フランチャイズを開業するには「どれほどの資金が必要なのか?」「その資金をどう調達するのか?」を検討していく必要があります。
本記事では、フランチャイズを開業するのに必要な初期費用や、必要資金の調達方法をご紹介します。
「フランチャイズ(FC)とは?意味や仕組みを分かりやすく初心者向けに解説」
フランチャイズで開業するには何に費用がかかる?
フランチャイズに必要な初期費用は業種やビジネスモデルによって異なりますが、ほとんどの場合の初期費用は、大きくは下記の3つのタイプに分類できます。
1.フランチャイズ本部に支払う費用
2.店舗開設のために必要な費用
3.上記以外の初期経費
それぞれの費用が具体的にどのようなものなのか説明します。
1. フランチャイズ本部に支払う費用
フランチャイズ本部に支払う費用の中には、本部によって様々ですが、フランチャイズの加盟金、保証金、研修費、店舗設計支援費などが含まれます。
2. 店舗開設のために必要な費用
店舗開設のために必要な費用は多くの場合、初期費用の中でも最も大きな割合を占めます。
店舗を持つ場合、店舗物件を借りる時の保証金、内装や外装などの改装費、設備の購入費など、まとまった資金が必要となります。
3. 上記以外の初期経費
上記以外にもビジネス開始のための初期経費には、商材の仕入れ代金、オープニングプロモーションのための広告宣伝費、採用費などがあります。例えば、買取ビジネス場合、商品買い取り用の資金もこちらに含まれます。
広告宣伝に、どれほどの費用を割くのか、商材の仕入れ値をどれくらいに設定するのかにより必要となる資金は異なります。そのため、計画時には余裕を持って計算をしておくことをおすすめします。
どのような資金がフランチャイズの運営に必要?
初期費用に加えて、フランチャイズの運営に必要な資金を運転資金と呼びます。
日々の店舗運営に必要な運転資金は、大きく下記の2つのタイプに分類できます。
1.固定費
2.変動費
それぞれ詳しくみていきましょう。
1. 固定費
固定費は、売り上げや収益が上がっているかなどビジネスの状況に関わらず、毎月必ず発生する費用です。
例えば、家賃、正社員の人件費、設備のレンタル代金や維持管理費、各種保険や通信費など、定額で定期的に発生するものになります。フランチャイズ本部に支払うロイヤリティが毎月固定額の場合は、ロイヤリティも固定費となります。
2. 変動費
変動費には、仕入れ代金、広告宣伝費、アルバイトなどの人件費などが含まれます。フランチャイズ本部に支払うロイヤリティが“売り上げの何パーセント”などという決まりの場合は、ロイヤリティも変動費となります。
毎月、同じ金額で発生しないものの、予算を立てる上で、ある程度の予測が必要となります。
フランチャイズで開業するのに必要な資金の調達方法
フランチャイズを開業するのに必要な資金は、主に以下の2つの方法で調達することができます。
1.自分で用意する方法
2.外部から調達する方法
それぞれの資金調達方法がどのようなものなのか、詳しくみていきましょう。
1. 自分で用意する方法
自分で資金を用意する場合、開業前の会社勤めをしている時から節約して積み立てる方もいますし、退職金などを活用する方もいます。
しかし、多くの場合は自力で用意した自己資金をもとに、外部から資金調達を行うケースが多いです。
2. 外部から調達する方法
外部から調達する資金において一般的に活用されているのは、政府系金融機関からの融資や、政府保証が付いている民間金融機関からの融資制度です。
フランチャイズ本部に加盟金や保証金を支払い、店舗を借り、改装し、設備を購入しないといけない場合、どうしても自己資金だけでは足りないことが多いです。
外部の協力を得て用意する場合は、自己資金の割合に対して融資額が決定されることが多いです。各金融機関の融資基準にもよりますが、大体の場合、自己資金と融資の割合が1:1です。
例えば、500万円の自己資金があれば、500万円の融資が受けられると考えられます。この時、自分で用意した500万円の自己資金が、どのように準備したものかという点がとても重要です。仮に、その500万円がほかの金融機関から借りている500万円であった場合、自己資金が500万円といえども、正しくは融資金額になります。そのため、その500万円はどのようにして入手したものなのか、毎月積み立てたものなのか、退職金などで手にしたものなのかを、融資を受ける際に金融機関の担当者に正しく説明することが重要です。
また、毎月発生している社会保険料や水道光熱費の引き落としなどの支払いを正しく行えているか、フリーランスであれば税金の遅延をしたことはないか、確定申告はしっかりと行っているか、隠している借金は存在しないかなど、しっかりと担当者に対して、融資を受けた分は毎月返済を行えることを説明する必要もあります。口頭で説明するだけではなく、返済可能であることを証明するには、社会保険料や水道光熱費などの支払い漏れや遅延をしないように銀行口座から自動引き落としに設定することや、確定申告や納税を期限内に納めるといったことを心がけないといけません。
これらの情報が整っている状態で、融資担当者も納得をする事業計画書を提示し、資金用途を証明する各種見積書等を用意すれば、よりスムーズに話が進むでしょう。本部によっては日本政策金融公庫や金融機関の融資に関する相談・サポートをしてくれるところもあります。自信がない場合は、本部のサポート内容を確認するのも手です。
また、金融機関との打ち合わせで、加盟を検討しているフランチャイズの将来性について有意義な意見がもらえることもあります。
万が一、融資を断られた場合にも、フランチャイズ加盟すること自体や開業する場所などについて再度検討するきっかけとなることもあります。融資は受けられない、と諦めるのではなく、足りない部分を埋める良い機会と捉えて改めて準備をすると良いでしょう。
フランチャイズで開業するための資金を融資してくれるのはどこ?
フランチャイズで開業するための資金調達を外部からしようとした場合、具体的にどのようなところから融資をしてもらえるのでしょうか。これから初めて資金調達をしようとしている方のために、融資を行っている金融機関をいくつかご紹介していきます。
日本政策金融公庫の融資制度
日本政策金融公庫には経済の活性化に貢献するため、新規事業開拓としてさまざまな融資制度が用意されています。
日本政策金融公庫が定める「新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方」という要件を満たした場合、以下のような融資制度の検討が可能となります。
・新規開業資金
融資限度額:7,200万円以内(うち運転資金4,800万円以内)
・新創業融資制度
融資限度額:3,000万円以内(うち運転資金1,500万円以内)
・女性、若者/シニア起業家支援資金
融資限度額:7億2千万円(うち運転資金2億5千万円)
返済期間については、設備資金は20年以内(うち据置期間2年以内)、運転資金は7年以内(うち据置期間2年以内)とされています。
それぞれの融資制度の詳細は日本政策金融公庫のWebサイトから確認できます。融資額は事業計画や資金使途によって異なります。どのような制度が利用できるか確認してみましょう。
銀行や信用金庫など金融機関の融資
銀行や信用金庫などの金融機関から融資を受ける方法もあります。
フランチャイズの初期費用を融資で賄う場合は、「保証付融資」という信用保証協会からの保証や不動産などの担保が必要となる「保証付融資」を利用するケースが多いです。「保証付融資」で融資を受ける場合、万が一、返済できなくなってしまった際に信用保証協会が借り主に代わって金融機関に「立て替え払い」を行います。そのため融資の返済とは別に、信用保証協会へ信用保証料を支払う必要があります。
融資を受ける際には、事業計画書を用意した上で金融機関の審査を受けます。フランチャイズ本部から融資申請についてのサポートやノウハウ提供を受けられる場合、フランチャイズに加盟せず自力で開業するケースと比較すると審査に通りやすいというメリットがあります。
ソーシャルレンディングやクラウドファンディングで資金を集める
近年では、ソーシャルレンディング(融資仲介サービス)やクラウドファンディングなど、投資家から直接資金調達を行う新しい融資の方法もあります。
ソーシャルレンディング(融資仲介サービス)とは、インターネット上で融資を受けたい人と投資をしたい人を結びつけるサービスです。
クラウドファンディングとは、インターネット上で事業資金援助を募集している人に、不特定多数の人が資金提供や資金協力を行うサービスです。資金調達をしようとしている人は、実現したい事業や成し遂げたいゴール、自社の商品を掲載して出資者を募集します。資金調達をしようとしている人の理念や商品・サービスに共感してくれる人をインターネット上で集めるため、SNSで商品やサービス、自社について拡散されると集客や広報にも期待ができます。
ただし、フランチャイズ本部の中にはソーシャルレンディングやクラウドファンディングの実施を制限している場合もあります。利用を検討するのであれば、事前にフランチャイズ本部の担当者に確認しておくようにしましょう。
国や自治体の補助金・助成金
初期費用を調達する方法として、国や自治体の補助金や助成金を利用する方法もあります。
補助金や助成金の制度は地元活性化や開業支援制度として、国や地方自治体によって用意されています。事業を立ち上げようとしている個人や集団に対して、経済発展のために支援をしているのです。
融資と違い、補助金や助成金は返済する必要はありません。利用すると負債が増えてしまう融資とは異なり、補助金や助成金は開業資金にそのまま充てられます。公的な制度であることも、安心して利用できるポイントでしょう。
ただし、補助金や助成金は融資と比較して申請手続きから受給までに時間がかかります。用意する書類が複雑なので、書類の準備に時間がかかってしまう点は覚悟をしておきましょう。補助金や助成金は受給要件が定められているため、利用できそうな補助金・助成金がないか事前に確認しておきましょう。
また、受給要件を満たしていても、補助金や助成金が必ずしも受給できるとは限らないため、他の策も考えておきましょう。
融資を受ける際に必要な書類
フランチャイズの開業にあたって初期費用を用意するために融資を受けるには、いくつか必要な書類があります。事前に用意をしておかなくてはいけないのが、以下の3つです。
1.事業計画書
事業概要や収益見込みなど、今度どのように事業を行っていくのかを説明するための書類
2.本人確認書類
マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなどのコピー
3.登記簿謄本
会社の基本情報が記載された書類
金融機関によっては補足資料として他の書類も提出が必要となることもあります。融資の申し込みをする金融機関が決まったら、どんな書類が必要になるのか事前に確認しておくことをおすすめします。
初期費用がないフランチャイズもある!
フランチャイズ本部の中には、初期費用をかけずに開業できるプランがあるところもあります。
フランチャイズというと、店舗が必要な小売業や飲食業を想像する方も多いのではないでしょうか。しかし、中には自宅にあるパソコンを使って始められる仲介業やネットショップ、自身で持っている普通自動車運転免許を活用した配送業、訪問型のハウスクリーニングサービスなどのサービス業であれば、初期費用が0円で始められるものもあります。
ただし、加盟金や保証金、ノウハウを提供してもらう研修費など、フランチャイズ本部が定める費用を加盟時に支払う必要がある場合もあるので、店舗がないからといって完全に初期費用が0円になるとは限りません。また、運営をしていくための仕入れなど運転費がかかることもあります。開業資金と運転資金、生活費も合わせて検討するようにしましょう。
まとめ
フランチャイズに必要な初期費用としては、フランチャイズ本部に支払う費用、店舗開設のための費用、それ以外のビジネス開始のための初期経費が存在します。
これらの資金はすべて自分で用意する方法もありますが、銀行などから融資を受けるケースがほとんどです。
ただし、外部からの資金調達を受ける際に注意しないといけないこともあります。それは、極力、担保や連帯保証人を付けないようにすることです。いくらビジネスの成功のために頑張っても、希望どおりに進まない時もあります。そのような場合、大切な人たちに迷惑をかけないために最大限の注意が必要です。
何が起こるか分からないからこそ、あらゆるケースに対応できるように気を付けましょう。
独立開業・フランチャイズ・代理店ならアントレ<毎週金曜更新>
「ワタシドキ」
ちはる