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スタイリスト・石塚愛理に聞く、営業が苦手な人こそ取り組むべき最も効果的な“営業法”

スタイリスト・石塚愛理に聞く、営業が苦手な人こそ取り組むべき最も効果的な“営業法”

独立・起業をする上での、大きな不安の1つ。それは「仕事があるかどうか」。

仕事がなければ生活は成り立ちません。しかし不安や焦りからくる無理な行動は、かえって良くない結果を招きかねません。

今回お話を伺ったのは、スタイリストの石塚愛理さん。石塚さんはこれまで、数々のタレントやミュージシャンといった著名人のコーディネートを担当されてきました。

そんな石塚さんの独立は、まさにゼロからのスタート。営業が苦手で「仕事がなくなってしまうのではないか」という不安も少なからずあったそうですが、あることに気がついてからはとても楽になったそうです。

今回はそんな石塚さんのキャリアとともに、営業が苦手な人こそ取り組むべき、最も効果的な方法について伺いました。

<プロフィール>
石塚愛理さん
スタイリスト

小学生の頃からファッションに興味を持ち、カラフルで派手な柄の服などを好んで着用していた。
その後、服飾系の高校に進学。3年間デザインや被服製作などについて学んだ後、スタイリストの道を志し、下積み時代を送る。

6年の下積み時代を経て、独立。現在はアイドルの雑誌撮影やミュージシャンのMV、広告撮影などの衣装のスタイリングを始め、自らもMVに出演するなど活動は多岐にわたる。

6年の下積みを経て、石塚さんがスタイリストとして独立するまで

――スタイリストとして活躍されている石塚さん。まずは現在に至るまでの経緯から伺いたいのですが、洋服やファッションに興味を持ち始めたのはいつ頃なのでしょう?

石塚さん
小学校1年生くらいですね。

小学校に入学してすぐ、同じクラスでとても派手でかわいい服を着た女の子がいて。私もその服を着てみたくて、その子に「どこでお洋服買ってるの?」と聞いてみました。

それからは、自分で選んだ服を着る楽しさにのめり込んでいって。小学校3年生くらいの頃には「ファッションコーディネーターになってみたい」と思っていました。

――かなり小さい頃から、今の職業への憧れのようなものはあったんですね。

石塚さん
憧れというか、自分が大好きなものの1つがファッションだった、という感じです。

当時はまだ将来のことを真剣に考えられる年齢でもなかったですから。

高校は、服飾系の専門学科がある学校へ進学。高校時代は学校に行きながら、原宿によく行っていました。ファッション以外にも演劇などにも興味があって。

そんな感じでいろんなことに興味があったからこそ、高校を卒業した後どうしようかなあと……。

いろいろ挑戦してみたいことはあるけれど、何を選んだらいいのか、結構悩んでいたんです。一応高校に来ていた求人情報も見てみたんですけど、あんまりしっくりこなくて。

そんな時、当時よく行っていた原宿のアパレルショップの店員さんが「よくうちの店に来るスタイリストが、アシスタントを探してる」と、声をかけてくれたんです。

そうして出会ったのが、スタイリストの師匠でした。

――そこからスタイリストの世界に?

石塚さん
はい、師匠の元でアシスタントをしていました。スタイリストとしての仕事の流れや、基礎を教えていただいていたんです。

ただそれだけでは食べていけなかったので、仕事の合間でアルバイトをしたりもして。

結構ハードな生活が続いていたんですが、6年くらい経って、ついに体力的にも精神的にもガタがきてしまったんです。

――スタイリストという職業は「何か資格を取ったら自動的になれるもの」というわけはないからこそ、難しいですね。ただ他にもファッション関係の仕事はあったんじゃないですか?

石塚さん
それが不思議と、スタイリスト以外の別の道は考えなかったんです。当時の私にはもう、この仕事しかなかったというか。今もですけどね。

なんでかと言われると難しいんですが……。せっかく始めた仕事だし、やっぱりファッションは好きなので。

それに個人的な話ですが、これまでの人生で、私はあんまり「がんばったこと」がなくて。

「何かを叶えるためにがんばってきた」みたいな感じではなくて、もっとこう、ゆるっとしてたんです。当然、自分の力で何かを成し遂げたこともありませんでした。

だからどうにか続けたい気持ちはあったんですけど、今のままの状態が続くのは厳しいと。それで師匠に志願して、独立させてもらったんです。24歳の時でした。

開業して4年、依頼を断らない姿勢が今のスタイルを作った

――現在のお仕事について教えてください。

石塚さん
雑誌やテレビ、ミュージックビデオなどに出演する芸能人やタレントさんの衣装をスタイリングしています。

基本的にはクライアントから発注があったら、イメージに合いそうなブランドさんにアポイントを取って衣装をお借りし、コーディネートを組みます。

そのコーディネートが決まったら、その衣装を現場に持っていって実際に着ていただいて。本番が終わったら衣装を返却する、といった形ですね。

――スタイリスト、と一口に言っても、担当する方によってファッションのイメージは千差万別ですよね。

石塚さん
その通りです。その方自身が打ち出したいイメージもありますし、媒体イメージによっても違いはもちろんあります。

例えば同じ女優さん・タレントさんでも、男性向け雑誌か女性向け雑誌なのかで、選ぶ衣装は大きく変わってきますから(分かりやすく言えば“男性ウケ”を狙いたいのか、“女性ウケ”を狙いたいのか、など)。

だから、師匠の元で勉強させてもらってはいましたが、同じスタイリストでも、師匠と私では専門が全然違うんですよね。

――なるほど。基本的な仕事の流れは似ていてたとしても、コーディネートは人によっても媒体によっても異なると。

石塚さん
ええ。なので、最初は本当にゼロからのスタートでした。専門が違えば、コネとかも関係なくなりますから。

なので独立当初は、アルバイトと掛け持ちをしながら細々と仕事を始めて、徐々にスタイリストとしてお仕事をさせてもらっていましたね。

――ゼロからのスタートだとすると苦労したのではないかと思います。それでも独立して4年、お仕事を続けられてきた要因はなんだと思いますか?

石塚さん
難しい質問ですね……(笑)。

なんでしょう、1つは仕事がなくても焦らないことでしょうか。

あんまりいいことじゃないかもしれませんけど、私の場合、本当にゼロからのスタートだったので、仕事がないことが普通だったんです(笑)。

当然フリーランスである以上、仕事には波はあります。

暇だと「このまま仕事がこないんじゃないか」とか「営業をかけた方がいいんじゃないか」とか、いろいろ考えてしまうんですけど。

最初こそ私も例に漏れず、結構焦っていたんですが……だんだんキャリアを積んでいくと「気長に待っていれば仕事は来るんだな」と気づいたんですよね。

それに気がついてからは、波が落ち着いてる時もそんなに焦らないようにしていました。

――たしかに、仕事が来ないことへの“焦り”って、いいことありませんよね。

石塚さん
「仕事くださいー!」って、適度に言う分にはいいと思いますけど、焦りから来るその言葉って、どこか逼迫してるというか、相手に伝わってしまいますよね。

自分もいい気持ちがしませんし、ガツガツしすぎると相手も引いてしまうと思うんですよ。私があんまり営業が上手じゃないからかもしれませんけど……(笑)。

――他に要因はありますか?

石塚さん
スタイリストの仕事だけに拘らず、頼まれたことはとりあえず一生懸命やってみることでしょうか。

スタイリストの仕事に一生懸命取り組むのは当たり前なんですけど、頼んでいただいた以上、自分にできることはできる限りなんでも挑戦するように心がけています。

だから最近では、スタイリストの仕事もさせていただきつつ、なぜかMVに出演させていただいたり、ドラマやCMでセリフを読んだりといった仕事も依頼されるようになりました。

もっとも、スタイリストの仕事の範疇は完全に超えているような気はするのですが(笑)。

↑石塚さんがスタイリングを担当したアーティストのMV。MVのスタイリングの依頼とともに、なぜか出演も打診されたそう。

――ある意味、先ほどお話にあった「仕事がなくても焦らない(無理な営業をしない)」の裏返しかもしれませんね。無理な営業をするのではなく、お願いされた仕事を一生懸命やることが、最も効果的な営業になっていると。

石塚さん
そうだと嬉しいですね(笑)。

それにこういったお誘いは嫌ではないんです。ファッションももちろんですけど、元々は音楽やお芝居も大好きですし。求めていただけるのなら、お応えしたいなと。

私は自分からグイグイいけるタイプではないので、いろいろと声をかけていただけるのであれば、ぜひこれからも挑戦してみたいですね。

焦りや不安を考えてしまうのは、だいたい何もしていない時

――これからの展望を教えてください。

石塚さん
衣装制作に挑戦してみたいですね。

スタイリストは「今、この世の中にある服」の中から選んで、着ていただくのが仕事です。

ですが、既存の服だけではなくゼロから服を作ることができれば、さらに幅が広がるなと。スタイリストとしての活動を軸に、いろいろ挑戦していきたいですね。

――最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

石塚さん
先ほどもお話ししましたが、やっぱり焦っても仕方ない、ということでしょうか。

仕事があるかどうかを始め、あらゆる不安って完全には拭いきれないと思うんです。

でもそういう嫌なことを考えてしまったりする時って、だいたい何もしてない時だったりするんですよね。

だったら目の前の仕事に一生懸命手を動かしていた方が、お客さんから感謝もされるし、マイナスなことを考えなくて済みます。

結局仕事を作るのは仕事だったりしますから、変に焦ったりせずに、ひとつひとつがんばっていけばいいんじゃないでしょうか。

取材・文・撮影=内藤 祐介

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