の制限がないのが、フリーウェイ経理Liteの最大の特徴です。
帳簿、伝票の入力、決算書の出力ができるほか、閲覧期間や出力データ数にも制限がありません。フリーウェイ確定申告Liteという個人事業主向けのソフトも用意されています。こちらでも青色、白色どちらの申告書類も無料で作成できるので、ぜひチェックしてみてください。1つだけデメリットといえるのが「スマホアプリがなく、WindowsのPCでしか使えない(Windows11、10対応のタブレットも可能だが、キーボードが必要) こと」です。
5. 円簿会計【インストール型】
フリーランスの人におすすめの5つ目の会計ソフトは、『円簿会計』です。
円簿会計には『完全無料』、『利用期間が無制限』、『クラウド型』という3つの特徴があります。円簿会計は広告収益モデルのため、通常高性能な会計ソフトだとインストール型で月額数万円、クラウド型であっても月額数千円する費用が無料で利用できます。
さらに、MacでもWindowsでも端末に左右されることなく利用できるのも、円簿会計ならではの強みです。
フリーランス向けの青色申告や営業支援など、さまざまなサービスが無料で用意されています。『確定申告のために会計ソフトを活用してみたい!』という方はぜひチェックしてみてください。
下記記事では、個人事業主が確定申告について相談できる相手を、税理士が解説しています!
https://entrenet.jp/magazine/22750/
6. ちまたの会計【クラウド型】
フリーランスの確定申告を格段に楽にしてくれる6つ目のおすすめの会計ソフトは『ちまたの会計』です。ちまたの会計は家計簿のような感覚で利用できるので「確定申告をおこなうのは初めて」「会計ソフトを使ったことがない」という人にもおすすめできます。クラウド型のソフトで、主にフリーランスのような個人、または小さいコミュニティでの活用に向いている会計ソフトです。
OSを問わず利用できるので、スマホやタブレット、PCなど使いやすい端末から利用できます。どの端末から見てもレイアウトが見やすく設計されているので、出先からでも気軽にチェックできるでしょう。
帳簿の自動作成や分析機能などがクラウド上で常にアップデートされるのにもかかわらず、無料で利用が可能です。
副業をしている会社員の年末調整方法や、対象の判断基準と確定申告の方法を更に知りたい方は、下記記事を参考にしてください。
https://entrenet.jp/magazine/45605/
7. やよいの白色申告 オンライン【クラウド型】
フリーランスにおすすめの7つ目の会計ソフトは、有料版である『やよいの青色申告 オンライン』の無料版ともいえる『やよいの白色申告 オンライン』です。『やよいの青色申告 オンライン』とは違い、白色申告での確定申告に特化したフリーランス向けのクラウド型の会計ソフトです。
「白色申告さえできれば十分」というフリーランスの人にとっては、機能の制限が一切ない使いやすいソフトでしょう。「有料版があるのに本当に無料で大丈夫なの?」と不安に思う方もいるかもしれませんが、有料版との違いはサポートの有無だけです。金融機関のデータや請求書情報の自動連携、仕訳・記帳の自動化や確定申告書の作成・e-Taxなどの機能は問題なく使えます。
「今年は白色だけど、来年は青色申告がしたい!」という人にもおすすめです。『やよいの青色申告 オンライン』へそのままデータを引き継げるので、長期的に見ても使いやすい会計ソフトであるといえるでしょう。
8. Main財務管理【インストール型】
フリーランスにおすすめの8つ目の会計ソフトは、完全無料で利用できるインストール型の『Main財務管理』です。オンラインでダウンロードできるのは体験版です。体験版をインストールした後にMBNサービス無料会員に登録することで、製品版にアップデートされ、無料で利用しつづけることができます。
複式簿記で記帳していく必要があるため、ある程度エクセルや紙での仕訳作業に慣れていて、なおかつ会計に関する専門用語に詳しい人にとっては導入しやすい会計ソフトでしょう。初めて確定申告をする人や、簿記や会計の知識がない人にとっては、少し難しく感じることもあるかもしれません。
個人事業主が確定申告で控除できる税金について、更に気になる方は下記記事を参考にしてください!
https://entrenet.jp/magazine/15430/
会計ソフトを使ってフリーランスの確定申告を楽にしよう!
フリーランスでいる限り、毎年行わなくてはいけない確定申告。しかし「会計ソフトは難しそう」「月額が高そう」というイメージを持っている人は少なくないでしょう。
しかし、中には初心者でも簡単に使いこなせる設計のソフトや、永年無料で使えるサービスもたくさんあります。会計ソフトを導入するだけで格段に作業量が減らせるため、ぜひ自身でも使えそうなものを見つけて、検討してみてください。
<文/ちはる>