2017年は働き方改革の一貫で副業を解禁する企業が出てくるなど、「副業」に注目が集まった年でもありました。これから副業を始める方に向けて、税金面で気を付けることについてプライムファイナンシャルパートナーズ会計事務所の菅 彰裕さんにお話を伺いました。
菅さんは世界4大国際会計事務所のメンバーファームの1つであるPwC税理士法人を経て独立開業された税理士さんです。非上場企業から上場企業まで、幅広いクライアントの業務を担っている菅さんだからこそ知りうる税金の話をたっぷりお伝えします!
安定して月10万円以上稼げる副業について、下記の記事で詳しく紹介しています!
雑所得と事業所得の違い
会社からの収入は「給与所得」と言いますが、では会社員が副業で得た収入は何と呼ぶのでしょうか?
副業収入は基本的に「雑所得」もしくは「事業所得」に分類されます。
副業収入が20万円を超えた場合は確定申告を行う必要があるのですが、その際に雑所得か事業所得かを選ぶことになります。そのため、まずはその2つの違いを知っておきましょう。
<雑所得>
・単発的に行って得られた収入で、継続性はない
・決算書の作成、提出などがないため、手間がかからない
・赤字が出ても他の所得の黒字と相殺できない
<事業所得>
・事業と言える内容・規模で行っている仕事の収入で、継続的に利益が出る見込みがある
・65万円または10万円の青色申告特別控除が受けられる
・純損失の繰越しと繰戻しができる
・給与所得など、他の所得との損益通算(※)ができる
・日々の帳簿付けや決算書の作成、提出などの手間がかかる
※損益通算とは
各種所得金額の計算上生じた損失のうち一定のもの(不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得)についてのみ、一定の順序にしたがって、総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額等を計算する際に他の各種所得の金額から控除することです。
(参考:国税庁HP https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2250.htm)
つまり、副業で赤字が出た場合、給与所得から損失を引くことができます。
雑所得と事業所得ですが、実は「○円以上の所得なら事業所得」といった明確な基準が決められていません。金額の多寡や継続性など総合的に判断するようになっています。もし迷った場合は、専門家や税務署に相談してみると良いでしょう。
副業からの所得が20万円を超えたら確定申告が必要
冒頭でも触れましたが、法律では給与を1か所から受けている給与所得者は、副業などで得られる所得金額が年20万円を超えた場合、確定申告をする必要があります。
※経費を引いた後の金額が20万円を超えるか超えないかで判断します。
その場合はまず「個人事業の開廃業届出書」(開業届)を出すようにしましょう。これは税務署に個人事業を開業したことを申告するための書類です。
確定申告には白色申告と青色申告の2種類あります。
<白色申告>
単式簿記を使って帳簿を作成し、所得を申告する方法です。
※税務署への届け出は不要
<青色申告>
複式簿記の方式で帳簿へ記録し、所得を申告する方法です。最高65万円又は10万円を控除するという青色申告特別控除があります。
※税務署へ「青色申告承認申請書」の提出が必要
白色申告と青色申告を比較すると、手間はかかりますが青色申告の方がメリットが大きいと言えます。しかし、青色申告承認申請書は、開業した年は開業日から2か月以内・すでに開業している場合は青色申告をする年の3月15日までに提出する必要があるので注意しましょう。
副業を始める前には、今回ご紹介したような基礎知識をあらかじめ身に着けておくことをおすすめします。特に、「副業が軌道に乗ったらそれを本業とし、独立開業したい」と考えている方はいざそのような状況になったときに役立ちますよ。