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必要なのは見切り発車? それとも入念な準備? 開業2年目のまるみベーグル店主に聞いた

生ボイス

「まずは走ってみて、後から考えればいい」

独立・起業を考える方にとって、よく耳にフレーズではないでしょうか。

独立に向けた準備をすることも大切ですが、準備に気を取られすぎるといつまで経っても行動を起こすことができない。

とはいえ準備することで避けられる問題があるのなら、できる限り準備を進めてから独立をしたい。

見切り発車と準備の両立は、独立・起業にとって永遠の課題かもしれません。

今回お話を伺ったのは、まるみベーグルの店主・山口忠幸さん。山口さんは2年前に開業し、練馬区江古田にベーグル店を出店しました。

山口さんは自身を振り返り「見切り発車」的独立だけが重要ではないと言います。今回はそんな山口さんの2年間をお聞きしました。

<プロフィール>
山口忠幸さん
まるみベーグル店主

高校卒業後、ファッションについて学ぶため京都の職業訓練校で学ぶ。
その後アパレルメーカーに就職し、パタンナー(デザイナーの描いたデザイン画を型紙(パターン)に起こす人)として、12年半勤務。

会社員時代に調理師免許を取得。徐々に飲食業へ興味を持ち始め、一念発起し2018年8月に会社を退職。同年12月、練馬区江古田に、まるみベーグルをオープンする。

「年を取ったら」では遅すぎる? 飲食業未経験の山口さんが、まるみベーグルを開業した理由

―現在まるみベーグルの店主を務めている山口さん。もともと飲食業をされていて独立されたのでしょうか?

山口さん
いえ。独立してまるみベーグルを立ち上げるまでは、もともとアパレルメーカーでパタンナー(デザイナーの描いたデザイン画を型紙(パターン)に起こす人)として働いていました。

―ファッション業界で働かれていたんですか?

山口さん
はい。高校を卒業してからずっとファッションを勉強していて、そのまま前職の会社に就職したんです。

その会社で12年半ほど働いていましたね。

―パタンナーのお仕事からベーグルのお店を立ち上げ、独立する。異業種独立の例として極めて特殊なケースのように思いますが、何があったのでしょうか?

山口さん
もともと昔から飲食業には興味がありました。学生時代はファミレスやファストフード店、ホテルの喫茶室などでもアルバイトをしたことがあって。

とはいえ当時はファッションの勉強をしていたので、そのままアパレルメーカーに就職することになったんです。

山口さん
ですが飲食への興味は会社員時代から、ずっと心のどこかに抱えていて。

「年を取って会社を退職したら飲食店をやれたらいいな」くらいに思っていたんです。

―それが年を取ってからでなく、今、独立することになったと。そのきっかけはなんでしょう?

山口さん
えらてんさん(えらいてんちょう/矢内東紀氏)のブログの「しょぼい起業」の記事(※)を見ていて。そこから独立を考えるようになりました。

「年を取ったら」って言うけど、実際その時になったらやらないでしょ、と(笑)。

社会人になって10年以上経ちますし、さらに年を取ったらそれこそ二の足を踏んでしまいたくなる。

そう思った時に「やるなら今かな」と、準備をし始めたんです。

※「しょぼい起業」(えらいてんちょう/イースト・プレス)…えらてんさんが提唱する、事業計画・資金・経験もいらないという生存戦略。

開業して丸2年。お客さまから直接「ありがとう」の声が聞ける仕事にやりがいを見出す


―具体的にどのような準備をされてきたのでしょう?

山口さん
今から3年前くらいでしょうか。まだ会社員だった頃に調理師免許を取得しておいたんです。

料理を作るというスキルはある程度勉強していたので、そこから何屋をやろうかということと、立地や物件を探し始めました。

―なぜベーグル屋さんとして開業されたのですか?

山口さん
それは単純に僕がベーグルが好きだからです(笑)。

山口さん
それに会社に勤めている時から、週末にベーグルを作っては会社の同僚や友人・知人に食べてもらったりして。いろいろアドバイスをもらっていたので、作りやすかったこともありますね。

江古田という場所を選んだ理由については、以前、沼袋に住んでいたことがあって。友人も近くにいたり土地勘もある程度あったからですね。

江古田、要町、東長崎周辺を探して見つけたのが、この物件だったんです。

実は前職の職場が横浜の近くだったこともあって、当初は横浜に出そうかと思っていました。

ですがやっぱり土地勘というか、どういった方が住んでいるのかよく知っていることって大事だなと思い、江古田を選びました。

2018年8月に会社を退職し、12月にまるみベーグルをオープンしました。

―まるみベーグルを開業してもうすぐ丸2年が経とうとしています。この2年を振り返ってみていかがでしたか?

山口さん
業種的な問題もありますが、大変は大変ですね。ベーグルはとにかく仕込みに時間がかかります。

店自体は日・月・金曜日を定休日としていますが、実際には月に丸1日も休んでいないような気もしますね。

そういう意味では会社員の方がよっぽど休めていたかもしれません(笑)。

―それくらいベーグルを作るのには時間がかかるのですね。

山口さん
ええ。予想はしていましたが、まさかここまで時間がかかるものだとは思いませんでしたね。

でも大変なことばかりでもないですよ。例えば店自体は1人でやっているので、職場の人間関係などで悩まされることはなくなりました。

また今はお客さまと直接関わって商売をしているので、メーカーで働いていた頃とは違ったやりがいも感じます。

立地的にも小さいこどももたくさん住んでいる土地柄なので、お子さんを始め親御さんから直接「ありがとう」の声が聞けるのはとても嬉しいですね。

理想的な独立開業は、見切り発車と入念な準備が両立できていること

―山口さんの今後の展望について聞かせてください。

山口さん
…難しい質問ですね(笑)。

「これからこうしてやる!」みたいな野望はそんなにないかもしれません。

それよりは今の状態をどう改善し、軌道に乗せるかを課題に感じています。

先程もお話したとおりとにかく時間的な制約が多い仕事なので、時間のない状態をどう改善するかを考えています。

とはいえ効率ばかりに囚われすぎて、商品のクオリティが下がってしまったら意味がないので、いかにクオリティを下げずにオペレーションの効率は上げられるか、ですね。

そのためには大胆な変化というより、まずは日々の仕事の質をブラッシュアップすることが大切なんじゃないかと思っています。

―最後に、読者の方へメッセージをいただけますか?

山口さん
正直、読んでくださっている方の背中を「大丈夫だよ!」「できるよ!」と、力強く押すことはできません。僕自身あまり楽天的な人間ではないので…(笑)。

そんな僕が皆さんに言えることがあるとしたら、独立において「見切り発車も大事ですが、準備も同じくらい大事」ということでしょうか。

僕のようにベーグルを作る仕事に関わらず、往々にして独立・開業後ってバタバタしてまとまった時間って取れないと思うんです。

よくこの手の話で「まずは走り出してみてから考える」といった見切り発車的な価値観を大切にされている方がいらっしゃいます。

もちろん覚悟を決める、という意味でめちゃくちゃ大切だと思いますし、現に僕も走り出して考えたことはたくさんありました。

しかしある程度はやはり準備を進めておくことは重要だなと、この2年で実感しました。

開業してから「あれやりたいな」「これ直したいな」と思っても、時間が思うように取れない。

だからこそ優先順位の高いものは、なるべく独立前に準備を進めておく方がベターです。

絶対に譲れない部分をしっかり準備しつつ、後は見切り発車で走る。その両軸が大切なことなんじゃないかと思います。

取材・文・撮影=内藤 祐介

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