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おごらずに歩く。現役モデル/マナー講師・Aoiが語る「特別でない人」が夢を叶える方法

おごらずに歩く。現役モデル/マナー講師・Aoiが語る「特別でない人」が夢を叶える方法

おそらく誰しもが一度は考えたことがあるであろう、自分の夢。

夢を叶えるために経験を積み、努力し、失敗し、そして成功する。

読者の皆さんの中には、自分の夢を叶える手段として、独立・起業を考えている方も多いのではないでしょうか?

今回お話を伺ったモデルのAoiさんは「パリ・コレクション」のランウェイを歩くという夢を叶え、現役モデルでありながら起業家、マナー講師としても活躍されています。

そんなAoiさんですが、自身のことを決して特別ではない、普通の人だ、と語ります。

そう述べる理由はなぜでしょうか? モデルとして夢を叶えるまで、そして叶えた後の人生について伺いました。

<プロフィール>
井畑 “Aoi” 博康

株式会社AOSTA・代表取締役社長
モデル・マナー講師

2009年に文化服装学院、デザイン科卒業。 同年から、モデルの仕事を始める。
2013年に、パリ・コレクションデビュー。 現在、日本、パリ、シンガポール、香港、ソウルのモデル事務所に所属。
その一方で、2014年にイメージコンサルタント事業aostaを立ち上げ、2016年5月に株式会社AOSTA設立。
企業や学校で、マナーや印象作りの講師を行うほか、 ハイブランドを含むイベントの運営を行っている。

自分の“得意”を仕事にする。職業・モデルを活かした新たな稼ぎ方

―Aoiさんはどのような経緯でモデルになられたのでしょうか?

Aoiさん
ウェディングデザイナーになるために、服飾系の専門学校に入学したのですが、リーマンショックの影響で、内定が白紙になってしまいまして…(笑)。

その後、社会人になってどうやって生活していこうか考えた時に、おばあちゃんから「モデルをやらないのかい?」と言われたことがきっかけで、モデルを志しました。

―Aoiさんのモデルとしてのキャリアを見出したのは、おばあさまだったのですね!

Aoiさん
そうなりますね(笑)。

小さい頃から私はおばあちゃん子で、おばあちゃんにだけは「芸能人になりたい」とか「有名人になりたい」と打ち明けていたんです。

それが大人になるにつれて、自分の中で「なんとなく無理だろうな」と思い、普通に就活をしたんです。

しかしまさかの内定白紙になってしまい、さらにおばあちゃんからの後押しもあったので、思い切ってモデル事務所に履歴書を送ってみたんです。

すると、事務所から返事があって、晴れてモデルとして事務所に所属することができました。

―おばあさまはAoiさんの才能を的確に見抜いていたんですね。その後はモデル1本で活動していたのでしょうか?

Aoiさん
いえ、さすがに最初はモデルだけでは生活できなかったので、事務所と関連のある、ハイブランドのドアマンやバー、服飾ブランドショップなど、いくつかのアルバイトを掛け持ちしていました。

―しばらくはモデルとアルバイトを両立させて暮らしていたのでしょうか?

Aoiさん
そうですね。

そんなある時、知り合いの先輩から、化粧品の発表会イベントの案内係を頼まれたことがありました。

イベントの現場では、私のようなモデルが多く必要とされていることを知りました。

その出来事がきっかけで、私と同じようにモデルとして活動しながら、ブランドショップで働いていた同僚などに呼びかけて、一緒にイベント運営を請け負うことにしたんです。

同僚は仕事が増えて嬉しいということで、良い関係が生まれたんです。

こうしてモデルとアルバイトの他にイベント運営業もするようになりました。

―自分の職業の特性を活かして、新たな収益ポイントを作ったんですね。

Aoiさん
はい。モデルという職業柄、また有名ブランドでアルバイトをしていた経験から、ルックスが良く美しい所作ができる知り合いが多くいましたので、パートナースタッフとして協力いただくことにしたのです。

イベント依頼があるごとに、そのイベント特性にあったスタッフとチームを組んでイベント運営を引き受けるようにしたので、クライアントにも、とても喜んでもらえて、こちらでも、良い関係が築けました。

そしてモデルの仕事とイベントでの運営業を合わせて、それなりに生活できるようになりました。

求められたことに対して全力で取り組む。行動力と縁で掴んだ、パリコレの舞台

―イベント運営業の傍ら、自身も着実にモデルとしてのキャリアを積んでいったAoiさん。パリ・コレクション(パリコレ)に出場された経験もあるそうですが、どのような経緯でパリコレに出場したのですか?

Aoiさん
モデルを始めた当初から、目標は海外で仕事をすることでした。

活動を始めて3年が経った頃、そろそろ海外へ挑戦しようと思い、それまでお世話になっていた事務所を退所し、ファッションの本場、フランス・パリやイタリア・ミラノへと渡りました。

―現地に何かコネクションのようなものはあったのでしょうか?

Aoiさん
特別なコネクションなどはありませんでしたね(笑)。

ただ、パリに渡る前、おばあちゃんと韓国へ旅行に出かけました。

そのついでに、韓国でモデルの仕事を受けていたんです。

また、当時在籍していた同じ韓国の事務所にフランス人モデルがいて、その人がパリでショーに出ていたと聞きました。

「パリのショーに出る人と同じ事務所に所属しているなら、私にもチャンスがあるんじゃないか」と思い、何のツテもなかったのですが飛び込みで行ってみたんです。

―その後、パリへ向かわれてどうされたのですか?

Aoiさん
とりあえず手当たり次第、現地で事務所探しから始めました。

パリに到着し数日が経った頃、新卒時代からイベント設営でお世話になっていた方と、現地でお食事に行く機会がありました。

そこでご一緒させていただいたデザイナーさんに偶然、翌日のショーのモデルに欠員が出たという連絡が入ったんです。

―そして、その場にAoiさんがいるということは…?

Aoiさん
はい、その場ですぐ「もし人が足りなくてお困りなら、私にやらせていただけないでしょうか?」と聞いてみました。

そして翌日に行われたショーに出ることになったんです。

―若い頃から、人とのご縁を大切にされてきたAoiさんだからこそ、掴んだチャンスだったんですね。

Aoiさん
そう言われると照れてしまいますけどね(笑)。

でも、このお話をいただけたのは、若い頃から「人から求められたことを一生懸命やってきたから」なんじゃないかなと思っています。

モデルもイベント業も、その積み重ねができていたからこそ、素敵なご縁にも恵まれた。

きっとモデルだけでも、イベント業だけでも、このご縁をいただくことはできなかったんじゃないかと思います。

おごらずに歩き続ける。「特別でない人」が夢を叶える方法

―Aoiさんは現在、モデル業の傍ら、株式会社AOSTA・代表取締役としてイベントを運営、マナー講師もされているとお聞きしました。モデル業からなぜ、起業という選択をされたのでしょうか?

Aoiさん
パリを経験後にシンガポールや香港でも仕事をする機会があり、モデルとしての夢、すなわち「海外で仕事する」という夢を達成してしまいました。

その後、モデルだけでなく新たな領域に挑戦してみたいなと思い、自分には何ができるのかを考えてみたんです。

―そして行き着いた答えが、ビジネスマナーの講師という職業だったんですね。

Aoiさん
はい。もともと幼い頃からおばあちゃんに、マナーを厳しくしつけられてきたので、大人になって人から所作を褒められることが多かったんです。

そしてイベントでスタッフに動いてもらうにあたり、その人にマナーをレクチャーする機会も多かった。

そこで接客接遇検定など、ビジネスマナーに関する資格をいくつか取得し、マナー講師の研修課程をパスしました。

現在は、私の母校である専門学校を中心に、マナーに関する講義を受け持っています。

―現役モデルで起業家、マナー講師という人はなかなかめずらしいですよね?

Aoiさん
めずらしいんですかね?

この事業を立ち上げるにあたり、私の過去のキャリアを活かしながら、マナーを教えることで付加価値が加わるなと思ったんです。

私がこれまで感覚知として実践してきたことを、資格の勉強などを通して、誰にでも分かりやすくロジカルに説明できるようになりました。

会社としては、モデル時代に行っていたイベント運営業の延長で、企業さまのイベントのお手伝い(企画、運営、進行など)をさせていただいておりますが、弊社で業務にあたるスタッフ(モデルと兼業の人がほとんど)にも、もちろん一通りのマナーを教えています。

―モデル・イベント運営・マナー講師。Aoiさんの過去の全てのキャリアや経験が、今につながっているんですね。

Aoiさん
私は、自分のことを「特別な人」だなんて、思っていません。

モデルをやるにあたり、身長など体型面では恵まれていたかもしれませんが、勉強やスポーツ、仕事も、誰もが驚く突出した才能に恵まれていたわけではありません。

そんな、いわゆる「普通の人」がなぜパリコレに出て、起業できたのか。

自分で言うのも恥ずかしいですが、おそらく人から求められたことを一生懸命やって、目の前の仕事に懸命に取り組んできたからなんじゃないかと思います。

「自分は何がしたくて、何ができるのか?」

その問いに向き合い続けるのは簡単なことではないですが、そこから目を背けずに自分ができることもできないことも、客観的に受け止める。

そして自分の目標に向けて、おごらずに地道に歩き続ける。これができたから、目標が達成できたんじゃないかなと思います。

大きすぎる夢は、小さい目標達成の連続

―Aoiさんの夢を叶える方法、とても参考になりました。独立・起業を考える読者にとっても、勇気づけられる内容だと思います。

Aoiさん
そうだと嬉しいです(笑)。

私の体験談から皆さんの夢を叶えるために、まず今すぐ行動できることを落とし込むと、

・人に求められたことを全力でやる
・できることを増やす
・やりたいことと求められることは別と認識する

この3つになるかなと思います。

自分の向かう方向によって差異はありますが、大抵の場合はこれを徹底的にできれば夢に近づくのではないかなと思います。

―これから何かを目指す方へ、メッセージをいただけますか?

Aoiさん
「夢」と聞くと、とても大きなものに思えてしまい、自然と自分の中で「なかなか達成できないもの」と認識してしまいますよね。

私自身、モデルになった時に「絶対パリコレに出てやる」という夢を明確に掲げていたら、おそらく理想と現実とのギャップに、メンタルをやられていたんじゃないかなと思います(笑)。

そこで「夢」をもっと、実現可能なレベルの「目標」にまで落とし込むと良いのではないかなと思います。

私自身「海外で仕事をしたい」というぼんやりとした夢に向けて、日々の仕事に向き合い、モデルの傍らイベント運営業も並行して仕事をしてきました。

その結果、モデルとしては海外で仕事ができるようになり、イベント運営業での経験を活かして起業、マナー講師になることができました。

「夢」は持ちつつも、求められることを真剣に、1つずつしっかりと達成していく。

その先に、大きな「夢」があるのではないでしょうか。

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