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まずは自分自身が楽しむこと。こどもの手作りおもちゃ作家・佐藤蕗の幸せ仕事マインド

まずは自分自身が楽しむこと。こどもの手作りおもちゃ作家・佐藤蕗の幸せ仕事マインド

「こんなに頑張っているのに、どうして誰も認めてくれないんだろう…」
そんな風に落ち込んでしまうことは無いでしょうか。

一生懸命やればやるほど、自分を追い込んでしまう。
でも、成功している人たちこそ、楽しそうに働いている気がしませんか?

こどもの手作りおもちゃ作家・佐藤蕗さんは、誰でも簡単に作れて楽しく遊べるおもちゃの作り方を発信する活動で、多くの家庭から支持を得ています。

蕗さんも心の底から仕事を楽しんでいる1人ですが、最初は育児に追い詰められそうで、その状況から自分を守るために、おもちゃを作り始めたと言います。

今回はそんな蕗さんの、おもちゃ作家としての仕事を始めるまでの経緯や、幸せな気持ちで仕事をする方法について伺いました。

<プロフィール>
佐藤蕗(さとう ふき)さん
こどものおもちゃ作家/造形作家/イラストレーター/FabLab スタッフ/2級建築士

1982年愛知県生まれ、二児の母。多摩美術大学卒業後 店舗設計会社、建築設計事務所勤務を経て、第一子出産を機にフリーランスに。育児をしながら作っていたおもちゃが反響を呼び、デザイナー、イラストレーターの活動のかたわら、造形作家として、雑誌、WEB、テレビで活躍中。不定期でワークショップも行う。

https://note.com/fukisato

おもちゃを作り始めたのは「自分のため」。育児に追い詰められないために

ーこどもの手作りおもちゃ作家として、フリーランスで活動している佐藤蕗さん。現在に至るまでの経緯を教えてください。

佐藤さん
こどもの頃からものづくりが好きでした。特に立体の扱いが得意だったので、美術大学に進学し、建築を専攻しました。

卒業後は就職して、店舗内装デザインや住宅建築設計の仕事を7年間しました。仕事自体は面白かったのですが、何度も徹夜になってしまうくらい忙しくて、とにかく大変でしたね。

29歳の時に結婚して長男を出産。この時に初めておもちゃを作りました。

ーなぜ、おもちゃを作ろうと思ったのですか?

佐藤さん
自分で言うのもなんですが、性格が真面目な方なので、出産や育児に真正面から向き合うと、自分で自分を追い詰めてしまうな、と思ったんです。

毎日忙しくても、生活の中でどこか「遊び」の要素が欲しかったんです。

ーその要素が、おもちゃだったのですね。

佐藤さん
おもちゃ作りって楽しいんですよ。

こどもも喜んでくれる上に、おもちゃを作ることで自分自身のメンタルを安定させられる、まさに一石二鳥だったんです。

そして私のように育児で思い詰めてしまいそうな親たちに、このノウハウを役立てて欲しい、という気持ちがおもちゃ作りと発信の原動力になっています。

ー忙しい中で、おもちゃを作る時間はどのように捻出したのですか?

佐藤さん
日中はこどもを観察して、浮かんだアイデアをメモに書き留めていました。

おもちゃを作るのはこどもが寝たあとです。日中取ったメモを元に、家にある廃材や100円ショップで購入した材料で試作品を作りました。

ー現在はおもちゃ作りの仕事の収入が全てですか?

佐藤さん
いえ、正社員で働いていた会社との契約を業務委託に切り替え、建築の仕事もフリーランスで行っています。

活動を始めて2年後、『親子で笑顔になれる 魔法の手作りおもちゃレシピ』を出版してから、企業からの依頼が来るようになり、おもちゃ作りの仕事が増えはじめました。

今は雑誌の連載や、ワークショップの開催、教育教材の開発などの仕事もしていて、おもちゃ関連収入は建築の仕事の収入よりも大きくなりましたね。

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ーどんなおもちゃが評判が良いのでしょうか?

佐藤さん
こどもの年齢によっても変わるのですが、0〜1歳児の赤ちゃん期のこどもにウケがよかったのは、「こどもポスト」というおもちゃです。

ポストのように穴を開けた厚紙を棚に貼るだけの簡単なおもちゃなのですが、こどもはこの穴にいろんなものを入れて、ポトンと落としてはキャッキャと喜びます。

家のカラーボックスの隙間に、長男が次から次へとものを入れているところを見て思いつきました。「穴があると入れたい時期なのかな?」「ものの大きさを把握しようとしているのかな?」と考えたんです。

ちなみに、今7才の長男が「このポストのおもちゃ面白かった!」と私に言うんですよ。1歳の頃のことを覚えている7歳児なんて、なかなかいないですよね(笑)。

ーよほど強烈な印象に残る面白さだったのですね…! もう少し大きくなると、こどもは“イヤイヤ期”を迎えると思いますが、この時期もおもちゃは使えるのでしょうか?

佐藤さん
使えます。この時期、「お風呂に入りなさい!」「入らない!」というようなケンカをして、ついこどもを怒鳴ってしまい、自己嫌悪に陥るというのが『育児あるある』なんです。

でも、おもちゃを使ってうまくこどものスイッチを切り替えることができれば、イヤイヤせずにお風呂に入ってくれます。

ーどんなおもちゃが“イヤイヤ”を切り替えてくれるのでしょうか?

佐藤さん
我が家の場合、ペットボトルを装飾して作るおもちゃ「しましまトリオ」をお風呂の中に並べて「しましまトリオ、先に入っています」と書いた張り紙を作ってお風呂の扉に貼りました。そうすると、こどもが「いつもと違う!」と気づきます。

思わずドアを開けると、中に絵と同じ「しましまトリオ」がいるものだから、もう楽しくなってそのままお風呂に入ってくれるんです(笑)。

笑ってしまうほど単純な仕掛けですが、絶大な効果を発揮しました。

ー蕗さんのアイデアに救われる親子はたくさんいるのでしょうね。このノウハウを、どのように広げていったのですか?

佐藤さん
まず、たくさんのおもちゃを作って、ブログにまとめました。作品数が少ないと、「おもちゃ作家」として認知されるのは難しいと思うので、ここは頑張りました。

それから、育児雑誌を作っている出版社を調べて、片っ端からメールを送りました。手作りおもちゃの記事を掲載することのメリットを理解してもらえるように、活動内容を丁寧に説明して、自分を売り込みました。

その結果、いくつかの出版社から連絡を頂いて、雑誌で特集を組んでもらったり、自分の本を出版したりすることができました。

作品はインスタグラムやツイッターにも投稿しました。作り方も一緒に載せたので、それを見てマネして作った人たちが、「#佐藤蕗」をつけて発信してくれたんです。

「簡単に作れること」にこだわるのは、親に幸せな気持ちでいて欲しいから

ーおもちゃ作りのアイデアはどのように考えるのですか?

佐藤さん
まずはこどもの観察ですね。発達の段階で、こどもができることがどんどん増えていくのは、見ているだけでも面白いですが、私は常に「今何を学んでいるか?」を意識して見るようにしています。

そうすることで「今こんなことがしたいのかな?」と想像できるので、それをヒントにおもちゃを考えます。ぴったりはまると、私の狙った通りに遊んでくれるので、これがとても気持ち良いんですね。

ー思いついたおもちゃを実際に形にできるのは、さすがですね。

佐藤さん
それは建築の仕事の経験が活きているのだと思います。

ものの構造を扱う仕事をしていたので、「どうしたら思い通りの形になるか?」「どうすれば簡単に作れるか?」を考えることができるんです。

建築の仕事だけをしていた時は、あとでこんな風に役に立つとは、思ってもみませんでしたね。

ーどんなおもちゃを作りたいと思っていますか?

佐藤さん
簡単に作れるおもちゃです。

手の込んだおもちゃが面白いのは当たり前だと思うので「簡単なのに、面白い!」と驚かれるおもちゃを追求したいです。

あとは、こどもの自然な好奇心を刺激することです。いろんなことを面白がる「楽しむ気持ち」が強いこどもになってもらうことに、役立てたらと思います。

そうすれば、今後の人生で多少嫌なことがあっても、面白さを自分で見出して、乗り越えることができると思うんですよね。

ーおもちゃづくりをする上で、最も大切にしていることは何ですか?

佐藤さん
がんばりすぎない、ということでしょうか。

一生懸命おもちゃを作るあまりに、自分が苦しくなってしまったら、本末転倒です。

こどもの立場からしたら、「あなたのために、こんなにやっているのに!」と言われたら、辛いですよね?

おもちゃ作りは結果的にこどものためになることかもしれませんが、まずは親である自分が楽しんで作ることが、何より大切だと思います。

だから私も、自分自身が楽しいことを最優先して作っていますし、作ってくれる方も苦しくならないように「簡単に作れること」を重視しています。

まずは自分を満たす。幸せ仕事マインドの作り方

ー今後の目標はありますか?

佐藤さん
今長男が7歳で、二男が0歳なのですが、二男の成長に合わせて、また赤ちゃんのおもちゃが作れるのが楽しみですね。

実は、昔作った作品は今見返すと少し恥ずかしいんです(笑)。

その初々しさが良かった面もあるのかもしれませんが、今振り返ると「もっと簡単に、もっと面白くできたな」と思うので、バージョンアップさせたいです。

あとは、長男の成長に合わせて、小学生が勉強を楽しめる方法を考えたいなと思っています。学校の勉強に「楽しさ」をプラスして、好奇心高く学べるような仕掛けをたくさん作りたいです。

ー最後に、新しいことを始めようとしている読者へ、アドバイスを頂けますか?

佐藤さん
とにかく始めてみることが大切だと思います。

「失敗したらどうしよう」と考えて動かないでいても、何も分からないままです。

すぐに成果には結びつかないかもしれませんが、行動して始めて分かることはたくさんあります。その積み重ねが、新しい仕事につながっていくのだと思います。

私も、まだやったことのないことに、色々と挑戦していきたいと思います!

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