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生徒の涙に奮い立つ思い。学習塾は生徒の未来と人生を預かる場(竹田正行・後編)

生徒の涙に奮い立つ思い。学習塾は生徒の未来と人生を預かる場(竹田正行・後編)

大手IT企業のエンジニアから塾経営の道へと進んだ竹田さん。40代半ば、誰にも訪れる可能性のある体調不良・休職を経て、自分らしく頑張れる場所をつかみとりました。教育業界での勤務経験はゼロ。
初めてのチャレンジだった塾経営も3年目を迎え、生徒や保護者からの信頼も着実に積み上がってきました。たくさんの生徒と向き合うことで知った塾経営の魅力と醍醐味について引き続きお話を伺います。

<プロフィール>
竹田 正行(たけだまさゆき)さん

1966年生まれ。52歳。石川県出身。金沢大学を卒業後、大手IT企業に勤務。以来30年近くシステムネットワークエンジニアとして、さまざまなプロジェクトに従事する。2016年3月に同社を退職、同年6月に個別指導塾の「個別指導Axis野々市校」を開校させる。

昔からの趣味は映画。特にジャンルにこだわらず、幅広く鑑賞するそう。独立後は、何かと忙しい日々で、映画館に足を運ぶ時間がないと苦笑いする竹田さん。もっぱらのリラックスタイムは帰宅後に過ごす奥さまとのひととき。お笑い番組をいっしょに観ながら元気をチャージするそう。

知らない世界だからこそ、加盟したフランチャイズ本部を信頼して素直に受け止めた

―2016年の6月に開校されましたが、当時のエピソードを教えてください。

竹田さん
会社に在籍している時から開校の準備は進めていました。立地が決まったのが2016年の1月、同年の3月に退社、その3カ月後には塾長になっていたわけです。

―とても早い展開ですね。IT業界から教育業界への新たなチャレンジで、戸惑ったことはありませんでしたか?

竹田さん
見方を変えれば、何も知らない世界だったからこそ受け入れやすかったと思っています。それこそアントレ(net)などの情報サイトを見ると、「独立するから自分のやりたいようにやる」という声も見かけますが、私の場合は、こういった塾にしたいというイメージが特になかった。むしろフランチャイズ本部を信頼して開校までの期間を過ごしました。

―なるほど。塾経営のノウハウについての指導などもあったのでしょうか?

竹田さん
研修期間のようなものがありました。実際に別の方が経営している“個別指導Axis”で受付に座って生徒さんに声をかけたり、電話の取り次ぎをしながら、塾の雰囲気をつかんでいきました。塾経営については、まだまだこれからです。何せようやく3年目ですから。フランチャイズ本部からアドバイスをいただきつつ、塾経営者としての力を蓄えているところです。

生徒に話しかけるのが怖い。その意外な理由とは

―実際に開校してから知ったことはありますか?

竹田さん
生徒さんから見ると、当然ともいえそうですが、「塾長はなんでも知っている・教えてくれる存在」と認識されていることです。例えば、「学校はどうだった?」と生徒さんに世間話的な声かけをした場合も、「今日はこれこれを習った。もう少し理解を深めたい」といった感じで、逆に質問されてしまう。正直、最初はこのやりとりが怖くて、生徒さんへの声かけをためらった時もありました。だって、「知らない」とは言えませんからね。講師がいない時は、自分で調べて、対応するシーンもありました。

―勉強に前向きな生徒ほど、塾でレベルアップすることを期待していますからね。

竹田さん
その通りなんです。開校から時が経つにつれ、勉強を教えるだけでなく、生徒さんの勉強への意欲を絶やさないようにすることも塾の努めだと思うようになりました。そのためには成績やテストの点数では見えない心の部分も知らなければならない。先ほどの「知らないことを聞かれるかもしれないから怖い」で生徒さんへの声かけをためらっていては、生徒さんの学びへの意欲や努力をプラスに向けられるような心からの交流はできないと一念発起。私自身も生徒さんと同じ目線で悩み、共に考えられるように、塾経営の合間をぬって通っている中高生と同じ教科書で勉強をスタートさせました。

―素晴らしい考え方ですね。そしてそれを実行できるのがスゴイですね。

竹田さん
生徒さんは、我々が思う以上に勉強に対して真剣です。その期待に何としても応えなければと思っています。余談かもしれませんけれど、長男が昨年高校受験をしたんですね。ちょうど同じタイミングで私も中学・高校の勉強をしていたので、長男に教えたり、逆に教えられたりしながら、受験期間を不思議な関係で乗り越えました。おかげさまで長男は志望校に合格しました。ある意味、私の勉強も実を結んだということかもしれません。

くやし涙をうれし涙に。努力が実を結ぶ瞬間を共に味わう

―塾経営の醍醐味はなんだと思われますか?

竹田さん
開校時から通ってくれていた、ある生徒さんの話をさせてください。その生徒さんは、いつものように塾に来て机に座ったかと思うと、声を殺して泣いているんですね。話を聞いてみると、模試の結果が自分の想像以上に悪かったから。と。

―竹田さんもビックリされたでしょう?

竹田さん
驚きというか、責任のほうが押し寄せてきました。泣く思いまでして勉強と向き合っている。志望校に入りたいという願いと、それに届かない学力の現実。悔しさと悲しさに満ちた彼女の涙の重さを痛感しました。少なからず、この生徒さんの人生の分岐点に、私や講師も立っている、この生徒さんのためにできることを今一度確認し、受験日をめざしました。

―その結果はどうでしたか?

竹田さん
いくつかあった志望校に無事合格しました。スッと肩から荷がおりた気分でした。とにかくよかった、と。その生徒さんとご両親が揃って合格を伝えに来てくれた日のことは今でも記憶に残っています。もちろん隠れて私も泣きました。振り返ってみると、誰かから感謝の言葉を直接いただくのは、ずいぶん久しぶりのことでした。エンジニア時代は、仕事に対する意見こそ言われるものの、感謝されることは少なかったですから。

生徒の成長が、かけがえなのない仕事の報酬となる

―塾経営の魅力はなんだと思いますか?

竹田さん
生徒さんが机に向かいコツコツと勉強をする塾の日常は静かで平凡ですけれど、ある日、解けなかった問題が難なく解けるようになったり、ヤル気がなかった生徒さんが目の色を変えて勉強に取り組むようになるなど、生徒さんには小さくとも確実な変化が起きています。そういった成長をつぶさに感じられることも塾経営の魅力です。生徒さんの努力、講師陣の努力、みんなのがんばりが1つの喜びとなって返ってくることにやりがいを感じています。

―今後の目標を教えてください。

竹田さん
組織という大勢の場所で自分を活かすのが難しい。だったら、自分を活かせる場所を自分でつくればいい。独立の目的の1つだったその夢は叶えられている実感があります。次のステップとしては、もう少し塾の規模を拡大すること。この塾でもっとたくさんの生徒さんと接したいと考えています。利益や生徒数確保を意識すれば、2校目を経営するのが順当な考え方ではありますが、今はまだ、私自身も経営者になるための勉強中。じっくりと地域のためになる塾の在り方を模索し、できることからコツコツ取り組んでいきたいと考えています。

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