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環境が人を作る。湯浅陸さんが起業して、ジム経営をするようになった理由

環境が人を作る。湯浅陸さんが起業して、ジム経営をするようになった理由

意思決定において、重要なウエイトを占める要素とは、一体なんでしょうか。

その人自身の性格や個性、考え方も重要ですが、結局はその人の置かれた「環境」こそが一番大きなウエイトを占めるのではないか。

そう語るのが、今回お話を伺った湯浅陸さん。

湯浅さんは社会人1年目で、美男コンテスト「ミスター・ジャパン」にエントリーし、それがきっかけで筋トレに取り組み、現在はパーソナルトレーナーとして活躍、中目黒と池尻大橋にジムを開業し経営しています。

今回はそんな湯浅さんのキャリアとともに、「環境」の重要性について伺いました。

<プロフィール>
湯浅陸さん
パーソナルトレーナー/SURL株式会社代表取締役

大学卒業後に大手人材会社キャリアデザインセンターに入社。
会社員と並行しつつ、ミスター・ジャパンに出場し3位に入賞。
ミスター・ジャパンの出場をきっかけに、筋トレの世界にのめり込む。その後、国内外の大会での入賞経験を経て、フィットネスの世界に魅了されパーソナルトレーナーになることを決意し転職。

2020年1月にパーソナルトレーナーとして独立。
2021年7月に法人化。現在は中目黒に「SPICE GYM」を、そして池尻大橋に女性専用&子連れOKの「#サラトレ」を設立。

トレーニングを経て、見える世界が変わっていった

――現在、都内に2店舗のジムを経営する湯浅さん。まずは現在に至るまでの経緯をお聞きしたいのですが、元々パーソナルトレーナーとしてお仕事をされていたのでしょうか?

湯浅さん
いえ、大学卒業当初は、大手人材会社のキャリアデザインセンターに就職しました。

小学校から高校まで野球を。大学ではブレイクダンスをしていたので、体を動かすことは苦手ではなかったんですがトレーナーの仕事を自分がするようになるとは全く思っていなくて。

――ではいつ頃トレーナーになろうと?

湯浅さん
まず、筋トレにハマったきっかけは社会人1年目の時に、高校の時の友達がミスター・ジャパン(※)に出場したことを、SNSを通して知ったことでした。

大学を卒業して、とりあえず会社員として働き始めていた僕にとって、その投稿は「こういう世界もあるんだ」と感心すると同時に、当時の自分はどこか燻っていて(笑)。

そんな自分を変えたくて、思い切ってミスター・ジャパンにエントリーしてみたんです。

運よく書類審査や面接などを通過し、日本大会に出られることになりました。

日本大会では水着審査もあるので、身体を作り上げる必要がありましたが、日頃から身体を作り上げている参加者と比べるとどうしても見劣りをしてしまうので、精神力だけは負けないようにしようと思い、日本大会本番を迎えるまで毎日腹筋1000回をやり続けた結果、自信を持って本番を迎えることができました。

その甲斐もあって、初めての大会で3位入賞することができました。

そこからですね、体づくりに目覚めていったのは。

※株式会社HDRが企画、運営をする美男コンテスト。

――コンテストを通して、体づくりの面白さに気づいたと。

湯浅さん
コンテストに向けてボディメイクをしていく中で「自分の見える世界が広がっていく感覚」がありました。
また、コンテストに向けて身体を鍛えて日々変化していく様子を発信していくことによって、周りからも応援される機会も多くなりましたし、不思議と出会う人も変わっていって。なんというか、今まで見えていた世界が変わっていったんですよね。

ミスタージャパンをはじめ、様々なコンテストに出場して日本大会や世界大会などの入賞や優勝経験など少なからずやったことに対して結果が出たからというのも理由の1つですが、身体の変化って誰からみても「がんばった成果」が見え易くて分かりやすい。

やればやっただけ成長できる、そういう魅力がトレーニングにあるなと。そして人の身体を変化させるパーソナルトレーナーという仕事には魅力がかなりあると感じて。

だからトレーナーになろうと決意をして新卒で入った会社を2年で辞めて思い切って転身しました。

環境が人を変える。湯浅さんが起業に挑戦できた理由

――トレーナーとして独立したのは?

湯浅さん
パーソナルトレーニングのジムを経営する会社に1年半ほど勤めて、それからですね。2020年1月に独立しました。

最初はフリーランスのトレーナーとしてジムをレンタルしながら活動していたんですが、2021年に中目黒に「SPICE GYM」を開業して、そのタイミングで法人も設立。

現在は池尻大橋にもう1店舗、女性専用&子連れOKの「#サラトレ」を開業しました。

――中目黒と池尻大橋、各店舗でコンセプトなどが違うのでしょうか?

湯浅さん
そうですね。

最初に開業した中目黒の「SPICE GYM」は、個人のパーソナルトレーナー時代の延長のような場所として、当時からお世話になっている会員さんに、より満足していただけるような場所として作りました。

一方、池尻大橋の「#サラトレ」は女性専用でお子さんも連れてこられる、女性に優しいパーソナルトレーニングジムとして開業しました。

女性専用のジムを作った背景にはビジネス的な狙いももちろんありますが、それ以上に社会的な課題があるなと感じたからです。例えば、女性の20代から30代の女性の運動習慣が定着している人の割合はどれくらいいるかご存知でしょうか?今でこそ運動が習慣化している方が多いように思われますが、実際はかなり少なく20代から30代の女性で約11%です。これは同年代の男性と比較すると約半分程度の割合に留まってしまっています。

「健康のため、ダイエットのために体を動かしたい」という気持ちはあっても、仕事や子育てなど、さまざまな理由から、なかなかトレーニングができないという女性の悩みを解決するためのジムになっています。

なので、子連れでも来やすいようにキッズスペースを設けたり、トレーニング時間も1回30分からと忙しい中でも通いやすい仕組みにしています。

――こう振り返ると、かなり大胆にキャリアを変えていったんですね。

湯浅さん
そうかもしれませんね。

今でこそフィットネスという、自分にとっての方向性を見つけることができましたが、ミスター・ジャパンに出場して、筋トレに出会う前までは、どういう道に進もうか模索していて……。

「自分がどこを向いてがんばったらいいのか」が、あまり分かっていなかったんです。

でも、ミスター・ジャパンに挑戦したことをキッカケに「フィットネスの道に進む」という道が拓けてきた。あの時思い切って挑戦してよかったなって思います。

――そのフットワークの軽さが大切だと。

湯浅さん
もちろん、そんな気軽に挑戦したわけでもないですよ(笑)。いろいろ考えたり悩んだりしましたし、やると決めてからは腹も括りました。

実はこういう決断をしたのは、初めてではなくて。高校を卒業して、地元徳島から東京へ上京した時も、大学を休学してバックひとつで世界中を旅したり、アメリカをヒッチハイクで横断してみたり...僕にとっては大きなチャレンジでした。どの決断も怖さはありましたが、新しい世界に飛び込むことで、価値観の広がりや経験を得ることが出来、今の自分を形成しているなと思います。

その時に学んだのが「環境が人を変える」ということ。

――環境が人を変える、ですか。

湯浅さん
新しい環境に飛び込むのってエネルギーも使うんですけど、それ以上に、その環境に適応していけば、新たな価値観を得やすかったり、挑戦しやすくなる。

僕の話で言うなら、もしあの時に東京に上京する決断をしていなかったら、海外に一人旅に行っていなかったら..ミスター・ジャパンに出場していなかったら、筋トレに出合っていなかったら.....パーソナルトレーナーとして独立はしていなかったでしょうし、ジムも経営出来ていなかったと思います。

環境が人に与える影響は、それくらい大きいんです。

もちろん挑戦する前の僕にとっては、まさか自分がパーソナルトレーナーとして独立をして、ジムを経営することになるなんて考えもしなかったですけど。

でも現状に対してあんまり納得感がなかったからこそ、環境を変えられるような挑戦に進むことができた。その結果が今なんだなって思います。

失敗しただけ、人生は面白くなる。環境を変えて挑戦してみる


※5月1日に行われたジムオープンのレセプションパーティーの様子

――これから挑戦したいことがあれば教えてください。

湯浅さん
直近の目標でいえば、3年以内にジムを10店舗に、会員数を1000名以上を目指したいです。

会社として規模を大きくしたいというのもあるのですが、先ほども話した通り、特に女性のフィットネス人口が少ないことは社会問題であると、僕は考えています。例えば、若年層の体力低下や運動不足は、骨粗しょう症やサルコペニアなどの将来的な健康問題を引き起こす可能性が指摘されています。深刻な健康問題を回避するためには、20~30代のうちにいかに運動・スポーツに取り組むかが非常に重要です。

女性がより通いやすく、継続しやすいフィットネス環境を構築するためにも、まずは店舗数を増やしてその問題に対してアプローチできるサービスの一端にしていきたいと思います。

――最後に読者の方へ、メッセージをお願いします。

湯浅さん
先ほどもお話しましたが「環境が人を作る」と言っても過言ではないほど、環境の影響は大きいと思っています。

何か今の現状に違和感を感じているなら、環境から変えてみることをお勧めします。

もちろん何から何までいきなり全てを変える必要はありません。

行ったことのない場所に行ってみたり、会ったことのない人と会ってみたり、仕事を変えてみたり。少しずつでも環境は変えられるはずです。

そして仮に挑戦に失敗したとしても、その分だけ人生は面白くなると僕は思っています。

失敗すればするだけ、その人の深みや濃さが出ますし、それでもチャレンジし続ければいつかは花開く時が来るはずです。

失敗を失敗のままにせず、まずは自分が「面白そうだな」と思える環境に身を置いてみる。それが大切なのではないでしょうか。僕も引き続きたくさんチャレンジしていき、たくさん失敗しながらも前進し、人としての魅力も磨いていきたいと思います。

取材・撮影=内藤 祐介

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