身近にあるファストフード。全国的にたくさんのファストフード店が親しまれています。どのようなファストフードチェーンの種類があるのか。その業界の中でどのようなフランチャイズ展開がされているのか紹介していきます。
※2023年11月時点の情報です。最新は各企業のホームページで確認してください。
ファストフード市場とは
まずはファストフード市場についての概要から説明します。
ファストフードとは、注文してすぐに食べられる手軽な食事のことです。農林水産省では1人当たりの消費金額が700円未満、提供時間がおよそ3分未満のものと定義しています。ハンバーガーやドーナツなどの外資系チェーン店も多いですが、うどんや牛丼などの和食チェーンも多く親しまれています。
コロナ禍で飲食業界は大きな打撃を受けましたが、ファストフード業界は比較的安定した経営ができていました。物価高などもありランニングコストは高額なものの、それを上回る集客力で業界をけん引しています。デリバリーやテイクアウトが普及している市場だったこともプラスに働きました。「手軽に・安く・おいしく」の3つを兼ね備えたファストフード市場は今後の将来性も期待できます。
参照：外食産業市場動向調査 令和4年（2022年）年間結果報告
フランチャイズで開業できるファストフードチェーン
ファストフード事業はマニュアルが体系化されているフランチャイズ本部が多く、開業にあたって明確に動きやすい業態といえます。ただ、初期費用が高いこともあり、個人ではなく企業のみ契約ができるという場合も多いです。また、社員から独立してフランチャイズオーナーとなる道すじもあります。
まずは有名チェーンの説明会に参加してみることから始めましょう。詳細を聞き、それぞれのチェーンの特色や、自分が開業したい地域との親和性なども見ておくことが重要です。やはり各カテゴリーで大手と呼ばれるブランドのフランチャイズ本部については、どんなカテゴリーで開業するか検討するための指標にもなるので、調べておくと良いでしょう。チェーン数が1000店舗規模（もしくはそれ以上）であるマクドナルド、すきや、ミスタードーナツなど強いブランド力を持つチェーンは押さえておきたいところです。社会と出店地域のニーズにマッチするチェーンを探すために、たくさんの説明会に参加し、じっくり検討しましょう。
フランチャイズビジネスの市場規模やメリット・デメリットなど、基本的なことから知りたい方は、まずこちらの記事を読んでみてください。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
ハンバーガー
ファストフードといえばハンバーガー、ハンバーガーといえばマクドナルドを思い浮かべるのではないでしょうか。日本マクドナルドホールディングスはコロナ禍の2021年に売上高が前年比9.7％も増加しています。他にもモスバーガーやバーガーキングも売り上げや店舗が増加の傾向にあります。ハンバーガーはもともとテイクアウトの需要が高く、それが巣ごもり需要とマッチしたことや、フードデリバリーの流行ともかみ合ったことで売り上げを伸ばしています。
研修制度やサポートが充実している傾向にあるため、スキル面に不安を抱えている方でも挑戦しやすい業界です。応募できる企業としてはマクドナルドやバーガーキングなどがあります。
※2023年11月時点の情報です。最新は各企業のホームページで確認してください
どんぶりめし
ファストフードで人気の和食として丼物が挙げられます。特に牛丼チェーンは多くの人が思い浮かべるのではないでしょうか？
かつて丼物はメインのメニューではなく、ランチメニューとして備えられている程度のものでしたが、昭和40年代に「吉野家」が急成長したことがきっかけで広まりました。一番メジャーなものとしては牛丼チェーンが挙げられますが、海鮮系やカツ丼など多くの種類があります。
応募できる企業はやよい軒や丼丸などがあります。
※2023年11月時点の情報です。最新は各企業のホームページで確認してください
そば・うどん
先ほど紹介した丼物と同じく根強い人気を誇るのがそば・うどんです。和食は2013年12月にユネスコ無形文化遺産に登録され、外国人観光客向けのインバウンド需要も狙えるフードです。
立ち食いソバのチェーンは駅などでよく見かけますし、うどんチェーンでは有名店は駐車場付きの店舗を構えるなど、人気が見てとれます。
そばやうどんは、ファストフード市場では珍しくコロナの打撃を受けました。基本的にテイクアウトには向かない食べ物であるため、イートインの顧客を集客できなかったことが原因です。現在はテイクアウトやデリバリーに対応するなど、社会に適応した経営を行っています。
応募できる企業は山下本気うどんなどがあります。
※2023年11月時点の情報です。最新は各企業のホームページで確認してください
フランチャイズビジネスの市場規模やメリット・デメリットなど、基本的なことから知りたい方は、まずこちらの記事を読んでみてください。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
ファストフードチェーンをフランチャイズに加盟して開業するメリット
個人経営ではなく、ファストフードチェーンをフランチャイズで開業する一番のメリットは、ブランド力にあります。元からあるブランド力を利用して集客を行い、経営のノウハウや安定した仕入れが行えるのもブランド力によるものです。個人では地道に作り上げるしかないものを最初から備えているというのがフランチャイズ開業するメリットといえるでしょう。
他にも「確立されたマニュアルに沿ってスタッフ育成ができる」「商品開発を代行してくれる」など、ファーストフード店をフランチャイズで開業すると得られるメリットはさまざまです。詳しくみていきましょう。
本部のスタッフ教育マニュアルに沿ってスタッフ育成ができる
ファストフードの店舗経営は1人では難しい場合もあり、スタッフを雇用する必要があることもあります。マニュアルもないまま、個人で一人一人に教育していくのは難しく、多くの時間を取られます。フランチャイズであれば本部で確立された教育マニュアルを展開できるため、効率よく、確実にスタッフの接客能力を引き上げられ、顧客対応の品質を安定的に保つことができます。
集客施策の恩恵を受けられる
フランチャイズでは、ブランドの力があるため、個人店では打てないような多額の費用を投じた集客施策を行ってもらえます。有名タレントを起用したCMなどは個人ではなかなか難しいです。CMなどの広告効果は絶大であり、フランチャイズで開業するメリットとしては十分に高い効果を得られるものでしょう。
商品開発を代行してくれる
飲食店で欠かせないのがメニューの開発です。季節ごとの期間限定商品や新商品の開発に勤しむ必要があります。その点、ファストフードチェーンをフランチャイズ開業すると、その新商品の開発は本部が行ってくれます。マンネリ化を防いだり、リピーターを獲得につなげることができます。
低価格で安定した仕入れができる
ファストフードは「早い」だけではなく、「安い」も重要です。仕入れの際に安価に仕入れるためには大量購入が効果的です。しかし個人経営の場合は作れる量、売れる量に限りがあるため、なかなか大量購入は難しい上、仕入れ先も自分で開拓する必要があります。
それに対して、ファストフードチェーンをフランチャイズで開業すれば、本部による一括での仕入れによって価格が低位安定する上、仕入れ先の開拓は本部がすでに行ってくれています。安定して仕入れを行うことができる環境が整っているのです。
ファストフードチェーンをフランチャイズで開業するデメリット
ここまでファストフードチェーンをフランチャイズ開業するメリットについて挙げてきましたが、もちろんデメリットも存在します。
経営の自由度が低い
まず、個人経営ではないため、経営の自由度は低いです。本部の意向と違うことは基本的に行えません。特にファストフード店は全く同じ商品・制服・価格で提供されるのが基本です。そのため加盟店独自のアレンジなどは加えられません。
ロイヤリティなどの支払いが負担になることも
また、高いブランド力を利用する対価として、毎月のロイヤリティの支払いが必要となります。もちろん、経営マニュアルや集客、開発などのサポートあることを考えると無駄な出費ではありませんが、売上が少ない月でも支払わなければならないため、負担になるかもしれません。
ブランドイメージの影響を受ける
さらに、これはブランド力が強いことの裏返しですが、ブランドイメージの影響を多大に受けます。例えば他の店舗で不祥事が起きてしまったら、それは全国のフランチャイズ店舗に派生し、被害を被ることがあります。
その他にも、契約期間や解約条件などの条項をしっかりと読み込むことが重要です。解約に対する違約金や契約終了後の競業阻止義務規定などが書かれている場合があります。可能であれば士業の人のサポートを得て、契約まで進めるのがいいでしょう。
まとめ
ファストフードチェーンをフランチャイズで開業することについて取り上げてきました。メリットデメリット、両方を理解いただけたと思います。自分がどのように経営を行っていきたいのか、自分がどのような場所で経営を行っていきたいのか、ファストフードチェーンをフランチャイズ開業する場合はどのジャンルのものが自分に合っているのか。色々な要素をしっかりと検討して、開業に向けて準備をしていきましょう。
＜文／ちはる＞
