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1日バーテンができるバー「moja」店主・たけいさんに聞く、人が集まる場所の作り方

1日バーテンができるバー「moja」店主・たけいさんに聞く、人が集まる場所の作り方

人を集める。

飲食業や接客業などを中心に、これから独立・開業を考える方にとって大きな課題の1つではないでしょうか。

人を集めるためには、オンライン・オフラインともに様々な方法が存在しますが、その中でも特に重要なのは「企画」の面白さ。

今回お話を伺ったのは、江古田にあるバー「moja」を経営する、店主のたけいさん。

たけいさんが運営する「moja」では、なんと「1日バーテン」なるシステムを採用。

様々な職業・趣味嗜好を持つ人にたけいさんが声をかけ、バーテンダーとして店頭に立ってもらうことで、多くの人が集まっています。

もともと、飲食業の経験がなかったたけいさんですが、なぜ「moja」を開業しようと思ったのでしょうか。その理由を伺いました。

<プロフィール>
たけいさん

大学卒業後、出版社に勤務し編集職を経験する。居場所のないこどもたちを支援するNPO法人の取材を通して、こどもたちと関われる仕事をしたいと思うようになり、児童館の運営会社に転職。

2017年ごろから1人暮らしをするために家を探していたところ「えらいてんちょう」さんのブログを見て、バーの開業に興味を持つ。

2018年4月、バー「moja」を開業する。
2020年2月に新店舗をオープン予定。

飲食経験ゼロでバーを開業? たけいさんが「moja」を開業した理由

―江古田に「moja」というバーを構えているたけいさん。「moja」を開業するまでの経緯を教えてください。そもそも飲食業をされていたのでしょうか?

たけいさん
いえ、飲食業は経験したことはありませんでした(笑)。

順を追って話をすると、大学を卒業して新卒で、ある出版社の編集部に社員として入社したんです。

仕事自体は楽しくやっていたのですが、編集の仕事って基本的にずっと座りっぱなしなので、仕事をしているうちにだんだん体を動かす仕事がやりたくなってきて。

そんな時に偶然仕事で、居場所のないこどもたちを支援する、NPO法人に取材に行ったんです。

大学の教職課程を経て教員免許を持っていたのと、体力のあるうちしか、こどもたちを相手にできる仕事はできないと思い、学童や児童館を運営する会社に転職したんです。

―ここまで、バーに関する話題が全くないのですが…(笑)。

たけいさん
そうですね(笑)。

バーを始めるきっかけになったのは2社目に勤めている時。当時26歳で、そろそろ1人暮らしを始めたいと思い立ったんです。

ただ、普段ずっと会社にいるのに、その分の家賃を払うのってなんか嫌じゃないですか。

たけいさん
どうしたものか、と考えている時に「えらいてんちょうさん」(以下、えらてんさん)のブログにあった「しょぼい起業」(※)の話と出合って。

それで、どうせなら引っ越すついでにそこを職場にしてしまおう、と思ったんです。

※「しょぼい起業」(えらいてんちょう/イースト・プレス)…えらてんさんが提唱する、事業計画・資金・経験もいらないという生存戦略。

―なぜバーだったのですか?

たけいさん
はい。もともと老後にバーや喫茶店みたいな飲食店をやってみたくて。

でもよくよく考えたら、別に老後である必要はないなぁ、と(笑)。

それで仕事が休みの週末を使って物件を探し、江古田にいい物件が見つかったんで、そこを借りてバーをオープンすることになりました。2018年4月の出来事です。

1日バーテンができるバー「moja」とは、どんなお店?

―あれよあれよと「moja」をオープンすることになったわけですが、会社はどうされていたんですか?

たけいさん
そのまま退職せず勤務していました。だから昼間は学童の先生をしていて、夜はバーのマスターをする、二足のわらじ生活をしばらく続けていました。

2018年4月に開業して、その年の12月に退社するまで続けていたので、半年ちょっとですね。以降2019年1月からは「moja」専業で働いています。

―「moja」の開業にかかった諸々について、整理させてください。

たけいさん
物件は飲食店の居抜きをそのまま使って、電子レンジや冷蔵庫などは中古品を取り引きできるWEBサイトで調達して。

開業費用は諸々合わせて60万円ほどだったと思います。

―飲食業の経験もなく始められたということで、いろいろご苦労もあったのではないでしょうか?

たけいさん
苦労…どうでしょう。配管が詰まってしまって水浸しになった時は困りましたが、そこまで大きな困難、はなかったかもしれません。

ありがたいことに、経営的にも赤字はありませんでしたし。

今年の4月で開業して丸2年を迎えるのですが、早いなあという感想です。

―赤字を経験されたことがない、というのは1日バーテンという「moja」の一風変わったシステムによるものが大きいのでしょうか?

たけいさん
そうかもしれません。

1日バーテンというのはその名の通り、1日限定のバーテンダーを立てて、その人に店を回してもらう、というシステムです。

たけいさん
このような感じで、毎日違った切り口で昼はカフェ、夜はバーを運営しています。

中には僕自身が店頭に立つ場合もありますね。

バーテンダーの職業や趣味嗜好・属性によって、全く違う切り口の企画ができるのが面白いところですね。

―バーテンダーの選別はどのようにされているんですか?

たけいさん
だいたいお店に来てくださった方に、僕が声をかけたりしています。

あとは、バーテンダーをやってもらった方に別の方を紹介してもらったりとか。Twitterで面白そうなことをされている方を見つけて、ダイレクトメッセージでお声掛けしたりとか。


※初めてバーテンダーを務めた人と記念に撮影も。

たけいさん
そんな感じでバーテンダーをお願いしているので、バーテンダーは極論、お酒を作れなくてもいいんですよ(笑)。

一応バーという形態で「moja」を運営していますが、毎日いろんな人に集まってもらえるような場所にしたいなと思っています。

―その自由度の高さが「moja」の持つ魅力なのですね。とはいえ、ファンを獲得していくまでの最初の走り出しには苦労されそうですが…?

たけいさん
そこはえらてんさんにお世話になりましたね。

物件を探して、店を改装している時にTwitterでえらてんさんに声をかけていただいたんです。

「moja」のイベントバーとしての側面は、えらてんさんがやられている「エデン」というバーを参考に作っているので。

「moja」のオープン初日も「えらてんバー」を開催していただいたんです。

そこでたくさんの方に知っていただけたのですが、以降は「moja」独自のお客さんやバーテンダーさんも獲得していって。

そんな感じで、あっという間に2年経ってしまいました。

「moja」を“大人が遊べる地区センター”のような場所にしたい

―たけいさんが「moja」を運営する上で、大切にしていることはなんでしょう?

たけいさん
来てくれた方にとって、どれだけ「moja」を楽しい場所にできるかは、常に考えていますね。

僕の中の1番楽しかった記憶はこどもの頃、地区センターで遊んだことなので「moja」もこどもで言う地区センターのような場所にしたいなと。

―地区センター?

たけいさん
ええ、地区センターってトランプとかバスケとかカードゲームとか。とりあえずそこに行けば友達がいて、何か面白そうなことをやってるじゃないですか。

でも大人でそういった場所って、なかなかないですよね。

だから大人がふらっと行って、手軽に楽しくなれる場所を作りたいんです。

ありがたいことに「moja」も開業してもうすぐ丸2年経ちますし、2月には桜台に新店舗もオープン予定です。

大人たちが笑い転げられる場所を作るために、これからもいろいろと挑戦していきたいですね。

―最後に、読者の方にメッセージをいただけますでしょうか?

たけいさん
「楽しいこと・好きなこと」を仕事に、という言葉をよく聞きますが、正確には「自分にとってしんどくないこと」じゃないと、仕事は続かないんじゃないかなと。

これは会社員として働いていても、独立・開業をしていても言えることですね。

楽しいとか好きって、結構不安定だと思うんですよ。仕事をしていたら楽しくない時だってあるし、好きじゃなくなる側面だって当然出てくる。

だからこそ継続的にストレスなく仕事をしていくには、自分にとって「しんどい」ことを潰していくこと。

自分にとって何があったら「しんどい」のかをよく考えて、その「しんどい」ことが起こらないような仕事を選ぶことが、長く商売を続けていく上で必要なことなんじゃないかなと思います。

取材・文・撮影=内藤 祐介

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