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複業をするからこそ、“本業”を大切にする。あるライターが語る、好きな仕事を続けていくための方法

複業をするからこそ、“本業”を大切にする。あるライターが語る、好きな仕事を続けていくための方法

多様な働き方が普及しつつある今。さまざまな仕事を同時進行する“パラレルキャリア”を選択する人が増えてきています。

今回インタビューをさせていただいた、カルロス矢吹さんは、ライター・ラジオディレクター・日本ボクシングコミッション役員・タレント・渋谷ロフトナインのブッキング担当・フォトグラファー・美術展の仕切りなど、パラレルキャリアという言葉では括りきれないほど広い領域でさまざまな仕事をしています。

1つの本業に絞らず、さまざまな仕事を同時に行う「複業」。まさに矢吹さんの働き方を表現するのにふさわしい言葉ですが、彼は今、ライターという職業をあえて自分の「本業」に決めたそうです。

なぜ、複業で活躍されていた矢吹さんが、自分の「本業」を決めたのか。そこには、あらゆる仕事をしてきた矢吹さんならではの考えがありました。

プロフィール:カルロス矢吹
1985年宮崎県生まれ。ライター、(株)フードコマ代表。

大学在学中より、グラストンベリーなど海外音楽フェスティバルでスタッフとして働き始める。以降、日本と海外を往復しながら、音楽・映画・スポーツ・ファッションなど世界各地のポップカルチャーを中心に執筆業を開始。

コンサート運営、コンピレーション編集、美術展プロデュースなど、アーティストのサポートも行う。2012年より、日本ボクシングコミッション試合役員に就任。山中慎介や内山高志ら、日本人世界チャンピオンのタイトルマッチを数多く担当。

トークライブハウスShibuya LOFT9のブッキングも担当している。著書に「のんびりイビサ」(スペースシャワーブックス)、「北朝鮮ポップスの世界」(花伝社、髙英起との共著)、「アムステルダム〜芸術の街を歩く〜」(大和書房)「NEW LONDON-イースト・ロンドン ガイドブック-」(DU BOOKS)がある。

何をやるにも“一石三鳥”を常に考える。パラレルキャリアで稼ぎ口をつかみとる方法

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―矢吹さんはさまざまな仕事を幅広くこなされていますが、現在は主にライターとして活躍されていますよね。ライターという職種に出会うまでの経緯を教えてください。

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カルロス矢吹さん(以下、矢吹さん)
大学生のとき治験(新薬の開発)のバイトをさせてもらっていたのですが、わりと暇な時間が多かったんです。その間はマンガを読んだり、ベッドでゴロゴロして時間を潰していました。そうやって過ごしているうちに、「この空き時間もったいないなぁ」と思うようになったんです。

そこでその空いた時間を使って副業で収入を増やそうと、テープ起こしのバイトを始めました。

軽い気持ちで始めたのですが、仕事をいただいた会社から、テープ起こしの文章が「読みやすい!」と評価してもらって。

そこで「何か記事の企画考えてみない?」と、声をかけていただきました。

―それからライターとして活動するようになったわけですね。

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矢吹さん
はい。ほかにも大学時代に、「イギリスの音楽フェスで、売り子が足りないから手伝ってくれないか」と、知り合いに頼まれたことがありました。

それで大学を休学してイギリスへ渡り、売り子の仕事をしていました。しかし、ただ売り子としてロンドンにいるのはさすがにもったいないなと。

そこで、当時契約していたWebメディアにイギリスの音楽フェスに関する企画を提出してみたんです。それがおもしろいということで、連載を2本やらせていただけるようになりました。

また、仕事の合間にフェスのライブも見るようにしていたので、売り子とライターと合わせて、同時に3つのことをやっていました。

―1つのことから2つ、そして3つとできることを膨らませていったんですね。

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矢吹さん
はい。こうした体験が根っこにあるので、何かやるときはほかにその仕事に関連することを3つは紐付けてやるようにしていました。まさに“一石三鳥”をモットーにしていたんです。

―さまざまな仕事をする、矢吹さんならではの考え方ですね。そんな大学時代を経て、卒業後もライターとして活動されていたんですか?

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矢吹さん
そうですね。ただ、最初はさすがに就職活動はしました。最初からフリーのライターになるなんて思っていなかったので。

それまでライターの仕事をずっとやっていたので、就職活動では出版社しか受けなかったのですが、やはり大手の出版社は厳しく合格できなかった。

そして就職活動に失敗した時に「これしかやれることがないからライターをやってみようかな」と思ったんです。

―なるほど。そこからフリーランスの道に進んでいったんですね?

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矢吹さん
はい。ただ、当時はまだライターの仕事だけでは生活を賄えなかったので、イギリスで貯めたお金を元手に執筆業務と並行してラジオ番組の制作もお手伝いしていました。

ほかにもコンサート運営や美術の展示会の仕切り、日本ボクシングコミッションの役員などなど、数えればキリがないのですが、とにかくいろいろな仕事をこなしていました。

当時はライターというより「何でも屋」という感じでしたね。

いくつもの仕事の中から、ライターを本業として選んだ理由

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―もう二足のわらじどころではありませんね(笑)。矢吹さんは本も出版されていますが、どういった経緯で出版されたのでしょう?

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矢吹さん
ライター業を中心にさまざまな仕事をやっていた頃、偶然本を出版するチャンスにめぐりあいました。

この機会に本を出してきちんと売れたら、継続して本を出すことにつながるかもしれない。そんな期待を胸に仕事に挑みました。

こうして2014年に僕の処女作である『のんびりIBIZA(イビサ)』というイビサ島のガイドブックが出版されたんです。

ちなみに、2013年の9月に3週間現地(イビサ島)で取材をしたのですが、その間、ほかの仕事はすべて断っていました。それくらい『のんびりIBIZA』に懸けていたので。

―そこから本の執筆も増えていったんですね。

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矢吹さん
はい。それからおかげさまで何冊か出版させていただいて。今でも変わらず、ライターの仕事のほかにさまざまな仕事をしていますが、徐々に本を書く、出版の仕事が増えてきました。

―その頃くらいから自分の本業を「ライター」にしていったのでしょうか?

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矢吹さん
いえ、2015年くらいまでは、自分の本業はそれこそ「何でも屋」くらいのイメージでいました。

しかし2016年からテレビ番組「やりすぎ都市伝説」やTBSラジオ「たまむすび」といった番組に出演させていただいたんですが、その時に自分はライターとして、出版の世界の人として呼ばれていることに気づいたんです。

なら今後、テレビやラジオといったメディアでしゃべる仕事を増やしていくためには、逆に「書く仕事(すなわち本業)」をしっかりやることが必要だと思いました。

それならちゃんとライターを本業にして、ライターとしての仕事に1番力を入れていく。そうすることで、結果として他の仕事を増やすことにもつながっていくと思ったんです。

自分の“本業”をはっきりさせる。パラレルキャリアで成功するために欠かせない事前準備

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―今、パラレルキャリアという働き方を選ぶ人が増えています。とても早い時期からパラレルキャリアを選択していた矢吹さんから見て、これからそうした働き方を実践しようとしている人に対して何かアドバイスはありますか?

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矢吹さん
パラレルキャリアを実践するうえで大切なのは、「自分の本業は◯◯だ!」とはっきり言えるくらい本業を確立させることが大事です。

僕の周りでもパラレルキャリアを選択しようとしている方を数多く見てきました。

ただし中にはさまざまな仕事に手を出すことで、ひとつひとつの業務が中途半端になってしまっている人も少なくありません。結果的に仕事を継続できず、収入を増やすどころか逆に収入が不安定な生活を送ることになってしまった人もいます。

そうした人たちに共通しているのがあきらかな“準備不足”です。

パラレルキャリアを実践する前に、まずは自分の本業において絶対的な武器を見つけておくこと。それがパラレルキャリアで成功する1番の事前準備だと、僕は思います。

―確かに収入の安定した柱となる職がないと、さまざまな仕事をしたとしても単なる副業の寄せ集めで終わってしまいそうですからね。

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矢吹さん
まさにその通りです。今振り返ると、僕の場合はライターであったり、ブレない柱があった。だからこそ、何でも屋というパラレルワークが実践できていたんだと思いますね。

ただ、覚えておいてほしいのは、自分の価値、本業は他人が決めるということ。先程もお話しましたが、テレビやラジオは僕のことをライターとして、出版の人間として番組に呼んでいました。

僕自身そんな経験をしてきたので、やはり本業をきちんと明確にすることは大切だと思います。

―最後に今後の目標をお聞かせください。

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矢吹さん
今後はとにかくライターとしてもっと売れたいですね。加えて、まだ本の重版をかけたことがないので、重版できるくらいのヒット作を出したい。

また、ライターという軸がありつつもこれまで通り自分が興味のある仕事は積極的にやっていきたいですね。そのためにもまず、ライターという仕事に力を入れていかなければ、と思っています。

(取材・文=佐藤主祥 https://twitter.com/kazu_vks

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