スタイルのある生き方へシフトしたいビジネスパーソンのためのニュース・コラムサイト。
検索
起業家・先輩から学ぶ

少子高齢化は独立の追い風だ! 「ライフネット生命保険」創業者、出口治明さんが語るこれからの日本と起業

少子高齢化は独立の追い風だ! 「ライフネット生命保険」創業者、出口治明さんが語るこれからの日本と起業

9月15日(金)、16日(土)の2日間にわたり、東京ドームシティ内のプリズムホールにて『アントレフェア2017』が開催されました。

多くのフランチャイズ本部や代理店本部と直接相談することができ、様々な業界の情報を集めることができる当イベント。

その中でも大盛況だったのが、ライフネット生命保険株式会社創業者である出口治明さんによるスペシャル講演です。

還暦を迎えてからベンチャー経営者になられた出口さんに、これからの日本における独立・起業についてのお考えや決断、そして個人の幸せについて語っていただきました。

<プロフィール>
出口 治明さん・ライフネット生命保険株式会社 創業者

1948年三重県生まれ。京都大学を卒業後、1972年に日本生命保険相互会社に入社。

企画部や財務企画部にて 経営企画を担当するとともに、生命保険協会の初代財務企画専門委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事する。

ロンドン現地法人社長、 国際業務部長などを経て、同社を退職。2006年に生命保険準備会社を設立し、代表取締役社長に就任。

2008年の生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社を開業。

主な著書
「生命保険入門 新版」(岩波書店)
「生命保険とのつき合い方」(岩波新書)
「直球勝負の会社」(ダイヤモンド社)
「働く君に伝えたい『お金』の教養」(ポプラ社)
「『働き方』の教科書」(新潮社)
「日本の未来を考えよう」(クロスメディア・パブリッシング)
「全世界史」(新潮社)など多数

「少子高齢化社会は、チャレンジする人にとって追い風である。」日本社会が、チャレンジする人に向いているワケ

出口さん
本日は、独立や起業をお考えの皆さんに是非とも覚えておいて欲しい考え方を、私からお話させていただきます。

まず、これからの日本という国について、皆さんはどうお考えでしょうか?

「先行きが見えなくて不安」「景気が回復せず心配だ」

そんな声が聞こえてきそうですね。

しかし私は、「これからがんばって働きたいと思っている人には、とてもいい時代が訪れる」と思っています。

その理由をご説明しましょう。

まず、これからの時代は若い人が減り、高齢者が増える「少子高齢化社会」がますます進んでいくことは、皆さんもよくご存じでしょう。

それに伴い、当然日本の労働人口は減少していきます。

するとどうなるのか。

どこもかしこも人手不足の状態に陥るわけです。

私は、東京都の北区に住んでいるのですが、近所のコンビニに行くと店員さんがみんな外国人の方々ばかりなんですよ。昔みたいに日本人だけでは、もう仕事が回りきらないんです。

もちろんこれはコンビニだけの話ではありません。

つまり、今の日本において失業することはないんです。仮に今の仕事をやめたとしても、どこかしらで雇ってくれる。なぜならみんな、人手が足りないから。

だから「もし仕事がなくなったらどうしよう?」といった心配なんてしないで、自分のやりたいことに挑戦してみてください。

自分がおもしろいと思う仕事をやってみて、もしそれがダメでも、あなたを雇ってくれるところはたくさんあるはずなんです。

私たちは、そうしたセーフティーネットがある時代に生きています。

どうでしょうか?
「これからがんばって働きたいと思っている人には、とてもいい時代が訪れる」という言葉の意味が分かってきたでしょうか?

”みんなで困っている人を支える”社会を作れば、税金と介護の不安から解放される

出口さん
とはいえ少子高齢化社会が進めば、労働者にとって税金の面で苦労するのでは? という疑問をお持ちの方も多いでしょう。

たしかに現在の日本では「若い労働者が高齢者を支える」という構図ができていますが、これが徐々に変化してきています。

その1つの例が、消費税とマイナンバーです。

これまで国は、若い労働者から所得税や住民税といった形で税を徴収して高齢者を支えてきましたが、少子化が進めばこのシステムは崩壊することは明白ですよね?

「若者1人で高齢者2人を支える」なんて、物理的に厳しいですから。

そこで登場するのが、消費税です。消費税は消費する人、つまり全ての世代の国民から税を徴収できます。

さらにマイナンバー制度によって、個人の所得を明確化し「本当にお金が必要な人」にお金が行き届くようになります。

つまり「若者が高齢化を支える」社会から、「みんなで困っている人を支える」社会に徐々にパラダイムシフトを起こしているのです。

そしてもう1つ。日本は世界一の高齢化社会であり、高齢化に伴って需要が増すのが、介護です。

世界一の高齢化社会とはすなわち、介護が世界一大変な社会ということです。

では、どうしたら介護の負担を減らすことができるのか。

これはもう介護される側の高齢者の健康寿命を延ばすしかありません。

私は50人もの医者に「どうしたら健康寿命が延びるのか?」を聞いて回ったのですが、全員が同じ答えを出しました。

それは、働くことでした。

日本には「定年」という不思議な文化があります。

およそ20代前半から社会に出て働き始め、65歳前後で定年を迎えて仕事をやめる。そんな通例がありますが、この定年というシステムは先進国の中でもかなり特異です。

仕事とは本来、働く人の意欲・態度そして能力によって得ていくものです。

それを年齢という区切りで判断するというのはナンセンスですよね。

私は、定年がなくなることに4つのメリットがあると思っています。

①定年なく働くことで健康寿命を延ばせること。
②健康寿命が延びたことで、医療費や年金の財政は安定すること。
③年功序列制を廃して、グローバルな同一労働・同一賃金にシフトできること。
④労働力の不足を解消できること。

健康寿命が延びて、医療費や年金が安定するのはすぐに想定できます。

また定年がなくなることで、年功序列を廃せざるを得なくなります。70歳80歳になっても年功序列をしていたら、下が詰まってしまいますから(笑)。

そうなると諸外国のような同一労働・同一賃金にシフトしていくことになると思います。性別や年齢、雇用形態に関わらず労働の種類と量に基づいて、賃金が支払われれば、みんなやる気を出しますよね?

そして何より労働者=若い人という固定観念から脱して、労働力の不足を解消できるのです。

こう考えると、日本の将来はそんな悪いものでもないなと思えてきますよね。

期日を決めて、メリットとデメリットを整理する。決断をする時に必要なこと

出口さん
私は、皆さんのように独立や起業を志す方からよく相談をされるのですが、多くの方が「決断すること」を苦手にしているように感じます。

独立はメリットもありますが、当然デメリットもあります。その狭間で揺れ動いて身動きが取れなくなってしまう人がよくいらっしゃいます。

独立するのか、会社員のままでいるのか。

もしどちらかが圧倒的に魅力的であれば、すぐに結論が出ます。でも決められないというのは詰まるところ、どっちもどっちなんですよね。だからなかなか一歩が踏み出せない。

「自分には決断力がない」―。そう決めつけて悩んでいる方は、実は決断力がないのではなく、「決め方を知らないだけ」なんです。

では、その決め方とはなんなのか。それをこれからお話しましょう。

決め方とはずばり、期限を決めることです。

いつまでもズルズルと考えずに、いつまでに結論を出すと決めることが大切です。

そして結論を出すまでの間、判断の材料として有効なのはひたすらメリット・デメリットを紙に書き出すこと。

この時に気をつけるべきなのは、頭の中だけで考えないこと。人間は考えを言葉にすることで、頭の中を整理するようにできています。

つまり、頭の中だけで考えていることは、実は堂々巡りなんです。

独立するか、会社員のままでいるのか。それぞれのメリットとデメリットをひたすら紙に書き出して、結論を出すまでの間、目に見えるところに張っておきます。

そして思いついた新たなメリット、デメリットを逐一更新していきます。逆に解決の目処の立ったデメリットがあればどんどん消していきましょう。

そうして期日までに考えを整理して、決断を下しましょう、そしてもし、それでも決断ができないようなら潔く考えることをやめて様子を見ることも大切です。

自分にとっての”幸せ“を定義する。後悔のない人生を送るために

出口さん
これまで、日本において独立・起業をするにあたり、知っておくべき考え方についてお話してきました。比較的マクロのお話が多かったかと思うのですが、最後に個人の幸せの重要性についてお話します。

私は、死ぬ時に「自分がやりたいと思ったことを全部やった」と言えるかどうかが、自分の人生が幸福であったかを左右する思っています。

自分がやりたいと思ったことに挑戦してみる。そこで成功するか失敗するかは時の運がありますけど、仮に失敗しても死ぬことはありません。先にお話したように、労働力不足で仕事はたくさんありますから。

私の好きな、あるカップルが起業した話を紹介しましょう。

あるカップルが2人で起業しました。起業後順調に業績を伸ばしていき、土日も返上でてんてこ舞いで働いていました。

しかし、起業から数年が経ち、お金は稼ぐことはできましたが、次第に2人の仲も悪くなっていき、健康も損なわれていきました。

そんなある日、2人は1日休みを取って、「自分たちのやりたいこと」を話し合いました。

「たまにはお休みを取ってショッピングに出かけたい」「年に1回は海外旅行に出かけたい」「一緒に食事を取る時間を作りたい」

2人は自分たちのやりたいことを全て実現しました。つまり、やりたいことを実現するために必要なお金だけ稼いだら、後は仕事を断るようにしたのです。

すると、2人は以前のように仲良くなり、健康になったそうです。どうですか? いい話じゃないですか?(笑)

私はこの2人の生き方がとても好きなんです。仕事が人生なのではなく、人生の一部が仕事なのです。だから私も「自分が何をしたいのか」という視点を大切にするようになりました。

何度も言いますが、労働力が不足しているこの日本という国は、チャレンジするにはもってこいの環境です。

自分にとって何が幸せなのかを明確にして、期限を決めて自分の進む道を選んでみてください。

アントレ 独立、開業、起業をご検討のみなさまへ

アントレは、これから独立を目指している方に、フランチャイズや代理店の募集情報をはじめ、
さまざまな情報と機会を提供する日本最大級の独立・開業・起業・フランチャイズ・代理店募集情報サイトです。