多くの方が知っている「ふるさと納税制度」。
ふるさと納税制度とは、「自治体に寄附すると税金の控除が受けられ、おまけにお礼品が送られてくる」というものでした。
実は「ふるさと納税」以外でも寄附をすることで、税金の控除が受けられ、寄附先からおまけがついてくることがあるのをご存じでしょうか?
最近ではウクライナ情勢や、地震・災害等が起こった地域への援助など、寄附への関心が高まっています。
そこで今回は、税金の控除が受けられる「寄付金控除制度」について、わかりやすくお伝えします!
寄附金控除って何?
寄付金制度とは、納税者が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し、「特定寄付金」を支出した場合、所得税の控除(経費のようにできる→課税所得額を減らす)を受けることができる制度です。
寄附した金額のうち2,000円を超える部分(一定の上限あり)について、納税年分の所得税が控除されます。
また、寄附先によっては所得税だけでなく住民税の控除も併せて適用される場合もあります。
※住民税の場合、寄附した年の翌年の納める住民税から減額される形で控除されます。
例えば、2022年中に寄附をした場合、2023年に払う住民税が減額されます。
所得税を納めている方は、税制上のメリットがあります。
寄附金制度についてより詳しく知りたい方は、国税庁のホームページをご参照ください。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/04_3.htm
寄附先はどんな所でも良いの?
そしてよくいただくのが「寄附をしていれば寄付金控除を受けられるのか?」という質問。答えは、全ての寄附が控除の対象となるわけではありません。
寄附金控除の対象となる寄附先は、下図に記載のような団体等への寄附に限られます!
総務省ホームページ
https://www.soumu.go.jp/main_content/000376208.pdf
寄附する前に、寄附先に寄附金控除の対象になるか、確認しましょう!
また寄附先が公益社団法人、社会福祉法人等の欄を見ると、所得税の「所得税控除」「税額控除」両方に◯がついています。
ただここでは、所得税率がよほど高い方以外は「税額控除」に◯がついている法人等を選んだ方が控除額が有利となるケースが多い、ということを抑えておけば大丈夫です。
そのため「税額控除」を使える寄附先か、寄附先を決める上で大事な要素となります。
「税額控除」制度が使える公益法人とNPO法人の検索は、内閣府のホームページで検索してみましょう!
https://www.cao.go.jp/others/koeki_npo/koeki_npo_zeigakukoujyohojin.html
ふるさと納税も寄附金控除制度の一種?
「ふるさと納税」とは、地方自治体へ寄附金を行うことにより、税金(所得税・住民税)の控除が受けられる制度です。
そのためふるさと納税も、寄附金控除制度の一種と言えます。
ふるさと納税についてより詳しく知りたい方は、ポータルサイトをご参照ください。
総務省:ふるさと納税ポータルサイト
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/080430_2_kojin.html
やっぱりお得な「ふるさと納税制度」
では「ふるさと納税」と「他の寄附金控除制度」の違いは一体なんでしょう。
大きな違いは下記の3つです。
②ふるさと納税は、住民税の「特例部分」があるため、控除額が大きい。
③ふるさと納税は、確定申告せずに控除が受けられる「ワンストップ特例制度」がある。
ふるさと納税は、2,000円の自己負担だけで実質的に寄附した金額相当の税金の控除(控除の上限はあります)が受けられ、お礼品もついてくるということです。
例えば1万円をA市に寄附したとすると、8,000円の税金(所得税・住民税合計)の控除が受けられ、おまけにA市から3,000円相当の食品がお礼として送られてきたといった具合です。
やはりお得な制度と言えます。
ふるさと納税以外にもおまけがついてくる寄附金控除があるって本当?
意外と知られてないのが、ふるさと納税以外の寄附でも賛助会員となるなどにより、おまけがついてくることがあります。
一例を紹介します。
公益財団法人 全日本柔道連盟
https://www.judo.or.jp/aboutus/support-member/
公益財団法人都市緑化機構
https://urbangreen.or.jp/recruitment/recruitmentguide
公益財団法人東日本盲導犬協会
https://www.guide-dog.jp/support/supporting_member/
どうすれば税金控除の特典を受けられるの?
寄附金の控除を受けるには、確定申告が必要になります。
確定申告書に、寄附金控除に関する事項を記載する必要があります。寄附をすると、寄附先から寄附金の領収書等が送られてきますので、そこに寄付をした金額を明記し、領収書等は証拠書類として保管しておきましょう。
国税庁の確定申告書等作成コーナーで確定申告書の作成が可能です。
https://www.keisan.nta.go.jp/kyoutu/ky/sm/top#bsctrl
入力項目も寄附先からの領収等の内容を写すイメージですので、難しくありません。心配な方もご安心を!
※寄附先からもらえる寄附の証明書や領収書が必要となりますので、必ずとっておきましょう!
自分で納税先を反映&応援できる!それが寄附金控除制度!
今回は、寄附金控除制度についてお伝えしました。
ふるさと納税も寄附金控除制度の一種ですが、それ以外の寄附金の控除制度について、知らなかったという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
「ふるさと納税」は税金の控除金額が多い点、お礼品がもらえる点(年間5件までといった条件込みで)確定申告が不要となることもあり、やはり魅力的ですが、ふるさと納税以外の寄附金制度でもメリットがあります。
①税金の控除(所得税・住民税)が受けられる。
②おまけがついてくることがある。
そして寄付金の一番いいところは、控除や返礼品だけでなく、自らが行った寄付によって、誰かを応援できることではないでしょうか。
寄附した時は確定申告を忘れずに行い、税の恩恵を受けることを忘れずに!
文=齋藤 雄史
編集=内藤 祐介
齋藤雄史さん
税理士/公認会計士
宮城県仙台市出身。
高校卒業後、進学資金を貯めるため、新聞販売店に勤務。その後、地元の簿記専門学校に進学、東日本大震災同年の2011年公認会計士試験合格。
合格後、新日本有限責任監査法人福島事務所勤務。
法律の世界に魅せられロースクールに進学し、同時期に板橋区にて会計事務所を開業。
ITやクラウド対応を武器に顧客開拓に成功し、20代〜30代をはじめとする多くの起業家から厚い信頼を得ている。
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