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不動産投資を行う方法とメリットやデメリット(リスク)について解説

副業

不動産投資は実際に労働時間を割かなくても、所有しているマンションの部屋や土地を賃貸借するだけで家賃収入を得ることができるため、“不労所得”というイメージから不動産投資に憧れている方も多いでしょう。また、不動産を購入額よりも高く売れると、その差額が利益になります。近年の不動産価格の上昇により、不動産投資への注目度もますます高まっています。

しかし「不動産投資ができるだけの資産があっても、勤め先で副業を禁止されているから、就業規則に反するため、できないのでは?」と思う方もいるはずです。

また「ローンを組んでまで不動産投資をするメリットはあるのか?」「不動産投資はハイリスクなのではないか?」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

そんな方のために、本業の勤務先で問題にならないように不動産投資を副業で運用する方法や、不動産投資のメリットやデメリット(リスク)についてまとめていきます。

他にも安定して月10万円以上を稼げる副業があります。下記の記事でも詳しく紹介しているので参考にしてください。

https://entrenet.jp/magazine/45334/

不動産投資は副業にはならない?

そもそも、法律上“副業”の定義はありません。

さらに、不動産投資はうまくいけば収入源になるものの、“投資”は副業ではなく資産運用の一環です。そのため、副業を禁止している企業でも、不動産投資の副業が同じように制限されているかは企業によります。しかし、投資全般を禁止している企業もあるので、事前の確認をしておくことをおすすめします。

特に不動産投資は、遺産相続などで個人の意思とは関係なく収益物件を相続し、やむを得ず手にするケースも少なくありません。そのため、不動産投資を禁止してしまうと、相続による不動産経営もできなくなってしまいます。このような背景があることから、不動産投資は勤務先で禁止されることなく取り組める投資方法のひとつです。

不動産投資が副業にならない理由とは?

投資は資産運用であるため、副業にはあたりません。先述したように、不動産投資は遺産相続などでやむを得ず運用しなくてはいけないケースもあるため、副業扱いをしない企業が多いのです。不動産投資が他の投資とは異なり、禁止できない理由があるので、5点ほど紹介していきます。

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不動産投資は副業ではなく資産運用

前述のとおり、不動産投資などの投資は“副業”ではなく“資産運用”です。就業規則で副業を禁止している企業でも、投資信託や株式投資などの資産運用は禁止していないケースがほとんどです。

不動産投資も資産運用の一環であるため、ほかの資産運用と同様に、企業も運用を認めてくれます。ただし、不動産投資でも、規模が大きな商業ビルなどの場合だと、ビジネス色の強い投資になってしまいます。そのため“事業的な規模”になっていないかどうかという点には、十分に注意したほうが良いかもしれません。

また、本業に競業してしまう内容の不動産投資は、禁止されていることもあります。営業上の競争相手になる可能性がないかどうか確認し、本業の就業規則は確認しておきましょう。

法律上、副業は個人の自由

副業を認める企業が増えつつあるものの、未だに兼業を認めていない企業も多いです。

しかし、日本国憲法で“職業選択の自由”が保障されているのに加え、裁判所も原則として、副業は自由であるという立場をとっています。そのため、副業禁止の規定違反で会社員が解雇され企業を訴えた場合、“不当解雇”と判決を下されて企業側が敗訴する可能性もあるのです。

本業に支障が出にくい

日本企業の多くが副業を禁止している理由は、「本業に支障が出てしまうかもしれないから」です。

例えば、フルタイムで働いている社員が就業後、夜間アルバイトをしていた場合「体を休める時間が取れず、日中の仕事のパフォーマンスが下がってしまうのではないか」という懸念を持たれてしまいます。まさに、令和2年9月改定の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」でも、健康面に留意する点が追加になり、企業側にも従業員の心身の健康に配慮するように指導しています。雇用主は労働者が本業と副業でトータルどれくらいの時間働いているのか通算し、法律的な超過労働になっていないかを確認しなければなりません。労働時間の通算は、自社の労働時間と、労働者からの申告などにより他社の労働時間を確認し、通算することによって行います。

それに対し不動産投資は、労働時間が発生しません。貸し出し中の物件に入居者が入ったあとは、家賃収入が安定的に入ってくることになるので、日々労力をかけずに収益が上げられます。もちろん、物件の管理は必要です。自身で管理できない場合には、管理会社に委託することもできるので、調べてみることをおすすめします。

参照:副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和4年7月8日改定版)|厚生労働省
※リンクの遷移先はPDFファイルです。ダウンロードに大量の通信費がかかる可能性があります

情報漏洩のリスクが低い

副業でほかの企業の仕事にも携わる場合、本業と近しい業界や業種だった場合に情報漏洩のリスクがあります。情報漏洩により、本業の勤務先に損害を与えてしまう恐れがあるということです。しかし、不動産投資はどこかに勤めるわけでもないため、情報漏洩のリスクは低いと考えられます。

やむを得ず不動産を相続する場合もある

不動産投資の場合、収益物件を相続してやむを得ずに不動産経営をするケースがあるため、就業規則で禁止するのが難しいです。ほかにも、転勤や転職でマイホームを一時的に貸し出したい人も中にはいます。社員の行動を制限しないためにも、不動産投資は副業禁止の範囲外にしている企業が増えてきています。

以上、不動産投資を副業として禁止していない会社が多い理由について、5つ紹介しました。

勤務先で不動産投資をしていることが問題になるケースとは?

不動産投資を行う方法とメリットやデメリット(リスク)について解説

不動産投資は、原則として副業の範囲に含んでいない企業が多く存在します。しかし、中には就業規則で禁止されていないものの、会社内で問題に発展してしまうケースがあります。不動産投資が問題視されてしまうケースを2つ紹介します。

事業の規模感で不動産運用をしている場合

就業規則で副業を禁止していても、不動産投資は認めている企業がほとんどですが、運用している不動産の規模には注意が必要です。あまりにも大規模な不動産の運用になってしまうと事業扱いと見なされてしまい、問題になるリスクが高まります。ボーダーラインの目安としては、「5棟10室」になります。

これはマンションやアパートに換算すると10室まで、独立した一軒家などは5棟まで、となります。マンションやアパートの2部屋が一軒家1棟と同じ換算です。

「5棟10室」は、確定申告の際に、不動産投資が副収入なのか、それとも事業収入なのかを判断する目安となります。アパートやマンションなど、貸し出しできる空き家が「10室」以上であったり、戸建てを貸し出しできる物件が「5棟以上」であったりすると「事業」と考えられる可能性が高いです。

「5棟10室」は国税庁の税金についての「よくある質問」でも取り上げられており、「5棟10室」に当てはまると事業としての扱いとあります。

原則として副業を禁止している企業では事業的規模になってしまうと問題になる可能性があります。「5棟10室」の基準を超えてしまわない運用をおすすめします。

参照:No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分|国税庁

銀行員や公務員の場合

前述した通り会社員の副業は自由であると憲法でも定められており、副業が理由の解雇は“不当解雇”と判断される可能性が高いですが、銀行員や公務員の場合は注意が必要です。原則、銀行員や公務員は副業が禁止であるため、不動産投資自体は許されるものの、事業規模での運営をする際には注意しましょう。過去に事業規模の不動産投資をしていた公務員が、懲戒解雇されてしまった例もあるためです。

こちらの記事では、公務員の資産運用の相続について解説しています。

https://entrenet.jp/magazine/23601/

銀行員や証券会社に勤めている場合

銀行員や証券会社に勤めている場合、職業上、投資に関する規制が詳細に決められています。業務上、知りえた情報を不正利用して、投資による利益を生み出すことができてしまうからです。

株式投資やFXは禁止、短期的な売買による投資が禁止、事前の届け出が必要というようなケースがほとんどです。会社の規定を破ってしまうと職務上、インサイダー取引と見なされる可能性があるので、十分に注意してください。

不動産投資の副業が制限されているかは企業によりけりではあります。しかし、投資全般を禁止している企業もあるので、勤務先の規定は事前に確認をしておくことをおすすめします。

公務員の場合

公務員は会社員と違い、国家公務員法や地方公務員法に則り副業の規定が決められています。そのため、より一層、注意しなくてはいけません。

国家公務員に関係する法令である人事院規則において、“一定の規模に達していない場合には規則上、副業にはならない”と定められています。

一定の規模とは以下の条件です。

  • 戸建ての賃貸は5棟以上
  • アパートやマンションの賃貸は10室以上
  • 土地の賃貸は賃貸契約の件数が10件以上
  • 駐車場賃貸は駐車台数が10台以上
  • 不動産や駐車場の年間家賃収入が500万円以上 など

つまりこれらの基準を超えなければ、副業にはあたらず不動産オーナーとして副収入を得ることが認められています。したがって、規模にさえ気をつければ公務員でも不動産投資ができる可能性があります。

ただし、不動産賃貸に関する管理業務に携わってしまうと「職務の遂行に支障あり」と見なされる可能性が高いです。管理業務は別の事業者に委託するよう手配が必要になります。

参照:人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について|人事院

不動産投資を始める際の注意点

不動産投資を行う方法とメリットやデメリット(リスク)について解説

不動産投資は原則、就業規則で禁じられていない場合がほとんどであるものの、事業的規模ではないことなどの条件付きの場合もあり、何かとグレーな部分が取り除ききれません。不動産投資を始めてから勤務先で問題になる前に、不動産投資を始める際の注意事項を5つ紹介します。

勤務先に事前確認をしておく

副業が禁止されていない企業であっても、念の為、事前に勤務先に不動産投資を始める旨を伝え、問題がないか確認しておくと安心です。もちろん明確に問題ないことが確認できれば伝える必要はありません。あくまで、グレーに感じた際は相談してみることをおすすめします。

本業に支障が出ない程度を心がける

勤務先が副業を禁止している理由は“本業に支障が出てしまうことを懸念しているケース”がほとんどです。自分で不動産の管理はしないなどの工夫をして、本業に支障が出ない程度の不動産運用を心がけましょう。

不動産を運用する規模感に注意する

前述のとおり、不動産投資は5棟10室以上だと“事業規模”だとみなされてしまいます。“個人で不動産投資をすること”に問題はないものの、事業となると話が変わってくる企業は少なくありません。特に公務員の方は規定が厳しいので不動産運用をする規模には注意しましょう。

所得が20万円を超える場合には確定申告を行う

本業以外に、不動産所得で得た所得が20万円を超える場合には、確定申告を行う必要があります。怠ってしまうと会社にも迷惑をかけかねないので、注意しましょう。

また、不動産所得には家賃収入だけでなく、更新料または頭金などの名目で受領するもの、敷金や保証金などのうち返還を要しないもの、共益費などの名目で受け取る電気代、水道代や掃除代なども含まれます。

そこから必要経費を引いて、所得として20万円を超えるかどうかがポイントとなります。必要経費には固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費などを計上できます。

必要経費をうまく計上することで、本業の節税メリットがある点については後述します。

参照:No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)|国税庁

住民税を普通徴収に変更する

住民税には、本業の会社給与から天引きされる特別徴収と、自分で納付する普通徴収の2種類があります。住民税の額は前年の所得で決まるため、住民税の金額から前年の年収をある程度、推察することができます。もし、不動産投資でどれくらいの副収入を得ているのかを会社に知られたくない場合は、住民税の支払いを普通徴収に変更し自分で納税しましょう。

普通徴収への変更方法は?

不動産投資を行う方法とメリットやデメリット(リスク)について解説

確定申告書第二表の「住民税・事業税に関する事項」内にある「給与、公的年金等以外の 所得に係る住民税の徴収方法」欄で「自分で納付」に〇をつけてチェックするだけです。忘れずにチェックしておきましょう。普通徴収になれば自分で納税する必要があるので、チェックして安心せず納税を忘れないようにしましょう。

不動産投資のメリット

ここまで不動産投資が副業となる基準や問題になる場合などを紹介してきましたが、不動産投資のメリットや魅力についてもまとめます。

生命保険の代わりになる

生命保険代わりに不動産投資を行う方も多くいます。

新たにローンを組んで不動産を取得する際に、法人ではなく個人が購入する場合は「団体信用生命保険(団信)」というものに加入します。この保険に加入しているローン契約者が、返済完了前に亡くなってしまった場合や高度障害に認定された場合に、残りのローン残高の返済義務が免除されるのです。そのため借り入れをした不動産投資は、生命保険代わりになるというメリットがあります。不動産のローンが免除された後も、家賃収入は入居者がいる限りそのまま得続けることができます。

本業の所得が高い場合、節税対策になる

もし本業の所得が高く、多くの所得税を支払っている場合は節税対策になるというメリットがあります。

不動産を取得した際に、土地代を含まない建物価格は減価償却の対象にできます。取得した年だけでなく数年にわたって会計上の必要経費にすることで、不動産所得を数年間、赤字にして、本業の所得と損益通算するという節税効果が得られます。

減価償却の耐用年数は、木造の場合22年間、鉄筋コンクリートの場合47年間と、大きく異なります。中古物件だとすでにこの耐用年数を超えている可能性もあり、減価償却が短く算出されます。

参照:確定申告書等作成コーナー 耐用年数(建物/建物附属設備|国税庁

少ない投資額で始められる(レバレッジ効果)

不動産投資は、他の株式投資などに比べて、少ない投資資金で大きな利益が期待できるというレバレッジ効果があります。手元にある自己資金だけでなく、借り入れによって投資を行い、資産を増やすことができるためです。

FXにもレバレッジを効かせることができますが、値動きが激しく予測しにくいものです。不動産投資はレバレッジ効果がありつつも、比較的安定した投資だと考えられます。

また、不動産投資は毎月の家賃収入によって得られるインカムゲインだけでなく、買った金額よりも高く売れた場合、キャピタルゲインも得られる可能性もあります。

これらのことから、近年の不動産価格の上昇により、より注目度も高まっています。

不動産投資のデメリット(リスク)

不動産投資には前述した通りいくつかのメリットがありますが、デメリット(リスク)も存在します。

空室リスク

家賃収入を得るためには、絶えず入居者が住み続けてくれないといけません。空室期間はローンの返済や物件管理費の支払いがあるのに、家賃(収入)を得られない状況となります。空室が続けば、家賃を引き下げることも検討しなければならなくなるでしょう。

リスクを防ぐためには、賃貸需要の高いエリアや1人暮らしの下宿が見込まれる大学の近くなど、立地の良い物件を選ぶことが肝心です。室内の劣化が明らかであれば、リフォームやリノベーションも検討してみましょう。

家賃滞納リスク

入居者が家賃を滞納してしまうと、もちろん収入を得ることができません。家賃の回収や支払いの督促業務は管理会社によって行われることが多いですが、家賃滞納まで保証してくれるわけではありません。

入居者が家賃滞納した際に管理会社がどのような措置をとるのか事前に確認しておいたり、入居者には入居時に保証会社へ加入するように求めるようにしたり、万が一に備えて対策しておくようにしましょう。

不動産投資は、このような空き家リスクや家賃滞納リスクのほか、金利リスクや災害リスクなどもあります。

取得を予定している物件で考えられるリスクや、ローンの返済計画などは不動産仲介業者に相談してみるだけでなく、自分の足を使って現場まで視察するなど、入念に調べておくことをおすすめします。

副業としての不動産投資は比較的、誰にでも取り組める!

本記事では、不動産投資が副業と見なされない理由や、問題になる場合・注意点だけでなく、不動産投資のメリットやデメリット(リスク)について解説しました。

不動産投資は投資の中でも比較的容認してくれている企業が多い投資です。規模感を意識しないと事業の扱いになってしまうため、就業規則上グレーな部分があれば事前に確認しておきましょう。

また、不動産投資は労働時間をかけずに副収入が得られるだけでなく、生命保険代わりになったり、本業の節税になったりするメリットもあります。借り入れによって投資し、資産を増やせることも魅力です。空き家リスクなどデメリットも存在しますが、取得する物件の需要を予測して、人気の物件を見極めていく投資の面白さ、醍醐味も感じられるでしょう。

<監修>
村上 年範さん/クレディ・テック株式会社 代表取締役
金融商品や不動産を活用した経営コンサルティングを得意とし、前職のプルデンシャル生命保険株式会社在籍時より担当したクライアント数は年間200社にのぼる。2013年クレディテック株式会社設立。金融と不動産を軸とし、税務・法務の観点から知識提供を行う、資産形成および財務のコンサルティングサービスを展開。海外不動産についても強いコネクションと発信力を持ち、これまでの取扱高は150MM以上。現在、「幻冬舎GOLD ONLINE」にて、幅広い資産形成ノウハウを連載中。【村上年範 運営】金融・不動産にまつわるYoutubeチャンネル
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<文/北川美智子>

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アントレスタイルマガジン編集部

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