「ひとりでも生きていけるふたりが、それでも一緒にいるのが夫婦だと思う」。
これは、世界的に有名な宝飾品ブランド「Tiffany&Co.」の、有名なキャッチコピーです。
今回お話を伺ったのは、婚活プロデューサーのこめだゆきさん。こめださんは、20代から30代の未婚の女性向けに、婚活のコンサルティングを行っています。
結婚をしても、3組に1組のカップルが離婚する現代において、こめださんの講座の受講生の離婚率は8年間でなんと0%。
どのカップルも夫婦仲が良く、満足度の高い結婚生活を送っているそうです。
「Tiffany&Co.」のキャッチコピーのように、幸せな結婚がしたいならまず「自立」した生き方を模索するところから始まる。そして結婚も独立・起業も、自分が「自立」して「幸せ」になるための1つの手段にすぎないと、こめださんは語ります。
その理由とは、一体なんでしょうか。
こめだゆきさん
婚活プロデューサー
看護師として就職後、結婚を機に2015年に退職し独立。
独立当初はポーセラーツ教室を運営。
並行して、自身の恋愛・結婚の体験談などを綴ったブログも運営する。
そのブログが人気を博し、現在は恋愛・婚活プロデューサーとして、悩める女性を対象にオフライン/オンラインで講座を開き、コンサルティングを行っている。
受講生の離婚率はなんと0%? こめださんが、婚活プロデューサーになるまで
――婚活プロデューサーとして活躍されているこめださん。まずは婚活プロデューサーという職業がどのようなお仕事か、教えてください。
20代から30代の未婚の女性を対象に、婚活や恋愛に関するノウハウや考え方を学ぶ講座を開いています。
男性との出会い方やマッチングアプリの活用法、デートの仕方、付き合い方を学ぶのはもちろん、結婚に向けての自分自身のマインドの整え方なども学んでいきます。
およそ半年以内に8割の受講者に彼氏ができて、そのまま結婚する人も多くいます。
2015年に開業し、このお仕事を始めて8年が経ちますが、講座を卒業した受講生の離婚率は2023年3月現在、0%です。
――離婚率0%の婚活講座、非常に気になります……! 講座についてのお話の前に、こめださんのキャリアについて伺わせてください。独立する前はどのような仕事をしていたのでしょうか?
看護師をしていました。
端的に話すと、結婚を機に看護師を退職。その後、自宅でポーセラーツ教室(※)を始めました。
実は独立後の最初の事業は、現在の婚活プロデューサーではなく、ポーセラーツ教室の運営だったんです。
※ポーセラーツとは、porcelain(磁器)とart(芸術)を組み合わせた造語で、まっ白な磁器に、シールのような転写紙や磁器絵付け用の上絵の具で絵柄をつけて焼き付ける、キルンアート(Kiln=窯)の1ジャンルのこと。
引用:https://nihonvogue.com/article/detail.html?id=160&c=ka&d=04
――ポーセラーツ教室から婚活プロデューサーに、業種を転換したということですね。かなり大胆な業種転換に思えますが……?
実はポーセラーツ教室とは別軸で、私自身の恋愛・結婚の経験から学んだことや考えたことをブログに掲載していたんです。
https://ameblo.jp/yunko113/theme-10094499294.html
というのも私自身、恋愛や結婚に非常に苦労してきた経緯がありまして。
私は幼少期に両親が離婚し、あまりいいとは言えない家庭環境で育ってきました。
そういった事情もあり、私はなかなか自分に自信を持つことができなかったんです。
恋愛においても、自分に自信がないことで依存体質になってしまって。相手に尽くし過ぎてしまい、結果男性から大切にしてもらえなかったんですよね。
そんな自分を振り返って「このままではいけない」と思うようになりました。
幸せな結婚を夢見て、自分の身の振り方や考え方を、改めてもう一度整理してみたんです。
――結婚して「幸せ」になるために、自己分析を始められたと。
はい。自分に何が足りなくて、どんなところを直していくべきなのかを、いろいろと試行錯誤してみたんです。
そういった努力の甲斐、そしてご縁のタイミングもあり、ありがたいことに素敵なパートナーに巡り合うことができました。
そんな私なりのメソッドや考えをブログに書き綴ってみたところ、読者の方から「もっと教えてほしい」というお声をいただいて。
同時期に通っていた起業塾のコンサルタントの方からも「仕事にしてみたらどうですか?」とご提案をいただいたんです。
そして婚活プロデューサーとして、お仕事をさせていただくことになりました。
ちなみに講座以外にも、ブログでの発信は今もなお継続しており、InstagramをはじめとするSNSも活用して情報発信をしています。
結婚も独立も、自分が「幸せ」になるための手段の1つでしかない。離婚率0%の秘密
――8年間婚活プロデューサーを続けてきて、講座を卒業した女性の離婚率が0%というのはとても驚きです。どのようなことを心がけて講座を運営されているのでしょうか?
これは持論なのですが、結婚とは本来、自分とパートナーが「幸せ」になるためのものだと、私は考えています。
ですが悲しいことに、離婚してしまうカップルは3組に1組もあり、結婚生活を続けていても夫婦仲が冷め切ってしまっているカップルも少なくありません。
せっかく結婚をするならずっと「幸せ」であり続けてほしいですし、そのために必要なことは何かをずっと考え続けて、講座や発信活動を行っています。
こう話すと、受講者の結婚を後押しする「婚活プロデューサー」の活動と、矛盾しているように感じるかもしれませんが……。
私は講座を通して「結婚できればそれでいい」とは考えていません。
突き詰めると、結婚とは、自分が「幸せ」になるための1つのツールでしかないんです。
――非常に興味深いお話です、詳しく教えてください。
結婚を考える上で大切なのは、まず自分にとっての「幸せ」の定義を明確にすることです。
人によって「幸せ」の定義は異なりますが、私の場合「幸せ」とは、「嫌なことが何もない状態」だと考えています。
自分の力で「嫌なこと」を無くしていけば、人生を作っている感覚が生まれ、誰にも依存をしない……すなわち「精神的自立」に繋がります。
逆に「精神的自立」ができていないと、人に依存してしまいがちです。
人に依存した状態で、自分にとって嫌なことがあると、どうしても夫(彼氏)や家庭環境、周りの人のせいにしてしまう……。
それってとても不幸なことだと思うんです。
――「精神的自立」ができずに、依存状態になってしまうというのは、恋愛や結婚だけに限った話ではありませんよね。
まさにその通りです。
恋愛や結婚はもちろん、仕事においての悩みも「精神的自立」によって、大きく軽減されるのではないかと思っています。
その点独立・起業というのは、誰のせいにもできない分、自分の人生を自分で作るという感覚にはなりやすいですし、その意味で自分が「幸せ」になるための1つの手段として、とても素敵な選択肢だと思います。
もちろん向き不向きといった個人の適性もあると思いますが、少なくとも誰かに依存する状態からは、大きく抜け出せるのではないかと。
講座では、受講者がこうした「精神的自立」を目指して、その人それぞれの「幸せ」の定義を明確化できるよう、徹底しています。
――「精神的自立」を目指して、自分にとっての「幸せ」を定義する。それが離婚率0%の講座の秘密だったんですね。
はい。
こうした取り組みをしている影響からか、「結婚がしたくて入った講座なのに、気がついたら転職や独立・起業をしていた」という人や、「自分の幸せと向き合ってみた結果、自分に結婚は必要ないのでは」と、婚活に区切りをつける人も少なくありません。
先ほどもお話した通り「結婚できればいい」というわけではなく、あくまで「その人それぞれの幸せを追求してほしい」というのが私のスタンスです。
講座を通して、こうした自分なりの前向きな決断をされる方がたくさんいらっしゃることがとても嬉しいですし、大きなやりがいを感じています。
自分が「幸せ」じゃないと、誰かに価値提供はできない
――今後の展望を教えてください。
もっと世の中が幸せな夫婦で溢れるような、そんな取り組みをしていきたいですね。
先ほどもお話した通り、結婚とは本来、自分とパートナーが「幸せ」になるためのもの。ですが残念ながら「幸せ」ではないカップルが、世の中には多すぎます。
そして「幸せ」じゃない家庭で生まれた子は、虐待を受けたり、いわゆる毒親に悩まされたり。そしてそのこどもが大きくなり、相手へ依存し、また「幸せ」じゃない家庭が生まれ……という悪循環が生まれてしまいます。
そんな状況を少しでも変えられるよう、これからも活動を続けていきたいですね。
――最後に、読者の方へメッセージをお願いします。
書類を役所に出すだけという意味では、結婚も独立・起業も、手続き自体は難しくありません。
ですが結婚生活も事業も、長く続けていくのはそう簡単ではありません。
大変な時にどうしたら踏ん張れるかというと、結局は自分が「幸せ」を感じているかどうか、やりたいと思えることがやれているかどうか、に尽きる気がします。
これも先ほどお話した通り、結婚生活も自分が「幸せ」じゃないと、パートナーに依存してしまいます。そして事業も、まずは自分が「幸せ」じゃないと、誰かに価値提供なんてできないものです。
結婚同様、独立・起業を考えるなら、まずは自分にとって「幸せ」の定義を明確化することから、始めてみてはいかがでしょうか。
取材・文=内藤 祐介