起業家、経営者にとって大事なのは、世の中を見抜く力です。1つの事象をどう捉えるかで、ものの見え方も、そこから得られる情報も大きく変わります。そうした「着眼点」、実はトレーニングによって鍛えることができるのです。累計20万部を超えるベストセラーとなった『戦略思考トレーニング』シリーズでおなじみの経営コンサルタント・鈴木貴博氏に解説してもらいましょう。
経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第82回・「Go To キャンペーン」から経済を学ぶ
いきなりですが、クイズです!
クイズの答えの中に、着眼点を鍛えるポイントがある
最近はいろいろな「マッチングビジネス」が増えています。仕事探しも今では人材紹介サービスが主流の1つとなるなど、「人と人を結びつける技術」はそれだけでもあらゆる業界において価値のあるものとなっていますよね。
昔からある「結婚相談所」のビジネスもその1つ。結婚したい人同士を引き合わせ、うまくマッチングして成婚につなげていく仕事です。実は最近、副業やサイドビジネスなどでそうした結婚相談ビジネスを始めるケースが増えています。
今回は、結婚式場がサイドビジネスとして結婚したい人同士をつなぐマッチングビジネスを始めた事例からの「学び」です。
それでは解説します!
結婚相談所のビジネスは、まずは結婚したい人を集めて登録してもらい、お互いに合いそうな人を見極めながら出会いの場をつくっていく、というのが大きな流れとなります。
相談者の希望を元に、個別にお見合いの場をセッティングしたり、大勢が参加するパーティーを開くなどして、出会いの場をつくっていくわけですが、聞けば、傾向としては「結婚できる人」は比較的すぐに決まる場合が多いといいます。
しかし、一方では「なかなか決まらない人」も当然います。そういう人は何度もお見合いしたり、パーティーに参加するもののうまくいかず、それが不満となり退会につながってしまうのです。
そこをどううまくマッチングして成果につなげていくかが、このビジネスのポイントであることは間違いありません。そして今回クイズにしたように、本来マッチングのプロではない「結婚式場の挙式コーディネーター」がその壁をいとも簡単にクリアしてしまったのだそうです。
それはなぜかというと、実際にたくさんの結婚式を見てきたからこそ、「誰でも結婚という幸せがつかめる」ことを知っているから、なのです。
目の前にいるどんな相談者に対しても、「この人は絶対に結婚できる」と確信してサポートに当たる分、マッチングがうまくいくケースが非常に多いと考えられます。
結婚式場のコーディネーターが決定的に違うところ
お見合いコーディネーターが相談者のことを信じていないわけではないでしょうが、ビジネスの性質上、プロの目で「この人は結婚できそう・できなさそう」を判別して、できる人からマッチングさせていく傾向にあるのは間違いないと思います。
しかし、結婚式場のコーディネーターは、過去に結婚式を迎えたカップルを目の前でたくさん見てきたがゆえに、「どんな人でも絶対に幸せになれる」というスタンスで当たる分、強いのでしょう。元から持っている「心構え」が全く違うわけですね。
結果、どんな相談者に対しても「その人の良さ」を引き出すことにつながりやすく、マッチングが起こりやすいというわけです。
この話から学べることは、「本業よりも向いている副業があるかもしれない」ということです。
意識もしていなかったような「思わぬ経験」が生かせる仕事が実はあるかもしれませんし、それはその道のプロの技術を凌駕してしまう可能性だってあるというわけですね。
思わぬ経験が生かせる副業があるかもしれない!?
最近は副業でできる仕事の幅は間違いなく広がっています。フランチャイズの仕組みを使えば知識や経験がなくても始めやすいですし、気軽に副業をスタートしやすい環境は間違いなく整っています。
思わぬ経験が生かせることもあるわけですから、副業はもちろん、本業とは別にサイドビジネスを始めてみたり、新しい事業の柱を模索したりと、いろいろな可能性を考えてみるのは、今の時代、とても必要なことかもしれませんね。
最後に、もうお分かりだと思いますが、冒頭のクイズの答えは「誰でも絶対に結婚できると分かっているから」でした。もし結婚式場で働いている人がいたら、副業として結婚相談所のビジネスを始めてみてもいいかもしれませんね。
構成:志村 江