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普通のOLが年商1億超えに! 自分の力を最大限に発揮するための、たった1つの方法

30歳。
お金、夢、彼氏、全部なし。

「ないない」だらけの人生からたった4年で、今や年商1億円を超える女性経営者への道を駆け上がっていったのが、今回お話を伺った鈴木実歩さんです。

「普通のOLが年商1億超えの女性経営者になる」
一見、華々しいイメージがありますが、実は全くそんなことはありません。

その裏には、苦悩や葛藤と人知れず戦った日々がありました。

<プロフィール>
鈴木実歩さん

未来シフト株式会社・代表
静岡県出⾝。東京都在住。
⼤⼿企業で働く傍ら「会社だけの収⼊に依存せず、⾃分でもお⾦を稼げるようになる」ことを⽬指し、30歳から副業で物販やアフィリエイト、Airbnb、イベント企画などを実践。

31歳のとき会社員⽣活を卒業し、⼈脈ゼロ、クライアントゼロから⼥性に向けた「コーチング」を仕事に独⽴。

SNSを使ったマーケティングと発信戦略で、初⽉から予約が殺到するコーチになる。会社員卒業3カ月後、⽉商100万円を超える。

その後、多くのリクエストから、⼥性のひとり起業を教える起業塾を開講。好きな仕事で⽉商100万円を超える⼥性を続出させる。

2017年11⽉現在に⾄るまで、東京・⼤阪・名古屋・福岡で開講したアカデミーならびにオンラインプログラムを通し、3,000⼈以上の⼥性と関わる。

現在、起業コンサルタント/企画プロデューサーとして、国内外でセミナーや講座を開催中。

2018年1月19日に初の著書『未来を自由に選ぶ力』を出版予定。
http://qq4q.biz/HMrZ

「金なし・夢なし・彼氏なし」で迎えた、“絶望の誕生日”からの脱却

―現在、女性を対象とした起業コンサルタントや、企画プロデューサーとしてご活躍されている鈴木さん。最初は会社員だったそうですが、なぜ起業をしたのでしょうか?

鈴木さん
私はもともと、父が公務員で母は専業主婦という家庭で育ったので、独立・起業と縁のない人生を送っていました。

大学を卒業した後、就職し、いくつかの転職を重ねました。いわゆる、普通の会社員だったんです。

そんな私に転機が訪れたのは、今から4年前。30歳の誕生日を迎えた時でした。

誕生日を目前に、当時付き合っていた彼と別れたんです。

同棲をしていたので、1人暮らしをするための新しい部屋の資金を払い、引っ越しをしてみると貯金がほとんどなくなってしまいました。

結婚したかった彼氏とも別れた、お金もない、仕事もつまらない…。そんな日々を過ごしていたんです。

―まさに「金なし夢なし彼氏なし」の状態だったんですね…。

鈴木さん
はい(笑)。

そんな状態で迎えた30歳の誕生日、心底自分の現状に絶望しました。

「私、それなりに真面目にがんばって生きてきたはずなのに、なんでこの程度の人生なの?」と、やりきれない気持ちになったんです。

―絶望の後、鈴木さんはどうされたのですか?

鈴木さん
とりあえず今ない3つの中で、まずは「お金」だけでもなんとかしてみようと思うようになりました。

当時の私は会社勤めをしていたので、会社から毎月お給料をもらっていました。

しかし「お金」を稼ぐための方法を模索していく内に、今の働き方って実はとても不安定なんだなと、思うようになったんです。

―会社にいても不安定だと感じたんですか?

鈴木さん
そうですね。

企業の大小に関わらず、いつどうなるか分からない時代なのに

「収入の全てを会社に依存している」
「キャッシュポイントが1つしかない」

といった状況って、まずいんじゃないかと感じたんです。

特に女性は結婚や出産など、ライフステージごとに働き方と向き合わなければなりません。

子育てしながら時短で働いている、周りの友人や先輩たちを見ていると、とても大変そうで、余裕なんてなさそうでしたし。

自分もいつまで今の会社にいるか分かりませんし、逆にいつ会社がなくなるかも分かりません。

だからこそ会社員のお給料くらいのお金を、自分の力で作れるようになりたいと思ったのです。

―具体的には何をされたのですか?

鈴木さん
まず始めたのは、物販でした。

やり方は単純で「ヤフオク」や「メルカリ」などを使って、不要になった“もの”を他の人に売っていくんです。

―いわゆる副業で小銭を稼ぐ、とてもシンプルな方法からスタートしたんですね。

鈴木さん
はい。

でも起業をしてから、数多くの女性とお話する中で分かったんですが、「ヤフオク」や「メルカリ」で“もの”を売ればお金に変換できる、って誰もが知っているシンプルな方法ですよね?

にも関わらず、実際にやったことがある人って意外と少ないんですよ。

―そうなんですか?

鈴木さん
職業柄「独立をしたい」という方や「複業(副業)で稼ぎたい」という方によくお会いするのですが、物販でお金を作れることは知っていても、実際の行動にまで移す人は決して多くありません。

理由は単純で「やり方をよく知ろうともしないし、なんとなく面倒くさい」から。

人は自分がやったことのないことは、やりたくないんですよ。それがたとえ誰もが知ってる(もしくは聞いたことがある)やり方であっても。

―たしかにやり方を知ってはいても、行動を起こすのって面倒ですし、ハードル高いですよね。逆に鈴木さんは、よく行動を起こしましたね。

鈴木さん
当時は「会社に頼らずに、せめてお金だけでもなんとかしたい」という思いが強かったので(笑)。

そんな感じで物販から始まり、アフィリエイトやAirbnb(エアビーアンドビー。Webサイトを通じて、自分の家や部屋を貸し出すサービス)にもチャレンジしました。

いろいろな方法でお金を作る実践をし続けていたら、周りの人からも徐々に「稼ぎ方を教えてほしい」と頼まれるようになり、コンサルやミニセミナーをするようにもなりました。

そのうち、会社の収入以外で月20万円ほどは、自分でお金を生み出せるようになったんです。

好きなことを仕事にする。人脈・クライアントゼロから、年商1億円に至るまで

―副業で月20万円稼げるといくぶんか「金なし」状態からは、解放されたのではないでしょうか?

鈴木さん
そうですね。お金があることもそうですが、それ以上に「私は会社の仕事以外でも、自分でお金を作れるんだ!」という自信を得られたのは大きいですね。

すると不思議と見える景色が広くなっていったんです。

いろんなことに挑戦してみると、様々な価値観にも触れられます。おもしろい生き方をしている人、尊敬する人にも出会えて、徐々に人間関係も変わっていきます。

―新しく付き合っていく人との出会いの中で、コーチングと出会ったのでしょうか?

鈴木さん
はい。

コーチングとは、対話でクライアントの自己実現や目標達成をサポートするコミュニケーション技術です。

会社員生活と副業を両立しはじめてしばらくしてから、たまたまコーチングを仕事にしている男性とお話しする機会がありました。

当時の私はコーチングについてよく知らなかったので、「コ—チングってどういうことをするんですか?」と聞いてみました。

すると彼は「やってみる? じゃあ最近イライラしたことはある?」とそのままセッションが始まったんです。

私は当時会社で一緒だった、ある同僚のことがどうしても気にいらなくて、そのことを伝えると、

「具体的には今日その同僚のどういう発言や態度にイラっとした?」
「どうして彼女はそういう行動をしたんだと思う?」

といった質問を、たくさん投げかけてくれました。

何かアドバイスをするわけでもないのですが、投げかけられた質問に繰り返し答えていくうちに「なるほど! だから私はその同僚に対して、こういう感情が湧いてくるんだ!」と気づくことができたんです。

―相手から投げかけられる質問に答えていくうちに、自分の感情や思い込みに気づくことができたのですね。

鈴木さん
その通りです。

私は“コーチング”が何かも知らなかったのですが、これはすごいなと思いました。

もともと、友人や後輩から相談を受けることが多かったし、人にすごく興味があったので、会社を辞めて起業するなら物販やアフィリエイトではなく、人と関わり続けられる仕事がいいと思っていました。

クライアントの情熱の源泉を見つけるお手伝いができたり、目標達成を応援できるコーチングに感動して、そこから資格を取り、思い切って会社を辞め、無我夢中でコーチングセッションの実践経験を重ねて独立に至りました。

―コーチングの持つ可能性に惚れ込んで、独立を果たしたんですね。

鈴木さん
そうですね。

「やっと自分がやりたいことが見つかった!」という手応えがありました。

メインターゲットを「未来を変えたい女性」に絞って、あとは来る日も来る日もコーチングセッション漬けでしたし、極端な話、24時間ずっとコーチングについて考えていました。

人脈ゼロ、クライアントゼロから起業したのですが、おかげさまで初月からたくさんの女性にご予約をいただけるようになりました。

―今振り返って、勝算はどこにあったと思いますか?

鈴木さん
この仕事が私にとって「自分が夢中になれて、世の中からも必要とされていた仕事」だったからだと思います。

会社での仕事や物販、アフィリエイトやAirbnbも、それはそれで楽しくやっていましたが、ここまで夢中になってのめり込んではいなかったと思います。

そういう意味でこの仕事は、私にとってやっと見つけた「モチベーションがいらないくらい、自然と情熱がわき続ける仕事」だったんです。

私のクライアントの多くは「現状に対して不安や不満がいっぱい。本当はもっと自分らしく輝く人生を送りたい」と思っている女性です。

そしてその女性とは、そっくりそのまま私のことです。

だからこそ夢中になれたし、夢中でやっていたらいつの間にかクライアントが増え、そのうちにセミナーや起業塾なども開催できるようになり、そして本の出版のお話までいただけるようになりました。

結果として売り上げも右肩上がりで伸びていきました。

“人生の転機“は自分で決める。憧れの人の思考をインストールして、行動しよう!

―コーチングを駆使して、数々の女性起業家の誕生をサポートしてきた鈴木さん。最後に、独立・起業を目指している方へ、アドバイスをいただけますか?

鈴木さん
まずは自分の理想とする働き方を実現している人たちを調べて、その人たちに会いに行くことをオススメします。

私が副業を始めようとネットでいろいろ調べていた頃、「派遣社員から、好きな仕事で月100万円稼げるようになった」というブログを見つけました。

最初は結構疑ったりしていたんですが(笑)、そのブログを書いていた人のトークライブが台湾で行われることを知り、思い切って申し込んだんです。

すると台湾の空港には、平日にも関わらず私と同じようにブログやメルマガを見て来場した参加者が30人以上いらっしゃいました。

彼らの言葉を聞いて、考え方をインストールしていくうちに、自分の中の価値観が変化していくのを感じたんです。

価値観が変われば行動が変わります。行動が変わると人生が変わります。

毎日、会社と家の往復で、同じような人たちと遊んでいたらなかなか変化は起こりません。

そういう意味で、あの時勇気を出して1人で台湾に行ってみてよかったなって思います。

―鈴木さんにとって、まさに“転機”となる旅だったんですね。

鈴木さん
というより「この旅を、人生の転機にする」と自分で決めたんです。

“転機”は奇跡みたいに突発的に起きるものではなく、自分でデザインするものだと、私は思います。

実際にこの台湾ツアーには30人以上が参加していましたが、全員にとって転機になったわけではないですし。

転機は自分でデザインできる。私たちは未来を自由に選ぶ力を必ずみんな持っているんです。

―他にご自身の経験から、読者へのアドバイスはありますか?

鈴木さん
新しい価値観をインストールしたあとは、とにかく悩むより行動ですね。特に最初は1点突破の行動量が必要です。

「量質転換」という言葉があるように、一定の量を積み重ねることで、質的な変化は必ず起こります。

しかし多くの人は、質が変わるほどの量をこなさなかったり、変わる前に行動を止めたりしてしまうのです。

自転車と同じで、こぎ始める時は力がいりますが、流れに乗れるとスーッと進むようになるんです。まずはそこまでやってみる。

例えば今年『多動力』でベストセラーになっていた堀江貴文さんも、同書の中でとにかくすぐに動くことの重要性を言っていますよね。

もちろん独立・起業をするならいろいろ考えたりリサーチすることは大前提ですが、てっとり早いのは「この人みたいになりたい!」と思える人と実際に会って、その人の思考をインストールすること。

私たちは誰しも、未来を選ぶ力を持っています。自分の力が十分発揮できる方向へ、適切な力を加えて突き進む。

そうすれば、自分の力を最大限に発揮して、生きて行くことができるのではないかと思います。

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支払調書は、その名称から「仕事に関わる何かの支払いが書類になるらしい」くらいのことは分かるかと思いますが、具体的には何が書かれているのでしょう?

内容について確認しながら、個人事業主が必要な処理についても学びましょう。

支払調書とは「法定調書」の一部である

国内で事業を営む者は、規模の大小を問わず「法定調書」を作成しなければなりません。

「法定調書」という名称の通り、所得税法や相続税法等の法律で定められた資料で、現在では60種類あります。

こと中小事業者の実務では、「法定調書」とは以下のようなものを指します。

1.給与所得の源泉徴収票

役員報酬を支払っていたり、従業員を雇って給与を支払っていたりする場合です。

その年内の支払額や天引きした社会保険料、源泉所得税等の情報をまとめた源泉徴収票を作成し、役員や従業員本人に渡さなければなりません。

また、役員・従業員といった役職や年内の支払い金額などの条件に応じて、一部の源泉徴収票は所轄税務署にも提出する必要があります。

加えて、源泉徴収票と同様の情報が記載された給与支払報告書を全員分、それぞれが居住する市区町村の役所に提出しなければなりません。

市区町村は、提出された給与支払報告書を使って個々人の住民税の計算をするのです。

2.報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書

弁護士や税理士といった士業、プロスポーツ選手、作家やデザイナーなど、対象となる業種に一定金額以上の支払いをしている場合には、支払先の名称や住所、その年内の支払総額や源泉徴収税額を記載した支払調書を作成し、所轄税務署に提出しなければなりません。

3.不動産の使用料等の支払調書、ほか不動産関係の支払調書

事務所や社宅、貸駐車場の賃料等を、同一人に対して年内に15万円超を支払っている場合、貸主の名称や住所、支払賃料を記載した支払調書を作成し、所轄税務署に提出しなければなりません。

ただし、貸主が法人の場合には、提出義務がある支払いは権利金や更新料等のみに限定されます。

そのほか、不動産に関しては不動産の購入時に支払った対価や仲介料についても支払調書を作成しなければなりません。

世間では「法定調書」・「源泉徴収票」・「支払調書」という3つの言葉が混同して使われていることが少なくありません。

それぞれの言葉の関係について、正しく理解しておきましょう。

個人事業主は状況によって対応が異なる

実は個人事業主については、状況によって支払調書への対応が大きく異なります。

1.誰も従業員を雇っていない場合

支払調書を作成する義務があるのは源泉徴収義務者に該当する場合です。

源泉徴収義務者とは“法人”と「青色事業専従者、アルバイトを含めて賃金給与を支払っている個人事業主」です。

つまり1人だけで仕事をしている個人事業主は、源泉徴収義務者に該当しないので支払調書を作成する義務はありません。

また、社員を雇っていないのだから、当然に源泉徴収票も作成する必要がありません。

逆を言えば、もし1人でも社員を雇った場合には源泉徴収義務者に該当しますので、源泉徴収票や支払調書を作成しなければならなくなります。

2.不動産関係の支払調書について

「源泉徴収義務者に該当すれば支払調書を作成する義務がある」と上述しました。

しかし、実は個人事業主の場合には、その作成範囲が限られています。

不動産の使用料等の支払調書やそのほか、不動産関係の支払調書ですが、提出が必要なのは“法人”と「不動産業者である個人事業主」です。

従って、個人事業主は不動産業を営んでいる場合以外は、不動産関係の支払調書は作成の必要がないこととなります。

3.不動産業者以外の個人事業主について

社員を1人でも雇ったら、源泉徴収票や報酬の支払調書を作成しなければならない。

提出先は税務署!

支払調書については、その提出先についても誤解が多いようです。

弁護士や税理士、プロスポーツ選手や芸能関係、作家やデザイナーなどに1年で一定金額以上の支払いをしているときには、所定の書式に従って資料を作成し、個人事業主の所轄税務署に提出をします。

しかし、提出先は“支払先”ではなく税務署だということを知らない方が少なくありません。

一般的には、支払いを受けた弁護士等に対して支払調書を交付することが商習慣となっているようです。

しかし、これはあくまでも任意でやっていることであり、法律で定められた義務ではありません。

実はこの点は、マイナンバーの取り扱いに関わってきます。

ご存知だと思いますが、2016年からマイナンバー制度の運用が始まりました。

「支払調書」についてもマイナンバー制度は適用されていて、税務署に提出をする「支払調書」には、支払先の弁護士等からその人のマイナンバーを預かって記載することとなっています。

ただし、マイナンバーを記載するのは税務署に提出をする資料だけです。

支払先本人に任意で手渡す支払調書は、税務署に提出をする資料ではないのでマイナンバーを記載してはいけません。

良かれと思って支払先に交付をしたらマイナンバーの取り扱い違反をしてしまった、なんてことにならないように注意しましょう。

提出範囲や書き方の詳細は国税庁のホームページで確認を!

支払調書をはじめとした法定調書の書き方は、毎年秋口に国税庁ホームページに掲載されます。

源泉徴収票や報酬の支払調書については、上述した通り、支払った先の立場や金額によって提出の有無が異なります。

提出が必要な範囲や具体的な記載方法については、こちらで詳細を確認しましょう。

また、実際に「支払調書」を提出する際には「法定調書合計表」を作成した上で提出をする必要があります。

この合計表の作成方法も国税庁ホームページにて記載されています。

参照:国税庁「平成30年 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」

まとめ

支払調書は「法定調書」の一部です。

個人事業主が1人でも従業員を雇用した場合、弁護士やスポーツ選手に支払った報酬について支払調書を作成し、所轄税務署に提出しなければなりません。

支払先本人への提出はあくまでも任意です。

提出の範囲や詳細な書き方は、国税庁のホームページで確認してください。

PROFILE

税理士 高橋昌也

2006年税理士試験に合格し、翌年3月高橋昌也税理士事務所を開業。
その後、ファイナンシャルプランナーの資格を取得し、商工会議所認定ビジネス法務エキスパートの称号取得などを経て、現在に至る。
[保有資格等]
AFP、税理士、商工会議所認定ビジネス法務エキスパート

2018年12月14日

起業家、経営者にとって大事なのは、世の中を見抜く力です。1つの事象をどう捉えるかで、ものの見え方も、そこから得られる情報も大きく変わります。そうした「着眼点」、実はトレーニングによって鍛えることができるのです。累計20万部を超えるベストセラーとなった『戦略思考トレーニング』シリーズでおなじみの経営コンサルタント・鈴木貴博氏に解説してもらいましょう。 (さらに…)

2018年12月14日

ものは、売ることも買うことも難しい。

これだけ世の中に商品があふれていると、価格・デザイン・機能など、選択肢は様々で、何をどう選べばいいか分からなくなり、選ぶことそのものが億劫になる。

そんな世の中で自社の商品を買ってもらうためにはどうすればいいか? 多くの人は商品に他とは違う付加価値を持たせようとするだろう。

アフターフォローや機能など、商品には様々なエッセンスを付け加えることができるが、大抵のことはやりつくされてしまっているので、それでもやはり差別化は難しい。

ではどうすれば良いか? 方法として考えられるのは商品そのものに「オリジナリティ」を持たせることだろう。そのような時に参考にしたいブランドがある。まずはこの動画を見て欲しい。

動画に映るのは、パッと見はなんの変哲もない丸い板のように見えるコインケース。
しかし、どうだろう。片手でケースの両端を押せばパカっと開き、たちまちコイントレーになった。片手が荷物でふさがっていてもこれならレジで困らない。

このようなアイデアとギミックを詰め込んだ革小物を製作・販売しているのが「sugata」というブランドだ。sugataの代表を務める染谷昌宏さんは、義手や義足などの医療用装具を作る「義肢装具士」からデザイナーに転身した異色の経歴の持ち主。染谷さんはなぜ転身しようと考え、どのように商品のアイデアを生み出しているのだろうか?

<プロフィール>
染谷昌宏さん

義肢装具士として義肢装具の製作に8年間従事。
2015年に自身のブランド「sugata」を立ち上げる。
Japan Leather Award 2015レディースバッグ部門賞受賞。
第12回TASKものづくり大賞優秀賞受賞。

国家資格取得を目指し、専門学校へ。その進路でデザインと出合った

− 染谷さんは義肢装具士として働いていたとお聞きしました。そもそものお話で恐縮ですが、義肢装具士とはどのような仕事なのでしょうか?

染谷さん
逆にどのような仕事だと思いますか?

− 義手や義足を作る仕事でしょうか?

染谷さん
一般的に義手や義足をつくる仕事というイメージが強いかもしれませんが、実際にはそれらは全体の仕事のごく一部です。正確には、「身体を支える、保護する道具」をつくり、身体にフィットさせる仕事。義手や義足だけでなく、コルセットやヘルメット、靴の中敷きまで手がけます。

国家資格が必要な仕事ですが、僕が義肢装具士になった当時は3000人くらいしか資格取得者がいないマニアックな仕事でした。もともと徒弟制度で技術が受け継がれていて、資格ができたのも比較的最近のことなんです。

− なぜそのような珍しい仕事に就こうと思ったのでしょうか?

染谷さん
高校生の時に進路を考えていたら、たまたま図書館に置いてあった本で知ったんですよ。面白そうな仕事でしたし、「手を動かすのが好きで、ものづくりも得意だから向いているんじゃないか」と思い、その道を選びました。

資格が必要な仕事なので、高校卒業後は資格習得のために専門学校に入学。装具を作るためには様々な知識が必要なので、学校では人体の動きを理解するために「解剖学」や「生理学」はもちろん「美術」や「デザイン」も学びました。これがデザインと僕の最初の出合いです。

染谷さん
僕は専門学校入学当初、「デザインは単なる装飾だ」と思っていたんです。でも、学んでいくうちに「デザイン」は単なる装飾じゃなくて、課題解決のプロセスだと感じました。

たとえば、電車の中吊り広告は「ものを売りたい」という課題をビジュアルで解決しています。装具は不自由な身体を道具で支えるために最適な形をしていますし、革の財布はお札や硬貨を取り出しやすい形をしているはず。

「デザインは何かしらの問題意識や課題から生まれ、デザイナーはそれを解決するために最適な色や形を選んでいるのでは?」と思ったんです。その思いが確信に変わったのは、デザイナーの方々と共同で取り組んだ卒業製作の時でした。一緒に製作を進め、彼らの考えを聞くうちに、やはりそうだったんだって。

− それだけデザインへの熱意が高まっていたのなら、そちらの道に進んでしまおうとは思わなかったのでしょうか?

染谷さん
当時は思っていなかったですね。義肢装具士になりたいという思いは変わりませんでしたし、専門学校のカリキュラムは学ぶことが多すぎて、ついていくのに精一杯でした(笑)。

お客さんのニーズと心に向き合った8年間、その経験がデザインの基礎力を作った

染谷さん
専門学校を卒業した後は義肢を製作する会社に入社して、晴れて義肢装具士になりました。入社して3年間は先輩に付き添ってもらい、病院にいる患者さんを訪ねて装具を作っていましたね。

− 当時苦労したことはありますか?

染谷さん
フィット感を出すことでしょうか。僕らは靴に小石がひとつ入っていても違和感を覚えますよね。それくらい人体は敏感なものなんです。

身体の形はひとりひとり違うし、日によってむくんだりもする。なんなら患者さんの心の状態もフィット感を左右します。単に技術があればいいかというとそういう訳でもなく、患者さんが装具のどこに不快感を覚え、どう直して欲しいかを話し合わないと患者さんには満足してもらえません。

デザイナーの仕事は「課題解決」。義肢装具士として人の課題と心に寄り添う繊細な仕事をしていた経験は、今の仕事にも活かされてると思います。

− 義肢装具士からデザイナーへ転身しようとしたきっかけはあったのでしょうか?

染谷さん
はっきりとしたきっかけはありません。ただ、入社して数年が経ち、余裕も出てきたんでしょうね。自分のやりたいことに目が向くようになって、装具のような「1点もの」から、より多くの人の課題を解決できる「レディメイド(既成品のこと。対義語はオーダーメイド)」へ興味が移っていることに気づいたんです。

日に日にその思いは強くなっていきました。ならば、まずは自分のプロダクトを作る必要があると思い、入社4年目にものづくりを始めたんです。当時は会社で廃棄される革の端材をもらって、小物を作っていました。

− 革を選んだのはなぜでしょう?

染谷さん
少ない道具で様々なことができるから、ですね。最低限、革包丁と針と糸があれば物が作れるし、試行錯誤しやすくコストも手頃。ひとりで小さく始めるのに適していたんです。

入社5年目には本格的に技術を学びたくなり、革職人さんの教室に通い始めました。この頃から独立を考えていましたね。入社して7年目の2011年には結婚、翌々年に独立。その後、2015年に自分のブランド「sugata」を立ち上げました。

立ち上げ後は、百貨店や美術館の催事に出店したり、セレクトショップなどで商品をお取り扱いいただいています。また、最近では、他の企業様へのデザイン提供にも取り組んでいます。

「ものが存在する動機・必要な機能」と徹底的に向き合えば、唯一無二な製品ができる。

− 「sugata」の製品は、すごくミニマルですよね。それでいて、キーが落ちないキーケースとか、片手で開けられるコインケースとか、ひとつひとつに使いやすいアイデアが詰め込まれています。これらの製品はどのように製作されているのでしょうか?

染谷さん
ブランドを立ち上げてからずっと、僕は正攻法のデザインがしたいと思っているんです。正攻法のデザインとは、「その物が存在する動機はどこにあるか、物にどのような機能が必要か」を突き詰めていくこと。

このキーケースで説明しましょうか。
キーケースに必要な条件や機能は「鍵を守り、取り出しやすくする」こと。このキーケースはキーリングに合わせて革のケースにスリットを設けています。鍵にリングを取り付け、ケースにストンと落とすと、リングがスリットにはまって抜けなくなるんです。

染谷さん
取り出す時は、ケースの両端をつまんでキーリングを引き上げるだけ。特別な操作も必要なくスマートでしょう? 「鍵を守り、取り出しやすくする」ことに相応しいデザインを備えていると思います。

− 先ほど見せてもらったコインケースはなぜこの形になったのでしょうか?

染谷さん
コインケースは、持ち運びやすくしたいですよね? だから携帯時はポケットの中で邪魔にならないよう、平たくしたかったんです。でも、平たいと取り出し口が狭くなるので不便になります。だから取り出す時は立体にしたかった。

「平たいのに立体」という矛盾を解決するために僕は折り紙を参考にしたんですよ。折り紙は平たいのに立体にもできるじゃないですか。

染谷さん
このコインケースも最初は折り紙に習って6角形にしていたんですが、手の馴染みを良くするために丸い形にしています。そうそう、同じ折り紙から着想を得たコインケースがもうひとつあるんですよ。これも広げるとコイントレーのようになります。

染谷さん
僕はデザインをする時に、物の性質や機能を因数分解して取り出しているんです。様々な行為に最も適した普遍的な形がきっとある。物が形づくられた意図に気づき、デザインを楽しんでもらうためには、色や柄は余計になってしまいます。だから僕の作るものはモノトーンを基本としているんです。

− ものすごくロジカルにアイデアを生み出しているんですね。これだけシンプルなものだと真似されてしまいそうですが...。

染谷さん
実は真似されてもいいと思っています。大企業なら問題になるかもしれませんが、これだけネットやSNSが発達していますから、「元をたどれば染谷がいた」と気づいてもらえれば、それがかえって宣伝になるんじゃないかと。だから、僕は真似されることについては、あまり不安に感じていないんです。

− これから染谷さんはどのような商品を作っていきたいのでしょうか?

染谷さん
理想は「亀の子たわし」ですね。多くの人は、それをどこの誰がつくったのかまでは、あまり意識せずに使っているように思いますし、そもそもデザインとして認識されることも少ないかもしれません。

ですが実際のところ非常に合理的で、デザインと用途、製造工程までが一致していて無駄がない。普遍性を宿しつつ、プロダクトとして一級品だと思っています。僕はそんな亀の子たわしみたいなプロダクトが作りたいんです。

ありがたいことに、定期的に出展させていただいてる展示会などでも、ご好評をいただいておりますので、これまで以上に販路を拡大して商業的にも成功させていきたいと思っています。

(インタビュー終わり)

「商品にどのような機能が必要か」を考え、奇をてらわず正攻法のデザインをする。この姿勢を商いにも活かせないだろうか。

世の中にはサービスや商品が溢れている。だから差別化をしようとして要素を付け加えてしまう。染谷さんの考えはその逆で、物に求められる機能と形をとことん突き詰めて、普遍性を宿したプロダクトを生み出している。

普遍性を宿したものは色褪せない。生みだすために時間はかかるかもしれないが、それはきっと商品の強みになるだろう。

<オンラインショップ>
■紳士の持ち物
URL:http://shinshimono.jp/
■mono shop(モノショップ)
URL:http://www.monoshop.co.jp/

取材・文 鈴木雅矩(すずきがく)

ライター・暮らしの編集者。1986年静岡県浜松市生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、自転車日本一周やユーラシア大陸横断旅行に出かける。
帰国後はライター・編集者として活動中。著書に「京都の小商い〜就職しない生き方ガイド〜(三栄書房)」。おいしい料理とビールをこよなく愛しています。

2018年12月13日

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