スタイルのある生き方へシフトしたいビジネスパーソンのためのニュース・コラムサイト。
検索
起業家・先輩から学ぶ

趣味で始めたピラティスでスタジオを開業。小川真澄さんはどうやって副業を本業にした?

趣味で始めたピラティスでスタジオを開業。小川真澄さんはどうやって副業を本業にした?

副業から始める独立。

働き方改革、副業解禁というワードも耳にするようになって久しい、2022年。副業人口は年々増えていっています。

副業をされている人の中には、ゆくゆくは副業を本業に、独立・起業を考えている、という人も少なくないのではないでしょうか。

今回お話を伺ったのは、小川真澄さん。

小川さんは動物病院で看護師として働く傍ら、趣味としてピラティスを始め、好きが高じていつしか自らピラティススタジオを開業し、独立しました。

しかし、趣味から始めたピラティスを“副業”にし、そして“本業”にするまでには、いくつもの挑戦がありました。

今回はそんな小川さんのキャリアとともに、どのようにしたら副業を本業にできるのか、小川さんなりの考えについて伺いました。

<プロフィール>
小川真澄さん
マシンピラティス スタジオ「THE FOUR SEASONS」代表

大学卒業後、動物病院の看護師として勤務。
その傍ら、趣味としてピラティスを始める。

その後、大阪市内にピラティススタジオ「THE FOUR SEASONS」を開業する。
現在はスタジオを3店舗に拡大し経営している。

習い事からのスタート? 動物病院の看護師として働いていた小川さんが、ピラティススタジオを開業するまで

――現在大阪市内でピラティススタジオ「THE FOUR SEASONS」を運営する小川さん。まずはピラティスとはどのようなものなのか、簡単にお聞かせください。

小川さん
ピラティスとは、ドイツ人のフィジカルトレーナー、ジョセフ・ピラティス氏によって考案された、体の動作機能を改善するためのトレーニングです。

そこで体の仕組みや、体の適切な動かし方、正しい姿勢、筋肉などを勉強しつつ、体を鍛えていくエクササイズが、ピラティスです。

私がピラティスと出合ったのは、動物病院の看護師として働き始めて数年が経った頃でした。

――では最初は、会社員として働く傍ら、習い事としてピラティスに通うようになったんですね。

小川さん
はい。ピラティスを始めて、その魅力に夢中になっていき、気がついたら週3から週4回、レッスンに通うようになっていって。

気がついたらインストラクターから「ピラティスが好きなら、もっと勉強してみたらどう?」と提案をされるほどになりました。

それでより本格的にピラティスについて勉強するようになったんです。

最終的にはマシンピラティス(※)をマスターするために、大阪から東京まで勉強しに行ったこともありました。

※ピラティスの中には、専用の機械を用いて行うエクササイズがある。

――そして好きが高じて、独立に至ったと。

小川さん
そうですね。

動物病院でのお仕事も全然嫌ではなかったので、当初は「休みの日にピラティスのインストラクター業もできたらいいな〜」くらいに思っていたのですが……。

自分が通っていた教室のインストラクターから「せっかく勉強したなら、ちゃんとインストラクター業をやったらええやん!」と勧められて。

その勧めもあり「ピラティスのレッスンをするだけのノウハウはあるのだから、あとはスタジオ作って、集客してレッスンするだけだな」と、割と気楽な感じで始めてみようと思ったんです。

今考えたら、その集客こそがとても大変だったんですけどね……(笑)。当時は初めての独立だったこともあり、怖いもの知らずなところもあって。

そしてピラティスの本場、アメリカはカリフォルニア州へと渡り、最先端のピラティスを学んで帰国。

2015年4月から大阪市内に、ピラティススタジオ「THE FOUR SEASONS」をオープンさせました。

結局、人はお金を稼げるところへ流されていく? 副業を本業にするために必要な2つのこと

――現在のお仕事について、お聞かせください。

小川さん
現在は大阪で3店舗スタジオを、経営しています。

レッスン業を行うこともあるのですが、現在はフリーランスのピラティスインストラクターにご依頼しているので、どちらかといえばスタジオ経営の仕事の側面の方が強いかもしれません。

――独立当初、苦労したことなどがあれば教えてください。

小川さん
やはり集客にはかなり苦労しましたね……。

最初は特に生徒さんが集まらず、大変でした。なので最初期は動物病院での仕事の「副業」として、スタジオ経営やレッスン業をしていたんですよ。

独立前に考えていた「集客してレッスンするだけ」という言葉の現実が、重くのしかかっていましたね(笑)。

――そういった苦労もありながら、スタジオを開業して丸7年。さまざまな経験をされてきた小川さんから見て、副業から始める独立・開業をする上で、必要なことはなんだと思いますか?

小川さん
必要なことは2つあると思います。

1つ目は、「人はやりたいことがあっても、お金を稼げるところへ流れていってしまいやすい」という“当たり前”を、まずは自覚すること。

ピラティスに限らずですが、副業とは往々にして、最初は本業の仕事よりも稼げないものです。

余裕がある時はいいんですが、本業や私生活が忙しくなってしまうと、つい副業は疎かになってしまうものなんですよね。

――アルバイトをしながら夢を追いかけている人にも、同じことが言えそうですね。

小川さん
まさにその通りです。

自分のやりたいことよりも、どうしても目の前の生活、お金を優先してしまう……。

副業を本業にして独立したいなら、まずはその“当たり前”を自覚するべきだと思います。

――2つ目はなんでしょう。

小川さん
「人はやりたいことがあっても、お金を稼げるところへ流れていってしまいやすい」という“当たり前”を理解した上でなお「その道で食べていくこと」への覚悟を決めることです。

今でもよく覚えているのですが、私も会社を辞めてピラティスで食べていくことを決意した時。

ある先輩インストラクターから「会社員として稼いだお金で、アメリカへ研修に行くな」と言われたことがありました。

――なぜインストラクターはそのようなことをおっしゃったのでしょう?

小川さん
実は当時、既にごく身近な知り合いには、ピラティスのレッスンを行っていたんです。

でも当時は会社にも勤めていましたし、今と比べてもまだピラティスを教える経験も浅くて。

加えて、顔馴染みに教えていたこともあったので、ほぼタダ同然でレッスンを行っていました。

振り返ると独立を決めていたものの、当時の私にとってはまだピラティスは「趣味の延長」であり、本業にするための覚悟が甘かったんですよね。

きっと先輩インストラクターは、そんな私の様子を見て、アドバイスをしてくださったんだと思います。

ピラティスの研修でアメリカに行くからには、ちゃんとピラティスのレッスンでお金を作らないといけません。

そこで私は、レッスンを受けてくれていた人たちに頭を下げて、レッスン費をちゃんといただくことを決めたんです。

――生徒さんの反応はいかがでしたか?

小川さん
それが思っていた以上に、悪くなかったんですよね。むしろ「それが小川さんの夢のためなら」と、応援してくださったんです。

副業を本業に、仕事にするならそれ相応の覚悟がなければならないと、私自身、身をもって知りました。

自分が食べていくためにも、勇気を持ってちゃんと適切な対価をいただけるようにしていく。

それが副業を本業に変えるための、第一歩だと思います。

メンタルを安定させ、目標から逆算して、今の自分ができるアクションを起こす!

――独立した後、稼ぎ続けていけるか不安だ、という声もよく聞きます。そうした悩みを抱くことはありましたか?

小川さん
私も人間なので、不安になることもありますよ(笑)。

それに私のスタジオでレッスンをしてくださっているピラティスのインストラクターたちも、フリーランスの人ばかりなので、そういった悩みを聞くことも多々あります。

人間、不安になる時って大体「食べる」「寝る」「動く」という、動物としての最低限の活動ができていないことが多いんです。

だからまずちゃんと食べて寝る。そしてピラティスをして体を動かしましょう。……もちろんピラティスじゃなくてもいいんですけど(笑)。

これはよく、インストラクターたちにもお話しますね。「ご飯食べてる? 夜ちゃんと寝れてる? ピラティスできてる?」って(笑)。

――確かに「食べる」「寝る」「動く」ができていれば、メンタルは安定しそうな気がします。

小川さん
そうなんです。

メンタルさえ安定すれば、あとは不安な要素を言語化して、問題を逆算して解決策を考えることができます。

例えば、ピラティスインストラクターという「副業」をこれから「本業」にしていきたいなら、

・◯◯月までにお客さんを3人作る(期限を決める)
・お客さんになってくれそうな人のところへ足を運んで営業をしてみる
・SNSを活用して情報を発信する
小川さん
など、自分が臨むべきアクションが、いろいろ見えてくると思うんですよね。

アクションを決めたらあとは行動を起こして、振り返って分析して、次のアクションを決める。その繰り返しだと思うんですよ。

――まずメンタルを安定させて、アクションを決める。小川さんの言葉には、とても説得力を感じます。最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

小川さん
今の時代、とてもいいなと思うのは、小さなアクションなら誰でもできる、ということですね。

例えば私は最初からいきなりスタジオを構えてしまったのですが、ピラティスのインストラクターになりたいだけなら、スタジオを持たずともレッスンをすることができます。

スタジオは借りればいいので、固定費がかからないんですよね。

そうしてインストラクターとして実践経験を積んでいくうちに、自分でスタジオを持ちたくなる人も出てくるでしょうし、そのままレッスン業だけに特化する人もいます。

大切なのは、自分に合ったアクションを起こすこと。

経験を積んでいけば、副業から本業にすることもできますし、逆に副業のままの方がいいという人もいるはずです。

要するに、自分に合ったスタイルが必ず見えてくると思うんです。

そのためにもまずはメンタルを安定させて、逆算して今の自分に合ったアクションを起こしてみる。ぜひそれを意識してみてください。

取材・文=内藤 祐介

アントレ 独立、開業、起業をご検討のみなさまへ

アントレは、これから独立を目指している方に、フランチャイズや代理店の募集情報をはじめ、
さまざまな情報と機会を提供する日本最大級の独立・開業・起業・フランチャイズ・代理店募集情報サイトです。