スタイルのある生き方へシフトしたいビジネスパーソンのためのニュース・コラムサイト。
検索
独立の専門家に聞く

「個人事業主でも受けられる補助金がある?」 コロナ禍でよく受ける質問を税理士が解説!

「個人事業主でも受けられる補助金がある?」 コロナ禍でよく受ける質問を税理士が解説!

8月に入り、新型コロナウイルスの変異株が猛威を振るい、緊急事態宣言地域も拡大されました。

私が属する税理士業界では確定申告や3月決算法人の申告等、1年で一番忙しい時期が終わり、多くの税理士事務所は夏は閑散期となります。静かな夏を過ごせるかなと思ってましたが今年は少し違いました。

連日の猛暑、災害をもたらす大雨。

そして日々更新され続ける、コロナ関連の支援の数々……。私の税理士事務所にも日々、多くのクライアントから、コロナ関連の質問が寄せられています。

そこで前回に引き続き、コロナ禍で税理士が事業者から良く受ける質問<第2弾>ということで、3つご紹介します。ぜひチェックしてみてください。

Q1 創業1期目でも補助金は受けられますか?

東京商工リサーチによると、2020年の新設法人は13万1,238社(前年13万1,398社)で前年比0.1%減でした。
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210512_01.html

個人的には新型コロナの影響でもう少し新設法人数が減少するかと思っておりましたが、結果的には2019年とほとんど変わらずでした。

そして、私の元にもコロナ禍前と変わらず新規創業関連の相談がきます。

その中でも多い質問が「創業1期目で補助金は受けられますか?」です。

質問の答えは、
「創業1期目でも申請可能な補助金はあります。ただし、創業1期目では申請できない補助金も多い」です。

「補助金」…国や地方公共団体が事業者に対して、原則返済が不要なお金を支給してくれる制度(主に経済産業省管轄)。一定の審査が通ればもらえる。
例)ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)
※よく似た言葉で「助成金」がありますが、こちらは厳密には「補助金」と異なります。

<1期目から申請可能な補助金例>
・小規模事業者持続化補助金
・ものづくり補助金
・事業承継・引継ぎ補助金
<1期目は対象外となる補助金例>
・IT導入補助金(必要書類の「納税証明書」が1期目だと提出できないため)
・事業再構築補助金(コロナ以前(2020年3月31日以前)から創業を計画等しており、2020年4月1日から2020年12月31日までに創業した場合は、特例的に支援の対象)

創業1期目の補助金採択率はどうなの?

1期目で補助金を申請できたとしても補助金が採択されるかは別問題です。

設立年度に応じた補助金の採択率が公表されるわけではありません。

補助金はあらかじめ予算が決まっており、基本的に応募者の中で競争があります。

データがないので何とも言えませんが、過去の実績がない分アピールが難しい等、設立2期目以降の事業者に比べて不利なこともあります。

だからと言って、申請を諦めるのはもったいないです。

補助金の申請を通して「事業計画」の作成等、会社や事業のことをしっかり考える良い機会です。

1回目で審査が通らなくても2回目や3回目の応募で再度挑戦できる補助金も多いです。

また「小規模持続補助金」のような毎年公募されている補助金もあり、一定の要件を満たせば一度採択されても別の年度に改めて応募し採択されることも可能です。

申請までの労力はかかりますが、それ以上のメリットを生み出してくれることでしょう。

ぜひ創業1期目の方も挑戦してみてください!

Q2 個人事業主でも補助金は対象となりますか?

2020年は「持続化給付金」、2021年には「一時支援金」や「月次支援金」など法人・個人事業主対象の国からの給付金がいくつかありました。
 
その中で「法人」に比べて「個人事業主」の方が受給できる金額が少ないという声を聞きます。

例)
・月次支援金
給付額(上限):中小法人等20万円/月、個人事業主等10万円/月

・一時支援金
給付額(上限):中小法人等60万円、個人事主等30万円

月次支援金では給付上限額に、法人と個人事業主では30万円の差があります。

そういったこともあり、法人化検討の相談が私の周りでは増えています。

月次支援金の場合、「法人成り特例」や「2021年開業特例」のような特例があります。

2021年に法人成りし「法人成り特例」を利用することで、月次支援金の給付上限額は、月20万円にアップします。

個人事業主なら月10万円であることを考えると、。

法人成り後、4月~8月まで要件を満たし申請できたとすると、個人事業主であった場合と給付上限の差は50万円になります。

※法人の設立月日により上限額が異なりますのでご注意ください。
2021年4月1日まで:上限20万円/月
2021年4月2日以降の場合:上限10万円/月

https://www.meti.go.jp/covid-19/getsuji_shien/index.html

それでは「補助金」の場合、法人と個人で受給金額や対象に差はあるのでしょうか?

結論は、法人、個人事業主でも受給対象となる受給額や対象に大差はありません。

ただ残念ながら、個人事業主が対象外となる補助金も一部ありますので、ご注意ください。

Q3 地方や地元でもテレワーク等で仕事ができる環境を整えようと思っています。テレワークやサテライトオフィス設置に活用できる補助金や助成金が増えてきていると聞いてますが本当ですか?

コロナ禍よりテレワークやリモートワーク等、オフィスから離れて働いている方も増えていることでしょう。国としてもコロナ対策としてテレワーク推進をしています。

総務省:テレワーク推進について
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/telework/

そのため、国や各自治体からもテレワークに活用できる「補助金」や「助成金」、サテライトオフィス設置のための「補助金」が数多くでています。

テレワークに必要な機器(例:パソコン、タブレット)や、ソフトウェア等(例:会計ソフト、CAD)の環境整備に係る経費が対象となるものも自治体によってはでています。

※サテライトオフィスとは、企業や団体の本社・本拠から離れた場所に設置されたオフィスのことです。

総務省:おためしサテライトオフィス
https://www.soumu.go.jp/satellite-office/index.html

サテライトオフィス設置に伴う補助金・助成金の例を見てみましょう。

<愛媛県の例>

愛媛県ホームページより(お試し勤務等費用助成)
https://www.pref.ehime.jp/h30180/satellite-office/kaihatsugassyuku.html

地方での拠点設置を検討されている愛媛県外ICT関連事業者の方または新たに本社機能を有する事業所の新設を検討している事業者の方が対象となっています。

愛媛県でお試し勤務等を実施する際に必要な費用(交通費や宿泊代、お試し勤務に必要な機器レンタル代等)の一部が助成対象となっています。

サテライトオフィスによる勤務をお試し体験したいときにぜひ活用したい助成金です。

※最新の情報は自治体のホームページよりご確認下さい。

補助金・助成金の検索方法について

気になる自治体や地元の自治体でも補助金や助成金がないか検索してみましょう!

①J-Net21より検索
「地方」の予算は、J-Net21より自治体ごと(都道府県市町村別)の支援策を検索可能です。

◆J-Net21
https://j-net21.smrj.go.jp/

②検索エンジンで検索する方法
「サテライトオフィス 補助金」「テレワーク 助成金 東京」といったキーワード検索により効率的な検索も可能です。

※「補助金の検索方法」はこちらから復習してみて下さい!
https://entrenet.jp/magazine/23821/

お得な情報は向こうから歩いてこない!こまめにチェックを!

今回もコロナ禍によく受ける質問をお届けしました。

<今回のまとめ>
1 創業1期目でも申請できる補助金があるので上手く活用を!
2 個人事業主でも法人と対象となる補助金に大差はない!
3 国や各自治体からテレワークやサテライトオフィス設置等の推進のために数多くの補助金や助成金が出ている!

創業1期目や個人事業主の方でも補助金をうまく活用して頂ければと思います。

情報はすぐに入れ替わりますので、こまめに情報をチェックするようにしましょう。そして分からないことがあれば専門家に積極的に聞いてみてください。

自分・自社に必要な正しい情報をつかみ取り、コロナ禍を乗り越えていきましょう!

文=齋藤 雄史
編集=内藤 祐介

<プロフィール>
齋藤雄史さん
税理士/公認会計士
宮城県仙台市出身。

高校卒業後、進学資金を貯めるため、新聞販売店に勤務。その後、地元の簿記専門学校に進学、東日本大震災同年の2011年公認会計士試験合格。

合格後、新日本有限責任監査法人福島事務所勤務。
法律の世界に魅せられロースクールに進学し、同時期に板橋区にて会計事務所を開業。

ITやクラウド対応を武器に顧客開拓に成功し、20代〜30代をはじめとする多くの起業家から厚い信頼を得ている。

アントレ 独立、開業、起業をご検討のみなさまへ

アントレは、これから独立を目指している方に、フランチャイズや代理店の募集情報をはじめ、
さまざまな情報と機会を提供する日本最大級の独立・開業・起業・フランチャイズ・代理店募集情報サイトです。