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「いいね」が次の「いいね」を紡ぐ。フローリスト・スギタヒロキさんに聞く、仕事の作り方

「いいね」が次の「いいね」を紡ぐ。フローリスト・スギタヒロキさんに聞く、仕事の作り方

仕事の作り方。

0から1を作る独立・起業にとって、仕事をどのようにして作るか、そして仕事をどのように続けていくのかは、永遠の課題かもしれません。

今回お話を伺ったのは、フローリストのスギタヒロキさん。

生花店での勤務を経て、フローリストとして独立。現在は結婚式場の装花やプロデュースといった、ウェディング関連の仕事を始め、レストランや病院などさまざまな場所を花で彩っています。

そんなスギタさんは、どのようにして0から仕事を作っていったのでしょうか。その根幹にある考え方を伺いました。

<プロフィール>
スギタヒロキさん
フローリスト

日本体育大学を卒業後、大手生花店に入社。
退社するまで8年の間、同一の店舗に勤め上げ、仕入れや値付け、売り上げ・シフト管理、採用など、生花店経営に必要なほぼ全ての業務を経験する。

2017年に独立。現在はウェディング会場の装花や式場プロデュースといったウェディング関連の仕事をはじめ、レストランや病院など、さまざまな場所での装花やプロデュースを手がけている。

「花を売る」のその先へ。杉田さんが独立した理由

――まずは現在に至る経緯を教えてください。花の仕事をされるようになったきっかけはなんでしょうか?

スギタさん
大学生の頃、前職で勤めていた会社の生花店に、アルバイトで入ったのがきっかけで、この世界に入りました。

僕は小学生の頃からバスケ一筋で、高校時代はインターハイを目指して毎日必死に練習し、バスケに熱中していて。

その反動からか、大学進学後は夢中になれるものがなくて、特に目標もなくただ毎日を過ごしていたんです。

そんな自分が嫌で、誰も自分のことを知らない、海外へ行きたいと思うようになって。留学資金を貯めるためにたまたま始めたのが、その生花店でのアルバイトだったんです。

最初は正直「お金が貯まったらやめよう」くらいの感覚で始めたんですが、実際に仕事をしてみるとめちゃくちゃ奥が深くて。

花を使ったものづくりの楽しさに気づいてからはずっと、この道一本ですね。

――生花店ではどのような仕事をされていたのですか?

スギタさん
独立採算制をとっていた会社だったので、仕入れや値付け、売り上げ・シフト管理、採用など、生花店に必要な仕事はなんでも経験させてもらいました。

思えば会社員時代から、経営的な観点を持って仕事できた経験が独立した今、とても活きていますね。

もっとも、独立を前提に入社したというわけでもなかったんですけど(笑)。

――なぜ独立を意識されたのでしょう?

スギタさん
会社員時代に親友の結婚式で、花を一貫してプロデュースさせてもらったんですが、その時の経験が大きかったですね。

というのも、生花店の仕事は「花を売る」ことです。

「売った花」がその先にどうなるのかまで見届けることはできません。

しかし結婚式という「人生最高の瞬間」に等しい場所で、自分が選んでアレンジしプロデュースした花はその人の心に、記憶に残るということに気づいて。

そんな素敵な体験を通して、いつしか僕は「花を売る」だけでなく、さらにその先の価値を提供したいと思うようになったんです。

「いいね」が次の「いいね」を作る。人の想いを花で束ねるために必要なこと

――現在の仕事について教えてください。

スギタさん
装花や、花を使った空間プロデュースなどを手がける、フローリストという仕事をしています。

主に結婚式やウェディング会場、式場のプロデュースやレストラン、病院といったさまざまな場所で活動しています。

2017年に会社を退職し、独立してから今年で丸4年経ちましたね。

――会社員時代から変わらず、生花店の店舗を構えているのでしょうか?

スギタさん
いえ、実店舗は構えていません。

一般のお客さまに販売する、いわゆる小売店のようなスタイルではなく、プロデュースや装花の依頼を受けてから花の手配をしていきますから、実店舗を持つ必要がないんです。

会社員時代、常に在庫のロスや家賃をはじめとする固定費のことを考えて仕事をしていたので、独立したらなるべくそうした出費は減らそうと思っていました。

その代わり、法人個人問わずお客さまのところや、花の農家の方の元へ、とにかく会いにいくようにしています。

最近はコロナ禍の状況もあり、世間一般的にオンラインでのやりとりは増えてきましたが……。

やはりお客さまや農家の方の、ちょっとした本音だったり想いをちゃんと聞くためには、オフラインでコミュニケーションも変わらず必要だなって思うんですよね。

――独立して4年。実店舗を持たずに開業したとなると、特に最初は集客などに苦労したのではないかと思うのですが……。スギタさんが仕事をする上で大切にしていることはなんでしょう?

スギタさん
これも人に会うこと、に尽きると思います。

例えば集客をしたいのであれば、HPやSNSに力を入れるべきでしょうし、「こんな仕事を担当しました」といった、お客さまが信用してくださるような充実した資料を作ることももちろん大切だと思います。

でも僕はそれ以上に、人と会うこと、人と会って生まれる繋がりに重きを置いていて。

なぜならプロデュースやプランニングにおいて、そのお客さまと膝を突き合わせられるか、どこまで向き合えるかが、非常に重要なんです。

ちょっとでも認識の相違があると、お客さまに「あれ思っていたのと違う……?」と思わせてしまうような状況になりかねませんから。

――たしかに認識の齟齬は、会う回数が増えればその分減らしていけますよね。

スギタさん
そしてもう1つ大切なこと。これはありきたりかもしれませんが、やはり目の前の仕事に真摯に取り組むこと、でしょうか。

「どんなに小さな仕事でも、最初の仕事は赤字覚悟でいいから、マジで丁寧な仕事をしろ」と、独立当初にアドバイスをいただいたことがありました。

最初の仕事で信用を勝ち取れなければ、次はありません。でも逆に言えば、いい仕事を続けていけば、次も、その次も任せてくれるようになる。

まるで、「いいね」が次の「いいね」に繋がっていくように。この2点を心がけて、どうにか独立してからの4年間、走り続けて来ることができました。

独立は「独り」じゃない。心強いパートナーに頼り、頼られる自分でいるために

――スギタさんの今後の展望を教えてください。

スギタさん
これからは今までにやったことのない、新しい挑戦をしていきたいですね。

今考えているのは、土地を買って家を建てて、庭で花を育てたり、ブドウを育ててワインを作りたいなと思っているんです。

というのもこれまで、花だったりブドウだったりワインだったり、なかなかそういったものづくりをすることができませんでした。

なので、これからはそういったチャレンジも積極的にしていけたらと思っています。

――最後に、読者の方へメッセージをお願いいたします。

スギタさん
どのような業界、職種で独立・起業をするかにもよりますが、やはり待っているだけで仕事というのはやってこないかなと、個人的には思っています。

独立をするからこそ、とにかく人に会うこと。人に会うことは、何もお客さまを探すだけが目的ではもちろんありません。

あなたの事業を応援してくれる心強いパートナーやアドバイスをくれるメンターなど、人に会えば会っただけ、思いもよらぬ出会いが待ち受けています。

僕自身も仕事柄、例えばカメラマンやウェディングプランナーを始め、お客さまに限らず一緒に仕事をする仲間たちから仕事をもらったり、逆に一緒に仕事をお願いしたりと、絆を深めてくることができました。

独立は「独り」じゃありません。
時にそういった仲間を頼りにし、そして時には仲間たちから頼られるような、そんな自分になれたなら、きっと仕事も上手くいくのではないかと思います。

取材・文・撮影=内藤 祐介

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