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湊研雄26歳、「銭湯の番頭」と「お笑い芸人」のダブルキャリアを積む

生ボイス

1日の終わり、忙しかった今日を思い出しながら湯船に浸かると「あ“ぁ~」と声にならない声が漏れる。思うに、日本人の8割は風呂好きではないだろうか。

どの家にもほぼ湯船があるし、近所に1つはスーパー銭湯などの公衆浴場があるはずだ。公衆浴場や温泉には、小さなおこさまからご老人まで老若男女が足を運んでいる。

シャワー中心の海外と比べると、この状況はかなり特殊なものと言える。

公衆浴場のなかで最も身近なものといえば銭湯だが、最近では施設の老朽化や経営者の高齢化に加え、後継者不足も重なって次々と街から姿を消している。

その一方、若者の間で銭湯は静かなブームになっていて、なかには番頭になって銭湯の経営を行っている人もいるという。

川口市の『喜楽湯』(きらくゆ)で働く湊研雄(みなと・けんゆう)さんも番頭の1人。話を聞いてみると、湊さんは番頭だけでなくお笑い芸人としても仕事をしているという。

「銭湯の番頭」と「お笑い芸人」、一見無関係に思える2つの仕事を、湊さんはなぜ掛け持ちしているのだろうか?

<プロフィール>
湊研雄(みなと・けんゆう)26歳
銭湯『喜楽湯』番頭・お笑い芸人静岡県浜松市出身、都内をはじめ県外の銭湯(約200軒)に足を運ぶ銭湯好き。京都の「サウナの梅湯」を経営する湊三次郎の弟で、自身も上野の『寿湯』など、様々な銭湯仕事に従事してきた。お笑い芸人としても活動している。

お湯と、お客を「沸かす」生活は、なぜ始まった?

川口市の駅から徒歩12分、住宅街のなかにある『喜楽湯』は一見するとカフェのような店構え。のれんはポップなデザインで、店先にはカラフルな椅子が並べてある。午後3時のオープンと同時に今日も多数の常連さんがのれんをくぐってきた。

ー まずは、湊さんの経歴を教えて下さい。

湊さん

僕はもともと静岡県出身ですが、大学進学を機に関東に上京してきました。お笑い芸人になりたいという夢を優先して大学は中退。その後、お笑い芸人の養成所に入り、お笑い芸人として活動を始めました。その傍ら、銭湯の番頭としても活動しています。

ー なぜお笑い芸人になろうとしたんでしょうか?

湊さん
お笑い芸人は小学生から大学生になるまでずっと憧れていた職業なんです。小さい頃「かっこいいな」って思う職業や人っていますよね?

僕にとって芸人がそれ。喋って人を喜ばせてお金をもらえるってすごいじゃないですか。

そんな憧れや「お笑い芸人やりたい」って思いがどんどん膨らんでいって、「死ぬまで同じこと思い続けるなら、今なってしまおう」と考えて、大学を辞めて養成所に入ったんです。

ー 銭湯で働こうと思ったきっかけは?

湊さん
銭湯は上京直後に通い始めたんです。というのも上京直後は知人も友達も少ないじゃないですか、だから番頭さんとの会話がすごく嬉しいんですよ。当時は人恋しかったんでしょうね(笑)。

「今日は寒いね」「そうですね」って些細なやり取りを求めて銭湯に通っていたら、「今日はここに行ってみよう、明日はあの銭湯に足を伸ばしてみよう」と、銭湯巡りをするようになったんです。

気付いたら県外にも足を伸ばし、200軒以上の銭湯に通っていました。

ー ということは、銭湯巡りをしているうちに働きたくなったんでしょうか?

湊さん
そうですね。いつか自分も銭湯を運営したいと思い始めて、上野の『寿湯(ことぶきゆ)』っていう銭湯でアルバイトを始めました。やることは風呂の仕込みや浴室の掃除、やっていることは、今とあまり変わっていません。『寿湯』ではアルバイトから契約社員になり、とても満足しながら働いていました。というのも月収は大卒の新卒給与よりちょっと多め、ボーナスも年2回支給、休みも週休2日とホワイト企業(銭湯?)だったんですよ。

ー そんなにいい環境なのに、どうして退職されたんですか?

湊さん
他の銭湯でも働いてみたかったんです。浴室の洗い方から接客まで様々な方法があるので、色んなスタイルを勉強してみたかった。将来は自分の銭湯を持ちたかったので『寿湯』で働くのは1年間だけと決めていました。

ー 最初から決めていたことなんですね。『喜楽湯』で働き始めたきっかけはどのようなものだったんでしょうか?

湊さん
『寿湯』で働き始めてもうすぐ1年。退職しようと考えていた時に、タイミングよく『喜楽湯』の立ち上げミーティングに呼ばれたんです。『喜楽湯』はTOKYO SENTOというWebメディアが経営している銭湯で、メディアの代表から声がかかりました。ミーティングは渋谷の喫茶店ルノアールでしたね。そこで聞いた「銭湯文化を後世に残していきたい」という代表の思いが決め手になって、『喜楽湯』で働くことを決めました。

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番頭と芸人、二重生活の内情は?

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