起業したくても、「大きなお金を準備できない」「借金するのは怖い」と考え、ためらう人は少なくない。
しかし、さまざまな制度や手法を活用すれば、少額投資でスタートすることは十分に可能だ。
格安起業から事業を軌道に乗せた5人の先輩たちの事例で、その方法論や考え方を学ぼう。
カレー専門店:初期投資20万円/
有澤まりこさん
限定20食の本格カレーで、グルメ雑誌記者もファンに
スパイス料理研究家の先生の教室で学ぶ中、料理を教える仕事がしたいと思うようになりました。
店をやる気はなかったけれど、偶然出会った新宿ゴールデン街のバーのママに「うちの店を間借りしない?」と声をかけられて。賃料も悪くないし、間借りならいつでもやめられる。腕には自信があり、当時、ファストフード店で働いていたから、大量の調理に不安もない。経験のためにも流れに乗りました。
ところが、ふたを開けてみれば、カレーの日以外は閑古鳥。2カ月後、しぶしぶ限定20食のカレー店に転向したら、毎日完売に!お客さんの行列をさばききれず、独立を決意したのは8カ月後。
常連さんの要望で近場の物件を探したら、幸運にも間借りの賃料と変わらない店舗が見つかりました。
現在、限定30食を完売していますが、私は常に「たった1人の誰かのために料理をつくる思い」を大事にしています。その日の天候やお客さんの体調も考えたカレーだと気づく人も多く、思いをくんでもらえる幸せを感じますね。
間借りは気軽に始められる分、食を扱う配慮に欠ける人もいる。衛生面も含め、自分が提供するものが他人の体に入ることを忘れないでほしいです。
有澤まりこさん(42歳)
撮影/刑部友康、掛川マサヤ、竹井俊晴
アントレ2019.春号
「セルフリノベ、クラウドファンディング、間借り… イマドキ格安起業術」より