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理学療法士の業界に新たな“前例”を。水野純一さんが語る独立したからこそ挑戦できること

理学療法士の業界に新たな“前例”を。水野純一さんが語る独立したからこそ挑戦できること

「せっかく独立したなら、会社員時代にできなかったことに挑戦してみたい」。

そう思って独立・起業に興味を持つ人もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回お話を伺ったのは、理学療法士の水野純一さん。

東京都中野区でパーソナルスタジオ「Studio CEL」を経営する水野さん。同スタジオは整体とトレーニングを組み合わせ、さまざまなアプローチで身体の不調を改善できると人気を博しています。

今回はそんな水野さんのキャリア、そして独立したからこそ挑戦したいことについて伺いました。

<プロフィール>
水野純一さん
理学療法士/PHIピラティス公認インストラクター
Well body株式会社代表取締役社長

高校卒業後、専門学校を経て理学療法士の資格を取得。
理学療法士として従事しつつピラティスの勉強をスタート。
クリニック勤務と並行して、モデルのボディメイクやアスリートの身体向上などを担当するようになる。

その後転職を経て、東京都中野区にパーソナルスタジオ「Studio CEL」をオープン。
整体とトレーニングを組み合わせた新感覚のジムとして、人気を博す。

パーソナルスタジオと並行し、企業への理学療法士の派遣事業もリリース予定。

「理学療法士」というレッドオーシャン。“掛け合わせの妙”が、水野さんを独立に導いた

――水野さんは理学療法士の資格をお持ちとのことですが、まずは理学療法士という職業についてお聞かせいただけますか?

水野さん
理学療法士は、解剖学や運動学、生理学に精通した「人の“動作”を変えて、痛みを解消するプロフェッショナル」です。

例えばケガや病気で動かしづらくなってしまった体の部位(手や足など)を、リハビリによって動きを改善していきます。

そのため多くの理学療法士は、整形外科やクリニックに常駐していることが多いですね。僕もかつてはクリニックに勤めていました。

――水野さんは現在、中野区でパーソナルスタジオ「Studio CEL」を経営されていますが、そこに至るまでの経緯というのは?

水野さん
高校時代に特に将来やりたいことも決まっていなかったのですが、母から理学療法士という職業があるよ、と聞き専門学校へ入学。国試をパスして、神奈川県の日吉にあるクリニックに就職しました。

仕事はそれなりに楽しかったのですが、国試の勉強が大変だったこともあり、僕の中では正直、理学療法士の資格を取ったら“ゴール”のような感覚になってしまって。

そして就職して半年ほど経った頃、理学療法士が集まる、カジュアルな学会のようなものがあり、そこに出席してみたんです。

そこでは理学療法士という資格を持ちながら、さまざまな分野で活躍されている方が、数多くいらっしゃって、とても刺激になりました。そんな学会での出席を経て、もう一度自分の在り方を考えるきっかけになったんです。

水野さん
「理学療法士という資格を持っている人」自体は、とてもたくさんいますし、この資格だけでは中々活動の幅が広がらないとその時は感じていました。

そこでピラティス(※)の勉強をスタートし、クリニックでの業務とは別に、モデルさんのボディメイクやアスリートさんの身体能力の向上などを担当するようになったんです。

※ドイツ人看護師、ジョセフ・H・ピラティス氏によって考案された、負傷した兵士のリハビリのためのエクササイズ。姿勢改善や身体能力向上が期待できる。

――その経験が今の事業にも繋がっていると。

水野さん
そうですね。

クリニックに3年勤めた後、学会で出会った方が経営している、デイサービスを運営する会社へ転職し、新規事業の立ち上げなどを経験しました。

その後独立して、現在に至ります。

理学療法士の可能性、認知を広げるために。独立したからこそ、その“前例”を作りたい

――現在運営されている「Studio CEL」の特徴について聞かせてください。パーソナルスタジオということですが、パーソナルトレーニングとは違うのでしょうか?

水野さん
マンツーマンでトレーニングも行う、という点では近いかもしれないですが、厳密には違います。

「Studio CEL」では、体の痛みや痺れ、姿勢のゆがみといった問題の原因を探り、その解消を目標にしています。

そのためのアプローチは人によってさまざまで、整体やストレッチ、トレーニングなどを多角的に取り入れています。

体の不調を治しつつ、トレーニングもして鍛えていくという、あまり他の整体やジムにはない方法を実践していますね。

――理学療法士だからこそ、できることがあると。

水野さん
パーソナルトレーニングのジムは増えている中で、理学療法士が行うジムはまだまだ多くありません。

加えて、僕はもっと世の中に理学療法士の可能性というか、認知を広げたいなと考えていて。

――たしかに、理学療法士という名前は聞いたことがあっても、どんな職業なのかと聞かれてると意外とピンとこない、という人も多いように感じます。

水野さん
ええ。その課題は、まだクリニックに勤めていた頃から僕も感じていました。

理学療法士が行う「根本の原因を探り、回復を目指す」というアプローチは、多くの人にとって役に立ちます。

深刻な病気やケガをしている、という人でなくても、例えばデスクワーク続きで肩や首が凝っていたり、座りすぎで腰が痛いという方は、きっと皆さんの中にもいらっしゃるのではないでしょうか。

そんな肩こりや腰痛にお悩みの、従業員の方の不調を解決できるんじゃないかと。

そこでこれからは「Studio CEL」と並行しながら、企業向けに理学療法士の派遣サービスを行おう思っています。

――病院やクリニックに通う層だけではなく、理学療法士が関わる人の層を広げていくんですね。

水野さん
はい。

せっかく独立したなら、今まで理学療法士があまり関わってこなかった層へ、認知をどんどん広げていきたいと思っていたんですよね。

従来通りのやり方だけではなく、仕事の幅がもっと広がっていけば、理学療法士を目指している、あるいはすでに資格を取っている若い人に何かしらの希望になるんじゃないかと。

そのためにまずは僕の会社が、仕事の幅を広げる“前例”を作っていけるようにしたいですね。

独立・起業の成功と失敗、結局最後は「腹を括れるか」に尽きる

――水野さんのこれからの展望を教えてください。

水野さん
まずはこの会社の規模を、どんどん大きくしていきたいです。そして規模とともに理学療法士の認知も広げていけたらいいなと。

そしてもう1つ大切にしたいのは、地元の中野にこれからも密着していきたいなと思っています。

実は現在も、地元の法人や個人の方から協賛をいただいているんです。

私事ですが、中野は僕が生まれ育った大切な場所です。せっかく中野で開業したなら、業界・業種問わずいろんな人を巻き込んで、一緒に盛り上がっていきたいなと。

その繋がりはこれからも大切にしていきたいですね。

――最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

水野さん
こういった経緯があるので、いろんな人からよく「独立・起業したい」という相談を受けます。

正直、結局最後は「腹を括れるか」に尽きる気がします。

なぜならやはり独立は大変なことも多いですし、リスクもあるからです。時にはピンチに陥ることもあるでしょう。

ピンチに陥った時「絶対にこの事業を成功させたい」と、自分が思えるかどうかが、成功への分岐点になると思います。

今時、根性論は流行らないかもしれませんが、これもまた真理だということを知った上で、ぜひ独立・起業を検討してみてください。

取材・文・撮影=内藤 祐介

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