【この記事でわかること】
- ロイヤリティの意味と種類
- 業種ごとの相場
- “ロイヤリティ0円”の真相
ロイヤリティとは、簡単にいうと権利使用料です。
フランチャイズ経営をする際は、定期的にフランチャイズ本部に支払う必要があります。
フランチャイズ経営を検討している方にとっては「必ず知っておくべき基本知識」ですが、本部によって金額が異なったり、サポート内容が異なったりするなど注意点が必要なものでもあります。
この記事を読んで、フランチャイズのロイヤリティに関する知識を深めましょう。
また、フランチャイズ経営はリスクが高いという話も聞くため、一歩踏み出せないという方や、フランチャイズ経営は本当に儲かるのかと不安になっている方も多いと思います。
そんな方たちのために、実際にフランチャイズ経営を行っている方の事例や、成功している方のポイントについて資料にまとめて、解説書を作成いたしました。フランチャイズ経営に興味はあるけど、失敗はしたくない!という方はぜひ下記よりダウンロードして参考にしてみてください。
そもそもフランチャイズとは?仕組みを解説
フランチャイズとは、個人や法人がフランチャイズ本部企業と契約を結び、店舗などを経営するビジネスシステムのことをいいます。
自力で独立するのとは違い、フランチャイズ本部が持つ商標・チェーン名称・商品の知名度・経営のノウハウなどを活用するのが特徴で、本部の教育や指導を受けて短期間で事業をスタートさせ、スムーズに軌道に乗せていくことを目指します。
フランチャイズビジネスの市場規模やメリット・デメリットなど、基本的なことから知りたい方は、まずこちらの記事を読んでみてください。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
ロイヤリティ(Royalty)とは
「ロイヤリティ」は忠誠や忠実を意味する言葉で、フランチャイズ業界においては「権利使用料」を表します。
「権利使用料」とは、「特許権」や「商標権」、「著作権」などの特定の権利を利用する場合に発生するお金のことです。
一例として、フランチャイズ加盟をしているコンビニエンスストアや飲食店が、フランチャイズ本部に毎月支払うお金がロイヤリティです。
ロイヤリティの3種類の計算方法
ロイヤリティには主に3つの種類があり、計算方法も異なります。
それぞれの特徴を解説していきます。
売上歩合方式
ロイヤリティの中でも、最も一般的なのが売上歩合方式で、加盟店の売り上げの数%などを、ロイヤリティとして本部に支払う方式です。
メリットは、売り上げによってロイヤリティが決まることで、売り上げが低ければロイヤリティも減ることです。
一方で、仕入れ額が高くなって利益が減っても、支払うロイヤリティが変わらないのがデメリットといえます。
そのため、売り上げと仕入れのバランスを想定した検討が必要です。
ロイヤリティ率は数%~50%程度まで、さまざまです。
定額方式
定額方式は、売上金額にかかわらず、毎月支払うロイヤリティの金額が一定となります。
メリットは、売り上げが上がるほど、自分の手元に残るお金が増えるという点です。
しかし、売り上げが下がってもロイヤリティは減らないので、ロイヤリティの支払いが苦しくなる可能性があります。
設定金額は本部によって違いますが、一般的に1ヵ月数万円~10万円程度です。
粗利分配方式
粗利分配方式は、収益を本部と加盟店で分け合うシステムで、多くのコンビニエンスストアで採用されている方式です。
加盟店は、売り上げの総利益(総売上高ー売上原価)の約30~70%を本部に支払います。
下記記事では、フランチャイズの年収相場とこれから伸びる10業種の選び方を紹介しています。
https://entrenet.jp/magazine/26613/
ロイヤリティの業種別相場一覧
業種別におけるロイヤリティの相場を紹介していきます。
業種によって割合に差があるように感じますが、サポート内容や収支バランスなどが大きく異なるため、必ずしも「ロイヤリティの割合が低い=安く済む」という訳ではありません。
業種 | 相場 |
---|---|
コンビニエンスストア | 30~60%前後 |
カフェ・飲食店 | 3~10%前後 |
学習塾 | 授業料の10~30%+入会金30~50%前後 |
エステ・マッサージ | 5% ※諸条件あり |
ジム | 月5万円〜30万円または売売上の12%〜15% |
ハウスクリーニング | 5%前後もしくは定額制 |
フランチャイズのロイヤリティは経費にできるのか?
フランチャイズのロイヤリティは経費にできます。個人所得が年間290万円(営業期間が1年未満の場合は月割額)以下の場合は、個人事業税が課税されません。
経費計上すれば、個人事業の場合、所得の圧縮につなげられます。
参照:東京都主税局|個人事業税
加盟金は5年間で償却計算
フランチャイズの加盟金は、繰越資産として、原則5年で償却計算を行います。
そのため、5年間で均等分を経費にしていく流れとなります。
5年かけて経費として扱えるため、開業当初の税負担の軽減にもつながります。
繰越資産として計上するには、経営指導・ノウハウの提供の内容・期間などが記載された契約書のコピーが必要になるので注意しましょう。
加盟金に関してもっとよく知りたい方は、こちらのページを読んでみてください。
https://entrenet.jp/magazine/13132/
ロイヤリティの勘定科目と会計処理方法
ロイヤリティの勘定科目ですが、ロイヤリティを受け取る本部側は「売り上げ」、ロイヤリティを支払う加盟店側は「売上原価」となります。
仕分け方法ですが、例えば加盟店がロイヤリティを支払った場合、「支払手数料」となります。
ただし、ロイヤリティの中には「広告宣伝費負担分」などが含まれているときもあります。
そのような場合は、広告宣伝費で細かく仕訳するところもありますが、一般的には、「支払手数料」だけで仕訳する場合が多いです。
ロイヤリティを支払ってでもフランチャイズ契約をするメリット
フランチャイズに加盟し、実績のあるブランドで開業すると、資金調達・人材採用をはじめ、仕入れ・流通・店舗の内外装の準備などさまざまな点でメリットがあります。
ここからは、フランチャイズ経営の主なメリットを3つ紹介します。
開業前に研修を受けられる
フランチャイズ契約をする1つ目のメリットは、開業前に研修を受けられることです。
開業前に本部スタッフによる研修があり、開業後にも経営や店舗運営についてアドバイスを受けられます。
そのため、「初めて起業する人」や「未経験の事業を始めたい人」、「今まで独立してみたいと思っていたけれど、経験がないから無理だ」と感じている人でも、フランチャイズ経営なら安心して始められるでしょう。
こういった、未経験でもオーナーになれる仕組みは、フランチャイズならではの仕組みといえます。
「起業したいけれどハードルが高い」と感じていた人も、挑戦できる環境が整っているといえるでしょう。
開業後もサポートやノウハウを提供してもらえる
フランチャイズ契約をする2つ目のメリットは、開業後もサポートやノウハウを提供してもらえることです。
個人でお店を開業する場合は、仕入れ・流通ルートの確保・人材採用など、ほとんどのことを一人で行う必要があります。
しかし、フランチャイズは経営にまつわるもの(ノウハウ・ブランド力など)がある状態から始められます。
本部スタッフに相談することもできるので、サポート面も充実しているといえます。
ブランドや仕入れルートを活用できる
フランチャイズ契約をする3つ目のメリットは、ブランドや仕入れルートを活用できることです。
フランチャイズ経営の場合、すでに確立されたブランド力がある状態で経営を始められます。
知名度・人気度が高いお店なら、その看板を掲げるだけでそれなりの集客が見込めます。
また、自分一人でお店を経営する場合は自ら仕入れ先を探す必要がありますが、フランチャイズならその手間も省けます。
フランチャイズの場合は、直営店を含む全店舗の商品・備品は本部が一括で仕入れて、各加盟店に供給していることが多いからです。
他にも、フランチャイズ加盟で受けるデメリットや本部側の本音など、こちらのページでは「フランチャイズで開業するメリット・デメリット」を詳しく解説しています。
https://entrenet.jp/magazine/13120/
「ロイヤリティが0円」にはワケがある!後悔しないフランチャイズの選び方
フランチャイズ加盟店の募集情報を見ていると、「ロイヤリティ0円」や、「ロイヤリティなし」という言葉をよく見かけます。
つまり、ロイヤリティが無料だと謳っているのです。
「ロイヤリティは無料」と聞くと、「本部にメリットがないのでは?」と思うかもしれません。
しかし、「ロイヤリティ0円」を打ち出している企業の多くは、別の名目で月額の支払いが発生することがほとんどです。
「ロイヤリティ0円」を打ち出している企業の多くは、以下のような名目で月額料金を回収しています。
【ロイヤリティ以外で月額の支払いが生じる可能性があるもの】
- システム使用料
- 端末使用料
- 会費
- ID利用料
- 情報管理費
- 広告販促費 など
ロイヤリティが無料だからといって、安易にフランチャイズ契約を結んでしまっては、後悔するかもしれません。
自分が納得いくまで契約内容を吟味して、疑問点は加盟する前に全て解消するようにしましょう。
ロイヤリティ無料のフランチャイズに契約を検討している場合は、以下の項目を確認してから検討してみてください。
ロイヤリティに見合った本部のサポートはあるか?
ロイヤリティが0円でも本部のサポート環境が整っていなかったら、安易に契約するのはやめておくのが無難です。
フランチャイズで起業するのは、経営経験のない人がほとんどでしょう。
たとえロイヤリティが0円でも、サポート環境が整っていなければ、困ったとき本部に相談できないかもしれません。
「ロイヤリティが無料だから」という理由だけで安易に契約せずに、本部のサポート内容もしっかりと確認したうえで契約しましょう。
本部のサポート内容や相場と比べ、ロイヤリティは妥当な金額か
ロイヤリティの金額が相場から大きく外れていないかも確認しましょう。
同時に本部のサポート内容も、ロイヤリティの費用に応じた内容なのかも確認してください。
起業する際に、融資を受ける人は特に注意しましょう。
ロイヤリティは定期的に支払うので、高額だと負担になりかねません。
本部に支払う費用はロイヤリティ以外には、どんな費用が発生するか
たとえロイヤリティが0円でも、他の業種と比べて加盟金や研修費用が割高な場合もあります。
また、「顧問料」「相談料」「マーケティング費用」などの費用を支払わなければならないこともあります。
「ロイヤリティが0円」の情報だけで契約してしまうと損をしてしまうこともあるので、他にどんな費用が発生するのかも確認しましょう。
まとめ
ロイヤリティは、一言でいうと「ブランドの使用料」です。
フランチャイズにおけるロイヤリティの適切な金額は、「〇円です」と一概にはいえません。
まずは、「このブランドの信用度や集客力なら、ロイヤリティを払っても良い」と思える根拠を明確にしましょう。
また、ロイヤリティだけに注目するのではなく、お金の流れ全体にも注目してみましょう。
「仕入れ価格は高いけれど、ロイヤリティが低い」、「加盟金は高いが、その後の本部への支払いは少なくて済む」といったように、フランチャイズ契約にはさまざまなケースがあります。
本部と加盟店の間を流れているお金の流れをじっくり見極め、納得することが、失敗しないフランチャイズ選びの第一歩となるでしょう。
実際に案件を確認してみたい方はこちらのページもご覧ください。
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よくある質問
Q:なぜロイヤリティは必要なのか?
A:ロイヤリティに見合った対価があるから
ロイヤリティを支払ってまでフランチャイズに加盟する人がいるのは、ロイヤリティに見合った対価があるからです。
たとえば有名ブランドの店舗とフランチャイズ契約をすると、何もないお店に比べて信用や集客力が高いので、開業時から一定の売り上げが見込めます。
本部側も、長年にわたって蓄積してきた経験や実績で利益を上げたいと考えています。
つまり、ロイヤリティは店舗と本部との間にビジネスを生む役割を果たしているのです。
Q:ロイヤルティとの違いは?
A:ロイヤリティ:フランチャイズへの支払い金・ロイヤルティ:顧客忠誠心、従業員忠誠心
「ロイヤリティ」と「ロイヤルティ」は、一見同じように見えますが、実は全く異なる意味を持つ言葉です。
ロイヤルティは、英語の「Loyalty」をカタカナ表記したもので、忠誠心や献身、誠実といった意味を表します。
ビジネスシーンでは、主にマーケティングや人事において、顧客や従業員の企業に対する忠誠心を指す言葉として使われます。
Q:払ったロイヤリティは何に使われているのか?
A:商品開発や広告宣伝、フランチャイズシステムの改善など
本部に渡ったロイヤリティは、商品開発や広告宣伝、フランチャイズシステムの改善などに使われます。
Q:何故ロイヤリティは業種によって金額が違うのか?
A:材料費/人件費など、業種によってコストが違うから
各業種に関する特徴は以下のとおりです。
コンビニエンスストアの場合
コンビニエンスストアの場合は、建物や土地をオーナーで用意するか、本部が用意するかでロイヤリティが異なります。
そのためコンビニエンスストアに支払うロイヤリティの平均額は30~60%前後と幅があります。
また、営業総利益の金額やオーナーのタイプに応じて、ロイヤリティが変動することも多いです。
コンビニエンスストアは365日24時間営業の店舗ビジネスですが、スタッフを確保し、きちんとマネジメントができていれば、オーナーが店舗に立つ必要もないため、経営に専念できるフランチャイズといえます。
参考:フランチャイズのコンビニエンスストアで独立開業!年収を上げるコツや大手3社のロイヤリティを解説
カフェ・飲食店の場合
カフェは商品自体の原価率が高いため、ロイヤリティは3~10%が相場です。ただ、本部によっては、ロイヤリティが固定の場合もあります。
例えば店舗の座席数で計算する場合、「1席あたり月額1,500円の支払い」のように決まっています。
食事や休憩、仕事場として、カフェを日常的に利用する人も多い分、競合も多く、高品質のサービス提供や低価格で満足度の高いサービスを安定的に供給する必要がありますが、フランチャイズに加盟すると、スタッフ教育やメニュー設定、売り方や仕入れなどといったノウハウを本部から提供してもらえるので、「選んでもらえるカフェ」を実現しやすくなるといえます。
参考:カフェのフランチャイズを開業した際の年収はどれくらい?カフェ経営のお金事情
学習塾の場合
学習塾の場合、授業料の10~30%のロイヤリティを支払うのが一般的です。
入会金についても、30~50%を本部に支払います。
また、売り上げの割合で支払うのではなく、生徒の人数でロイヤリティを計算することもあります。
ある学習塾の例では、月謝の10%がロイヤリティです。入会金・教材費には、ロイヤリティはかかりません。
参考:学習塾のフランチャイズ経営者の年収はどれくらい?シミュレーションを紹介
エステ・マッサージの場合
多くのエステ・マッサージ店は、5%前後のロイヤリティを支払っています。
ロイヤリティが低い場合、エステ機器を本部から借りることが条件になっていることもあります。
エステで使用する美容品の販売代行をしている店舗は、美容品の売り上げの何割かがロイヤリティです。
例えば「売り上げの8%をロイヤリティとして納める」のように決まっています。
顧客が定期的に通うビジネスモデルでもあるため、中長期的に売り上げや利益を見込めます。
参考:フランチャイズのフェイシャルエステを開業するには?メリットや成功例を紹介
ハウスクリーニングの場合
ハウスクリーニングのロイヤリティは、50%前後、もしくは定額制が採用されることが多いです。
エステと同様、掃除をするための道具を借りる場合、ロイヤリティが他社より安く設定されていることもあります。
ハウスクリーニングの定額制のロイヤリティは、月額0円〜10万円以内が相場です。
なお、月額のロイヤリティ費に加えて、広告宣伝費がかかるところもあります。
参考:フランチャイズの加盟でハウスクリーニング独立開業が成功し収入が上がるコツとは
<文/ほのゆき>