「自分の理想の人って、具体的にどんな人ですか?」
――突然この質問をされて、すぐに答えられる人はそう多くいないんです。
そう語るのは、今回お話を伺った婚活カウンセラーの伊藤友美さん。
30歳から婚活をスタートさせた伊藤さんは、自身の理想とマッチする相手と40歳で結婚。現在は自身の経験を活かし、婚活カウンセラーとして活躍しています。
結婚するまでに相当の苦労を経験し、一時期はうつ状態になるほどだったという伊藤さん。今回はそんな伊藤さんのキャリアとともに、婚活、そして独立・起業にも大切なある考え方について、お話を伺いました。
伊藤友美さん
アラフォー・アラフィフ専門婚活カウンセラー
株式会社LuLu Spaces代表取締役
30歳から婚活をスタートするも、結婚相手への条件を下げ、妥協を重ね続けたことが原因で「婚活うつ」を発症。
その後書籍などでの学びをきっかけに自らの心境が変化し、再度婚活に挑戦。
婚活再開からわずか10日で、自らの理想にマッチする男性と出会い、2カ月でプロポーズされ結婚。
その後、自身の経験を踏まえた、婚活に関する講座を開設。現在は、アラフォー、アラフィフの女性を対象に、講座やセミナーや書籍執筆、SNSなどさまざまな方面で情報を発信し、婚活中の女性の悩みや課題に日々応えている。
「婚活うつ」を乗り越え、40歳で結婚。伊藤さんが婚活カウンセラーになった理由
――アラフォー・アラフィフ専門婚活カウンセラーとして活躍する、伊藤さん。まずは伊藤さんの現在の活動について教えてください。

主に、婚活塾の講師・カウンセラーとして活動をしております。
SNSやメルマガ、公式LINE、ブログなどで、婚活に関するノウハウやマインドセットなどといった情報を発信したり、講座やセミナーを開催して、オフラインでの婚活の悩み相談やカウンセリング、コンサルティングなども行っています。
そのほかに、結婚相談所も運営しております。
セミナーに参加する層は、40代から50代の女性がメインです。というのも私自身、約10年の婚活期間を経て、自分の理想とする男性像を持った方と結婚をしました。
そういった経緯から、かつての私と同じように婚活に悩んでいる方へ向けたサービスを展開しているんです。
――ご自身が婚活で苦労をされた経験があるからこそ、今の事業に繋がっているんですね。どのような苦労をされていたのでしょう?

婚活を始めたのは、30歳の時のことでした。
「そろそろ結婚できたらいいな〜」くらいの気持ちで、結婚相談所に登録し、何度かお見合いもしてみたのですが、なかなか自分に合うなと思う人が見つからなくて。
とはいえ相談所から紹介されたら紹介されたで、私は「相手のことを好きになろう」としてしまっていたんですよね。
――なぜ「相手のことを好きになろう」と思ってしまったのでしょう?

理由はさまざまですが、当時は「早く結婚しないと」というプレッシャーを強く感じてしまっていたんです。
親からの期待に応えたい気持ちもあって。本心では「あまり好みではないかも」と思いつつ、結婚相談所で紹介された以上、何度かお会いして好きになろうとする、みたいな。
でも心の底では気持ちが向いているわけではなかったので、結局上手くいかなくて……。
今思えば、もっとわがままになって選んで良かったんじゃないかとも思うんですけど、なぜかそういう変に真面目なところがあったんです(笑)。
そうこうしているうちに時間が過ぎていき、30代も中頃。
気がつくと婚活に疲れてしまって、うつ状態になってしまったんです。
――そこからどのように結婚に至ったのでしょう?

婚活に疲れてしまっていたので、なるべく婚活以外のことをしようと思ったんです。
元々、本や映画が好きだったので、結婚相談所を退会して、とにかく本を読みふけ、映画をずっと見るみたいな生活をしてました。
そんな中、海外で出版されていたある本を読んだ時に、自分の中で心境の変化が起こったんです。
その本との出合いで、もう一度自分を見つめ直し、メンタルも回復することができました。そして再び婚活サイトに登録。
登録してわずか10日後に、自分の理想にマッチする男性と出会い、結婚することができたんです。
こうした一風変わった経緯から、結婚後、婚活に関するアドバイスをしてほしいと依頼を受けるようになり婚活カウンセラーとしての活動をスタートさせました。
「誰かに幸せにしてもらおう」というマインドでは、結婚も独立・起業も、上手くいかない。
――出会いや結婚というのは、運の要素も非常に大きく関係してくると思います。運の要素があるのは前提とした上で、うつの時と結婚した後のご自身とで、違うところがあるとすれば、どのようなところでしょうか?

大きく2つあります。
1つ目は、自分のことをダメだと思わなくなったことですね。
これは先ほどお話しした本との出合いがきっかけで、考え方が変わったのですが、自分をネガティブに捉えれば捉えるほど、実は自分をものすごく傷つけていることに気がついたんです。
「もう30代も中頃なのに、全然結婚できそうにない」「親の期待に応えられない」「私には価値がないのかもしれない」「私は誰からも愛されないのかもしれない」……。
自分ではそう思っていたけれど、それって別に誰かから言われたわけでもないよなと。全部自分の「思い込み」によるものだと気がついたんです。
そしてネガティブな「思い込み」があるなら、逆にポジティブな「思い込み」があったっていいんじゃないかと思うようになりました。
そして「1億人以上いる日本には、1人くらいは私の理想にマッチする人いるでしょ?」と思うようになり、もう一度婚活を再開したんです。
――「思い込み」によって自分自身を追い詰めてしまうことって、往々にしてよくありますよね。2つ目はなんでしょう?

2つ目は、結婚相手への理想を言語化させたことです。
「自分の理想の人とはどんな人?」と聞かれて、すぐに明確に答えられる人って、案外多くないと思うんですよ。
かくいう私もまさにそうで、結婚相談所から紹介されては、なんかピンとこなくて、また紹介をされて……という受け身のループを繰り返していました。

1つ目の話で「自分の理想の人にきっと会える」という思い込みをした以上、「自分の理想」を明確に定義付けしなければいけないなと。
そこで例えば、
「趣味を尊重してくれる相手がいい」
「年収は◯◯万円以上であってほしい」
「推しのライブに一緒に行ける関係性がいい」
「私は仕事は得意だけど家事が苦手だから、家事が得意な人がいい」
など、なるべく具体的に自分の理想を言語化したんです。
私自身もそうだったのですが、1番やってはいけないのが「結婚相手に幸せにしてもらいたい」という、ただ漠然とした理想だけを持っていること。
受け身な婚活ほど、上手くいかないものはありません。
相手に私を「見つけてもらう」のではなく、私の方から相手を「探しに行く」くらいの気持ちでいないと、やっぱり上手くいかないんです。
――これは婚活に限らず、独立・起業にも同じことが言えそうですね。

まさにその通りだと思います。
結婚も独立・起業も「誰かに幸せにしてもらおう」という他人任せのマインドでは、まず上手くいきません。
もちろん結婚も独立・起業も、自分自身だけでどうにかなる問題でもなく、運や縁、タイミングといった不確定な要素、変数が大きく影響してくることも事実です。
ですが、そうした運や縁、タイミングを逃さないためにも、まずは「自分がどうなりたいのか」という軸をハッキリさせておくことが大切だと、私は考えます。
そのために「自分がこうなっていたい、こうしたい」という理想を言語化する。そしてその理想を達成できるよう、あとはとにかく行動あるのみ。
すると自ずと、運も味方してくれるのではないでしょうか。
人から感謝される「Giver」の精神が、事業を長続きさせる
――伊藤さんのこれからの展望を教えてください。

これからは婚活カウンセラーを育成して、結婚相談所の事業を大きくしていきたいですね。
というのも、50代だと入会できない結婚相談所が多くあって。年齢的に他の相談所で断られてしまった人も入会できるような、そうした裾野の広い相談所を作っていけたらと思っています。
――最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

先ほどお話しした「自分をダメだと思わない」と「理想を言語化する」は、独立・起業をする上でも非常に重要だと、私は思っています。
加えて、自分の得意なことや経験を踏まえた上で、誰かの役に立つ事業こそが大切なんじゃないかなと。
もちろん事業をする以上、利益を出すことは大切ですが、仕事を通じて誰かの悩みを解決したり、何かを与えられたり……。
そうやって人から感謝される「Giver」の精神こそが、結果的に事業を長く続けることができる秘訣なんじゃないかと思うんですよね。
人から感謝され、長く続けることのできる「あなたらしい事業」が見つかることを願っています。
取材・文・撮影=内藤 祐介