人生設計、という言葉があります。
どんな仕事をして、いつまでに結婚し、いつまでにどれくらい稼いでいくのか。
その目標を達成させるための選択肢として、独立・起業を検討される方も多いのではないでしょうか。
今回お話を伺ったのは、歌手のmiccoさん。
miccoさんは、marbleというユニットのボーカリストとして「ひだまりスケッチ」などといった数多くの人気アニメの主題歌を担当。2015年以降はソロで活動しています。
今回はmiccoさんのキャリアについて伺うとともに、現在の活動について、そしてこれからの目標について伺いました。
miccoさん
歌手、作詞作曲家
“オーガニックポップユニット”「marble」の元ボーカリスト。
2007年にLantisよりデビュー。デビューシングルは『芽生えドライブ』は人気アニメ「ひだまりスケッチ」のED主題歌に抜擢される。
以降、「初恋限定」「うみものがたり~あなたがいてくれたコト~」「ましろ色シンフォニー」等の数々のアニメの主題歌を担当。
2015年2月に、marbleを休止。
5月には初のソロワンマンLIVEを皮切りに、「micco」としてソロ活動をスタート。
現在は歌手として活動する傍ら、作詞作曲を手掛ける作家としても活動中。
デビューシングルでは人気アニメ「ひだまりスケッチ」を担当。marbleが結成されるまで
―歌手として活躍されているmiccoさん。音楽との出会いはいつ頃からだったのでしょう?
小学生の時ですね。合唱団のオーディションを受けて受かったことがきっかけで、音楽にのめり込んでいきました。
中学時代はバンドを組んで活動し、高校時代は音楽スクールに通い、そこで音楽の基礎を学びました。オリジナル曲を作り始めたのもこの時期ですね。
高校卒業後は上京して専門学校に進学し、より専門的な勉強を始めました。
その専門学校で、後にmarbleとして活動していくことになる、菊池達也と出会いました。
―菊池さんとの出会いを経て、marbleの活動へとシフトしていくのですね。
最初はmarbleとしてではなく、別の名義でデュオとして活動していました。
そこから紆余曲折あり、marbleとして活動を開始。2007年に『芽生えドライブ』という曲でLantisからメジャーデビューしました。
―デビュー曲である『芽生えドライブ』は、人気アニメ「ひだまりスケッチ」のED主題歌として人気を博しました。
良くも悪くも、私たちの音楽性や楽曲は「ザ・アニソン」という感じではありません(笑)。
そんな中、アニメやゲームの楽曲を多く手掛けるLantisからデビューするということで、私たちの音楽性がファンの方に受け入れていただけるか、最初は不安でした。
しかし、ありがたいことに大きな反響をいただけて。
以降もアニメの世界観も大切にしつつ、marbleとしての音楽性も両立できるように数多くの楽曲を制作していきました。
―これまでの楽曲の中で、ターニングポイントとなった曲はありますか?
5thシングルの『初恋 limited』ですね。
marbleを始める前からずっと、自分のボーカリストとしてのスタイルを探し続けてきたのですが、この『初恋 limited』でようやく自分の理想としている歌が歌えるようになりました。
また、続く6thシングルの『violet』も印象的ですね。
この曲は「うみものがたり 〜あなたがいてくれたコト」というアニメの主題歌として使っていただきました。
普通、アニメの主題歌はだいたい「89秒」と決められていることが多いのですが、監督の佐藤順一さんから「marbleの音楽の世界観を壊したくないから、自由にやって」と言っていただけて。
結果、この曲はアニメ版も「2分」で放送されました。
―アニメで主題歌を2分間流すのは、かなり異例ですよね。
そうですね。それでも監督は私たちの音楽性を大切にするために、そういった判断をしてくださって。
またデビューシングルで担当させていただいた「ひだまりスケッチ」も人気を博してアニメは4期まで制作され、2期以降もいくつか楽曲を担当させていただきました。
こう振り返ると、私たちは本当に周りの方や一緒にお仕事をする方に恵まれているなあと(笑)。
そんな感じで2007年にデビューしてから、2014年までmarbleとして活動を続けてきました。
ソロ活動を通して、歌の芯が強くしなやかになった。marbleという枠組みがないからこそできること
―2015年にmarbleは活動休止をされていますが、なぜmarbleとしての活動を止めようと思ったのでしょう?
marbleとして、いろいろな表現方法でやってきて、いろいろな歌も歌ってきて、お互いに、また違ったものにも挑戦して行ってみようかということから、休止という形を取る事にしました。
解散にするか、活動休止にするかで悩んでいたのですが、周りの関係者の方がとても惜しんでくれて。それで無期限の活動休止、という選択をさせていただきました。
―現在の仕事について教えてください。
今はmiccoとして、ソロで活動をしています。歌手としてライブをしたり、作家として他のアーティストに楽曲を提供しています。
基本的には音楽、歌を中心に仕事をしていることはmarble時代から変わらないのですが、ソロになってから始めたのは仮歌ですね。
―仮歌とはなんでしょう?
仮歌とは、アイドルやアニソンシンガーなどがリリースする曲のデモ音源を歌ったものです。
今までは自分、もしくは菊池の作った曲に対して、自分で歌詞を書いて歌っていたのですが、仮歌は詞も曲も人が書いたものを歌います。
これが自分にとってはとても新鮮だったんですよね。自分の曲はどうしてもカラーが決まっていて、表現方法も似てくるので。
―自分で楽曲を作っていたからこその表現力の限界、ということですね。
はい。
一方で人が作った曲を歌うと、今まで自分が使ってこなかった、思いもしなかった表現ができるようになりました。
仮歌の仕事を通して、引き出しがどんどん増えていくような感じがありますね。
先程お話した5thシングルの『初恋 limited』で“marbleのmicco”としての歌は完成してしまったのですが、ソロはいい意味でmarbleという枠組みがないので。
ソロの活動を通して、歌の芯が強くしなやかになりました。新しいmiccoとしての歌を追求できていますし、もっと自分の中の枠を広げられることが、今はとても楽しいですね。
いつ死んでもいいように、後悔しないように生きる
―これからの展望について聞かせてください。
2020年2月にライブがあるのですが、それ以降のことはあまり考えていません。
ただやりたいことや挑戦したいことはたくさんあるので、それを順番に1つずつ達成していけたらいいなと思っています。
私、あまりこれからのことを、例えば5年、10年先のことを考えていないので、質問に対してあまりいい答えになっていないかもしれませんね(笑)。
―あまり長期的なことは考えていらっしゃらないのですか?
そんな先のこと、わからないじゃないですか?
私、22歳の時に父を亡くしているんですが、その時に「人っていつか必ず死ぬんだな」と、まざまざと思い知らされて。
その時の原体験があるからこそ、先のことよりも今、目の前のことを一生懸命やりたいなと思うようになったんです。
いつ死んでもいいように、後悔しないように生きなきゃって。
―最後に、読者の方へメッセージをお願いします。
転職や独立・起業に限った話ではないですが、自分がやっていて好きなこと、楽しいことができていれば人生ってちゃんと楽しいものになると思います。
だからそのために5年後10年後のことではなく、数カ月、半年、1年先にこうしていたい、こんなことをやりたい、くらいで十分なんじゃないかと。
私はこれまでもそれを大切にしてきましたし、今目指すべき目標を明確にして、そしてそれに向かって全力で生き切る。
この積み重ねが、楽しい人生を送るために必要なことなんじゃないかなって思います。
取材・文・撮影=内藤 祐介