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「#ドレス迷子」の花嫁たちを救え! ドレススタイリスト・鈴木ゆう子さんが独立した理由

「#ドレス迷子」の花嫁たちを救え! ドレススタイリスト・鈴木ゆう子さんが独立した理由

自分の名前で生きる。

会社のネームバリューではなく自らのスキル、キャリアで生きていくことを、独立の動機として考えている方も少なくありません。

今回お話を伺ったのは、ドレススタイリストの鈴木ゆう子さん。

鈴木さんは主にドレス専門のスタイリストとして、1000名以上の花嫁のドレスをスタイリングしてきました。

会社同士の繋がりが強く、フリーランスで活動する人が少ないと言われるウェディングドレス業界において、鈴木さんはなぜ独立の道を選んだのでしょうか?

そこには、鈴木さんのキャリアならではの理由がありました。

<プロフィール>
鈴木ゆう子さん
ドレススタイリスト

高校、大学とファッションを専攻。卒業後はウェディングドレスのスタイリストとして名古屋、関西、東京で8年間従事。約1000人の花嫁を担当。

現在はフリーランスのドレススタイリストとして「#ドレス迷子」さんのサポートや、撮影プロデュース、ドレスショップのコンサルティング、ミスコンや演奏家のドレススタイリングなどを手掛ける。

小さい女の子もドレスに目を輝かせるくらい、ドレスには“魔法がある”と気づいた

――フリーランスのドレススタイリストとして活躍されている鈴木さん。まずはドレススタイリストという職業のお仕事について、お聞かせください。

鈴木さん
ドレススタイリストは、その名の通り「ドレス専門のスタイリスト」です。

星の数ほどあるドレスの中から、花嫁さまのオーダーに合うものを一緒にお探しして、最高の1着を見つけます。そして結婚式当日のフィッティング、アテンドまで担当しています。

――スタイリストというとファッション業界のお仕事のイメージがありますが、鈴木さんはドレス専門ということでウェディング業界で活躍されているんですよね。なぜドレスを専門にお仕事をされるようになったのでしょう?

鈴木さん
さまざまな服装の中で、ドレスは女性にとって特別なファッションだからです。

というのも私は高校の頃、ファッション学科の高校に通っていました。その高校時代の卒業制作で作ったのが、ドレスでした。

自分でデザインし、作り上げたドレス。そのドレスを着てくれたクラスメイトの子たちが私に見せてくれた、自信に満ちたキラキラした表情が忘れられなくて。

思えば、まだ物心つかないくらい小さな女の子でも、ドレスを見て目を輝かせるじゃないですか。

女性にとってドレスとは、それくらい本能的に憧れがあるもの。「ドレスは魔法だ」と、そう確信しました。

――「ドレスは魔法のようだ」。その気づきから始まって、今に至るんですね。

鈴木さん
はい。

高校を卒業した後は、ファッション系の短大に進学。そして就活の時、ウェディングドレス専門のスタイリストがあると知って「これだ!」と思い、ウェディング業界に就職しました。そして一度転職をした後、独立したんです。

「#ドレス迷子」の花嫁を救え! 会社の枠組みに捉われない、最適な提案をするために

――フリーランスのドレス専門のスタイリストとして独立されている方は、鈴木さんの他にいらっしゃるのでしょうか?

鈴木さん
あまり多くは見かけないですね。

ファッション業界では、独立して活躍されているスタイリストの方もいらっしゃいますが、ウェディング業界のドレススタイリストはかつての私のように、会社に所属しいるケースがほとんどです。

なので、フリーランスになるという選択肢すら自分の中にありませんでした。

――そんな中で、なぜ鈴木さんは会社をやめてまで、独立をされたのでしょう?

鈴木さん
もっとお客さま(花嫁)に近い距離でサポートがしたい。素直にそう思いました。

一企業のドレススタイリストだと、さまざまな面で限界があること。

鈴木さん
ウェディングドレスは世界中に星の数ほど種類があるのだから本当にお客さまにとってのベストを探すとなると、会社の垣根を超えて、自由に選べてもいいはず。

しかし会社に所属している以上、相談を受けてもどうしても自社の商品(もしくは自社と関わりのある会社)の中のドレスからしか、提案することができなくなってしまいます。

――たしかに、自社のドレスがあるにもかかわらず、他社のドレスを提案するのは難しいですよね。

鈴木さん
加えて、会社員としてのドレススタイリストは、結婚式当日までサポートができないんです。
運命のドレスを一緒に決め、それに合う新郎様のコーディネートを提案。ドレスの小物スタイリングや、サイズ直しまでさせていただく。

そこまでが仕事でした。

つまり肝心な結婚式当日は、他のお客さまのドレス選びで予約をいただいているので、同席できないというのが、今のドレス業界のスタンダードなんです。

一番大切な結婚式当日に別の人が着付けを行う。もちろん、手違いが起こったり、「今までみたいに綺麗に着れなかった」と、結婚式のあと泣いてお電話をいただくことも実際にありました。

ドレスを一緒に決めた責任として、やはり当日綺麗にきてもらえるように最後までサポートしたい!!と思ったのも、独立の大きな理由です。

――もう1つの理由というのは?

鈴木さん
お客さま(花嫁)に対して、中立な立場でアドバイスできるポジションが必要だと思ったからです。

そのきっかけが、Instagram内でよく見かけるようになった「#ドレス迷子」というハッシュタグです。

――「#ドレス迷子」、ですか?

鈴木さん
今はインターネット、SNSで手軽にさまざまな情報や口コミを調べられるじゃないですか。

膨大な情報、選択肢があると、どうしても迷ってしまいます。

でも花嫁がドレスのことを相談できる相手って、意外にもいないのかもしれない、と思ったんです。

――どういうことでしょうか?

鈴木さん
例えばお母さまに相談しようと思っても、世代のギャップもあり、ドレスの嗜好がお母さまと本人で違うことが多いですし、当日に来てもらう友達には、ドレス姿って事前に見せたくなかったりします。

旦那さんは「◯◯が好きなものを着たらいいんじゃない?」と、花嫁さんの意向を尊重するあまり、どっちつかずになってしまったりと、結局自分1人でドレスを探して、決めなければならない状況になってしまうんです。

ドレスにこだわりがあればあるほど、情報を摂取しすぎてしまい、この「#ドレス迷子」はどんどん生まれていってしまっている、というのが現状です。

――加えて先ほどもおっしゃっていた通り、会社員のドレススタイリストですと、自分の会社の商品の中からしか提案もできない、と。

鈴木さん
はい。実際に押し売りや営業のような接客をされてしまうことも、珍しくないんです。

利益とか営業目線ではなく、より花嫁に近い中立な立場で、ドレスの専門家がアドバイスできたら花嫁はもっと自信を持って、安心してドレス選びを楽しめるんじゃないかと。

会社員時代の課題、そして「#ドレス迷子」というハッシュタグの奥にある現状から、今の仕事のスタイル、独立の可能性を感じました。

「こうだったらいいのにな」の解決策が、独立・起業の大きなヒントになる

――独立していかがでしたか?

鈴木さん
現在独立して3年目ですが「#ドレス迷子」の花嫁さまからInstagramを通じて、お仕事のオファーをいただけるようになりました。

新しい働き方をつくる、という意味で最初の1年はやはり苦労しました。

当然ですが、ドレスショップや業界のクリエイターたちと、ゼロから関係値を作っていかなければならなかったので。

でも、花嫁さまと、綿密な打ち合わせを経て、ドレスやアイテムを選んでいるのでご契約の確度はとても高いんです。

つまりは、、花嫁さまにとってもドレスショップにとっても、いい関係が構築できる働き方、立ち位置だと思っています。

花嫁ひとりひとりのパーソナルをしっているかるこそ、本当に納得のいく「このドレスにします!!」を聞けた時。

そして、そのドレスに身を包んで結婚式を見届けられた時が、ドレススタイリストにとって何よりの大きなやりがいを感じるポイントです。

その瞬間に立ち会う度に、独立して良かったなと思いますね。

――これからの展望を教えてください。

鈴木さん
これまでの活動を経て、フリーランスでもドレススタイリストとして働けることを実証することができました。

これからはフリーランスのドレススタイリストを増やしていきたいですね。

というのも従来の一社員としての働き方ですと、ステップアップの先が見つからず、違う仕事に転職をしてしまったり、また産休育休の復帰が難しくスタイリストとして現場に戻りにくいというところがあって。

ママになった後も子育てをしながら、フリーランスならずっとスタイリストとして働けるんだ!という実例をどんどん作っていきたいんです。

――最後に読者の方へメッセージをお願いします。

鈴木さん
仕事をしていて感じる「こうだったらいいのにな」という課題は、独立・起業の大きなヒントになると思います。

その解決方法を探すには、他業界に目を向けることも大切だと思います。

全く違う業界でも、本質的には似た構図になっていたり、一部取り入れることができたりします。

自分のいる業界だけでなく、他のシステムや世の中の流れをキャッチすることも独立・起業への第一歩になるかもしれません。

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