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少年誌の連載だけが漫画家じゃない。Twitterで勝ち得た、千田純生さんのキャリア

少年誌の連載だけが漫画家じゃない。Twitterで勝ち得た、千田純生さんのキャリア

皆さんは、どのようなSNSを利用していますか?

FacebookやTwitter、LINEなどは情報発信やコミュニケーションツールとして私たちの生活に欠かせなくなっています。

今回お話を伺ったのは、漫画家やスポーツイラストレーターとして活躍されている千田純生さん。千田さんは漫画を描きながら、Twitterでサッカーのイラストを発信して人気を博しています。

千田さんは、「Twitterのおかげで現在の自分がある」と言います。

千田さんは、どうしてTwitterで転機を迎えることができたのでしょうか。

今回は、千田さんの経歴を振り返るとともに、これからの目標についても伺いました。

<プロフィール>
千田純生(ちだ・じゅんせい)さん

漫画家/スポーツイラストレーター

代表作に、蹴児(けりんじ)(『月刊少年マガジン』2010−2011年連載)、フィールドの花子さん(『月刊少年マガジン』2014−2015年連載)、FC6年1組シリーズ(著:河端朝日、『集英社みらい文庫』2018年−刊行、挿絵担当)など。

岩手県出身で、高校卒業後に東京の専門学校で絵の勉強をしながら、出版社に自身の作品を持ち込む。

「週刊少年マガジン新人漫画賞」で佳作を受賞後、『FAIRY TAIL』の作者である真島ヒロさんのアシスタントを2年間務める。

その後、2010年に『月刊少年マガジン』で『蹴児』の連載を開始。

2015年に『フィールドの花子さん』の連載終了後、各Jリーグクラブの選手やマスコットをコミカルに描いたイラストをTwitterで発信するようになると、それが大きな反響を呼ぶ。

現在もTwitterでイラストを発信し続け、漫画家であると同時にスポーツイラストレーターとしても活動する。

2019年、漫画家兼スポーツイラストレーターとして更なる飛躍を目指す。

暇つぶしが仕事に? スポーツイラストレーターの仕事を得るまで


Twitterより

ー現在は、漫画家兼スポーツイラストレーターとして活動されている千田さん。これまでの経歴を教えてください。

千田さん
私が学生のころ『週刊少年ジャンプ』が大流行していました。中でも『SLAM DUNK』を始めとするスポーツ漫画は大人気でした。

私は小学校から高校までサッカーをやっていたこともあり、漠然と「将来はサッカー漫画を描きたいな」と思うようになりました。

ーそうだったんですね。実際に漫画家の道を目指し始めたのはいつ頃ですか?

千田さん
私は岩手県出身なのですが、高校卒業後は東京の専門学校に通い、絵の勉強を始めました。

当時はネットもなかったので、情報や仕事はもちろん、絵に使う画材なんかも身の回りにはなくて。

自分の作品を出版社に持ち込みやすい、ということで東京に住むことにしました。

専門学校を卒業後「週刊少年マガジン新人漫画賞」で佳作を受賞し、『FAIRY TAIL』の作者で有名な真島ヒロ先生のアシスタントとして2年間働かせていただきました。

真島先生には、漫画家としてのノウハウをたくさん教わりましたね。

ーでは、デビューされたのはいつですか?

千田さん
2010年に『月刊少年マガジン』で『蹴児』の連載を始めました。誰もが知る少年誌でデビューできたので、とても嬉しかったですね。

その後も、2014年に同雑誌で『フィールドの花子さん』の連載を始めました。

しかし、2015年に『フィールドの花子さん』の連載が終わり、その後しばらくは次の作品の構想を練っていました。

そこでアイデアが浮かばない時に、暇つぶしにJリーグの選手やマスコットを自分なりにアレンジしたイラストを描いてTwitterで発信しはじめたんです。

ー現在、Twitterで人気を博しているイラストのことですね。

千田さん
そうです。もともとは、私の漫画のファンの方々に楽しんでもらうつもりで発信したのですが、思ったよりも反響が大きく、イラストを見てファンになってくれた方々もいました。

ー暇つぶしでやっていたことが大きな反響を呼ぶとは、何が起こるかわからないですね。

千田さん
そうですね。Twitterでは、漫画よりもファンの方々との距離が近いので、発信したらすぐに反応が来ますし、コミュニケーションもとることができます。「いいね」や「リツイート」の数が増えると嬉しいですしね(笑)。

SNSが普及している現代だからこそできる、コンテンツ発信の新たな形かもしれません。

ーその通りだと思います。Twitterで発信するようになった後は、具体的にどのような反響がありましたか?

千田さん
最初は暇つぶし感覚で発信して、いいねやリツイートをしてもらう程度のものだったのですが、徐々にTwitterを通して仕事をいただけるようになりました。

サッカー関連で言えば、Jリーグクラブのスポンサー企業からイラストの提供を依頼されたり。

なので今は、漫画家としての仕事というよりは、スポーツイラストレーターとしての仕事の方が多くなりました。

「サッカーの漫画を描いて仕事をしたい」という昔の夢が、こんな形で実現できるとは正直思っていなかったのでとても驚いています。

自分の「好き」に嘘をついてはいけない。大事なのは、継続できる力

ーJリーグの選手やマスコットのイラストということですが、具体的にどういった内容をイラストにするんですか?

千田さん
Jリーグの対戦カードの中から、注目の試合をピックアップして、私なりにイラストにします。

例えば、ダービーが分かりやすいですね。「横浜F・マリノス」vs「川崎フロンターレ」といった神奈川県内の注目ポイントをイラストにするんです。

なるべく全チームをピックアップしたり、日本代表も取り上げたりして、より多くのファンの方々に楽しんでもらうように心がけています。

ーどれくらいのペースでイラストを描くんですか?

千田さん
特に決めていませんが、個人的に「おもしろいな」と思ったニュースがあれば、すぐに取り掛かります。

SNSの情報は流れていきますから、すぐ描いて発信しないと、ファンの方々に興味を持ってもらえません。

多いときでは、1時間くらいで1枚を描きあげるようにしています。

ー1時間! かなり速いですね。

千田さん
仕事の速さは真島先生のアシスタント時代に鍛えられました(笑)。

真島先生は連載漫画を一度も休載したことがないんですよ。

週刊や月刊のような定期的な連載では、休載してしまうと、楽しみにしてくれていたファンの方々が悲しみますし、作品を読んでもらう機会がなければ、新規のファンを獲得できません。

定期的に連載していくためには、スピードを意識しつつ描くことが重要なんですが、真島先生はとにかく仕事が速いですし、その上クオリティもめちゃくちゃ高いんです。

ーだからこそ、真島先生は成功されたのでしょう。でも、それでは休む間もなさそうですね。

千田さん
それが、真島先生は睡眠時間もしっかりとるんです。しかもゲームをすることが大好きで、しょっちゅう新しいゲームで遊んでいます。

決められた時間内に仕事を片付けて、たっぷりと寝てしっかり遊ぶ。それを長年実行しているので、本当にすごいですね。

そんな「真島イズム」が、私のSNSでの発信にも少なからず生きていることは間違いありませんね(笑)。

ーそうだったんですね。ハイペースでイラストを出すことは大変ではないですか?

千田さん
そんなことはありません。もう慣れましたし、イラストを描くこと自体好きですから、描いていて大変、ということはないですね。

ー自分が好きと思えることを仕事にするのは、素敵なことですね。

千田さん
そうですね。今の私だからこそ言えますが、好きなことを仕事にするのは、本当に大事だと思います。

目に見える結果ばかりを急いで求める人がいますが、仮に成功しても、成功した状態を継続させるってとても難しいんですよ。

うまくいかなくなった時、やっぱり好きなことじゃなければ、なかなか「続けたい」と思えない。

私の場合は「絵を描くこと」がとにかく好きでした。そして絵を描き続けた結果、漫画とイラストの違いはあっても、仕事を勝ち取ることができた。

目先の成功に捉われず、あくまで自分の好きなことを続けて来た結果が、今の私なんです。

自分の「好き」に嘘がなく続けることができれば、何かしらの形で仕事になるんだなと実感しました。

楽しんでもらえるなら、手段はなんでもいい。絵を描くことにかける、千田純生さんの思い

ー素晴らしいお話です。千田さんは「漫画のアイデアが浮かばない時に暇つぶしにイラストを描きはじめた」とおっしゃっていましたが、暇つぶしでもイラストを描くくらい、"描く"ことがお好きなんですね(笑)

千田さん
そうですね。

最初はもちろんイラストを発信して仕事を貰おうなんて少しも考えていませんでした。フォロワーの方々に楽しんでもらうために、そして純粋に私が好きだから始めたことです。

それが今こうやって、仕事として成り立っているのは、本当に予想外です。他にもたくさん予想外のことが起きました。

ー例えばどのようなことでしょう?

千田さん
鹿島アントラーズのスポンサー企業である「LIXIL」さんから仕事を依頼された時に、サッカーの神様であり、鹿島アントラーズOBでもある憧れのジーコさんに会うことができました。

プロサッカー選手でもない私が、まさかジーコさんと会えるとは夢にも思いませんでした。

Twitterでイラストを発信しまくっていたらジーコさんと会えたんですから、人生本当に何が起きるかわからないですよね(笑)。

そして何より、仲間が増えました。私は横浜F・マリノスのサポーターですが、試合に応援に行くと、私のイラストを見てくださっているファンの方々から声をかけられることが多くなりました。

漫画家の仕事だけだと家の外に出ることが少なかったので、年齢や性別、職種が異なる方々と関わると、色々な話を聞けて、視野が広がっていきますね。

ー素敵な出会いが多いのですね。では最後に、今後の目標を教えてください。

千田さん
今年、何冊かサッカー関連の本を出す予定です。
こうやってどんどん仕事が増えてきて、嬉しい限りです。

今はサッカー関連の仕事がほとんどですが、サッカー以外のスポーツのイラストを描いたり、もう一度漫画の連載も始めたりしたいと考えています。

Twitterを通してイラストを発信した経験が、今度は漫画を描くときにも必ず生きると思います。

そして何より、イラストを発信することを、どれだけ忙しくなっても今まで通り続けたいと思います。

漫画にしろイラストにしろ、絵を描くことが本当に好きですし、ファンの方々に楽しんでもらえることが、何より嬉しいですから。

取材・撮影=内藤 祐介
文・石井孝明

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